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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
クズノの最高傑作
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「なんか急に黙り込みましたね。今の内に石でも投げつけましょうか……」
「おっと、これは失礼……ですが、その程度の物で私を倒せると考えるのは止めた方が良いですよ」
大きめの意思を持ち上げて振り翳そうとしたリーリスに対してクズノは過去の記憶を思い返すのを止め、地上のリーリス達と向かい合う。そして試作体の一体であり、リーリス達によって現在は氷結化された魔王に視線を向けてため息を吐き出す。
「やはり失敗作でしたか……熱を吸収する事は出来ても冷気には対応できないようでは兵器としては役に立ちませんね。貴重なアダマンタイトを使用して作り上げた試作体だったんですが、これでは使い物になりませんね」
「クズノ!!貴様は一体何が目的じゃ!!どうしてお前達はこのような非道な行為をする!?」
「そうですわ!!私達が一体何をしたというのですかっ!?」
「ふむ、別に説明ずる必要があるとは思えませんが……まあ、いいでしょう」
クズノは足を組んだ状態のまま浮揚し、何処から話すべきか悩む。彼が浮いている事に関しても疑問なのだが、厄介なのは魔法を吸収する「ネオ・オリハルコン」をクズノが身に着けている以上は迂闊に攻撃も出来ない。
魔法以外の武器を投擲して狙い撃つという手段もあるが、そもそもクズノの能力も判明していない時点で迂闊に仕掛けるの危険である。リーリス達が警戒を強める中、クズノはまずは魔王軍の目的を話す。
「魔王軍の目的、それは魔王と呼ばれる存在の完全復活のために集められた組織なのですよ」
「魔王、だと!?」
「馬鹿な……魔王はかつて召喚された勇者によって滅ぼされたはずだぞ!!」
「ええ、その通りです。ですが、肉体は滅ぼされても魂だけは生き残っていたのですよ……正確に言えば死霊という表現が正しいですがね」
「死霊だと……!?」
遥か昔、この世界に実在した魔王は地球から召喚された勇者たちによって討ち果たされた。しかし、魔王の魂その物は完全には滅する事が出来ず、とある死霊使いの手によって復活したという。その死霊使いこそがクズノの能力を高く買い、魔王軍に勧誘した老婆であった。
老婆はかつて滅ぼされた魔王の魂を水晶玉に封じ込め、魔王の復活をさせるためには新しい器(肉体)が必要だと判断した。しかし、生身の人間の肉体では魔王の魂に耐え切る事が出来ず、それならばクズノが発見した「ネオ・オリハルコン」を利用して金属の肉体を作り出せるのではないかと考え、クズノを勧誘したという。
「私が魔王軍に入ったのは実を言えばそれほど前の話ではないのですよ。魔王軍を結成したとある死霊使いの老婆からその腕を見込まれ、最高幹部の地位と魔王軍の財政を管理するという名目で私は魔王軍に迎え入れられました」
「な、何だと……!?」
「この私を引き抜いた死霊使いの目利きは確かと言えたでしょう。実際に魔王軍は私のお陰で規模も勢力も増し、この数年間で莫大な資金を手に入れる事が出来ました。帝国、王国、巨人国、獣人国……他多数の小国の重鎮と接触して資金を稼がせていただきましたよ」
「ぬうっ……デキンの奴め」
クズノの言葉に皇帝と先帝の脳裏にデキンの姿が思い浮かび、デキンも魔王軍であった以上は帝国の財源から横領した財金をクズノに提供していた事は間違いない。だが、どうやら帝国以外の国家にもクズノは接触を果たしていたらしく、彼は自慢げに話す。
「あなた方のお陰で魔王軍は稼がせて貰いましたよ。そのお陰で私は魔王様の肉体を作り出すという名目で自分の研究に没頭出来たのですからね」
「研究!?どういう事だ!?」
「というか、肉体を作り出すって……何ですかそれ、人体錬成でもしてたんですか?」
「いえいえ、人間の肉体なんか作り出した所で意味はありません。生身の肉体ほど虚弱で脆弱な存在はありませんからね……私が作り出したのは金属の肉体です」
クズノは地面に氷結化している鎧武者を指差し、その彼の行動に全員が訝しむが、リーリスはいち早く意味を理解した。
「まさか……この怪物は貴方が作り出したんですか?まるでゴーレムのような化物を?」
「ええ、その通りです!!但し、ゴーレムと一緒にされるのは心外ですね……これは私が作り出した金属生命体とも言うべき存在なのです!!名前は「魔王」破壊兵器と言っても過言ではありません」
「ああっ!?どういう事だよ!?こいつがあの魔王だっていうのか!?」
自分達が氷漬けにした鎧武者の正体が「魔王」だと知ったダンテは驚きの声を上げるが、そんな彼に対してクズノはわざとらしくため息を吐きながら首を振る。
「いえいえ、本当の魔王様はもうこの星には存在しませんよ。帝国の英雄に敗れ、今頃は宇宙を彷徨っている事でしょう。ですが、魔王様は最初の私の実験体として作り上げた兵器と言っても過言ではありませんが」
「一体何を話しておる!?魔王はもう帝国の英雄……つまり、ルノ殿に敗れただと!?ならば何故お主等の主人はもう存在しないというのか!?」
「ええ、その通りですよ。但し、あの方は偉大な存在ではありますがこの私の上に立つほどの器ではなかった……だから今の魔王軍は私のためだけに存在するのですよ!!」
「く、狂ってる……!!」
魔王が敗れたにも関わらずに魔王軍を統率し、活動を続行するクズノに対して国を滅ぼされたエルフ王国の王族は憎々し気に睨みつけた。
「おっと、これは失礼……ですが、その程度の物で私を倒せると考えるのは止めた方が良いですよ」
大きめの意思を持ち上げて振り翳そうとしたリーリスに対してクズノは過去の記憶を思い返すのを止め、地上のリーリス達と向かい合う。そして試作体の一体であり、リーリス達によって現在は氷結化された魔王に視線を向けてため息を吐き出す。
「やはり失敗作でしたか……熱を吸収する事は出来ても冷気には対応できないようでは兵器としては役に立ちませんね。貴重なアダマンタイトを使用して作り上げた試作体だったんですが、これでは使い物になりませんね」
「クズノ!!貴様は一体何が目的じゃ!!どうしてお前達はこのような非道な行為をする!?」
「そうですわ!!私達が一体何をしたというのですかっ!?」
「ふむ、別に説明ずる必要があるとは思えませんが……まあ、いいでしょう」
クズノは足を組んだ状態のまま浮揚し、何処から話すべきか悩む。彼が浮いている事に関しても疑問なのだが、厄介なのは魔法を吸収する「ネオ・オリハルコン」をクズノが身に着けている以上は迂闊に攻撃も出来ない。
魔法以外の武器を投擲して狙い撃つという手段もあるが、そもそもクズノの能力も判明していない時点で迂闊に仕掛けるの危険である。リーリス達が警戒を強める中、クズノはまずは魔王軍の目的を話す。
「魔王軍の目的、それは魔王と呼ばれる存在の完全復活のために集められた組織なのですよ」
「魔王、だと!?」
「馬鹿な……魔王はかつて召喚された勇者によって滅ぼされたはずだぞ!!」
「ええ、その通りです。ですが、肉体は滅ぼされても魂だけは生き残っていたのですよ……正確に言えば死霊という表現が正しいですがね」
「死霊だと……!?」
遥か昔、この世界に実在した魔王は地球から召喚された勇者たちによって討ち果たされた。しかし、魔王の魂その物は完全には滅する事が出来ず、とある死霊使いの手によって復活したという。その死霊使いこそがクズノの能力を高く買い、魔王軍に勧誘した老婆であった。
老婆はかつて滅ぼされた魔王の魂を水晶玉に封じ込め、魔王の復活をさせるためには新しい器(肉体)が必要だと判断した。しかし、生身の人間の肉体では魔王の魂に耐え切る事が出来ず、それならばクズノが発見した「ネオ・オリハルコン」を利用して金属の肉体を作り出せるのではないかと考え、クズノを勧誘したという。
「私が魔王軍に入ったのは実を言えばそれほど前の話ではないのですよ。魔王軍を結成したとある死霊使いの老婆からその腕を見込まれ、最高幹部の地位と魔王軍の財政を管理するという名目で私は魔王軍に迎え入れられました」
「な、何だと……!?」
「この私を引き抜いた死霊使いの目利きは確かと言えたでしょう。実際に魔王軍は私のお陰で規模も勢力も増し、この数年間で莫大な資金を手に入れる事が出来ました。帝国、王国、巨人国、獣人国……他多数の小国の重鎮と接触して資金を稼がせていただきましたよ」
「ぬうっ……デキンの奴め」
クズノの言葉に皇帝と先帝の脳裏にデキンの姿が思い浮かび、デキンも魔王軍であった以上は帝国の財源から横領した財金をクズノに提供していた事は間違いない。だが、どうやら帝国以外の国家にもクズノは接触を果たしていたらしく、彼は自慢げに話す。
「あなた方のお陰で魔王軍は稼がせて貰いましたよ。そのお陰で私は魔王様の肉体を作り出すという名目で自分の研究に没頭出来たのですからね」
「研究!?どういう事だ!?」
「というか、肉体を作り出すって……何ですかそれ、人体錬成でもしてたんですか?」
「いえいえ、人間の肉体なんか作り出した所で意味はありません。生身の肉体ほど虚弱で脆弱な存在はありませんからね……私が作り出したのは金属の肉体です」
クズノは地面に氷結化している鎧武者を指差し、その彼の行動に全員が訝しむが、リーリスはいち早く意味を理解した。
「まさか……この怪物は貴方が作り出したんですか?まるでゴーレムのような化物を?」
「ええ、その通りです!!但し、ゴーレムと一緒にされるのは心外ですね……これは私が作り出した金属生命体とも言うべき存在なのです!!名前は「魔王」破壊兵器と言っても過言ではありません」
「ああっ!?どういう事だよ!?こいつがあの魔王だっていうのか!?」
自分達が氷漬けにした鎧武者の正体が「魔王」だと知ったダンテは驚きの声を上げるが、そんな彼に対してクズノはわざとらしくため息を吐きながら首を振る。
「いえいえ、本当の魔王様はもうこの星には存在しませんよ。帝国の英雄に敗れ、今頃は宇宙を彷徨っている事でしょう。ですが、魔王様は最初の私の実験体として作り上げた兵器と言っても過言ではありませんが」
「一体何を話しておる!?魔王はもう帝国の英雄……つまり、ルノ殿に敗れただと!?ならば何故お主等の主人はもう存在しないというのか!?」
「ええ、その通りですよ。但し、あの方は偉大な存在ではありますがこの私の上に立つほどの器ではなかった……だから今の魔王軍は私のためだけに存在するのですよ!!」
「く、狂ってる……!!」
魔王が敗れたにも関わらずに魔王軍を統率し、活動を続行するクズノに対して国を滅ぼされたエルフ王国の王族は憎々し気に睨みつけた。
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