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外伝〈転移石を求めて〉
転移先は……
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「魔石といっても、俺は空間魔法ぐらいしか扱えないから持ってないけど……」
「……収納石ぐらいしかない」
「僕は筋肉しかないな!!」
「俺も持ってないよ……というか、一番持ってそうなのはリーリスじゃないの?」
「うっ……しょうがありませんね。とっておきの聖属性の魔石を出しましょう」
ルノ達の中で魔石を所有しているのはリーリスしか存在せず、彼女は治療の際に利用する聖属性の魔石を取り出すと、魔法陣の七つの水晶の一つに翳す。ゴーレムの核は紅色の魔力を放出するのに対し、聖属性の魔石は白色の魔力を吸収されていく。
「多分、ゴーレムの核は土属性の魔力を帯びています。これで聖属性と土属性の魔力は揃いましたが、残りの風、火、水、雷、闇の属性の魔力を与えないと魔法陣は軌道しないようですね」
「要は魔力を分け与えればいいんでしょ?なら、俺の魔法で代用できないかな?」
「う~ん……そこら辺は試さないと分かりませんね」
魔法陣の水晶に向けてルノは試しに氷塊の魔法を発動させ、手のひらほどの大きさの氷の塊を生み出すと、穴の中に翳す。すると氷の塊から冷気が迸り、穴の一つに吸収されていく事からどうやら魔石以外の物でも代用出来る事が判明した。
「お、どうやら上手く行ったようですね。なら、この調子でばんばん吸い込ませてください」
「簡単に言うな……結構難しいんだよ?他の属性の魔法を同時に扱うのは……」
魔法陣に両手を翳したルノは次々と窪みの中の水晶に向けて初級魔法を発動させ、風圧、火球、氷塊、電撃、闇夜の魔法を発動させる。合成魔術ではなく、複数の魔法を同時に扱うというのはかなりの集中力を使用するが、お陰で全ての属性の魔力が転移魔法陣に吸収され、魔法陣に変化が訪れる。
「おおっ!!発光が強まりましたね……どうやらこの状態なら魔法陣を発動出来そうです」
「え、なら外へ抜け出せるの?」
「多分ですけど……でも、こんな場所に隠された転移魔法陣ですよ?もしかしたら秘密があるのかもしれません。例えば……普通ならいけない階層へ転移出来るとか」
意味深なリーリスの言葉にルノ達は転移魔法陣に視線を向け、ルノは彼女の言わんとしている事を理解して口にしてしまう。
「まさか……第五階層に?」
「……待って、それ口にしちゃ不味いじゃないの?」
『あっ』
ルノが「第五階層」という言葉を口にした瞬間、転移魔法陣が輝きを強め、強烈な光が広間全体に覆い込む。どうやら言葉に反応して発動したらしく、次の瞬間にはルノ達は別の階層へ転移してしまう――
――転移した直後にルノは謎の浮揚感が身体に襲い掛かり、意識を取り戻すと自分が何時の間にか青空が広がる美しい草原の上空に転移した事を知る。
「な、何だ!?空!?」
「ああああっ……」
「あれ、コトネも!?」
自分が落下中の状態である事に気付いたルノは驚きの声を上げ、更に隣の方から自分の服を掴むコトネが存在する事に気付き、慌てて地上へ墜落する前にルノはコトネを抱えて飛翔術を発動させて地面へ降り立つ。
「着地!!」
「あうっ……そこはお姫様抱っこの状態で降りて欲しかった」
コトネを背中に抱えた状態でルノは地面に着地すると、彼女の呑気な声を耳にしながらも周囲の状況を把握する。どうやら自分達が降り立ったのは見晴らしの良い草原だと悟り、空を見上げて見ると第三階層のように青空と太陽を想像ささせる大きな照明が存在する事からここがまだ大迷宮内の階層である事を認識する。
「コトネ、大丈夫?怪我してない?」
「問題ない……強いて言えばお尻を掴まれてどきどきしてる」
「わわっ……ご、ごめん」
おんぶするときに無意識にコトネの尻を掴んでいたルノは慌てて彼女を下ろすと、周囲の状況を見て自分達が何処の階層へ転移したのか確かめるため、コトネに尋ねる。
「見た所は草原のようだけど……コトネは見覚えがある場所?」
「……第一階層は全体が草原だった。だけど、この場所は見覚えがない……私も始めて訪れた場所」
「という事は……まさかここが第五階層なのかな?」
過去に第一階層にも訪れた事があるコトネだが、彼女によると目の前に広がる草原は第一階層と比べると地形が大きく異なるらしく、彼女の知る第一階層には草原しか広がっていなかったのに対し、この階層には大きな湖や岩山、さらには砂漠らしき景色も広がっていた。
ルノは天井を確認すると第三階層と同じく作り物の青空が広がっている事に気付き、ここが外界ではなく大迷宮内である事を認識する。しかし、それならばどうして転移した際に他の仲間達の姿が見えないのか疑問を抱く。
「どうして他の皆がいないんだろう……コトネは何か知らない?」
「分からない……でも、私の場合は転移する前にルノの服を掴んでいたから一緒に飛ばされたと思う」
「なるほど……皆、あの時は触れ合う暇もなく転移したから別々の場所に飛ばされたのかもしれないね」
転移の際にルノ達はお互いに離れていたせいで別々の地点に各々が転移した可能性が高く、他の皆を心配したルノはすぐに合流するために動く事にした。
「……収納石ぐらいしかない」
「僕は筋肉しかないな!!」
「俺も持ってないよ……というか、一番持ってそうなのはリーリスじゃないの?」
「うっ……しょうがありませんね。とっておきの聖属性の魔石を出しましょう」
ルノ達の中で魔石を所有しているのはリーリスしか存在せず、彼女は治療の際に利用する聖属性の魔石を取り出すと、魔法陣の七つの水晶の一つに翳す。ゴーレムの核は紅色の魔力を放出するのに対し、聖属性の魔石は白色の魔力を吸収されていく。
「多分、ゴーレムの核は土属性の魔力を帯びています。これで聖属性と土属性の魔力は揃いましたが、残りの風、火、水、雷、闇の属性の魔力を与えないと魔法陣は軌道しないようですね」
「要は魔力を分け与えればいいんでしょ?なら、俺の魔法で代用できないかな?」
「う~ん……そこら辺は試さないと分かりませんね」
魔法陣の水晶に向けてルノは試しに氷塊の魔法を発動させ、手のひらほどの大きさの氷の塊を生み出すと、穴の中に翳す。すると氷の塊から冷気が迸り、穴の一つに吸収されていく事からどうやら魔石以外の物でも代用出来る事が判明した。
「お、どうやら上手く行ったようですね。なら、この調子でばんばん吸い込ませてください」
「簡単に言うな……結構難しいんだよ?他の属性の魔法を同時に扱うのは……」
魔法陣に両手を翳したルノは次々と窪みの中の水晶に向けて初級魔法を発動させ、風圧、火球、氷塊、電撃、闇夜の魔法を発動させる。合成魔術ではなく、複数の魔法を同時に扱うというのはかなりの集中力を使用するが、お陰で全ての属性の魔力が転移魔法陣に吸収され、魔法陣に変化が訪れる。
「おおっ!!発光が強まりましたね……どうやらこの状態なら魔法陣を発動出来そうです」
「え、なら外へ抜け出せるの?」
「多分ですけど……でも、こんな場所に隠された転移魔法陣ですよ?もしかしたら秘密があるのかもしれません。例えば……普通ならいけない階層へ転移出来るとか」
意味深なリーリスの言葉にルノ達は転移魔法陣に視線を向け、ルノは彼女の言わんとしている事を理解して口にしてしまう。
「まさか……第五階層に?」
「……待って、それ口にしちゃ不味いじゃないの?」
『あっ』
ルノが「第五階層」という言葉を口にした瞬間、転移魔法陣が輝きを強め、強烈な光が広間全体に覆い込む。どうやら言葉に反応して発動したらしく、次の瞬間にはルノ達は別の階層へ転移してしまう――
――転移した直後にルノは謎の浮揚感が身体に襲い掛かり、意識を取り戻すと自分が何時の間にか青空が広がる美しい草原の上空に転移した事を知る。
「な、何だ!?空!?」
「ああああっ……」
「あれ、コトネも!?」
自分が落下中の状態である事に気付いたルノは驚きの声を上げ、更に隣の方から自分の服を掴むコトネが存在する事に気付き、慌てて地上へ墜落する前にルノはコトネを抱えて飛翔術を発動させて地面へ降り立つ。
「着地!!」
「あうっ……そこはお姫様抱っこの状態で降りて欲しかった」
コトネを背中に抱えた状態でルノは地面に着地すると、彼女の呑気な声を耳にしながらも周囲の状況を把握する。どうやら自分達が降り立ったのは見晴らしの良い草原だと悟り、空を見上げて見ると第三階層のように青空と太陽を想像ささせる大きな照明が存在する事からここがまだ大迷宮内の階層である事を認識する。
「コトネ、大丈夫?怪我してない?」
「問題ない……強いて言えばお尻を掴まれてどきどきしてる」
「わわっ……ご、ごめん」
おんぶするときに無意識にコトネの尻を掴んでいたルノは慌てて彼女を下ろすと、周囲の状況を見て自分達が何処の階層へ転移したのか確かめるため、コトネに尋ねる。
「見た所は草原のようだけど……コトネは見覚えがある場所?」
「……第一階層は全体が草原だった。だけど、この場所は見覚えがない……私も始めて訪れた場所」
「という事は……まさかここが第五階層なのかな?」
過去に第一階層にも訪れた事があるコトネだが、彼女によると目の前に広がる草原は第一階層と比べると地形が大きく異なるらしく、彼女の知る第一階層には草原しか広がっていなかったのに対し、この階層には大きな湖や岩山、さらには砂漠らしき景色も広がっていた。
ルノは天井を確認すると第三階層と同じく作り物の青空が広がっている事に気付き、ここが外界ではなく大迷宮内である事を認識する。しかし、それならばどうして転移した際に他の仲間達の姿が見えないのか疑問を抱く。
「どうして他の皆がいないんだろう……コトネは何か知らない?」
「分からない……でも、私の場合は転移する前にルノの服を掴んでいたから一緒に飛ばされたと思う」
「なるほど……皆、あの時は触れ合う暇もなく転移したから別々の場所に飛ばされたのかもしれないね」
転移の際にルノ達はお互いに離れていたせいで別々の地点に各々が転移した可能性が高く、他の皆を心配したルノはすぐに合流するために動く事にした。
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