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外伝〈転移石を求めて〉
大迷宮の魔物
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「ふんっ!!その程度の力で僕を捕まえられると思ったのか馬鹿めっ!!」
『オオッ……!!』
「うおっ!?まだ来るのか!?」
「……走って!!」
人面を1つ潰す事は出来たが、壁の中から次々と腕が繰り出され、コトネがこの通路を抜け出すように指示を出す。全員がそれに従って走り出すが、壁から次々と腕が伸びて遮ろうとする。
「ああ、もう!!何ですかこれは!?どうしてホラー映画みたいな展開に……!!」
「脚を掴まれないように気を付けて!!」
「この腕、相当に硬いぞ!!簡単に壊す事は出来ないからな!!」
「……もうすぐ抜けられる」
通路を抜け出すために全員が駆け出す中、先頭を走っていたルノは周囲からせまりくる煉瓦の腕に対し、いい加減に鬱陶しく思えてきたので両手を左右に広げて氷塊の魔法を発動させた。
「ああ、もう!!うざったいな!!全部斬り落とすよ!!」
『オアアアアッ……!?』
左右に「回転氷刃」を発動させ、丸鋸型の氷の円盤を生み出すと高速回転させた氷の刃が次々と繰り出される煉瓦の腕を切り裂く。デブリの怪力やナオの指弾でさえも亀裂程度の損傷しか受けなかった煉瓦の腕もルノの魔法には敵わず、次々と通路内に切り裂かれた腕が落ちていく。
「ちょっ!?ルノさん、攻撃するのはいいんですけど腕をこっちに飛ばさないでください!?転んだらどうするんですか!?」
「あ、ごめん……」
「あいだぁっ!?」
「ああっ!?デブリ王子の顔面に腕が……」
「……あと少しで抜けられる」
邪魔な腕を切り裂きながらルノ達は通路を抜けた瞬間、大きな広間へと辿り着く。ルノ達が一本道の通路を抜け出した途端、壁の中から伸びていた腕も徐々に元に戻り、通路の奥の方から悔し気な鳴き声が響き渡る。
――オオオオオオッ……!!
恐らくはゴーレムと同系統の思われる魔物の鳴き声が大迷宮内に響き渡り、どうにか抜け出す事に成功したルノ達は額の汗を拭う。油断していたわけではないが、予想外の敵の出現に動揺を隠せなかった。
「ふうっ……どうにか逃げ切りましたね」
「びっくりしたよ……あんな魔物までいるのか」
「迂闊だった……私が前に訪れた時には遭遇していなかった魔物だった」
「デブリ、顔は大丈夫?」
「ううっ……顔面を鍛える訓練も行えば良かったですな」
デブリは逃走の途中でルノが切り落とした煉瓦の腕を顔面に受け、鼻血を噴き出す。幸いというべきか血の量はそれほど多くはなく、ルノはリーリスに回復魔法を頼もうとした時に彼女が地面に伏せて何かをしている事に気付く。
「リーリス?何をしてるの?」
「ちょっと待ってください……あ、ありました。これからはこれを使って進みましょう」
「何それ……あ、コンパス?」
リーリスが取り出したのはコンパスのような道具を取り出し、自分達の位置と方角を確かめながら先に進めるのかと思ったが、ルノの言葉に彼女は首を振る。
「いえ、これはコンパスと似てますがコンパスじゃありません。私が前に開発した「ハッケン君」です」
「ハッケン君……?」
「このハッケン君は擬態などの能力で隠密性に優れた能力を持つ魔物を見つけ出すために作った魔道具なんですよ。まだ試作段階ですが、こうやって魔物に近付くと針が回るんです。人間には反応しない安全設計です」
「へえ……リーリスさんは医者なのに魔道具も作れるんだ」
「……リーリスは普段から変な物ばかり作っている。実験と称して私達四天王もよく巻き込まれていた」
「む、失礼な!!変な物とはなんですか!?私の開発品だって役立つときは役立つんですよ!!」
「まあまあ……それで、そのハッケン君はどんな感じ?」
コトネの「変な物」という言葉にリーリスは憤慨するが、ルノがそれを抑えて「ハッケン君」と呼ばれる魔道具を覗きこむと、ほんの僅かではあるが針が揺れている事に気付く。
「あれ?針が微妙に動いてない?」
「あれ?本当ですね。おかしいな……このハッケン君の探知範囲は10メートルなんですけど、別に何も怪しい物は見当たりませんね」
「おいおい、本当にそんな物が当てになるのか?」
「失礼な!!きっと何処かに魔物が隠れてるんですよ!!」
「隠れていると言っても、周りには何も見えないけど……」
広間を見渡しても魔物らしき姿は見えず、試しにルノは観察眼を発動させて周囲を見渡しても怪しい点はない。距離的に先ほどの通路の魔物達が反応しているわけでもなく、その間にも徐々に針が回り始めた。
「ちょ、これ近づいてきてますよ!?何処かに隠れているはずです!!」
「俺も何か嫌な予感がしてきた……」
「……天井には何もいない」
「という事は……下か!?」
全員が足元に視線を向けると、ルノは先ほどの通路の床は煉瓦が敷き詰められていたのに対し、広間は砂地の地面が広がっている事に気付く。やがて地面に振動が走ると、地中から予想外の生物が姿を繰り出す。
『オオッ……!!』
「うおっ!?まだ来るのか!?」
「……走って!!」
人面を1つ潰す事は出来たが、壁の中から次々と腕が繰り出され、コトネがこの通路を抜け出すように指示を出す。全員がそれに従って走り出すが、壁から次々と腕が伸びて遮ろうとする。
「ああ、もう!!何ですかこれは!?どうしてホラー映画みたいな展開に……!!」
「脚を掴まれないように気を付けて!!」
「この腕、相当に硬いぞ!!簡単に壊す事は出来ないからな!!」
「……もうすぐ抜けられる」
通路を抜け出すために全員が駆け出す中、先頭を走っていたルノは周囲からせまりくる煉瓦の腕に対し、いい加減に鬱陶しく思えてきたので両手を左右に広げて氷塊の魔法を発動させた。
「ああ、もう!!うざったいな!!全部斬り落とすよ!!」
『オアアアアッ……!?』
左右に「回転氷刃」を発動させ、丸鋸型の氷の円盤を生み出すと高速回転させた氷の刃が次々と繰り出される煉瓦の腕を切り裂く。デブリの怪力やナオの指弾でさえも亀裂程度の損傷しか受けなかった煉瓦の腕もルノの魔法には敵わず、次々と通路内に切り裂かれた腕が落ちていく。
「ちょっ!?ルノさん、攻撃するのはいいんですけど腕をこっちに飛ばさないでください!?転んだらどうするんですか!?」
「あ、ごめん……」
「あいだぁっ!?」
「ああっ!?デブリ王子の顔面に腕が……」
「……あと少しで抜けられる」
邪魔な腕を切り裂きながらルノ達は通路を抜けた瞬間、大きな広間へと辿り着く。ルノ達が一本道の通路を抜け出した途端、壁の中から伸びていた腕も徐々に元に戻り、通路の奥の方から悔し気な鳴き声が響き渡る。
――オオオオオオッ……!!
恐らくはゴーレムと同系統の思われる魔物の鳴き声が大迷宮内に響き渡り、どうにか抜け出す事に成功したルノ達は額の汗を拭う。油断していたわけではないが、予想外の敵の出現に動揺を隠せなかった。
「ふうっ……どうにか逃げ切りましたね」
「びっくりしたよ……あんな魔物までいるのか」
「迂闊だった……私が前に訪れた時には遭遇していなかった魔物だった」
「デブリ、顔は大丈夫?」
「ううっ……顔面を鍛える訓練も行えば良かったですな」
デブリは逃走の途中でルノが切り落とした煉瓦の腕を顔面に受け、鼻血を噴き出す。幸いというべきか血の量はそれほど多くはなく、ルノはリーリスに回復魔法を頼もうとした時に彼女が地面に伏せて何かをしている事に気付く。
「リーリス?何をしてるの?」
「ちょっと待ってください……あ、ありました。これからはこれを使って進みましょう」
「何それ……あ、コンパス?」
リーリスが取り出したのはコンパスのような道具を取り出し、自分達の位置と方角を確かめながら先に進めるのかと思ったが、ルノの言葉に彼女は首を振る。
「いえ、これはコンパスと似てますがコンパスじゃありません。私が前に開発した「ハッケン君」です」
「ハッケン君……?」
「このハッケン君は擬態などの能力で隠密性に優れた能力を持つ魔物を見つけ出すために作った魔道具なんですよ。まだ試作段階ですが、こうやって魔物に近付くと針が回るんです。人間には反応しない安全設計です」
「へえ……リーリスさんは医者なのに魔道具も作れるんだ」
「……リーリスは普段から変な物ばかり作っている。実験と称して私達四天王もよく巻き込まれていた」
「む、失礼な!!変な物とはなんですか!?私の開発品だって役立つときは役立つんですよ!!」
「まあまあ……それで、そのハッケン君はどんな感じ?」
コトネの「変な物」という言葉にリーリスは憤慨するが、ルノがそれを抑えて「ハッケン君」と呼ばれる魔道具を覗きこむと、ほんの僅かではあるが針が揺れている事に気付く。
「あれ?針が微妙に動いてない?」
「あれ?本当ですね。おかしいな……このハッケン君の探知範囲は10メートルなんですけど、別に何も怪しい物は見当たりませんね」
「おいおい、本当にそんな物が当てになるのか?」
「失礼な!!きっと何処かに魔物が隠れてるんですよ!!」
「隠れていると言っても、周りには何も見えないけど……」
広間を見渡しても魔物らしき姿は見えず、試しにルノは観察眼を発動させて周囲を見渡しても怪しい点はない。距離的に先ほどの通路の魔物達が反応しているわけでもなく、その間にも徐々に針が回り始めた。
「ちょ、これ近づいてきてますよ!?何処かに隠れているはずです!!」
「俺も何か嫌な予感がしてきた……」
「……天井には何もいない」
「という事は……下か!?」
全員が足元に視線を向けると、ルノは先ほどの通路の床は煉瓦が敷き詰められていたのに対し、広間は砂地の地面が広がっている事に気付く。やがて地面に振動が走ると、地中から予想外の生物が姿を繰り出す。
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