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外伝〈転移石を求めて〉
遺跡へ
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「よし、この状態で氷で固まらせて……出来た!!」
「おお、砂を取り込んだ氷の車ですか。これで日の光を遮るんですね」
「……ひんやりしていて気持ちいい」
「こういう時はルノ君が羨ましいな……」
「ひゃっほうっ!!(←初めて見る砂漠に興奮)」
ルノは砂を塗り固め、更に氷塊の魔法で凍結化させると砂を取り込んだ氷自動車を生み出し、外からの日差しを阻む。全員が冷たい車内に避難して熱気から逃れると、コトネに道案内を頼む。
「さてと、これで熱さも凌げるし……コトネ、その遺跡の場所は何処にあるの?」
「……知らない」
「え、知らないってどういう事ですか?この階層で見つけたんでしょう?位置とか分からないんですか?」
「無理、この階層は頻繁に竜巻が発生して地形が大きく変化する。そもそも最初に転移した時は私は壁際の方に言おうしていた。だから、正確な位置が分からない」
「なるほど……それなら仕方ないですね。ナオさんの出番です」
「俺の千里眼で探せばいいんだね?」
ナオは瞼を閉じて千里眼の能力を発動させると、周囲の状況を把握し、コトネの告げた遺跡らしき建築物を探す。広大な砂漠をナオは様々な視点から観察し、建物を探してみるが中々上手く見つからない。
「あ、建物を見つけた!!」
「え?本当に?」
「でも、何だか聞いていたより随分と小さいような……あ、多分これがコトネさんが言っていた転移水晶だと思う。建物の中に台座のような物があるから」
「なら外れですね。他に建物は見当たりませんか?」
「う~ん……おかしいな、何処にも見当たらない。もしかして砂に埋もれているとか?」
「可能性はある。ここでは頻繁に竜巻が発生するから砂で建物が覆い隠された可能性は否定出来ない」
「え?砂の中も千里眼の能力は通じるんですか?」
「いや、無理だと思う。覗けない事はないけど、土の中だと真っ暗で何も見えないから……」
千里眼の能力を駆使してもコトネが発見したという建物の居場所は特定できず、運が悪い事に竜巻で巻き上げられた大量の砂が遺跡を覆い隠した可能性が高い。千里眼の能力で捉える事が出来ればナオの空間魔法で転移する事も出来たが、残念ながら位置を捉えきれなければどうしようもなかった。
「困りましたね、このままだと見つけ出すのに苦労しそうですね」
「師匠の魔法で全ての砂を吹き飛ばせばいいのでは!?」
「いや、流石に無理だよ……それにそんな事をしたらもしも他の冒険者の人がここへ訪れた時に巻き込んじゃうよ」
「でも、見た限りでは人影は見当たらなかったよ。あ、でも砂山の上に白骨死体が散らばってたような……」
「白骨死体?魔物に殺された冒険者の遺体ですかね」
「いや、死体にしては妙に変な恰好で倒れたような気がする……まるで砂漠の上で昼寝した状態で白骨化したような姿勢だったから印象に残ったけど」
「どんな死体ですかそれは」
砂漠にはルノ達以外に人影は見当たらず、せいぜい不自然な姿勢で砂山に転がっていた白骨死体があるだけで他にめぼしい物は見つからなかったという。車内にいれば熱気は遮断できるが、このまま当てもなく砂漠の中を移動して見つけ出すのは至難の業だった。
「う~ん……参りましたね、ナオさんの千里眼を頼りにここまで来ましたけど、これだと遺跡を見つけ出すのは難しそうです」
「どうするの?」
「コトネさん、他の場所で転移石らしき物は見つからなかったんですか?」
「……心当たりがないわけでもない」
「え、本当に?」
コトネの言葉に全員が彼女に視線を向けると、コトネは天井に指先を向け、上の階層を示す。
「第四階層を移動中、他の冒険者と遭遇した時に珍しい魔石を見つけたという話を聞いた。その魔石を何処で発見したのかまでは聞いていないけど、第四階層で見つけたのは間違いない」
「何で言い切れるんですか?」
「その人達は私が大迷宮に入るのと同時期に第四階層に入ってずっと過ごしていた。だから第四階層内にその魔石があるのは間違いない」
「なるほど……では、ナオさんが発見したという転移水晶まで移動して第四階層を目指しましょう」
「何!?ここで探すんじゃなかったのか?」
「こんな目印もない砂漠をいちいち調べていたら日が暮れますよ。それに次に訪れるまでに竜巻がもう一度発生して砂漠の地形が変化するかもしれませんし、それまで他の階層を探索するのも悪くないです」
「なるほど……なら、ナオ君」
「分かってる。俺の空間移動で皆を転移水晶の場所まで案内すればいいんだね?」
ルノの言葉にナオは即座に千里眼と空間魔法を発動させ、自分が発見した「転移水晶」の台座が存在する建物まで移動した――
――同時刻、ナオが発見した砂山に寝転がっていた白骨死体の方でも異変が存在し、頭蓋骨の目元の部分が光り輝くと、まるで生きている人間のように白骨死体が動き出す。
カタカタカタッ……
顎を鳴らしながら白骨死体は「よく寝た」とばかりに腕を伸ばすと、そのまま何事もなく歩み始め、その場を離れた。
※し、死体が動いただと!?そんな非科学的な……(;´・ω・)←白々しい
「おお、砂を取り込んだ氷の車ですか。これで日の光を遮るんですね」
「……ひんやりしていて気持ちいい」
「こういう時はルノ君が羨ましいな……」
「ひゃっほうっ!!(←初めて見る砂漠に興奮)」
ルノは砂を塗り固め、更に氷塊の魔法で凍結化させると砂を取り込んだ氷自動車を生み出し、外からの日差しを阻む。全員が冷たい車内に避難して熱気から逃れると、コトネに道案内を頼む。
「さてと、これで熱さも凌げるし……コトネ、その遺跡の場所は何処にあるの?」
「……知らない」
「え、知らないってどういう事ですか?この階層で見つけたんでしょう?位置とか分からないんですか?」
「無理、この階層は頻繁に竜巻が発生して地形が大きく変化する。そもそも最初に転移した時は私は壁際の方に言おうしていた。だから、正確な位置が分からない」
「なるほど……それなら仕方ないですね。ナオさんの出番です」
「俺の千里眼で探せばいいんだね?」
ナオは瞼を閉じて千里眼の能力を発動させると、周囲の状況を把握し、コトネの告げた遺跡らしき建築物を探す。広大な砂漠をナオは様々な視点から観察し、建物を探してみるが中々上手く見つからない。
「あ、建物を見つけた!!」
「え?本当に?」
「でも、何だか聞いていたより随分と小さいような……あ、多分これがコトネさんが言っていた転移水晶だと思う。建物の中に台座のような物があるから」
「なら外れですね。他に建物は見当たりませんか?」
「う~ん……おかしいな、何処にも見当たらない。もしかして砂に埋もれているとか?」
「可能性はある。ここでは頻繁に竜巻が発生するから砂で建物が覆い隠された可能性は否定出来ない」
「え?砂の中も千里眼の能力は通じるんですか?」
「いや、無理だと思う。覗けない事はないけど、土の中だと真っ暗で何も見えないから……」
千里眼の能力を駆使してもコトネが発見したという建物の居場所は特定できず、運が悪い事に竜巻で巻き上げられた大量の砂が遺跡を覆い隠した可能性が高い。千里眼の能力で捉える事が出来ればナオの空間魔法で転移する事も出来たが、残念ながら位置を捉えきれなければどうしようもなかった。
「困りましたね、このままだと見つけ出すのに苦労しそうですね」
「師匠の魔法で全ての砂を吹き飛ばせばいいのでは!?」
「いや、流石に無理だよ……それにそんな事をしたらもしも他の冒険者の人がここへ訪れた時に巻き込んじゃうよ」
「でも、見た限りでは人影は見当たらなかったよ。あ、でも砂山の上に白骨死体が散らばってたような……」
「白骨死体?魔物に殺された冒険者の遺体ですかね」
「いや、死体にしては妙に変な恰好で倒れたような気がする……まるで砂漠の上で昼寝した状態で白骨化したような姿勢だったから印象に残ったけど」
「どんな死体ですかそれは」
砂漠にはルノ達以外に人影は見当たらず、せいぜい不自然な姿勢で砂山に転がっていた白骨死体があるだけで他にめぼしい物は見つからなかったという。車内にいれば熱気は遮断できるが、このまま当てもなく砂漠の中を移動して見つけ出すのは至難の業だった。
「う~ん……参りましたね、ナオさんの千里眼を頼りにここまで来ましたけど、これだと遺跡を見つけ出すのは難しそうです」
「どうするの?」
「コトネさん、他の場所で転移石らしき物は見つからなかったんですか?」
「……心当たりがないわけでもない」
「え、本当に?」
コトネの言葉に全員が彼女に視線を向けると、コトネは天井に指先を向け、上の階層を示す。
「第四階層を移動中、他の冒険者と遭遇した時に珍しい魔石を見つけたという話を聞いた。その魔石を何処で発見したのかまでは聞いていないけど、第四階層で見つけたのは間違いない」
「何で言い切れるんですか?」
「その人達は私が大迷宮に入るのと同時期に第四階層に入ってずっと過ごしていた。だから第四階層内にその魔石があるのは間違いない」
「なるほど……では、ナオさんが発見したという転移水晶まで移動して第四階層を目指しましょう」
「何!?ここで探すんじゃなかったのか?」
「こんな目印もない砂漠をいちいち調べていたら日が暮れますよ。それに次に訪れるまでに竜巻がもう一度発生して砂漠の地形が変化するかもしれませんし、それまで他の階層を探索するのも悪くないです」
「なるほど……なら、ナオ君」
「分かってる。俺の空間移動で皆を転移水晶の場所まで案内すればいいんだね?」
ルノの言葉にナオは即座に千里眼と空間魔法を発動させ、自分が発見した「転移水晶」の台座が存在する建物まで移動した――
――同時刻、ナオが発見した砂山に寝転がっていた白骨死体の方でも異変が存在し、頭蓋骨の目元の部分が光り輝くと、まるで生きている人間のように白骨死体が動き出す。
カタカタカタッ……
顎を鳴らしながら白骨死体は「よく寝た」とばかりに腕を伸ばすと、そのまま何事もなく歩み始め、その場を離れた。
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