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外伝〈転移石を求めて〉
いざ、塔の大迷宮へ!!
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――転移石を見つけ出すため、塔の大迷宮を目指すという方針が決まると、早速ルノ達は大迷宮に挑む準備を整える。まずは危険な場所に挑むのでルノは参加する事は当然であるが、次に回復役としてリーリス、案内役のコトネ、そしてヨツバ王国側からはナオとデブリも参加する事になった。
「うおおおおっ!!師匠のお役に立てるのならばこのデブリ、全身全霊を尽くしますぞ!!」
「あ、うん……頼りにしてるよ」
「なんか変な語尾が定着してません?」
デブリに関しては何処から話を聞いてきたのか参加すると言い張り、他の者の説得も聞きつけずに勝手に準備して出発日に王城へ乗り込む。実際の所、魔術師が2人と暗殺者が2人だけでは集団としてはバランスが悪いため、頼りになる前衛が増えたと考えれば悪くはない。
今回は大迷宮への対策のためか、流石に半裸のような恰好で挑ませるわけにはいかず、急遽デブリのために装備が用意される。驚くべき事に彼は帝国の神器である「鬼武者」を扱え、楽し気に剣を振り回す。
「おおっ!!これは中々に格好いい鎧だな!!だけど、見た目よりも軽くて少々違和感があるが……」
「いや、何でそんなに軽快に動けるんですか?デキン大臣よりも扱いこなしてますね……」
「あれは我が国の神器なのじゃが……」
「ま、まあ、いいんじゃないですか?どうせ他に扱える人もいませんし……」
鬼武者は人間が乗り込む事を想定して設計された神器ではあるが、あまりの重量に戦闘職の人間ですら扱う事が難しく、これまでにデキン(彼は魔人族だが)以外に扱える者はいなかった。ダンテでさえも装備すればまともに動く事も出来ない程の重量だが、身体を鍛え上げたデブリは鎧を装着した状態でバク転を繰り返す程に警戒な動作を行う。
「ふはははっ!!この鎧があれば師匠の役に立てる!!」
「ちょ、本当に何なのよあいつ……私と会った頃のデブリ王子は何処に消えたのよ」
「あれ?リディアも来てたの?というか、今まで何処に居たの?」
「この人、今は王城で働いてますよ。ちょうどいい具合に帝国の方でもヨツバ王国を見習って魔獣を飼育して騎獣を作り出そうとしているんです。だから魔物使いのリディアさんならうってつけですから」
「給料は良いけど、人使いが荒いわよここ……」
見送りの際はリディアも赴き、彼女は魔王軍の情報提供者という事で特別に罪を許されたが、家族は存在せず頼りになる人もいなかったので現在はバルトロス帝国の王城で働いていた。今は城内で魔物の飼育員として働き、何事もなく過ごしているという。
「ルノ君、俺達は準備出来たよ。ちゃんと言われた通りに弁当、水筒、鉄貨3枚以内のおやつも準備したよ」
「折りたたみ傘とかも用意した方がいいよ」
「いや、そんな遠足感覚で乗り込むような場所じゃないんですから……ちゃんと緊張感を持って下さいよもう」
「……そういいながら実はリーリスもおやつを沢山用意している癖に」
「ぎくっ!?」
全員の準備が整えると、ルノは事前に用意して貰った魔法耐性が高い世界樹製の椅子に防寒性が高い布を巻きつけて用意した「座席」を取り出すと、氷塊の魔法を使用して氷自動車を生み出す。
「氷塊!!」
「おおっ、ちゃんと私達が座る場所は冷えないように座席を用意してたんですね。これならお尻も冷えなくて済みそうです」
「ちなみにハンドルも用意したよ。まあ、必要はないんだけど気分を味わうためにいるかなと思って……」
座席を取り込んだ氷自動車の中にルノ達は乗り込み、最後に見送りに来てくれた者達を別れの挨拶を行う。
「ナオ様……どうかご無事で」
「ありがとうリン、もしも転移石を見つけたら一緒に俺の世界に来てくれる?」
「は、はい!!何処までも貴方に付いて行きます!!」
「バカップルですね……こっちも負けずにイチャつきますかルノさん」
「……なら私も」
「ちょ、二人とも運転するだから身体をすり寄せないでよ……」
「ふんっ!!ふんっ!!(←車内で筋トレ中)」
ナオは恋人であるリンと別れる前に挨拶を行う間、ルノの代わりに魔獣達の面倒を見る事になったリディアが頭にスラミンを乗せながら車に近付く。
「塔の大迷宮ね……私は言った事はないけど、相当に危険な場所だから気を付けなさいよ。まあ、竜種をあんなに簡単に殺せるあんたなら平気でしょうけど」
「ぷるぷるっ」
「ちょ、素直じゃないってどういう意味よ!?小生意気なスライムね……お湯に溶かすわよ!!」
「ぷるるっ……」
「リディアはスラミンの言葉も分かるのか……でも、仲良くしなよ」
「ルノ殿、どうかご無事で……」
「うむ、無茶をするでないぞ」
「土産を期待してるぜ」
「唐突に話に割り込んできましたねこの3人……」
他の四天王達も別れの挨拶を終えると、最後にジャンヌと先帝もルノ達の所に赴き、心配そうな表情を浮かべる。
「ルノ殿、どうか皆を頼んだぞ」
「お気をつけて……ご無事を祈ってます」
「はい、必ず皆を守ります!!」
最後の別れの挨拶を終えるとルノは氷自動車を浮上させ、塔の大迷宮が存在する方向を確認し、出発した――
「うおおおおっ!!師匠のお役に立てるのならばこのデブリ、全身全霊を尽くしますぞ!!」
「あ、うん……頼りにしてるよ」
「なんか変な語尾が定着してません?」
デブリに関しては何処から話を聞いてきたのか参加すると言い張り、他の者の説得も聞きつけずに勝手に準備して出発日に王城へ乗り込む。実際の所、魔術師が2人と暗殺者が2人だけでは集団としてはバランスが悪いため、頼りになる前衛が増えたと考えれば悪くはない。
今回は大迷宮への対策のためか、流石に半裸のような恰好で挑ませるわけにはいかず、急遽デブリのために装備が用意される。驚くべき事に彼は帝国の神器である「鬼武者」を扱え、楽し気に剣を振り回す。
「おおっ!!これは中々に格好いい鎧だな!!だけど、見た目よりも軽くて少々違和感があるが……」
「いや、何でそんなに軽快に動けるんですか?デキン大臣よりも扱いこなしてますね……」
「あれは我が国の神器なのじゃが……」
「ま、まあ、いいんじゃないですか?どうせ他に扱える人もいませんし……」
鬼武者は人間が乗り込む事を想定して設計された神器ではあるが、あまりの重量に戦闘職の人間ですら扱う事が難しく、これまでにデキン(彼は魔人族だが)以外に扱える者はいなかった。ダンテでさえも装備すればまともに動く事も出来ない程の重量だが、身体を鍛え上げたデブリは鎧を装着した状態でバク転を繰り返す程に警戒な動作を行う。
「ふはははっ!!この鎧があれば師匠の役に立てる!!」
「ちょ、本当に何なのよあいつ……私と会った頃のデブリ王子は何処に消えたのよ」
「あれ?リディアも来てたの?というか、今まで何処に居たの?」
「この人、今は王城で働いてますよ。ちょうどいい具合に帝国の方でもヨツバ王国を見習って魔獣を飼育して騎獣を作り出そうとしているんです。だから魔物使いのリディアさんならうってつけですから」
「給料は良いけど、人使いが荒いわよここ……」
見送りの際はリディアも赴き、彼女は魔王軍の情報提供者という事で特別に罪を許されたが、家族は存在せず頼りになる人もいなかったので現在はバルトロス帝国の王城で働いていた。今は城内で魔物の飼育員として働き、何事もなく過ごしているという。
「ルノ君、俺達は準備出来たよ。ちゃんと言われた通りに弁当、水筒、鉄貨3枚以内のおやつも準備したよ」
「折りたたみ傘とかも用意した方がいいよ」
「いや、そんな遠足感覚で乗り込むような場所じゃないんですから……ちゃんと緊張感を持って下さいよもう」
「……そういいながら実はリーリスもおやつを沢山用意している癖に」
「ぎくっ!?」
全員の準備が整えると、ルノは事前に用意して貰った魔法耐性が高い世界樹製の椅子に防寒性が高い布を巻きつけて用意した「座席」を取り出すと、氷塊の魔法を使用して氷自動車を生み出す。
「氷塊!!」
「おおっ、ちゃんと私達が座る場所は冷えないように座席を用意してたんですね。これならお尻も冷えなくて済みそうです」
「ちなみにハンドルも用意したよ。まあ、必要はないんだけど気分を味わうためにいるかなと思って……」
座席を取り込んだ氷自動車の中にルノ達は乗り込み、最後に見送りに来てくれた者達を別れの挨拶を行う。
「ナオ様……どうかご無事で」
「ありがとうリン、もしも転移石を見つけたら一緒に俺の世界に来てくれる?」
「は、はい!!何処までも貴方に付いて行きます!!」
「バカップルですね……こっちも負けずにイチャつきますかルノさん」
「……なら私も」
「ちょ、二人とも運転するだから身体をすり寄せないでよ……」
「ふんっ!!ふんっ!!(←車内で筋トレ中)」
ナオは恋人であるリンと別れる前に挨拶を行う間、ルノの代わりに魔獣達の面倒を見る事になったリディアが頭にスラミンを乗せながら車に近付く。
「塔の大迷宮ね……私は言った事はないけど、相当に危険な場所だから気を付けなさいよ。まあ、竜種をあんなに簡単に殺せるあんたなら平気でしょうけど」
「ぷるぷるっ」
「ちょ、素直じゃないってどういう意味よ!?小生意気なスライムね……お湯に溶かすわよ!!」
「ぷるるっ……」
「リディアはスラミンの言葉も分かるのか……でも、仲良くしなよ」
「ルノ殿、どうかご無事で……」
「うむ、無茶をするでないぞ」
「土産を期待してるぜ」
「唐突に話に割り込んできましたねこの3人……」
他の四天王達も別れの挨拶を終えると、最後にジャンヌと先帝もルノ達の所に赴き、心配そうな表情を浮かべる。
「ルノ殿、どうか皆を頼んだぞ」
「お気をつけて……ご無事を祈ってます」
「はい、必ず皆を守ります!!」
最後の別れの挨拶を終えるとルノは氷自動車を浮上させ、塔の大迷宮が存在する方向を確認し、出発した――
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