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外伝〈転移石を求めて〉
第三階層へ
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「……塔の大迷宮に入るためにはこの水晶に触れればいい」
「なるほど、これか」
「あ、ちょっ!?デブリ王子、迂闊に触れるのは……」
「大丈夫、触っただけなら問題ない」
不用意に水晶に触れたデブリにナオは焦るが、デブリの手が触れても水晶の中心部が僅かに光り輝き、この状態で行先を告げると塔の大迷宮の内部に転移されるという。
「……水晶に触れた状態で塔の中の階層を告げれば移動する事が出来る」
「ほほう、という事はこの水晶はヨツバ王国が所持している転移結晶の小型版のような物なんですね」
「へえ……もしかしてこれが転移石だったりしないかな?」
「いえ、確かに特殊な魔道具ではあるようですけど残念ながら転移石ではないですね」
「じゃあ、この水晶に触れた状態で移動したい階層へ向かえばいいんですか?」
「そういう事……ちなみに転移する時は全員が身体を触れ合った状態でなければ駄目、最初に転移される場所はランダムに選ばれるから別々の水晶で転移したらはぐれる可能性が高い」
「なるほど……では師匠!!僕の上腕二頭筋を掴んでください!!」
「いや、普通に手を掴むのじゃダメなの?」
コトネの説明を受けたルノ達は手を繋いだ後、彼女が転移石らしき魔石を発見したという第三階層へ向けて転移を試みようとしたが、ここでリーリスはある提案を行う。
「あ、ちょっと待ってください。脱出の時はどうやって抜け出すんですか?」
「……大迷宮内部には転移水晶と呼ばれている大きな水晶製の台座が存在する。台座に浮揚する大きな水晶に触れた状態で塔の外へ抜け出したいと考えれば外へ出る事も出来るし、別の階層へ転移する事も出来る。但し、第五階層だけは転移出来ない」
「え?転移出来ないのにどうして第五階層が存在すると分かるの?」
「伝承では第五階層へ転移出来るのは第四階層の迷宮の隠し通路を見つけて、その先にあると言われている特殊な転移水晶を使用しないといけないらしい。だけど、実際にその隠し通路を発見した人はここ数十年は存在しないみたい」
「第四階層は迷宮ですか……ちなみに他の階層はどういう風になっているんですか?」
「第一階層は草原、第二階層は荒野、第三階層は砂漠……そして第四階層は迷宮、最後の第五階層に関しては分からない。伝承では美しい風景が広がる場所としてか伝わっていない」
「漠然としてますね……まあ、今回は第三階層だけが目的ですし、別に第五階層に向かう必要はありませんけど」
説明を聞き終えたルノ達は今度こそ第三階層を目指すため、水晶に触れたコトネが第三階への転移を試みる。
「……第三階層へ転移」
「うわっ――!?」
言葉を告げた言い終えた途端、手を繋いでいたルノ達の身体に一瞬だけ浮揚感が襲い掛かり、視界が光に飲み込まれたかと思うと、次の瞬間にはルノ達の視界には広大な砂漠が広がっていた。どうやら無事に転移に成功したらしいが、異様な熱気と砂埃がルノ達に襲いかかる。
「うおっ!?こ、ここは何処だ!?」
「暑っ!?ちょ、予想以上に暑いんですけど……!!」
「ここが大迷宮の内部……!?」
ルノ達は視界に広がった砂漠の風景に驚愕し、空を確認すると雲一つない青空と光り輝く太陽の姿も確認出来た。どう見ても建造物の内部とは思えない風景にルノ達は圧倒されるが、コトネが説明を行う。
「第三階層は砂漠地帯……本物の砂漠と同じ環境が広がっている。大迷宮でも最も過酷な場所」
「ねえ、ここ本当に大迷宮の内部なの?空も太陽もあるんだけど……」
「いえ、よく見てください。あの太陽、よく見ると作り物だと分かりますよ」
リーリスの言葉にルノは眩しさを堪えながら観察眼と遠視の能力で上空を確認すると、よくよく見なければ分からなかったが青色に染まった天井と巨大な照明が埋め込まれている事が判明し、目が慣れればこの場所が建造物の内部である事が判明した。
コトネによるとこの第三階層は一見は広大な砂漠にしか見えないが、実際の所は歩き続ければ鏡のように磨き上げられた壁に突き当たるらしく、この場所が建造物内である事を証明している。最初にここへ訪れた冒険者は外の世界へ赴いたのかと錯覚してしまうが、実際は大迷宮の内部なのでここから外へ抜け出す事は出来ない。
「ここは他の階層と比べても魔物の数は少ない。だけど、危険性の高い魔物も生息している事は間違いないからあまり長居しない方が良い」
「そうですね、この異様な熱気……何の対策もせずに入り込むと1時間も経過しない内に干からびますよ」
「ルノ君、悪いんだけど氷の魔法でどうにかしてくれない?このままだと俺達、暑さで倒れそうなんだけど……」
「分かった。何とかしてみせる」
ルノは全員が熱気にやられる前に地面に掌を押し当て土塊の魔法を発動させる。土砂を操作する土塊の魔法ならば砂漠の砂も関係なく操る事も出来るため、まずは大きな砂山を生み出した後、魔力を注ぎ込んで砂を塗り固め、粘土のように変化させる。
「なるほど、これか」
「あ、ちょっ!?デブリ王子、迂闊に触れるのは……」
「大丈夫、触っただけなら問題ない」
不用意に水晶に触れたデブリにナオは焦るが、デブリの手が触れても水晶の中心部が僅かに光り輝き、この状態で行先を告げると塔の大迷宮の内部に転移されるという。
「……水晶に触れた状態で塔の中の階層を告げれば移動する事が出来る」
「ほほう、という事はこの水晶はヨツバ王国が所持している転移結晶の小型版のような物なんですね」
「へえ……もしかしてこれが転移石だったりしないかな?」
「いえ、確かに特殊な魔道具ではあるようですけど残念ながら転移石ではないですね」
「じゃあ、この水晶に触れた状態で移動したい階層へ向かえばいいんですか?」
「そういう事……ちなみに転移する時は全員が身体を触れ合った状態でなければ駄目、最初に転移される場所はランダムに選ばれるから別々の水晶で転移したらはぐれる可能性が高い」
「なるほど……では師匠!!僕の上腕二頭筋を掴んでください!!」
「いや、普通に手を掴むのじゃダメなの?」
コトネの説明を受けたルノ達は手を繋いだ後、彼女が転移石らしき魔石を発見したという第三階層へ向けて転移を試みようとしたが、ここでリーリスはある提案を行う。
「あ、ちょっと待ってください。脱出の時はどうやって抜け出すんですか?」
「……大迷宮内部には転移水晶と呼ばれている大きな水晶製の台座が存在する。台座に浮揚する大きな水晶に触れた状態で塔の外へ抜け出したいと考えれば外へ出る事も出来るし、別の階層へ転移する事も出来る。但し、第五階層だけは転移出来ない」
「え?転移出来ないのにどうして第五階層が存在すると分かるの?」
「伝承では第五階層へ転移出来るのは第四階層の迷宮の隠し通路を見つけて、その先にあると言われている特殊な転移水晶を使用しないといけないらしい。だけど、実際にその隠し通路を発見した人はここ数十年は存在しないみたい」
「第四階層は迷宮ですか……ちなみに他の階層はどういう風になっているんですか?」
「第一階層は草原、第二階層は荒野、第三階層は砂漠……そして第四階層は迷宮、最後の第五階層に関しては分からない。伝承では美しい風景が広がる場所としてか伝わっていない」
「漠然としてますね……まあ、今回は第三階層だけが目的ですし、別に第五階層に向かう必要はありませんけど」
説明を聞き終えたルノ達は今度こそ第三階層を目指すため、水晶に触れたコトネが第三階への転移を試みる。
「……第三階層へ転移」
「うわっ――!?」
言葉を告げた言い終えた途端、手を繋いでいたルノ達の身体に一瞬だけ浮揚感が襲い掛かり、視界が光に飲み込まれたかと思うと、次の瞬間にはルノ達の視界には広大な砂漠が広がっていた。どうやら無事に転移に成功したらしいが、異様な熱気と砂埃がルノ達に襲いかかる。
「うおっ!?こ、ここは何処だ!?」
「暑っ!?ちょ、予想以上に暑いんですけど……!!」
「ここが大迷宮の内部……!?」
ルノ達は視界に広がった砂漠の風景に驚愕し、空を確認すると雲一つない青空と光り輝く太陽の姿も確認出来た。どう見ても建造物の内部とは思えない風景にルノ達は圧倒されるが、コトネが説明を行う。
「第三階層は砂漠地帯……本物の砂漠と同じ環境が広がっている。大迷宮でも最も過酷な場所」
「ねえ、ここ本当に大迷宮の内部なの?空も太陽もあるんだけど……」
「いえ、よく見てください。あの太陽、よく見ると作り物だと分かりますよ」
リーリスの言葉にルノは眩しさを堪えながら観察眼と遠視の能力で上空を確認すると、よくよく見なければ分からなかったが青色に染まった天井と巨大な照明が埋め込まれている事が判明し、目が慣れればこの場所が建造物の内部である事が判明した。
コトネによるとこの第三階層は一見は広大な砂漠にしか見えないが、実際の所は歩き続ければ鏡のように磨き上げられた壁に突き当たるらしく、この場所が建造物内である事を証明している。最初にここへ訪れた冒険者は外の世界へ赴いたのかと錯覚してしまうが、実際は大迷宮の内部なのでここから外へ抜け出す事は出来ない。
「ここは他の階層と比べても魔物の数は少ない。だけど、危険性の高い魔物も生息している事は間違いないからあまり長居しない方が良い」
「そうですね、この異様な熱気……何の対策もせずに入り込むと1時間も経過しない内に干からびますよ」
「ルノ君、悪いんだけど氷の魔法でどうにかしてくれない?このままだと俺達、暑さで倒れそうなんだけど……」
「分かった。何とかしてみせる」
ルノは全員が熱気にやられる前に地面に掌を押し当て土塊の魔法を発動させる。土砂を操作する土塊の魔法ならば砂漠の砂も関係なく操る事も出来るため、まずは大きな砂山を生み出した後、魔力を注ぎ込んで砂を塗り固め、粘土のように変化させる。
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