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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
クズノの奥の手
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『こんな物!!』
「持ち上げた!?」
クズノは頭上から出現した鎧武者に対して背中の黒棘を地面に突きさし、身体を固定化させた後に両手で抑え込む。勿論、それだけでは足りないので他の箇所から黒棘を生み出して支えようとしたが、それを予測していたようにルノは駆け出すと掌に意識を集中させて巨大な氷の「鉄槌」を生み出す。
「これで、どうだぁあああっ!!」
『ぬがぁっ!?』
「やった!?」
ルノの渾身の力で振り下ろされた鉄槌が鎧武者に衝突した瞬間、クズノの背中を支えていた黒棘が砕け、体重を支え切れずにクズノは地面に倒れ込む。必然的に彼の身体に鎧武者とルノの巨大鉄槌が加わって押しつぶされる事になり、演技ではないクズノの悲鳴が響き渡った。
「がああっ……!?ば、馬鹿なっ……!!」
「やったわ!!今の内に止めを刺しなさい!!」
「止め……」
リディアの言葉にルノは握り締めた鉄槌に視線を向け、恐らくだがもう一度振り下ろせばクズノを覆い込むネオ・オリハルコンの鎧を破壊して彼を倒す事が出来るだろう。しかし、いざ自分の手で他の人間の命を奪う事に対してルノは躊躇してしまい、その心の隙をクズノが見逃すはずがない。
「お、お願いします……助けてください、もう悪い事はしませんから……」
「駄目だルノ君!!そいつの言う事は聞くなっ!!」
「そうじゃぞ!!こいつはここで死ぬべきなのだ!!生かしてはならん!!」
「っ……」
情けなく命乞いを行うクズノに対してナオと先帝がルノに注意すると、ルノは自分に向けて必死に手を伸ばすクズノに顔を向け、やがて鉄槌を手放して手を伸ばす。その行為に他の者達は信じられない表情を浮かべるが、クズノは内心ほくそ笑む。
「ほら、掴まって」
「ああっ、ありがとうございま……」
「おらぁっ!!」
「あがぁっ!?」
『ええっ!?』
だが、ルノはクズノの身体を掴み取ると力ずくで引き寄せて鎧武者から引きずり出し、そのまま地面へと叩きつける。そのルノの行為に他の者達は驚愕する中、ルノは何度もクズノの肉体を地面に叩きつけた。
「お前の、せいで、どれだけの人が、苦しんだと思っている!!」
「がふっ!?いだぁっ!?やめっ……ああっ!?」
「何人も死んだ!!大勢の人が苦しめられた!!その癖、自分が死にそうになったら命乞いかっ!!」
「あぎぃっ!?もう、やべっ……がはぁっ!?」
「もっと、反省しろ!!今まで迷惑を掛けた人に謝れ!!お前のせいで死んだ幹部にも謝れ!!」
「あがぁあああっ!?」
鎧に守られているとはいえ、地面に叩きつけられれば肉体に衝撃は伝わり、クズノは鎧の中で血反吐を吐き散らす。それでもルノは止まらず、魔王軍によって迷惑を掛けられた者達の恨みを晴らすためにクズノを叩きつける。
「う、うわぁっ……ルノさんがブちぎれてます」
「あちゃあっ……こうなると止められないよ」
「……でも、すかっとする」
「いいわよ!!もっとやっちゃいなさい!!」
「師匠!!格好いいです!!」
散々クズノにストレスを抱いていた者ほど現在の彼の無様な光景に気分が晴れ、誰一人としてルノの行為を止めない。仮にここでクズノが死んだとしても全く問題はなく、むしろ時間を掛けて痛めつける方が彼によって苦しめられた者達のためになるだろう。
ネオ・オリハルコンの鎧に覆われたクズノは一思いに死ぬ事も出来ず、どうにか金属を操作して対抗を試みるが、地面に叩きつけられる度に意識が飛んで金属の操作も上手く行かない。それでもこのままでは殺されると考えたクズノは十何度目かの衝突の際に背中の部分の金属の硬度を変換させ、金属を軟質化させる事で衝撃を和らげた。
『ご、ごのぉっ……いい加減にしろぉっ!!』
「んっ!?」
地面に叩きつけた際の感触が変化した事に気付いたルノはクズノを手放すと、やっと解放されたクズノは顔面に取り付けていた金属を引き剥がし、まるで蜘蛛の足のように変形させた黒棘を利用して発つ事に成功する。クズノは涙目で鼻血と吐血が止まぬ状態でルノに向き直り、奥の手として隠していた手を使う。
「死ねぇえええっ!!」
「この光は……!?」
「いけません!!先ほど僕達の吸収した魔法を使って……!?」
クズノの全身から生み出された黒棘が発光を始め、どうやら先ほどドリア立に攻撃を仕掛けられた際に吸収した魔力を利用し、ルノに反撃を企てようとしていた。だが、それを見たルノは最初に魔王と対峙した時の事を思い出し、先にクズノが魔法を仕掛ける前に土塊の魔法を発動させた。
「だあっ!!」
「っ――!?」
中庭内に閃光が走った瞬間、上空に向けて複数の光の柱が放たれ、空を浮かんでいた雲を貫通した。やがて閃光が収まる頃には土塊の魔法によって地面に埋もれたクズノの姿が存在し、砲撃を行う寸前で足元を崩された事で狙いを大きく外れたらしい。
その隙にルノはクズノに目掛けて飛び掛かり、右腕に氷塊の魔法を発動させ、腕鉄甲の形をした氷塊を身に纏った状態で拳を振り上げる。
※ルノ君のストレス度――99%
カタナヅキ「ひいいっ!!」====( ゚Д゚)つ〉 ←逃走
「持ち上げた!?」
クズノは頭上から出現した鎧武者に対して背中の黒棘を地面に突きさし、身体を固定化させた後に両手で抑え込む。勿論、それだけでは足りないので他の箇所から黒棘を生み出して支えようとしたが、それを予測していたようにルノは駆け出すと掌に意識を集中させて巨大な氷の「鉄槌」を生み出す。
「これで、どうだぁあああっ!!」
『ぬがぁっ!?』
「やった!?」
ルノの渾身の力で振り下ろされた鉄槌が鎧武者に衝突した瞬間、クズノの背中を支えていた黒棘が砕け、体重を支え切れずにクズノは地面に倒れ込む。必然的に彼の身体に鎧武者とルノの巨大鉄槌が加わって押しつぶされる事になり、演技ではないクズノの悲鳴が響き渡った。
「がああっ……!?ば、馬鹿なっ……!!」
「やったわ!!今の内に止めを刺しなさい!!」
「止め……」
リディアの言葉にルノは握り締めた鉄槌に視線を向け、恐らくだがもう一度振り下ろせばクズノを覆い込むネオ・オリハルコンの鎧を破壊して彼を倒す事が出来るだろう。しかし、いざ自分の手で他の人間の命を奪う事に対してルノは躊躇してしまい、その心の隙をクズノが見逃すはずがない。
「お、お願いします……助けてください、もう悪い事はしませんから……」
「駄目だルノ君!!そいつの言う事は聞くなっ!!」
「そうじゃぞ!!こいつはここで死ぬべきなのだ!!生かしてはならん!!」
「っ……」
情けなく命乞いを行うクズノに対してナオと先帝がルノに注意すると、ルノは自分に向けて必死に手を伸ばすクズノに顔を向け、やがて鉄槌を手放して手を伸ばす。その行為に他の者達は信じられない表情を浮かべるが、クズノは内心ほくそ笑む。
「ほら、掴まって」
「ああっ、ありがとうございま……」
「おらぁっ!!」
「あがぁっ!?」
『ええっ!?』
だが、ルノはクズノの身体を掴み取ると力ずくで引き寄せて鎧武者から引きずり出し、そのまま地面へと叩きつける。そのルノの行為に他の者達は驚愕する中、ルノは何度もクズノの肉体を地面に叩きつけた。
「お前の、せいで、どれだけの人が、苦しんだと思っている!!」
「がふっ!?いだぁっ!?やめっ……ああっ!?」
「何人も死んだ!!大勢の人が苦しめられた!!その癖、自分が死にそうになったら命乞いかっ!!」
「あぎぃっ!?もう、やべっ……がはぁっ!?」
「もっと、反省しろ!!今まで迷惑を掛けた人に謝れ!!お前のせいで死んだ幹部にも謝れ!!」
「あがぁあああっ!?」
鎧に守られているとはいえ、地面に叩きつけられれば肉体に衝撃は伝わり、クズノは鎧の中で血反吐を吐き散らす。それでもルノは止まらず、魔王軍によって迷惑を掛けられた者達の恨みを晴らすためにクズノを叩きつける。
「う、うわぁっ……ルノさんがブちぎれてます」
「あちゃあっ……こうなると止められないよ」
「……でも、すかっとする」
「いいわよ!!もっとやっちゃいなさい!!」
「師匠!!格好いいです!!」
散々クズノにストレスを抱いていた者ほど現在の彼の無様な光景に気分が晴れ、誰一人としてルノの行為を止めない。仮にここでクズノが死んだとしても全く問題はなく、むしろ時間を掛けて痛めつける方が彼によって苦しめられた者達のためになるだろう。
ネオ・オリハルコンの鎧に覆われたクズノは一思いに死ぬ事も出来ず、どうにか金属を操作して対抗を試みるが、地面に叩きつけられる度に意識が飛んで金属の操作も上手く行かない。それでもこのままでは殺されると考えたクズノは十何度目かの衝突の際に背中の部分の金属の硬度を変換させ、金属を軟質化させる事で衝撃を和らげた。
『ご、ごのぉっ……いい加減にしろぉっ!!』
「んっ!?」
地面に叩きつけた際の感触が変化した事に気付いたルノはクズノを手放すと、やっと解放されたクズノは顔面に取り付けていた金属を引き剥がし、まるで蜘蛛の足のように変形させた黒棘を利用して発つ事に成功する。クズノは涙目で鼻血と吐血が止まぬ状態でルノに向き直り、奥の手として隠していた手を使う。
「死ねぇえええっ!!」
「この光は……!?」
「いけません!!先ほど僕達の吸収した魔法を使って……!?」
クズノの全身から生み出された黒棘が発光を始め、どうやら先ほどドリア立に攻撃を仕掛けられた際に吸収した魔力を利用し、ルノに反撃を企てようとしていた。だが、それを見たルノは最初に魔王と対峙した時の事を思い出し、先にクズノが魔法を仕掛ける前に土塊の魔法を発動させた。
「だあっ!!」
「っ――!?」
中庭内に閃光が走った瞬間、上空に向けて複数の光の柱が放たれ、空を浮かんでいた雲を貫通した。やがて閃光が収まる頃には土塊の魔法によって地面に埋もれたクズノの姿が存在し、砲撃を行う寸前で足元を崩された事で狙いを大きく外れたらしい。
その隙にルノはクズノに目掛けて飛び掛かり、右腕に氷塊の魔法を発動させ、腕鉄甲の形をした氷塊を身に纏った状態で拳を振り上げる。
※ルノ君のストレス度――99%
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