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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
クズノの最期
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「これで最後だぁあああっ!!」
「舐めるなぁああああっ!!」
クズノは振り下ろされる拳を間近にして怒りの声を上げ、ネオ・オリハルコンを変形させてダンゴムシのような形へと変化を果たす。その結果、振り下ろされたルノの拳は弾かれてしまう。
「くっ……まだまだ!!」
「私はぁっ……魔王軍最高幹部、クズノだぁっ……こんな所で、終わる男ではない!!」
「ちょっと待ちなさいよ!!何だか様子がおかしいわ……」
ルノから逃げるように丸めた鎧を利用して転がって距離を取ると、クズノは身体を顔だけを鎧から出した状態で血走った目を見開き、やがて笑みを浮かべた。この状況でどうして笑う余裕があるのかと全員が身構える中、クズノは地面に落ちていたデュランダルを金属で構成した腕で拾い上げる。
「私にはまだ、これがある……!!」
「黒い、大剣?」
「無駄じゃ!!その大聖剣を扱えるのは異世界に召喚された勇者のみ!!それを扱えるのはこの場にはルノ殿とナオ殿だけのはず!!」
デュランダルを手にしたクズノに対して先帝が怒鳴りつけると、クズノは笑顔を浮かべたままデュランダルを振り翳す。聖剣の力が使えなければデュランダルはただの大剣でしかないはずだが、そんな物でルノに勝てると思い込んでいるのかクズノは笑い声をあげながら天空に翳す。
「見せてあげましょう……僕の究極の兵器を!!」
「なっ!?まさか、あんた!?」
「止めろ!?何をする気だ!!」
「……自殺!?」
天上に掲げたデュランダルを両手で握り閉めたクズノは自分の頭上に刃を移動させると、そのまま覚悟を決めたように瞼を閉じて刃を手放す。
「私は……」
彼が何を言い残そうとしたのかは誰にも聞き取れず、デュランダルの刃に鮮血が舞う。やがてクズノの肉体を覆い包んでいたネオ・オリハルコンが唐突に瓦解し、地面に散らばった。
「……死んだのか?」
「嘘っ……こいつが自殺するなんて、信じられないわ」
「でも、死んでいる……間違いない」
全員が唖然とした表情を浮かべて真っ二つに頭部を切り裂かれたクズノの死体に視線を向け、どう見ても完全に死亡していた。この状態からいかなる回復魔法や薬を施そうと生き返る事はないだろう。例え、精霊薬を持ち込んだとしても死んでしまった人間の肉体を治す事は出来ない。
魔王軍の最後の幹部にして実質上のトップであったクズノの死に際に全員が釈然としない気持ちを抱くが、これで魔王軍は完全に崩壊した事は間違いなく、もう国を脅かす存在は消えたのだ。
「何が何だか分からんが……これで世界は平和になったのか?」
「うむ……一応はな」
「クズノよ、お主は一体何を考えてこんな事を……」
皇帝達はクズノの死体を見て憐れみの視線を向ける中、クズノを追い詰めたルノは違和感を拭えなかった。本当にこれで全てが終わったとは思えず、その気持ちを抱いていたのはナオとリーリスも同じである。
「ちょっとすいません……死体を検視させてもらいますか?本当に死んだのかを確かめますから」
「いや、リーリスよぉっ……どう見ても死んでるだろうが」
「念のためですよ。ほら、コトネさんとリディアも手伝ってください」
「私も?」
「何で私は呼び捨てなのよ……」
リーリス達は恐る恐るクズノの死体に近付くと、まずは杖先で死体をつついて本物である事を確かめ、リーリスは死体から垂れる血液を採取して本物のである事を確かめるためにコトネに差しだす。
「どうですか?」
「……間違いなく人間の血、偽物じゃない」
「そうね、少なくとも動物の血を使って偽装している感じじゃないわ」
「そんな事まで分かるの?」
血の臭いを嗅ぐだけで本物かどうかを見抜くコトネとリディアにルノは素直に感心する中、リーリスは今度は足元に散らばっているネオ・オリハルコンの残骸に気付き、破片を拾い上げる。
「これがクズノが自慢していたネオ・オリハルコンとやらですか……確かに今までに見た事もない金属ですね、それに触れているだけで魔力が吸い取られる感覚がします。こんな物、どうやって作って……きゃあっ!?」
「リーリス!?」
破片を握り締めていたリーリスが悲鳴をあげて手放し、ルノは咄嗟に彼女の身体を受け止める。一体何事が起きたのか彼女に聞く前にナオが反応した。
「待って皆!!この破片……全部動いているよ!?」
「何ですって!?」
「そんな馬鹿な……うわ、本当だ!?」
「……ぐねぐねしてる」
砕けたはずの破片が地面の上でまるで「スライム」のように破片の一つ一つが動き出し、やがて全ての破片が一か所に集まっていく。戻りかけていた他の者達も何事かと振り返ると、徐々に破片の山が形成され、今度は破片同士で結合をすると、やがて金属の球体へと作り替わる。
「これはまさか……!?」
「な、何よこれ!?どうしてクズノの奴が死んだのに動いているの!?」
「死体は確かに死んでいました!!なのに主人がいないのに金属だけが動き出すなんて……」
「……不可解」
「まさか……!!」
出来上がった金属の球体に対してルノだけは心当たりが思い浮かび、自分がかつて相対した「魔王」の存在を思い出す。そして金属の表面に人間の顔面のようなしわが生まれ、中庭に高笑いが広がる。
※ルノ君のストレス度――100%
―――――――――――――
カタナヅキ「(;´・ω・)ガクガクブルブル」←核シェルターに避難
「舐めるなぁああああっ!!」
クズノは振り下ろされる拳を間近にして怒りの声を上げ、ネオ・オリハルコンを変形させてダンゴムシのような形へと変化を果たす。その結果、振り下ろされたルノの拳は弾かれてしまう。
「くっ……まだまだ!!」
「私はぁっ……魔王軍最高幹部、クズノだぁっ……こんな所で、終わる男ではない!!」
「ちょっと待ちなさいよ!!何だか様子がおかしいわ……」
ルノから逃げるように丸めた鎧を利用して転がって距離を取ると、クズノは身体を顔だけを鎧から出した状態で血走った目を見開き、やがて笑みを浮かべた。この状況でどうして笑う余裕があるのかと全員が身構える中、クズノは地面に落ちていたデュランダルを金属で構成した腕で拾い上げる。
「私にはまだ、これがある……!!」
「黒い、大剣?」
「無駄じゃ!!その大聖剣を扱えるのは異世界に召喚された勇者のみ!!それを扱えるのはこの場にはルノ殿とナオ殿だけのはず!!」
デュランダルを手にしたクズノに対して先帝が怒鳴りつけると、クズノは笑顔を浮かべたままデュランダルを振り翳す。聖剣の力が使えなければデュランダルはただの大剣でしかないはずだが、そんな物でルノに勝てると思い込んでいるのかクズノは笑い声をあげながら天空に翳す。
「見せてあげましょう……僕の究極の兵器を!!」
「なっ!?まさか、あんた!?」
「止めろ!?何をする気だ!!」
「……自殺!?」
天上に掲げたデュランダルを両手で握り閉めたクズノは自分の頭上に刃を移動させると、そのまま覚悟を決めたように瞼を閉じて刃を手放す。
「私は……」
彼が何を言い残そうとしたのかは誰にも聞き取れず、デュランダルの刃に鮮血が舞う。やがてクズノの肉体を覆い包んでいたネオ・オリハルコンが唐突に瓦解し、地面に散らばった。
「……死んだのか?」
「嘘っ……こいつが自殺するなんて、信じられないわ」
「でも、死んでいる……間違いない」
全員が唖然とした表情を浮かべて真っ二つに頭部を切り裂かれたクズノの死体に視線を向け、どう見ても完全に死亡していた。この状態からいかなる回復魔法や薬を施そうと生き返る事はないだろう。例え、精霊薬を持ち込んだとしても死んでしまった人間の肉体を治す事は出来ない。
魔王軍の最後の幹部にして実質上のトップであったクズノの死に際に全員が釈然としない気持ちを抱くが、これで魔王軍は完全に崩壊した事は間違いなく、もう国を脅かす存在は消えたのだ。
「何が何だか分からんが……これで世界は平和になったのか?」
「うむ……一応はな」
「クズノよ、お主は一体何を考えてこんな事を……」
皇帝達はクズノの死体を見て憐れみの視線を向ける中、クズノを追い詰めたルノは違和感を拭えなかった。本当にこれで全てが終わったとは思えず、その気持ちを抱いていたのはナオとリーリスも同じである。
「ちょっとすいません……死体を検視させてもらいますか?本当に死んだのかを確かめますから」
「いや、リーリスよぉっ……どう見ても死んでるだろうが」
「念のためですよ。ほら、コトネさんとリディアも手伝ってください」
「私も?」
「何で私は呼び捨てなのよ……」
リーリス達は恐る恐るクズノの死体に近付くと、まずは杖先で死体をつついて本物である事を確かめ、リーリスは死体から垂れる血液を採取して本物のである事を確かめるためにコトネに差しだす。
「どうですか?」
「……間違いなく人間の血、偽物じゃない」
「そうね、少なくとも動物の血を使って偽装している感じじゃないわ」
「そんな事まで分かるの?」
血の臭いを嗅ぐだけで本物かどうかを見抜くコトネとリディアにルノは素直に感心する中、リーリスは今度は足元に散らばっているネオ・オリハルコンの残骸に気付き、破片を拾い上げる。
「これがクズノが自慢していたネオ・オリハルコンとやらですか……確かに今までに見た事もない金属ですね、それに触れているだけで魔力が吸い取られる感覚がします。こんな物、どうやって作って……きゃあっ!?」
「リーリス!?」
破片を握り締めていたリーリスが悲鳴をあげて手放し、ルノは咄嗟に彼女の身体を受け止める。一体何事が起きたのか彼女に聞く前にナオが反応した。
「待って皆!!この破片……全部動いているよ!?」
「何ですって!?」
「そんな馬鹿な……うわ、本当だ!?」
「……ぐねぐねしてる」
砕けたはずの破片が地面の上でまるで「スライム」のように破片の一つ一つが動き出し、やがて全ての破片が一か所に集まっていく。戻りかけていた他の者達も何事かと振り返ると、徐々に破片の山が形成され、今度は破片同士で結合をすると、やがて金属の球体へと作り替わる。
「これはまさか……!?」
「な、何よこれ!?どうしてクズノの奴が死んだのに動いているの!?」
「死体は確かに死んでいました!!なのに主人がいないのに金属だけが動き出すなんて……」
「……不可解」
「まさか……!!」
出来上がった金属の球体に対してルノだけは心当たりが思い浮かび、自分がかつて相対した「魔王」の存在を思い出す。そして金属の表面に人間の顔面のようなしわが生まれ、中庭に高笑いが広がる。
※ルノ君のストレス度――100%
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カタナヅキ「(;´・ω・)ガクガクブルブル」←核シェルターに避難
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