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外伝〈転移石を求めて〉
ナオとの合流
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――オアアアアアッ!!
翼竜を食い尽くした地竜は全身の岩石の皮膚を紅潮化させると、破壊された甲羅を徐々に再生させ、再び溶岩を煮えたぎらせる。どうやら翼竜の経験石を喰らった事で再生と同時に成長したのか一回り程大きくなり、周囲一帯に火山弾を放つ。
「うわぁっ!?ちょ、これ不味いって!!」
「あわわっ……落ちるっ」
コトネを抱えた状態でルノは氷自動車が火山弾に直撃しないように移動するが、彼女を手放さずに氷自動車を操作する事は非常に難しく、やがて避けきれずに火山弾が車体に衝突してしまう。
「しまった!?」
「あっ!?」
氷自動車が火山弾に衝突した際にルノとコトネは空中に放り出され、地上へ向けて落下する。ルノは咄嗟に飛翔術を利用して落ちていくコトネを救うために彼女の元へ急ぐ。
「コトネ!!手を伸ばして!!」
「くっ……届いた」
ルノが手を差し出すとコトネもどうにか腕を掴み、二人は風の力で空中に浮揚する。しかし、その間にも地竜は背中の火山を噴火させ、溶岩流で荒野を埋め尽くそうとしていく。このままでは荒野どころか大迷宮の階層自体が危険に陥る可能性が高く、ルノはコトネを抱えたまま安全な場所を探す。
「くそっ……何処かに安全な場所は……!?」
「ルノ、あれを見て!!」
コトネの言葉にルノは彼女が示した方向に首を向けると、そこには空中にナオの空間魔法の黒渦が誕生している事に気付き、黒渦の中からナオが顔を出して二人を誘う。
「ルノ君!!コトネさん!!こっちに早く!!」
「ナオ君!?よし、行くよコトネ!!」
「はうっ!?」
ナオの姿を発見したルノはコトネを抱えた状態で速度を加速させ、黒渦の中に向かう。背後から火山弾が迫りくる中、どうにかコトネだけでも逃がすためにルノは黒渦の中に放り込む。
「コトネを頼んだ!!」
「うわっ!?」
「あうっ!?」
先に黒渦の中にコトネを放り込むとルノは後方を振り返り、接近してくる火山弾に対して両手を構えるとコトネを避難させた事で思う存分に戦えるため、本気を出して地竜の討伐を開始する。
「行くぞ、お前を倒すにはこの姿が一番だ!!」
「オアアッ……!?」
ルノの両手から巨大な氷塊が誕生すると、そのまま正面から迫る火山弾を弾き飛ばし、氷塊の形状を変形させて巨大な「火竜」の姿を模した氷像を作り出す。ルノが竜種との戦闘で多用する「氷竜」を生み出すと、そのまま氷竜を操作して地上の地竜へ向かわせる。
氷竜の口内に入り込んだルノは真っ先に地竜の火口に迫り、まずは噴火を止めるために両手を重ね、水属性と風属性の魔法を組み合わせた一撃を放つ。
「冷却旋風!!」
「オオオオオッ……!?」
氷竜の口内から冷気の竜巻が放出されると、そのまま噴火を押し返す勢いで竜巻は火山を氷結化させ、地竜の全身に冷気を浴びせる。その姿は正に竜種が得意とする吐息の攻撃を想像させ、地竜は強制的に噴火を止められてしまう。強化スキル「暴風」と「絶対零度」を発動させたルノの攻撃は食い止める事は出来ず、更にルノは氷竜を降下させて地竜の頭部に着地した。
「このぉっ!!」
「オアアッ!?」
氷竜の巨体に押しつぶされた地竜は悲鳴をあげ、必死に振り払おうとするが氷竜が先に頭部を掴み、力尽くで地竜の巨体を持ち上げる。
「だあっ!!」
「オアアアッ……!?」
地竜の巨体が徐々に浮き上がると、そのまま巨体をひっくり返らせて地面へと叩きつける。まるで亀が逆さまにされたかのような体勢にされ、地竜は背中の甲羅を想像させる岩山が地面に食い込み、必死に手足をばたつかせるしかなかった。
「オオオオッ……!!」
「ふうっ……これで動けないだろ。けど、氷が溶ける前に止めをさしてもらうよ」
いずれ氷結化が溶ければ地竜は暴走するため、今の内に仕留めるためにルノは氷竜を近づけさせると、自分は口元から離れて氷竜の鋭利な牙を地竜の頭に食い込ませる。
「これで終わりだ!!」
「オアッ……!?」
氷竜の牙は地竜の岩石の皮膚を易々と噛み砕き、更に噛みついた箇所から冷気を迸らせて内部も凍結化させていく。絶対零度の強化スキルが発動中はルノの氷塊は全て凍てつく冷気を放つため、地竜は体内の内側にまで冷気を送り込まれると、やがて全身が凍り付いたのか動かなくなった。
地竜が確実に仕留めた事を確認すると、ルノは一汗を流して氷竜の牙を離し、完全に氷像と化した地竜の死骸を確認して安堵した。前回に遭遇した地竜よりも手強く、強力な相手であったが今回も氷竜の力で勝つ事は出来た。
「ふうっ……これが大迷宮なのか、一瞬の油断も出来ないな」
ルノでさえも気を抜く事が許されない大迷宮の魔物達の恐ろしさを思い知らされ、下手をしたら魔王や魔人王に匹敵する危険性を持つ魔物達が次々と出現し、一刻も早く他の仲間達との合流を急がなければならない事を思い知る。
翼竜を食い尽くした地竜は全身の岩石の皮膚を紅潮化させると、破壊された甲羅を徐々に再生させ、再び溶岩を煮えたぎらせる。どうやら翼竜の経験石を喰らった事で再生と同時に成長したのか一回り程大きくなり、周囲一帯に火山弾を放つ。
「うわぁっ!?ちょ、これ不味いって!!」
「あわわっ……落ちるっ」
コトネを抱えた状態でルノは氷自動車が火山弾に直撃しないように移動するが、彼女を手放さずに氷自動車を操作する事は非常に難しく、やがて避けきれずに火山弾が車体に衝突してしまう。
「しまった!?」
「あっ!?」
氷自動車が火山弾に衝突した際にルノとコトネは空中に放り出され、地上へ向けて落下する。ルノは咄嗟に飛翔術を利用して落ちていくコトネを救うために彼女の元へ急ぐ。
「コトネ!!手を伸ばして!!」
「くっ……届いた」
ルノが手を差し出すとコトネもどうにか腕を掴み、二人は風の力で空中に浮揚する。しかし、その間にも地竜は背中の火山を噴火させ、溶岩流で荒野を埋め尽くそうとしていく。このままでは荒野どころか大迷宮の階層自体が危険に陥る可能性が高く、ルノはコトネを抱えたまま安全な場所を探す。
「くそっ……何処かに安全な場所は……!?」
「ルノ、あれを見て!!」
コトネの言葉にルノは彼女が示した方向に首を向けると、そこには空中にナオの空間魔法の黒渦が誕生している事に気付き、黒渦の中からナオが顔を出して二人を誘う。
「ルノ君!!コトネさん!!こっちに早く!!」
「ナオ君!?よし、行くよコトネ!!」
「はうっ!?」
ナオの姿を発見したルノはコトネを抱えた状態で速度を加速させ、黒渦の中に向かう。背後から火山弾が迫りくる中、どうにかコトネだけでも逃がすためにルノは黒渦の中に放り込む。
「コトネを頼んだ!!」
「うわっ!?」
「あうっ!?」
先に黒渦の中にコトネを放り込むとルノは後方を振り返り、接近してくる火山弾に対して両手を構えるとコトネを避難させた事で思う存分に戦えるため、本気を出して地竜の討伐を開始する。
「行くぞ、お前を倒すにはこの姿が一番だ!!」
「オアアッ……!?」
ルノの両手から巨大な氷塊が誕生すると、そのまま正面から迫る火山弾を弾き飛ばし、氷塊の形状を変形させて巨大な「火竜」の姿を模した氷像を作り出す。ルノが竜種との戦闘で多用する「氷竜」を生み出すと、そのまま氷竜を操作して地上の地竜へ向かわせる。
氷竜の口内に入り込んだルノは真っ先に地竜の火口に迫り、まずは噴火を止めるために両手を重ね、水属性と風属性の魔法を組み合わせた一撃を放つ。
「冷却旋風!!」
「オオオオオッ……!?」
氷竜の口内から冷気の竜巻が放出されると、そのまま噴火を押し返す勢いで竜巻は火山を氷結化させ、地竜の全身に冷気を浴びせる。その姿は正に竜種が得意とする吐息の攻撃を想像させ、地竜は強制的に噴火を止められてしまう。強化スキル「暴風」と「絶対零度」を発動させたルノの攻撃は食い止める事は出来ず、更にルノは氷竜を降下させて地竜の頭部に着地した。
「このぉっ!!」
「オアアッ!?」
氷竜の巨体に押しつぶされた地竜は悲鳴をあげ、必死に振り払おうとするが氷竜が先に頭部を掴み、力尽くで地竜の巨体を持ち上げる。
「だあっ!!」
「オアアアッ……!?」
地竜の巨体が徐々に浮き上がると、そのまま巨体をひっくり返らせて地面へと叩きつける。まるで亀が逆さまにされたかのような体勢にされ、地竜は背中の甲羅を想像させる岩山が地面に食い込み、必死に手足をばたつかせるしかなかった。
「オオオオッ……!!」
「ふうっ……これで動けないだろ。けど、氷が溶ける前に止めをさしてもらうよ」
いずれ氷結化が溶ければ地竜は暴走するため、今の内に仕留めるためにルノは氷竜を近づけさせると、自分は口元から離れて氷竜の鋭利な牙を地竜の頭に食い込ませる。
「これで終わりだ!!」
「オアッ……!?」
氷竜の牙は地竜の岩石の皮膚を易々と噛み砕き、更に噛みついた箇所から冷気を迸らせて内部も凍結化させていく。絶対零度の強化スキルが発動中はルノの氷塊は全て凍てつく冷気を放つため、地竜は体内の内側にまで冷気を送り込まれると、やがて全身が凍り付いたのか動かなくなった。
地竜が確実に仕留めた事を確認すると、ルノは一汗を流して氷竜の牙を離し、完全に氷像と化した地竜の死骸を確認して安堵した。前回に遭遇した地竜よりも手強く、強力な相手であったが今回も氷竜の力で勝つ事は出来た。
「ふうっ……これが大迷宮なのか、一瞬の油断も出来ないな」
ルノでさえも気を抜く事が許されない大迷宮の魔物達の恐ろしさを思い知らされ、下手をしたら魔王や魔人王に匹敵する危険性を持つ魔物達が次々と出現し、一刻も早く他の仲間達との合流を急がなければならない事を思い知る。
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