566 / 657
最終章 〈魔王と初級魔術師〉
最終決戦開始
しおりを挟む
「さあ、お遊びはここまでです!!邪魔な貴方達にはここで死んでもらいましょう!!」
「そんな事させるか!!」
「直接狙うのが駄目なら……こうだ!!」
クズノに対してルノは両手を構えて氷塊の盾を作り出すと、ナオは「跳弾」の戦技を発動させてあらゆる方向・角度から攻撃を行う。だが、クズノの頭部に狙って放たれた小石は彼が身に着けているシルクハットが変形し、ヘルメットのように形を変えて小石を弾く。
『無駄無駄!!どんな攻撃だろうと、私には通じません!!』
「シルクハットもネオ・オリハルコンとやらでしたか!?」
「あの帽子、ああいう使い方もあったのね!!」
帽子さえもネオ・オリハルコンで構成されていた事にリーリスとリディアは驚き、これで全身をネオ・オリハルコンで構成された鎧によって覆われたクズノは恐れることなく全方位に向けて「黒棘」を放つ。
『さあ!!これでお終いです!!』
「不味いっ……!?」
「皆!!俺の後ろに下がって!!」
「ひいいっ!?」
クズノの身体から射出された黒棘に対してルノは氷塊の盾で防御し、ナオは空間魔法を発動させて黒渦を利用して黒棘を異空間に取り込み、他の者達は二人の後ろに避難して難を逃れる。その際にルノはナオに視線を向け、ある事に気付く。
「……?もしかしてこれって……」
「ルノさん!!上からも来ますよ!?」
リーリスの言葉にルノは上空を見上げると、正面だけではなく上からも軌道を変更させて黒棘が接近している事に気付いたルノは皆を守るために氷塊の魔法を発動させる。
「このっ!!」
「今度は横よ!?」
「またかっ……いい加減にしろ!!」
『ふふふっ……仲間を守るので精いっぱいの様ですね。それが貴方の弱点です』
次々と繰り出される黒棘から他の皆を守るためにルノは魔法を使うため、クズノに対して肝心の攻撃が仕掛けられない。これまでの調査によってルノは仲間を見捨てられない事はクズノも知り尽くしていたため、ルノが仲間を守る間は自分に攻撃を仕掛ける余裕がない事もクズノも知っていた。
どうにか黒棘の攻撃を防ぐ事が出来れば反撃の好機も出来るが、クズノは全身から100を超える黒棘を生み出して縦横無尽に攻撃を仕掛ける。しかも1つ1つの黒棘の威力も馬鹿に出来ず、大理石製の壁を貫通する程の破壊力を誇り、もしも人体に攻撃を受ければ無事では済まない。
『さあ、ここまで移動するのに大分体力も魔力もお疲れでしょう?貴方がどれほどの力を持とうと人間である事に変わりはない、もうそれほど余裕はないはず!!』
「このっ……!!」
「……なら、私が仕留める」
「ちょ、コトネ!?」
コトネがルノの傍から離れると、彼女は迫りくる黒棘を回避しながら接近し、クズノの元へ向かう。だが、いくら彼女が素早さに優れていたとしてもクズノの攻撃を全て回避して彼に攻撃を仕掛けるのは不可能だった。
『貴方は前にも会ったことがありますね、ですが無駄なんですよ!!いくら隠密の能力で姿を消そうと私には通じない!!』
「むうっ……!?」
スキルを発動させて自分の存在感を消し去り、透明人間のようにクズノに接近して攻撃を仕掛けようとしたコトネだったが、どういうわけかクズノは正確にコトネの位置を特定して黒棘を放つ。感知系のスキルか、あるいは観察眼の能力を発動させた様子はないが、クズノは自慢するように告げる。
『この私の装備は熱探知も行えるのですよ。いくら存在感を消そうと人間であるならば体内の熱まで消す事は不可能、貴方が勝手に近づいてくるだけでこの鎧は反応して攻撃を仕掛けるのです!!』
「さっきからぺらぺらと自分の能力を語る……それほど余裕があるの?」
「違うわよ、そいつは昔から自慢せずにはいられない性格の男よ!!だから幹部の間では嫌われていたわ!!」
『……小娘が』
リディアの言葉にクズノは苛立ち、どうやら嫌われていたという自覚はあったらしい。そしてネオ・オリハルコンは熱を探知する能力も備わっているらしく、いくらコトネがスキルを使用して存在感を消そうと生物であるのならば肉体が持つ熱を完全に消し去る事は出来ないので居場所を特定される事が判明した。
攻撃も不可能、防御だけで手一杯の状況に追い込まれ、このままではルノとナオの魔力と体力の方が先に尽きてしまう。どうにか他に方法はないのかと考えた時、ルノは視界に端に移った物体を確認してナオに指示を出す。
「ナオ君!!あれを取り寄せる事出来ない!?」
「あれって……分かった!!やって見る!!」
『何を言って……!?』
ナオは意識を集中させて空間魔法を発動させると、さきほどリーリス達が氷結化した「鎧武者」の頭部に黒渦を作り上げ、そのまま全体を異空間に取り込む。その光景を見たクズノは二人の狙いに気付き、慌てて防御態勢に入った。
「まさか……!?」
「喰らえっ!!」
クズノの上空に黒渦が誕生すると、異空間に取り込まれた鎧武者が出現し、そのまま巨体と重量を生かしてクズノを押しつぶそうとした。
※ルノ君のストレス度――95%
カタナヅキ「や、やばい……逃げろ皆ぁっ!!」
「そんな事させるか!!」
「直接狙うのが駄目なら……こうだ!!」
クズノに対してルノは両手を構えて氷塊の盾を作り出すと、ナオは「跳弾」の戦技を発動させてあらゆる方向・角度から攻撃を行う。だが、クズノの頭部に狙って放たれた小石は彼が身に着けているシルクハットが変形し、ヘルメットのように形を変えて小石を弾く。
『無駄無駄!!どんな攻撃だろうと、私には通じません!!』
「シルクハットもネオ・オリハルコンとやらでしたか!?」
「あの帽子、ああいう使い方もあったのね!!」
帽子さえもネオ・オリハルコンで構成されていた事にリーリスとリディアは驚き、これで全身をネオ・オリハルコンで構成された鎧によって覆われたクズノは恐れることなく全方位に向けて「黒棘」を放つ。
『さあ!!これでお終いです!!』
「不味いっ……!?」
「皆!!俺の後ろに下がって!!」
「ひいいっ!?」
クズノの身体から射出された黒棘に対してルノは氷塊の盾で防御し、ナオは空間魔法を発動させて黒渦を利用して黒棘を異空間に取り込み、他の者達は二人の後ろに避難して難を逃れる。その際にルノはナオに視線を向け、ある事に気付く。
「……?もしかしてこれって……」
「ルノさん!!上からも来ますよ!?」
リーリスの言葉にルノは上空を見上げると、正面だけではなく上からも軌道を変更させて黒棘が接近している事に気付いたルノは皆を守るために氷塊の魔法を発動させる。
「このっ!!」
「今度は横よ!?」
「またかっ……いい加減にしろ!!」
『ふふふっ……仲間を守るので精いっぱいの様ですね。それが貴方の弱点です』
次々と繰り出される黒棘から他の皆を守るためにルノは魔法を使うため、クズノに対して肝心の攻撃が仕掛けられない。これまでの調査によってルノは仲間を見捨てられない事はクズノも知り尽くしていたため、ルノが仲間を守る間は自分に攻撃を仕掛ける余裕がない事もクズノも知っていた。
どうにか黒棘の攻撃を防ぐ事が出来れば反撃の好機も出来るが、クズノは全身から100を超える黒棘を生み出して縦横無尽に攻撃を仕掛ける。しかも1つ1つの黒棘の威力も馬鹿に出来ず、大理石製の壁を貫通する程の破壊力を誇り、もしも人体に攻撃を受ければ無事では済まない。
『さあ、ここまで移動するのに大分体力も魔力もお疲れでしょう?貴方がどれほどの力を持とうと人間である事に変わりはない、もうそれほど余裕はないはず!!』
「このっ……!!」
「……なら、私が仕留める」
「ちょ、コトネ!?」
コトネがルノの傍から離れると、彼女は迫りくる黒棘を回避しながら接近し、クズノの元へ向かう。だが、いくら彼女が素早さに優れていたとしてもクズノの攻撃を全て回避して彼に攻撃を仕掛けるのは不可能だった。
『貴方は前にも会ったことがありますね、ですが無駄なんですよ!!いくら隠密の能力で姿を消そうと私には通じない!!』
「むうっ……!?」
スキルを発動させて自分の存在感を消し去り、透明人間のようにクズノに接近して攻撃を仕掛けようとしたコトネだったが、どういうわけかクズノは正確にコトネの位置を特定して黒棘を放つ。感知系のスキルか、あるいは観察眼の能力を発動させた様子はないが、クズノは自慢するように告げる。
『この私の装備は熱探知も行えるのですよ。いくら存在感を消そうと人間であるならば体内の熱まで消す事は不可能、貴方が勝手に近づいてくるだけでこの鎧は反応して攻撃を仕掛けるのです!!』
「さっきからぺらぺらと自分の能力を語る……それほど余裕があるの?」
「違うわよ、そいつは昔から自慢せずにはいられない性格の男よ!!だから幹部の間では嫌われていたわ!!」
『……小娘が』
リディアの言葉にクズノは苛立ち、どうやら嫌われていたという自覚はあったらしい。そしてネオ・オリハルコンは熱を探知する能力も備わっているらしく、いくらコトネがスキルを使用して存在感を消そうと生物であるのならば肉体が持つ熱を完全に消し去る事は出来ないので居場所を特定される事が判明した。
攻撃も不可能、防御だけで手一杯の状況に追い込まれ、このままではルノとナオの魔力と体力の方が先に尽きてしまう。どうにか他に方法はないのかと考えた時、ルノは視界に端に移った物体を確認してナオに指示を出す。
「ナオ君!!あれを取り寄せる事出来ない!?」
「あれって……分かった!!やって見る!!」
『何を言って……!?』
ナオは意識を集中させて空間魔法を発動させると、さきほどリーリス達が氷結化した「鎧武者」の頭部に黒渦を作り上げ、そのまま全体を異空間に取り込む。その光景を見たクズノは二人の狙いに気付き、慌てて防御態勢に入った。
「まさか……!?」
「喰らえっ!!」
クズノの上空に黒渦が誕生すると、異空間に取り込まれた鎧武者が出現し、そのまま巨体と重量を生かしてクズノを押しつぶそうとした。
※ルノ君のストレス度――95%
カタナヅキ「や、やばい……逃げろ皆ぁっ!!」
0
お気に入りに追加
11,323
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。