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外伝〈転移石を求めて〉
転移結晶
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コトネの案内の元、第一会議室に辿り着いたルノ達は中に人の気配がある事を確認すると、リーリスは部屋の中の返事も待たずに扉を開く。
「お邪魔しま~す」
「ちょ、リーリス……勝手に入っちゃ駄目だよ」
「……失礼します」
3人が入り込むと中には皇帝と国王だけではなく、ギリョウとナオとリンの姿も存在した。5人は勝手に入って来たルノ達に驚いたが、慌てて皇帝が叱りつける。
「これ、リーリス!!今は重要な会議中だぞ!?勝手に入るのではない!!」
「さ~せん。あ、丁度良かった。ナオさん達もここに来てたんですね、実は色々と聞きたいことがありまして……」
「おい!?」
「リーリスよ、いくら何でも陛下に対してその態度は失礼じゃろう?」
皇帝の言葉を軽く流してナオ達に話しかけようとするリーリスにギリョウも注意すると、国王は苦笑しながらもリーリスの話を伺う。
「まあまあ……会議といっても話し合いはもう終わったところだ。儂は気にせんぞ、それで儂等に何か用か?」
「ええ、実はヨツバ王国の勇者召喚に関しての手順を聞いておきたいんです。ヨツバ王国はナオさんを召喚する時、どのような方法で召喚したんですか?」
「え?召喚?」
「ふむ、何やら事情があるようじゃな……すまないが一から話してくれんか?」
国王の言葉にルノ達は帝国に存在する「転移の間」に設置されていた台座が破壊され、転移魔法陣が消失してしまった事、そして地球から勇者と呼ばれる存在を召喚するために必要な「転移石」が消失した事を話す。皇帝としては自国の不祥事を他国に話す事は控えて欲しいのだが、ルノ達にとっては元の世界に変えれる方法を探すためにどうしても情報を集める必要があった。
「ふむ……なるほどのう、ナオ殿から話を聞いていたがその魔王軍のクズノとやらもとんでもない置き土産を残していきおったな。しかし、話を聞く限りではどうやら帝国と王国では勇者召喚の方法が少し異なるようじゃな」
「そうなんですか?なら、具体的に王国ではどのような方法で勇者を召喚したんですか?」
全ての話を聞き終えた国王は難しい表情を浮かべ、本来は国家機密ではあるが、事情が事情なだけに話さないわけにはいかないと判断してヨツバ王国(エルフ王国)の勇者を召喚する方法を話す。
「儂等の国では窮地に陥った時、異界から勇者を呼び出す方法は帝国と同じように特別な魔法陣を利用する。但し、その魔法陣に関しては台座などに刻まれて保管されているわけではなく、絨毯などに刻んで行うのじゃ」
「絨毯?それは何か特別な聖遺物ですか?」
「いや、勇者の残した類の物ではなく、何処にでもある普通の絨毯じゃ。但し、使用する度に絨毯は燃え尽きてしまうので複数回の利用は出来ないがな」
「ふむ、ちなみに転移魔法陣の紋様はどのような物でしたか?帝国の方ではこういう風な紋様が描かれていたんですけど……」
リーリスが腰のカバンから羊皮紙を取り出し、念のために台座が破壊される前に記録していた「転移魔法陣」の紋様を見せつけると、国王達は驚いた表情を浮かべる。
「おおっ!!間違いない、この転移魔法陣は儂等の国でも利用されていた魔法陣じゃ!!」
「ええ、確かに全く同じ形をしていますね……という事は帝国と王国の勇者召喚に利用されていた転移魔法陣は同じ物だったのでしょうか?」
「ふむ、という事はこの転移魔法陣こそが地球と繋がる唯一の魔法陣という事で間違いなさそうですね。それに話を聞く限り、帝国の方では特別な台座に刻み込む事で転移魔法陣を何度でも使用出来たようですけど、絨毯などに刻んでも利用出来るようです。但し、使用後に燃え尽きるという話を聞く限りでは転移される瞬間に魔法陣に何らかの負荷が掛かるようですが……」
「じゃあ、あの台座じゃなくても勇者召喚は行えるの?」
「知らなかった……俺、絨毯で召喚されてたんだ」
勇者召喚を行うための転移魔法陣さえ存在すれば異界から勇者を召喚する方法自体は問題はないらしく、後は転移石などの特別な魔石を用意すれば地球とこちらの世界を繋ぐ魔法陣が出来上がるようだが、肝心なのはその転移石を現在のヨツバ王国が所持しているかであった。
「ヨツバ王国でも転移石を利用して勇者召喚を行っていたんですか?」
「その転移石とやらはかどうかは分からぬが、確かに儂等の国でも虹色に光り輝く特別な魔石を利用していた。儂等の国では名前は「召喚石」と呼んでいたが……」
「ふむ、恐らくは召喚石と転移石の特徴が一致している辺り、同じ材質の魔石で間違いありませんね」
「……なら、その魔石があればルノ達は元の世界に戻れる?」
「え!?本当に!?」
自分達が元の世界に戻れるかもしれないと知ってナオは立ち上がり、興奮した表情で国王に振り返るが、申し訳なさそうに国王は首を振る。
「す、すまない……世界樹が炎に包まれた時、儂等は国外へ脱出するために転移結晶を利用するため、世界樹の中に存在した全ての魔石は脱出の際に転移結晶の燃料として使い切ってしまったのだ。恐らく、召喚石もその時に使い果たしたかもしれん」
「そ、そんなぁっ……」
国王の言葉を聞いてルノ達は落胆を隠せず、これで帝国と王国が所持していた転移石は既に失われていた事が発覚した。
「お邪魔しま~す」
「ちょ、リーリス……勝手に入っちゃ駄目だよ」
「……失礼します」
3人が入り込むと中には皇帝と国王だけではなく、ギリョウとナオとリンの姿も存在した。5人は勝手に入って来たルノ達に驚いたが、慌てて皇帝が叱りつける。
「これ、リーリス!!今は重要な会議中だぞ!?勝手に入るのではない!!」
「さ~せん。あ、丁度良かった。ナオさん達もここに来てたんですね、実は色々と聞きたいことがありまして……」
「おい!?」
「リーリスよ、いくら何でも陛下に対してその態度は失礼じゃろう?」
皇帝の言葉を軽く流してナオ達に話しかけようとするリーリスにギリョウも注意すると、国王は苦笑しながらもリーリスの話を伺う。
「まあまあ……会議といっても話し合いはもう終わったところだ。儂は気にせんぞ、それで儂等に何か用か?」
「ええ、実はヨツバ王国の勇者召喚に関しての手順を聞いておきたいんです。ヨツバ王国はナオさんを召喚する時、どのような方法で召喚したんですか?」
「え?召喚?」
「ふむ、何やら事情があるようじゃな……すまないが一から話してくれんか?」
国王の言葉にルノ達は帝国に存在する「転移の間」に設置されていた台座が破壊され、転移魔法陣が消失してしまった事、そして地球から勇者と呼ばれる存在を召喚するために必要な「転移石」が消失した事を話す。皇帝としては自国の不祥事を他国に話す事は控えて欲しいのだが、ルノ達にとっては元の世界に変えれる方法を探すためにどうしても情報を集める必要があった。
「ふむ……なるほどのう、ナオ殿から話を聞いていたがその魔王軍のクズノとやらもとんでもない置き土産を残していきおったな。しかし、話を聞く限りではどうやら帝国と王国では勇者召喚の方法が少し異なるようじゃな」
「そうなんですか?なら、具体的に王国ではどのような方法で勇者を召喚したんですか?」
全ての話を聞き終えた国王は難しい表情を浮かべ、本来は国家機密ではあるが、事情が事情なだけに話さないわけにはいかないと判断してヨツバ王国(エルフ王国)の勇者を召喚する方法を話す。
「儂等の国では窮地に陥った時、異界から勇者を呼び出す方法は帝国と同じように特別な魔法陣を利用する。但し、その魔法陣に関しては台座などに刻まれて保管されているわけではなく、絨毯などに刻んで行うのじゃ」
「絨毯?それは何か特別な聖遺物ですか?」
「いや、勇者の残した類の物ではなく、何処にでもある普通の絨毯じゃ。但し、使用する度に絨毯は燃え尽きてしまうので複数回の利用は出来ないがな」
「ふむ、ちなみに転移魔法陣の紋様はどのような物でしたか?帝国の方ではこういう風な紋様が描かれていたんですけど……」
リーリスが腰のカバンから羊皮紙を取り出し、念のために台座が破壊される前に記録していた「転移魔法陣」の紋様を見せつけると、国王達は驚いた表情を浮かべる。
「おおっ!!間違いない、この転移魔法陣は儂等の国でも利用されていた魔法陣じゃ!!」
「ええ、確かに全く同じ形をしていますね……という事は帝国と王国の勇者召喚に利用されていた転移魔法陣は同じ物だったのでしょうか?」
「ふむ、という事はこの転移魔法陣こそが地球と繋がる唯一の魔法陣という事で間違いなさそうですね。それに話を聞く限り、帝国の方では特別な台座に刻み込む事で転移魔法陣を何度でも使用出来たようですけど、絨毯などに刻んでも利用出来るようです。但し、使用後に燃え尽きるという話を聞く限りでは転移される瞬間に魔法陣に何らかの負荷が掛かるようですが……」
「じゃあ、あの台座じゃなくても勇者召喚は行えるの?」
「知らなかった……俺、絨毯で召喚されてたんだ」
勇者召喚を行うための転移魔法陣さえ存在すれば異界から勇者を召喚する方法自体は問題はないらしく、後は転移石などの特別な魔石を用意すれば地球とこちらの世界を繋ぐ魔法陣が出来上がるようだが、肝心なのはその転移石を現在のヨツバ王国が所持しているかであった。
「ヨツバ王国でも転移石を利用して勇者召喚を行っていたんですか?」
「その転移石とやらはかどうかは分からぬが、確かに儂等の国でも虹色に光り輝く特別な魔石を利用していた。儂等の国では名前は「召喚石」と呼んでいたが……」
「ふむ、恐らくは召喚石と転移石の特徴が一致している辺り、同じ材質の魔石で間違いありませんね」
「……なら、その魔石があればルノ達は元の世界に戻れる?」
「え!?本当に!?」
自分達が元の世界に戻れるかもしれないと知ってナオは立ち上がり、興奮した表情で国王に振り返るが、申し訳なさそうに国王は首を振る。
「す、すまない……世界樹が炎に包まれた時、儂等は国外へ脱出するために転移結晶を利用するため、世界樹の中に存在した全ての魔石は脱出の際に転移結晶の燃料として使い切ってしまったのだ。恐らく、召喚石もその時に使い果たしたかもしれん」
「そ、そんなぁっ……」
国王の言葉を聞いてルノ達は落胆を隠せず、これで帝国と王国が所持していた転移石は既に失われていた事が発覚した。
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