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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
封印、そして……
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「ふうっ……どうやら勝ったようですね」
「うん、こうして魔力を送り続けている間は出てこれないと思う」
氷像と化したクズノに向けてルノは氷が溶けないように掌を構えながらナオに視線を向け、氷結化させたノース公爵を異空間に預けた時のようにこの状態のクズノならば異空間に封じ込める事が出来るのではないかと考えた。
「リーリス、余っている収納石ある?」
「え?収納石?あ、なるほど……もしかしたら上手く行くかもしれませんね」
「収納石……まさか、この状態で異空間に封じるの!?」
ルノの意図を察したリーリスは普段から持ち歩いている収納石のブレスレットを外すと、異空間に収納させておいた研究器材を取り出し、氷像と化したクズノを異空間の中に取り込む。欠片一つも残さないように気を付けて異空間に送り込むため、全員が力を合わせて中庭内に存在するクズノの破片を拾い上げる。
「あった!!ここにも落ちてました!!」
「こっちも見つけたぞ!!」
「結構、破片が散らばってますね……用心のため、一つも残さずに回収してください!!」
「……大丈夫、私の索敵のスキルを使えば一つ残さず見つけ出せる」
時間は掛かったが、クズノを構成していた全てのネオ・オリハルコンを拾い集めると、異空間に取り込む。どうやら金属と化した時点で生物とは認識されず、わざわざ氷結化させずともクズノの肉体は異空間に吸収され、残された収納石に関してはルノが処理する事が決まった。
「さてと……後はこれを処理すれば魔王軍はどうなるかな?」
「どうかしらね……クズノは消えたとしても、魔王軍の残党はまだ残っているはずよ。最も、残された連中に何が出来るとは思えないけど」
「じゃあ、実質的に魔王軍は壊滅ですね。でも、処理といってもどうするんですか?海の底に沈めるんですか?それとも地面を掘って埋めるとか?」
「その二つよりも安全で確実な方法があるんだよ……じゃあ、行ってくるね」
ルノは収納石を握り締めると、上空へ視線を向け、飛翔術を利用して上昇する。その際にルノの足元に氷の破片が落ちている事に気付き、それを拾い上げた。
「ん?これは……」
「何よ、ただの氷じゃない。捨てなさいよそんなの……」
「いえ、待ってください。もしかしてこれは……!?」
氷の破片を掌に収めたリーリスは徐々に氷結化が解除され、やがて液体に戻った回復薬の回復液の輝きが増している事に気付き、掌に収まった液体を覗き込む。そんな彼女の隣から聞き慣れた人物の声が掛けられる。
「ただいま、戻って来たよ」
「早っ!?え、ちょ、もう戻って来たんですか!?」
飛び立ったはずのルノが帰還し、あまりにも早く戻って来たルノに全員が驚くが、ルノは上空を指差して何をしてきたのかを説明する。
「成層圏ぎりぎりまで飛んだ後、氷塊の魔法で収納石を凍らせてから宇宙に向けて放逐したんだよ。重力の魔法で加速させた状態で撃ち込んだから、今頃はもう宇宙に消えたんじゃないかな?」
「宇宙って……そんな所まで行けるのルノ君!?」
「最早、規格外すぎて何も言えませんね……」
「は、話が全然付いて行けないのですが……」
ルノの何気ない説明にリーリス達は呆れてしまうが、これでクズノは完全にこの星から排除され、仮に何らかの拍子で収納石から解放されたとしても元に戻る手段はないだろう。先に送り込んだ2体の魔王と同様に永久に宇宙を放浪する事になるだろうが、世界を破滅に送り込もうとした悪人の末路としては妥当な結果だろう。
そんな事よりもリーリスは掌に収まった液体を回復薬の空の小瓶に収めると、その輝きの強さを確認して試しに中庭に植え付けられている花壇に向かう。戦闘の最中に花壇に植え付けられている植物も被害を受けた様子だが、リーリスは入手した回復液を茎の部分が完全に折れてしまった花に垂らす。
「皆さん!!これをよく見てください!!」
「何よ、一体何を見せる気……こ、これは!?」
「完全に折れた花が……再生しているじゃと!?」
「どうなってんだ!?」
リーリスが回復液を垂らした瞬間、茎が折れていたはずの花が再生を始め、数秒後には完全に元の状態に復元した状態で美しい花が咲く。その様子を確認した誰もが驚き、リーリス自身も信じられない表情を浮かべながらも小瓶に入った回復液を覗き込む。
「さっき、クズノに投げつけた回復薬は精霊薬の原料から作り出した回復液なんです……まだ未完成品だったんですが、どうやらルノさんの魔法で氷結化させられた事で化学反応を引き起こし、完全な精霊薬の回復液へと変化をしたようなんです!!」
「え、という事は……」
「精霊薬の完成です!!まさかこんな方法で作り出せるなんて……やりましたよ!!これでミリアちゃんもノース公爵も救い出せますし、精霊薬の制作技術も判明しました!!」
「本当ですか!?や、やった!!」
「おおっ……精霊薬がまさかそのような方法で作り出せるとは……これは何としても後世に残さなければ!!」
精霊薬が完成した事によって傷を負った状態で冷凍保存されたノース公爵も、不死病に侵されたミリアも助ける事が出来ると判明し、ルノ達は歓喜の声を上げた。エルフ王国の一行も精霊薬の技術が発覚した事で今後も精霊薬を生産する事が出来ると知り、国の再興に一歩近づいた事を喜び合う。
こうして魔王軍の最後にして最大の難敵であったクズノは宇宙へ追放され、遂にこの世界は異世界人であるルノ達によって平和を取り戻した――
「うん、こうして魔力を送り続けている間は出てこれないと思う」
氷像と化したクズノに向けてルノは氷が溶けないように掌を構えながらナオに視線を向け、氷結化させたノース公爵を異空間に預けた時のようにこの状態のクズノならば異空間に封じ込める事が出来るのではないかと考えた。
「リーリス、余っている収納石ある?」
「え?収納石?あ、なるほど……もしかしたら上手く行くかもしれませんね」
「収納石……まさか、この状態で異空間に封じるの!?」
ルノの意図を察したリーリスは普段から持ち歩いている収納石のブレスレットを外すと、異空間に収納させておいた研究器材を取り出し、氷像と化したクズノを異空間の中に取り込む。欠片一つも残さないように気を付けて異空間に送り込むため、全員が力を合わせて中庭内に存在するクズノの破片を拾い上げる。
「あった!!ここにも落ちてました!!」
「こっちも見つけたぞ!!」
「結構、破片が散らばってますね……用心のため、一つも残さずに回収してください!!」
「……大丈夫、私の索敵のスキルを使えば一つ残さず見つけ出せる」
時間は掛かったが、クズノを構成していた全てのネオ・オリハルコンを拾い集めると、異空間に取り込む。どうやら金属と化した時点で生物とは認識されず、わざわざ氷結化させずともクズノの肉体は異空間に吸収され、残された収納石に関してはルノが処理する事が決まった。
「さてと……後はこれを処理すれば魔王軍はどうなるかな?」
「どうかしらね……クズノは消えたとしても、魔王軍の残党はまだ残っているはずよ。最も、残された連中に何が出来るとは思えないけど」
「じゃあ、実質的に魔王軍は壊滅ですね。でも、処理といってもどうするんですか?海の底に沈めるんですか?それとも地面を掘って埋めるとか?」
「その二つよりも安全で確実な方法があるんだよ……じゃあ、行ってくるね」
ルノは収納石を握り締めると、上空へ視線を向け、飛翔術を利用して上昇する。その際にルノの足元に氷の破片が落ちている事に気付き、それを拾い上げた。
「ん?これは……」
「何よ、ただの氷じゃない。捨てなさいよそんなの……」
「いえ、待ってください。もしかしてこれは……!?」
氷の破片を掌に収めたリーリスは徐々に氷結化が解除され、やがて液体に戻った回復薬の回復液の輝きが増している事に気付き、掌に収まった液体を覗き込む。そんな彼女の隣から聞き慣れた人物の声が掛けられる。
「ただいま、戻って来たよ」
「早っ!?え、ちょ、もう戻って来たんですか!?」
飛び立ったはずのルノが帰還し、あまりにも早く戻って来たルノに全員が驚くが、ルノは上空を指差して何をしてきたのかを説明する。
「成層圏ぎりぎりまで飛んだ後、氷塊の魔法で収納石を凍らせてから宇宙に向けて放逐したんだよ。重力の魔法で加速させた状態で撃ち込んだから、今頃はもう宇宙に消えたんじゃないかな?」
「宇宙って……そんな所まで行けるのルノ君!?」
「最早、規格外すぎて何も言えませんね……」
「は、話が全然付いて行けないのですが……」
ルノの何気ない説明にリーリス達は呆れてしまうが、これでクズノは完全にこの星から排除され、仮に何らかの拍子で収納石から解放されたとしても元に戻る手段はないだろう。先に送り込んだ2体の魔王と同様に永久に宇宙を放浪する事になるだろうが、世界を破滅に送り込もうとした悪人の末路としては妥当な結果だろう。
そんな事よりもリーリスは掌に収まった液体を回復薬の空の小瓶に収めると、その輝きの強さを確認して試しに中庭に植え付けられている花壇に向かう。戦闘の最中に花壇に植え付けられている植物も被害を受けた様子だが、リーリスは入手した回復液を茎の部分が完全に折れてしまった花に垂らす。
「皆さん!!これをよく見てください!!」
「何よ、一体何を見せる気……こ、これは!?」
「完全に折れた花が……再生しているじゃと!?」
「どうなってんだ!?」
リーリスが回復液を垂らした瞬間、茎が折れていたはずの花が再生を始め、数秒後には完全に元の状態に復元した状態で美しい花が咲く。その様子を確認した誰もが驚き、リーリス自身も信じられない表情を浮かべながらも小瓶に入った回復液を覗き込む。
「さっき、クズノに投げつけた回復薬は精霊薬の原料から作り出した回復液なんです……まだ未完成品だったんですが、どうやらルノさんの魔法で氷結化させられた事で化学反応を引き起こし、完全な精霊薬の回復液へと変化をしたようなんです!!」
「え、という事は……」
「精霊薬の完成です!!まさかこんな方法で作り出せるなんて……やりましたよ!!これでミリアちゃんもノース公爵も救い出せますし、精霊薬の制作技術も判明しました!!」
「本当ですか!?や、やった!!」
「おおっ……精霊薬がまさかそのような方法で作り出せるとは……これは何としても後世に残さなければ!!」
精霊薬が完成した事によって傷を負った状態で冷凍保存されたノース公爵も、不死病に侵されたミリアも助ける事が出来ると判明し、ルノ達は歓喜の声を上げた。エルフ王国の一行も精霊薬の技術が発覚した事で今後も精霊薬を生産する事が出来ると知り、国の再興に一歩近づいた事を喜び合う。
こうして魔王軍の最後にして最大の難敵であったクズノは宇宙へ追放され、遂にこの世界は異世界人であるルノ達によって平和を取り戻した――
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