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外伝〈転移石を求めて〉
リーリスの行方
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「――うおおおおっ!!筋肉、筋肉、筋肉大革命ぃいいっ!!」
恐らくは数トンは存在する岩を引きずりながらデブリは草原内を駆け出し、全身に汗を流しながらも走り続けていた。彼がこのような状況で身体を鍛え始めたのはある理由があるのだが、傍から見れば常軌を逸してようにしか見えないだろう。
「ふうっ……流石に疲れたな、だがあと少しだ!!師匠やナオが僕を見つけ出すまで頑張るぞ!!」
デブリは岩を引きずった後を確認すると、地面に出来上がった文字を確認して頷く。実はデブリは岩を利用して地面を抉る事で大きな文字を描き、上空から確認すれば「デブ」という文字が刻まれている事を確認出来た。後は最後の「リ」という文字を刻めば自分の名前を掘る事に成功し、必ずやナオやルノならば上空からこの文字を確認して自分の存在に気付くだろうと考えていた。
「よし!!どうせだからもっと派手に目立つように最後のリの部分は樹木を引き抜いて作り出すか!!自然を壊す事はいけないから用事を負えたらすぐに戻せば問題なし!!」
「いや……それは止めとこうよデブリ」
「ぬおっ!?し、師匠!!それにナオとコトネまで!?一体何時から後ろに!?」
「……割と前から?」
「デブリ王子、何をしているのかと思えば……」
草原に生えている樹木を引き抜こうとしていたデブリの後方に呆れた様子のルノ達が現れ、彼等の姿を見てデブリは驚くが、むしろ驚かされたのはルノ達の方である。
「それにしてもこんな大きな岩を動かして何をしているのかと思えば、俺たちが気付きやすいように文字を掘ってたんだね。まあ、お陰で見つかったんだけど……」
「師匠!!待ってください、このままだとデブという不名誉な名前を刻んだままです!!せめてリの部分まで描くのを待ってください!!」
「いや、そんな時間ないから!!すぐにリーリスを見つけ出して外へ抜け出す方法を探さないと」
「リーリス?奴ならばさっき見かけましたぞ」
「え?本当に?」
デブリによるとリーリスもこちらの草原に転移していたらしく、二人は最初の内は共に行動していたらしいが、一向にルノもナオも迎えに来る様子がないので痺れを切らしてリーリスは単独行動を取ったという。
「実は地上に文字を刻めというのもリーリスの提案でしてな!!手ごろな岩を見つけて僕一人で掘っていたんです!!」
「そうだったのか……なら、肝心のリーリスは何処にいるの?」
「さあ?周囲を探索してくるとかいってあっちの方に歩いて行きましたが……」
「こんな危険な場所で一人で行動するなんて……リーリスらしくないような気がするけど」
「……そうでもない、基本的に何か興味を注がれる物を発見したらすぐにいなくなる」
「た、確かにそうかも……」
ルノ達はリーリスの姿を探すが周囲を見渡しても彼女らしき姿は見当たらず、デブリの話によれば別れてからそれほど時間は経過していないはずなので遠くへ行くはずがないのだが、何故かリーリスらしき人影は見えない。
「おかしいですな、さっきまでハッケン君とやらを確認しながら歩き回っていたのですが……」
「リーリス!!何処に居るの!?」
「リーリスさん!!返事をして!!」
「……出てこないと置いていく」
周囲に声を掛けるがやはりリーリスが現れる様子はなく、最後にデブリが彼女が見たという場所へ向かうと、ルノは足元に何かが落ちている事に気付く。
「あいて……これ、ハッケン君?」
「リーリスさんが持っていたコンパスみたいな道具?」
「どうしてこんな場所に……はっ、こんな所に大きな穴が」
ハッケン君を拾い上げたルノ達の前には大きな穴が存在し、だいたい人間一人が入れる程度の大きさであり、その穴の中にハッケン君が落ちて居た事にルノ達は嫌な予感を覚える。
「まさかリーリス……この中に落ちたの?」
「そんなまさか……」
「……穴は斜めに広がっている。足を滑らせてこの中に転げ落ちた可能性が高い」
穴といっても縦に繋がっているわけではなく、どうやら横向きに広がっている事が判明し、試しにルノ達は穴の中に声を掛けるが返事はなく、ハッケン君だけが取り残されていた。
「リーリス!!無事なら返事して!!」
「……今の内に穴を塞いで埋葬する?」
「何で!?助けてあげようよ!!」
「暗い場所はちょっと苦手で……」
「暗殺者らしからぬ発言だよねそれ!?」
「というか、ナオの千里眼で調べればいいんじゃないのか?」
デブリの言葉に全員がナオに視線を向けると、ナオは頷いて千里眼の能力を発動させ、内部の様子を調べた。暗闇の中でも千里眼は通じるのか不安な点はあったが、ナオは「暗視」のスキルも習得しているの暗闇の中でも非常に夜目が聞き、落とし穴の内部の様子を調べた。
「これは……どうなってるんだ?」
「どうしたの?リーリスは見つけた?」
「いや、それがおかしいんだ。どうもこの穴の中、かなり深くまで広がってるんだよ。しかも迷路のように分かれているみたい」
「迷路?」
ナオの言葉にルノ達は穴の中を覗きこみ、一体どうなっているのかをナオに尋ねる。
恐らくは数トンは存在する岩を引きずりながらデブリは草原内を駆け出し、全身に汗を流しながらも走り続けていた。彼がこのような状況で身体を鍛え始めたのはある理由があるのだが、傍から見れば常軌を逸してようにしか見えないだろう。
「ふうっ……流石に疲れたな、だがあと少しだ!!師匠やナオが僕を見つけ出すまで頑張るぞ!!」
デブリは岩を引きずった後を確認すると、地面に出来上がった文字を確認して頷く。実はデブリは岩を利用して地面を抉る事で大きな文字を描き、上空から確認すれば「デブ」という文字が刻まれている事を確認出来た。後は最後の「リ」という文字を刻めば自分の名前を掘る事に成功し、必ずやナオやルノならば上空からこの文字を確認して自分の存在に気付くだろうと考えていた。
「よし!!どうせだからもっと派手に目立つように最後のリの部分は樹木を引き抜いて作り出すか!!自然を壊す事はいけないから用事を負えたらすぐに戻せば問題なし!!」
「いや……それは止めとこうよデブリ」
「ぬおっ!?し、師匠!!それにナオとコトネまで!?一体何時から後ろに!?」
「……割と前から?」
「デブリ王子、何をしているのかと思えば……」
草原に生えている樹木を引き抜こうとしていたデブリの後方に呆れた様子のルノ達が現れ、彼等の姿を見てデブリは驚くが、むしろ驚かされたのはルノ達の方である。
「それにしてもこんな大きな岩を動かして何をしているのかと思えば、俺たちが気付きやすいように文字を掘ってたんだね。まあ、お陰で見つかったんだけど……」
「師匠!!待ってください、このままだとデブという不名誉な名前を刻んだままです!!せめてリの部分まで描くのを待ってください!!」
「いや、そんな時間ないから!!すぐにリーリスを見つけ出して外へ抜け出す方法を探さないと」
「リーリス?奴ならばさっき見かけましたぞ」
「え?本当に?」
デブリによるとリーリスもこちらの草原に転移していたらしく、二人は最初の内は共に行動していたらしいが、一向にルノもナオも迎えに来る様子がないので痺れを切らしてリーリスは単独行動を取ったという。
「実は地上に文字を刻めというのもリーリスの提案でしてな!!手ごろな岩を見つけて僕一人で掘っていたんです!!」
「そうだったのか……なら、肝心のリーリスは何処にいるの?」
「さあ?周囲を探索してくるとかいってあっちの方に歩いて行きましたが……」
「こんな危険な場所で一人で行動するなんて……リーリスらしくないような気がするけど」
「……そうでもない、基本的に何か興味を注がれる物を発見したらすぐにいなくなる」
「た、確かにそうかも……」
ルノ達はリーリスの姿を探すが周囲を見渡しても彼女らしき姿は見当たらず、デブリの話によれば別れてからそれほど時間は経過していないはずなので遠くへ行くはずがないのだが、何故かリーリスらしき人影は見えない。
「おかしいですな、さっきまでハッケン君とやらを確認しながら歩き回っていたのですが……」
「リーリス!!何処に居るの!?」
「リーリスさん!!返事をして!!」
「……出てこないと置いていく」
周囲に声を掛けるがやはりリーリスが現れる様子はなく、最後にデブリが彼女が見たという場所へ向かうと、ルノは足元に何かが落ちている事に気付く。
「あいて……これ、ハッケン君?」
「リーリスさんが持っていたコンパスみたいな道具?」
「どうしてこんな場所に……はっ、こんな所に大きな穴が」
ハッケン君を拾い上げたルノ達の前には大きな穴が存在し、だいたい人間一人が入れる程度の大きさであり、その穴の中にハッケン君が落ちて居た事にルノ達は嫌な予感を覚える。
「まさかリーリス……この中に落ちたの?」
「そんなまさか……」
「……穴は斜めに広がっている。足を滑らせてこの中に転げ落ちた可能性が高い」
穴といっても縦に繋がっているわけではなく、どうやら横向きに広がっている事が判明し、試しにルノ達は穴の中に声を掛けるが返事はなく、ハッケン君だけが取り残されていた。
「リーリス!!無事なら返事して!!」
「……今の内に穴を塞いで埋葬する?」
「何で!?助けてあげようよ!!」
「暗い場所はちょっと苦手で……」
「暗殺者らしからぬ発言だよねそれ!?」
「というか、ナオの千里眼で調べればいいんじゃないのか?」
デブリの言葉に全員がナオに視線を向けると、ナオは頷いて千里眼の能力を発動させ、内部の様子を調べた。暗闇の中でも千里眼は通じるのか不安な点はあったが、ナオは「暗視」のスキルも習得しているの暗闇の中でも非常に夜目が聞き、落とし穴の内部の様子を調べた。
「これは……どうなってるんだ?」
「どうしたの?リーリスは見つけた?」
「いや、それがおかしいんだ。どうもこの穴の中、かなり深くまで広がってるんだよ。しかも迷路のように分かれているみたい」
「迷路?」
ナオの言葉にルノ達は穴の中を覗きこみ、一体どうなっているのかをナオに尋ねる。
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