最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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外伝〈転移石を求めて〉

転移石の居所

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「参ったな……それじゃあ、転移石が見つかるまではどうしようも出来ないのかな?あ、そうだ!!他の国の人達が所有していないのか尋ねてみるとかどうかな?」
「いえ、これまでに勇者召喚が行われたのはバルトロス帝国とヨツバ王国(エルフ王国)だけです。他の国で勇者と呼ばれる存在が召喚されたという事例はないので、転移石を所有している可能性は薄いと思います」
「え?という事は……その転移石が何処かで見つかるまで俺達は帰れないの!?」
「そういう事になりますね……でも、どうも転移石は普通の魔石ではないのでそう簡単に見つかるとは思えませんね。もしかしたら勇者が作り出した人工物だった場合は自然から得られる魔石ではないのかも知れません」
「それは困るよ!!」


転移石が存在しなければやはり元の世界に戻る手段がない事が判明した以上、転移石を見つけ出さなければならない。しかし、転移石を保有していた二カ国が当てにならない以上は他の場所で入手するしかないが、もしも転移石が自然物でなければ手に入る事は難しいだろう。


「ねえ、本当にどうしようもないの?何か方法があったりしないの?」
「ありませんね……あ、待ってください!!もしかしたら日の国なら転移石を保有していたりしないんですか!?あそこは元々は召喚された日本人が作り出した国ですよね!?」
「あ、そうか!!」
「…………」


日の国に住んでいたコトネにルノ達は振り返ると、彼女は黙り込み、考え込むように腕を組む。その態度に全員が緊張する中、コトネは意を決したように答える。


「……その転移石というのを見た事ないから、日の国にあるかどうかは分からない」
「ああ、そうですよね……ちょっと待ってください、今から描きますから」


コトネの言葉にリーリスは羊皮紙を取り出すと、記憶の限りの自分が知る転移石の特徴を描き、コトネに渡す。だが、コトネはそれを見ても首を傾げ、残念ながら首を振った。


「……こういう魔石は日の国でも見かけた事はない。そもそも日の国はあまり魔石は流通していない」
「ああ、そういえばあの国では魔法技術は発達してませんでしたね」
「じゃあ、お手上げ?」
「待って、確かに日の国にはこの魔石は見かけた事はないけど……別の場所でなら似たような物を見た事がある」
「え!?本当に!?」
「それは真か!?」


思わぬ言葉にルノ達は驚き、コトネは何処で自分が転移石らしき魔石を見かけたのかを説明する。


「……この魔石と似た物なら前に大迷宮で見たことがある。綺麗な石だからお土産に持って帰ろうとしたけど、やたらと重かったから諦めた」
「収納石は持ってこなかったんですか?」
「その時は所持していなかった。それにあの時は私が日影の頭領に相応しいかの試験の最中だったから、収納石の所持は許されなかった」
「試験?」
「日影の忍びになる人間は必ず大迷宮と呼ばれる場所で試験を受けなければならない。私が試験を受けた場所はバルトロス帝国の領地内に存在する「塔の大迷宮」と呼ばれる場所だった」
「塔の大迷宮……その前に聞きたいんだけど、大迷宮って何……?」
「過去に召喚された勇者が残したと言われている遺跡ですよ」


コトネの説明にナオは大迷宮という言葉に首を傾げると、リーリスが代わりに説明を行う。この世界には勇者が存在した時代に建てられた複数の遺跡が存在し、その場所には多数の魔物が生息し、様々な財宝が眠ると言われている。


「大迷宮内では独自の生態系が形成されていて、外部に生息する魔物よりも危険で厄介な特殊能力を持つ個体が多数生息しています。また、大迷宮内には貴重な鉱石などが発掘されるので資源としての価値も高く、それに財宝などが隠されている場合が大きいんです。ですが、反面に魔物は狂暴性が高く、危険な罠も含まれています」
「へえ……そんな場所があるんだ」
「基本的には大迷宮は各国に1つの割合でしか存在しません。帝国の場合だと「塔の大迷宮」と呼ばれる場所がありますが、この塔の大迷宮は文字通りに巨大な塔の中に築かれた迷宮を突破し、最上階を目指す仕組みです。ちなみに大迷宮内では魔物を連れて行く事は出来ません。何故か魔物達は塔の大迷宮に近付く事を嫌がるらしいんです」
「え?じゃあ、ルウ達は連れていけないの?」
「そうなりますね。まあ、ルノさんが一人いれば十分だと思いますけど……ちなみにコトネさんは何処の階層で転移石を発見したんですか?」
「……確か、砂漠みたいな場所に存在した大きな建物の中で見つけた気がする」
「砂漠という事は……第三階層ですね」
「じゃあ、行ってみようよ。塔の大迷宮に」


塔の大迷宮で転移石らしき物を発見したというコトネの言葉にルノ達の方針は決まり、彼女が見かけたという魔石を発見するため、大迷宮に挑む事を決めた。





※塔の大迷宮内のとある住民

ホネミン「ん?何やらマイホームにとんでもない人達が訪れそうな予感が……( ゚ω ゚)?」
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