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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
デュランダルの力
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「これでも喰らえっ!!」
『そんな物……があっ!?』
「やった!?」
ルノがデュランダルを叩きつけた瞬間、クズノの金属の肉体に強烈な衝撃が走り、まるで振動が全身に伝達するように衝撃波が放たれた。クズノの全身に亀裂が走り、内部に存在する魔水晶も影響を受けたように罅割れ、魔法の力が拡散してしまう。
先ほどまではただの大剣にしか過ぎなかったデュランダルがルノに触れた瞬間に刃が光り輝き、驚きながらもルノはデュランダルを覗き込むと、先帝が驚いた声を上げ得る。
「そうか……デュランダルは元々は勇者が作り出した大聖剣!!ならば勇者と同じ異世界人であるルノ殿ならば扱えるのでは!?」
「そうなんですか?」
「ルノさん!!その剣でクズノの奴を叩き壊してください!!」
『ま、待て……!?』
先帝とリーリスの言葉にルノはデュランダルを握り締め、意を決したように全身の力を込めて崩れかけているクズノの肉体に目掛けて刃を振り下ろす。剣の扱い方は素人同然でもルノの身体能力から繰り出される攻撃は凄まじく、クズノの肉体が砕け散る程の勢いで刃を振りぬく。
「だああっ!!」
『ぐあああっ!?』
「やった!!」
刃が衝突した瞬間にクズノの肉体が粉々に砕け散り、デュランダルから放たれた衝撃波によってネオ・オリハルコンは粉砕する。内部に取り込まれていた魔水晶も同時に砕け散り、地面にはネオ・オリハルコンの残骸が散らばる。それを確認したルノはデュランダルを手にしながら粉末状になったクズノを見下ろす。
「これで倒した……のかな?」
「恐らくは……」
「見事じゃ!!やはり聖剣を扱うルノ殿こそ真の勇者じゃ!!勇者の誕生を祝おうではないか!!」
「弟よ……いきなりそれはないだろう」
全てが終わったと判断した皇帝はルノの偉業を称え、彼こそが勇者であると宣言する中、ルノは本当にクズノを倒したのかと粉々になったネオ・オリハルコンの残骸に視線を向けているとナオが肩を叩く。
「ルノ君、クズノの事は俺に任せてよ」
「え?ナオ君に?」
「俺の空間魔法でこいつを復活出来ないように異空間に吸収してみる」
「あ、なるほど……動いて喋ると言っても元は金属ですからね。無機物として扱われるのなら異空間に吸収する事も出来るかもしれません」
ナオの言葉にリーリスは納得し、この状態のクズノならば生物としては扱われず、空間魔法を利用して異空間に封じ込める事が出来る可能性もあった。ナオは恐る恐る粉末に近付き、空間魔法を発動させてクズノの残骸を吸収しようと試みようとした時、不意に粉末の量が少ない事に気付く。
「あれ?」
「どうかしたの?」
「いや、それが粉末の量が妙に少ないというか……うわっ!?」
「ナオ様!?」
唐突に残骸に近付いたナオの足元が振り払われ、背中越しに地面に倒れてしまう。その様子を見てリンが驚きの声を上げるが、ナオの肉体に張り付くように地面に散らばっていたネオ・オリハルコンの粉末が駆け巡り、破片同士が結合して人間の腕のような形へと変化する。
「ぐうっ……こいつ、まだ動けたのか!?」
「ナオ君!!」
『近寄るな!!』
ルノが咄嗟にナオを救出しようとした時、上半身の部分のみを再生を果たしたクズノが声を上げ、ナオの首筋に刃物に変形させた指先を構えながらルノに怒鳴りつける。どうやらまだ生きていたらしく、クズノは笑みを浮かべてナオを人質に取った。
『それ以上に近付けば貴方の大切なお友達の命はありませんよ』
「このっ……」
『おっと!!下手な真似は止めなさい!!その気になれば私はこの方を殺す事も出来るのですよ?』
「る、ルノ君……!!」
「おのれ外道がっ!!ナオ様を離せ!!」
「落ち着けリン!?」
ナオの首筋に刃物を食い込ませ、首筋に知を滲ませるとリンが激高して剣を引き抜いて突進しようとしたが、それを慌てて他の者が取り抑える。ルノはナオを人質に取られては迂闊に行動する事も出来ず、デュランダルを握り締める。
卑劣な真似でナオを人質に取ったクズノは下半身の再生を行い、完全に元の姿を取り戻したかに思われたが、足の爪先の部分が再生出来ない事に気付き、忌々しそうにルノを睨みつけた。
『ちっ……流石に完全には復活出来ませんでしたか、その聖剣の力が原因ですか?この美しい私の身体を粉砕するとは……』
「ナオ君を離せ!!」
『まずは貴方がその剣を渡しなさい!!いえ、それよりも今すぐにその剣を使って自害しなさい!!そうすれば彼の命だけは助けてあげましょう』
「ふざけるな……がああっ!?」
「ナオ様!?」
自分の命と引き換えにルノの自害を要求するクズノにナオは憤るが、更に刃物を首筋に食い込まれて血が流れ、それを見たリンが悲鳴をあげる。その様子を確認したルノは歯を食いしばり、自分の握り締めるデュランダルに視線を向け、刃の部分に視線を向けた。
普通の武器ならばルノの肉体に傷をつける事すら難しいだろうが、ルノと同じ異世界人で勇者でもある人間が作り出した聖剣ならばルノの肉体を傷つける事も出来るだろう。ナオの命を救うため、ルノは自分が自害するしかないのかと考えた時、ある人物が動く。
『そんな物……があっ!?』
「やった!?」
ルノがデュランダルを叩きつけた瞬間、クズノの金属の肉体に強烈な衝撃が走り、まるで振動が全身に伝達するように衝撃波が放たれた。クズノの全身に亀裂が走り、内部に存在する魔水晶も影響を受けたように罅割れ、魔法の力が拡散してしまう。
先ほどまではただの大剣にしか過ぎなかったデュランダルがルノに触れた瞬間に刃が光り輝き、驚きながらもルノはデュランダルを覗き込むと、先帝が驚いた声を上げ得る。
「そうか……デュランダルは元々は勇者が作り出した大聖剣!!ならば勇者と同じ異世界人であるルノ殿ならば扱えるのでは!?」
「そうなんですか?」
「ルノさん!!その剣でクズノの奴を叩き壊してください!!」
『ま、待て……!?』
先帝とリーリスの言葉にルノはデュランダルを握り締め、意を決したように全身の力を込めて崩れかけているクズノの肉体に目掛けて刃を振り下ろす。剣の扱い方は素人同然でもルノの身体能力から繰り出される攻撃は凄まじく、クズノの肉体が砕け散る程の勢いで刃を振りぬく。
「だああっ!!」
『ぐあああっ!?』
「やった!!」
刃が衝突した瞬間にクズノの肉体が粉々に砕け散り、デュランダルから放たれた衝撃波によってネオ・オリハルコンは粉砕する。内部に取り込まれていた魔水晶も同時に砕け散り、地面にはネオ・オリハルコンの残骸が散らばる。それを確認したルノはデュランダルを手にしながら粉末状になったクズノを見下ろす。
「これで倒した……のかな?」
「恐らくは……」
「見事じゃ!!やはり聖剣を扱うルノ殿こそ真の勇者じゃ!!勇者の誕生を祝おうではないか!!」
「弟よ……いきなりそれはないだろう」
全てが終わったと判断した皇帝はルノの偉業を称え、彼こそが勇者であると宣言する中、ルノは本当にクズノを倒したのかと粉々になったネオ・オリハルコンの残骸に視線を向けているとナオが肩を叩く。
「ルノ君、クズノの事は俺に任せてよ」
「え?ナオ君に?」
「俺の空間魔法でこいつを復活出来ないように異空間に吸収してみる」
「あ、なるほど……動いて喋ると言っても元は金属ですからね。無機物として扱われるのなら異空間に吸収する事も出来るかもしれません」
ナオの言葉にリーリスは納得し、この状態のクズノならば生物としては扱われず、空間魔法を利用して異空間に封じ込める事が出来る可能性もあった。ナオは恐る恐る粉末に近付き、空間魔法を発動させてクズノの残骸を吸収しようと試みようとした時、不意に粉末の量が少ない事に気付く。
「あれ?」
「どうかしたの?」
「いや、それが粉末の量が妙に少ないというか……うわっ!?」
「ナオ様!?」
唐突に残骸に近付いたナオの足元が振り払われ、背中越しに地面に倒れてしまう。その様子を見てリンが驚きの声を上げるが、ナオの肉体に張り付くように地面に散らばっていたネオ・オリハルコンの粉末が駆け巡り、破片同士が結合して人間の腕のような形へと変化する。
「ぐうっ……こいつ、まだ動けたのか!?」
「ナオ君!!」
『近寄るな!!』
ルノが咄嗟にナオを救出しようとした時、上半身の部分のみを再生を果たしたクズノが声を上げ、ナオの首筋に刃物に変形させた指先を構えながらルノに怒鳴りつける。どうやらまだ生きていたらしく、クズノは笑みを浮かべてナオを人質に取った。
『それ以上に近付けば貴方の大切なお友達の命はありませんよ』
「このっ……」
『おっと!!下手な真似は止めなさい!!その気になれば私はこの方を殺す事も出来るのですよ?』
「る、ルノ君……!!」
「おのれ外道がっ!!ナオ様を離せ!!」
「落ち着けリン!?」
ナオの首筋に刃物を食い込ませ、首筋に知を滲ませるとリンが激高して剣を引き抜いて突進しようとしたが、それを慌てて他の者が取り抑える。ルノはナオを人質に取られては迂闊に行動する事も出来ず、デュランダルを握り締める。
卑劣な真似でナオを人質に取ったクズノは下半身の再生を行い、完全に元の姿を取り戻したかに思われたが、足の爪先の部分が再生出来ない事に気付き、忌々しそうにルノを睨みつけた。
『ちっ……流石に完全には復活出来ませんでしたか、その聖剣の力が原因ですか?この美しい私の身体を粉砕するとは……』
「ナオ君を離せ!!」
『まずは貴方がその剣を渡しなさい!!いえ、それよりも今すぐにその剣を使って自害しなさい!!そうすれば彼の命だけは助けてあげましょう』
「ふざけるな……がああっ!?」
「ナオ様!?」
自分の命と引き換えにルノの自害を要求するクズノにナオは憤るが、更に刃物を首筋に食い込まれて血が流れ、それを見たリンが悲鳴をあげる。その様子を確認したルノは歯を食いしばり、自分の握り締めるデュランダルに視線を向け、刃の部分に視線を向けた。
普通の武器ならばルノの肉体に傷をつける事すら難しいだろうが、ルノと同じ異世界人で勇者でもある人間が作り出した聖剣ならばルノの肉体を傷つける事も出来るだろう。ナオの命を救うため、ルノは自分が自害するしかないのかと考えた時、ある人物が動く。
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