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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
最強の魔王
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「ともかく、魔法で攻撃するのは危険です!!こちらの攻撃を吸収して何倍も威力を増加させて撃ち返してきますから!!」
「ではどうすればいいのですか!?」
「こいつ、尋常じゃない硬さだぞ!!魔法無しで破壊出来るのか!?」
「やるしかあるまい!!ダンテ、行くぞ!!」
『殲滅再開』
鎧武者に対してダンテは盾を構え、ギリョウも再び攻撃を仕掛けるために駆け出す。下手に魔法で攻撃する事が出来なければ物理攻撃しか手段はないが、変幻自在に変身を行う鎧武者に接近するのも難しい。
「抜刀……ぬおっ!?」
「反動……うわっ!?」
『斬』
正面から向かってきたダンテとギリョウに対して鎧武者はデュランダルを振り上げ、土煙が舞う程の勢いで地面に叩きつける。直撃していればいくら盾で身を守ろうと無事では済まず、ダンテは仕方なくギリョウに視線を向けて頷く。
「行くぞ爺さん!!」
「頼むぞ若造が!!」
ダンテが盾をギリョウに向けて突き出すと、老体とは思えぬほどの身軽な動作でギリョウは盾の上に乗り込み、上空へ跳躍させる。単純に空を飛んで攻撃するだけでは先ほどのように鎧武者の「黒棘」がギリョウを狙われてしまうが、ダンテはもう片方の盾を振り翳す。
「おらぁっ!!」
「投げたっ!?」
鎧武者に向けてダンテはあろうことか盾を投擲し、ギリョウの姿を覆い隠す。鎧武者は盾で自分の攻撃を防ぐつもりかと判断したのか、デュランダルを構えて上空から降下する盾に目掛けて突き刺した。
『破壊……!?』
「甘いわっ!!」
だが、デュランダルの刃が空中の盾を捉える寸前、ギリョウは盾を踏み台にする事で突き出された刃の上に盾を滑走させ、まるで雪山を滑り降りるスノーボードのように盾を利用して至近距離まで迫る。ギリョウは腰に収めた刀に手を伸ばし、最大の一撃を放つ。
「居合一閃!!」
「やった!?」
鎧武者が反撃に移る前にギリョウが引き抜いた刀の刃が鎧武者の首筋に届き、刃が振り払われる。傍から見ればギリョウの刀が鎧武者の首を切ったように見えたが、ギリョウは手元の自分の感覚に違和感を覚えて目を見開く。
「これは……!?」
『回避……成功』
「うわぁっ!?な、何だこいつ……なんで首が切れたのに動いてんだ!?」
「これは……!?」
ギリョウの攻撃は鎧武者の首を切り裂いたかの様に思われたが、実際の所は首元の部分を変形させて凹ませる事で刃を回避したらしく、ギリョウが地面に着地するのと同時に鎧武者は首元を元に戻す。その光景を見てリーリスは違和感を覚えた。
「もしかして……」
「おい、何を呆けてやがる!!リーリス、お前も攻撃しやがれ!!」
「直接攻撃が駄目であれば……この魔法なら問題はないはず!!土塊!!」
『っ……!?』
ドリアが杖を地面に突きさし、初級魔法の土塊を発動させて鎧武者の足場の地面を隆起させ、体勢を崩す。その隙にギリョウは距離を取り、ついでに地面に落ちていた盾を拾い上げてダンテに放り投げる。
「ほれ、お主の盾じゃっ」
「おっとと……くそっ、盾が戻ってもどうすりゃいいんだこんな奴!!」
『変形終了……殲滅再開』
「……なるほど、そういう事ですか」
起き上がって再び戦闘体勢に入った鎧武者の姿を確認すると、リーリスはこれまでの鎧武者の行動パターンを思い返し、ある仮説を思い浮かべる。だが、この仮説が真実ならば鎧武者の弱点を発見したかもしれないが、それを証明するためにはもう一度だけ鎧武者を変形させる必要があった。
「皆さん!!今から私がありったけの爆薬を投げつけますから離れてください!!合図をしたら一斉に攻撃を仕掛けてくださいよ!!」
「ちょっと待て!!おい、何をする気だ!?」
「説明している暇なんてありませんよ!!ほら、とっておきの薬を喰らいなさい!!」
リーリスは白衣から複数の瓶を取り出すと勢いよく鎧武者に向けて投擲を行い、爆薬という言葉に慌ててダンテは盾を構え、ギリョウは彼の背後に移動し、ドリアは頭を伏せる。だが、会話を聞いていた鎧武者は空中に放り出された瓶に向けて腕を構えると今度は掌から「黒棘」を生み出す。
『爆破阻止……!?』
「引っ掛かりましたね!!このダボがぁっ!!」
「ダボ!?」
事前に爆発を防ぐ為に鎧を変形させて攻撃を仕掛けた鎧武者だが、リーリスが投げつけた薬瓶の中身は先ほど使用した火液ではなく、只の回復薬の液体が入っているだけだった。しかし、黒棘が突き出された瞬間にリーリスは駆け出し、鎧武者の掌から放たれた黒棘に向けて掌を突き出す。
「発勁!!」
『っ……!?』
次の瞬間、黒棘の側面部分に触れたリーリスの掌から衝撃が発生し、金属の表面に亀裂が誕生して瓦解してしまう。その光景に他の四天王達は驚愕するが、攻撃を仕掛けたリーリスは笑みを浮かべた。
「やはりそういう事でしたか……!!皆さん聞いて下さい!!どうやらこいつは自分の姿形を変形する際は鎧の硬度が変化するんです!!つまり、変形している間は防御力が落ちるんですよ!!」
「なんと……」
「そういう事ですか!!」
「あ!?ど、どういう意味だ!?」
リーリスの質問にギリョウとドリアは理解したのか感嘆の声を上げるが、いまいち説明が理解出来なかったダンテは戸惑いの表情を浮かべる。
「ではどうすればいいのですか!?」
「こいつ、尋常じゃない硬さだぞ!!魔法無しで破壊出来るのか!?」
「やるしかあるまい!!ダンテ、行くぞ!!」
『殲滅再開』
鎧武者に対してダンテは盾を構え、ギリョウも再び攻撃を仕掛けるために駆け出す。下手に魔法で攻撃する事が出来なければ物理攻撃しか手段はないが、変幻自在に変身を行う鎧武者に接近するのも難しい。
「抜刀……ぬおっ!?」
「反動……うわっ!?」
『斬』
正面から向かってきたダンテとギリョウに対して鎧武者はデュランダルを振り上げ、土煙が舞う程の勢いで地面に叩きつける。直撃していればいくら盾で身を守ろうと無事では済まず、ダンテは仕方なくギリョウに視線を向けて頷く。
「行くぞ爺さん!!」
「頼むぞ若造が!!」
ダンテが盾をギリョウに向けて突き出すと、老体とは思えぬほどの身軽な動作でギリョウは盾の上に乗り込み、上空へ跳躍させる。単純に空を飛んで攻撃するだけでは先ほどのように鎧武者の「黒棘」がギリョウを狙われてしまうが、ダンテはもう片方の盾を振り翳す。
「おらぁっ!!」
「投げたっ!?」
鎧武者に向けてダンテはあろうことか盾を投擲し、ギリョウの姿を覆い隠す。鎧武者は盾で自分の攻撃を防ぐつもりかと判断したのか、デュランダルを構えて上空から降下する盾に目掛けて突き刺した。
『破壊……!?』
「甘いわっ!!」
だが、デュランダルの刃が空中の盾を捉える寸前、ギリョウは盾を踏み台にする事で突き出された刃の上に盾を滑走させ、まるで雪山を滑り降りるスノーボードのように盾を利用して至近距離まで迫る。ギリョウは腰に収めた刀に手を伸ばし、最大の一撃を放つ。
「居合一閃!!」
「やった!?」
鎧武者が反撃に移る前にギリョウが引き抜いた刀の刃が鎧武者の首筋に届き、刃が振り払われる。傍から見ればギリョウの刀が鎧武者の首を切ったように見えたが、ギリョウは手元の自分の感覚に違和感を覚えて目を見開く。
「これは……!?」
『回避……成功』
「うわぁっ!?な、何だこいつ……なんで首が切れたのに動いてんだ!?」
「これは……!?」
ギリョウの攻撃は鎧武者の首を切り裂いたかの様に思われたが、実際の所は首元の部分を変形させて凹ませる事で刃を回避したらしく、ギリョウが地面に着地するのと同時に鎧武者は首元を元に戻す。その光景を見てリーリスは違和感を覚えた。
「もしかして……」
「おい、何を呆けてやがる!!リーリス、お前も攻撃しやがれ!!」
「直接攻撃が駄目であれば……この魔法なら問題はないはず!!土塊!!」
『っ……!?』
ドリアが杖を地面に突きさし、初級魔法の土塊を発動させて鎧武者の足場の地面を隆起させ、体勢を崩す。その隙にギリョウは距離を取り、ついでに地面に落ちていた盾を拾い上げてダンテに放り投げる。
「ほれ、お主の盾じゃっ」
「おっとと……くそっ、盾が戻ってもどうすりゃいいんだこんな奴!!」
『変形終了……殲滅再開』
「……なるほど、そういう事ですか」
起き上がって再び戦闘体勢に入った鎧武者の姿を確認すると、リーリスはこれまでの鎧武者の行動パターンを思い返し、ある仮説を思い浮かべる。だが、この仮説が真実ならば鎧武者の弱点を発見したかもしれないが、それを証明するためにはもう一度だけ鎧武者を変形させる必要があった。
「皆さん!!今から私がありったけの爆薬を投げつけますから離れてください!!合図をしたら一斉に攻撃を仕掛けてくださいよ!!」
「ちょっと待て!!おい、何をする気だ!?」
「説明している暇なんてありませんよ!!ほら、とっておきの薬を喰らいなさい!!」
リーリスは白衣から複数の瓶を取り出すと勢いよく鎧武者に向けて投擲を行い、爆薬という言葉に慌ててダンテは盾を構え、ギリョウは彼の背後に移動し、ドリアは頭を伏せる。だが、会話を聞いていた鎧武者は空中に放り出された瓶に向けて腕を構えると今度は掌から「黒棘」を生み出す。
『爆破阻止……!?』
「引っ掛かりましたね!!このダボがぁっ!!」
「ダボ!?」
事前に爆発を防ぐ為に鎧を変形させて攻撃を仕掛けた鎧武者だが、リーリスが投げつけた薬瓶の中身は先ほど使用した火液ではなく、只の回復薬の液体が入っているだけだった。しかし、黒棘が突き出された瞬間にリーリスは駆け出し、鎧武者の掌から放たれた黒棘に向けて掌を突き出す。
「発勁!!」
『っ……!?』
次の瞬間、黒棘の側面部分に触れたリーリスの掌から衝撃が発生し、金属の表面に亀裂が誕生して瓦解してしまう。その光景に他の四天王達は驚愕するが、攻撃を仕掛けたリーリスは笑みを浮かべた。
「やはりそういう事でしたか……!!皆さん聞いて下さい!!どうやらこいつは自分の姿形を変形する際は鎧の硬度が変化するんです!!つまり、変形している間は防御力が落ちるんですよ!!」
「なんと……」
「そういう事ですか!!」
「あ!?ど、どういう意味だ!?」
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