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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
四天王の底力
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「ちょ、何やってるんですかダンテさん!!盾役の貴方が私達を守らないと後方支援も出来ないんですよ!?」
「う、うるせえっ……何だこいつの力!?」
『破壊』
「いかん!!逃げろダンテ!!」
地面に倒れたダンテに向かって鎧武者は跳躍し、そのまま押しつぶそうと両脚を突き出す。それを見たギリョウが注意すると、ダンテは咄嗟に反鏡盾を構えた。
「受け流し!!」
『っ……!?』
「おおっ!!」
ダンテの盾に鎧武者が触れた瞬間、別方向に力を受け流して押しつぶされる事には成功した。鎧武者はそのまま地面の中にめり込み、その隙にダンテは起き上がって痛む身体に耐えながら戦技を発動させる。
「喰らいやがれ!!突貫!!」
『防御体勢』
体当たりの要領で大盾を構えながら突っ込んできたダンテに対して鎧武者は腕の形状を変化させ、ダンテが所有する反鏡盾よりも大きな盾を生み出す。盾同士が接触して金属音が鳴り響くが、鎧武者はびくともせず逆にダンテの方が身体を痺れさせてしまう。
「か、硬い……!?」
「下がれダンテ!!その首、もらい受ける!!」
ダンテの背後からギリョウが駆け出し、松葉杖に仕込んでいた刃を引き抜くと、上空に跳躍して鎧武者の頭部を狙う。だが、それを予期していたかの様に鎧武者は顔を上げると、頭部の兜から「黒棘」を生み出し、ギリョウの腹部に向けて放つ。
『反撃』
「ぬうっ!?」
「させませんよ!!風圧!!」
咄嗟にリーリスは初級魔法を発動させて空中のギリョウを吹き飛ばし、黒棘からの攻撃を回避させた。ギリョウは軽い衝撃を受けたが無事に地面に着地する事に成功し、リーリスに礼を言う。
「ふうっ……助かったぞリーリス」
「お礼は後ですよ。今はこいつをどうにかしないと……!!」
「皆さん下がって下さい!!ダンテさんは盾で身を守ってください!!」
「お、おうっ!!」
ドリアが前に飛び出すと杖を構え、自分の最大級の攻撃魔法を発動させる準備を行う。杖の先端に魔法陣を展開させると、照準を鎧武者ではなく上空に構えて魔法を放つ。
「サンダーボルト!!」
『っ……!!』
「うおおっ!?」
上空に放たれた雷属性の魔法の雷撃が空中で軌道を変更し、本物の雷のように降り注ぐ。通常の砲撃魔法よりも更に上位に存在する「広域魔法」を発動させたドリアは全身から汗を流すが、攻撃を続けた。彼はルノを除けば帝国一の魔術師である事に変わりはなく、鎧武者の肉体に高圧電流が流れ込む。
「ど、どうですか……!?」
「……動きませんね」
「死んだのか?」
電撃を浴びて全身から煙を放つ鎧武者に全員が視線を向けると、しばらくの間は反応を見せずに全身から電流を迸らせる。中身に人間が存在した場合は無事では済まないはずだが、鎧武者がこの程度で死んだとは思えなかった。
『魔法吸収、蓄積完了』
「ちっ!!まだ生きてやがるか!!」
「だが、動作が鈍いぞ!!確実に魔法が効いておる!!」
「いや、これは……まさか!?」
ドリアの魔法を受けて鎧武者の動作は明らかに鈍り、ギリョウは相手が負傷したと考えたが、その様子を見たリーリスは嫌な予感を覚えてドリアに指示する。
「ドリアさん逃げてください!!こいつが何かを仕出かす前に!!」
「えっ!?」
『反撃開始……発射』
「何っ!?」
鎧武者の全身に迸っていた電流が左腕に集まり、腕の形を変形させて「大砲」を想像させる筒状に変化させると、ドリアに目掛けて電撃を放つ。咄嗟にドリアは杖を前にして防御しようとしたが、その前にリーリスが駆け出して彼の身体に抱き着いて地面に伏せた。
「危ない!!」
「うわぁっ!?」
「リーリス!!ドリア!!」
寸前でリーリスがドリアを庇った事で直撃は避けられたが、砲口から放出された光線が城壁を貫通し、遥か前方まで届く。その威力はドリアの先ほどの「サンダーボルト」の比ではなく、大理石製の壁を溶解させ、前方100メートルの物体を焼き尽くす。
そのあまりにも馬鹿げた威力にリーリス達は背筋を震わせ、もしもドリアが直撃していたら死亡していた事は間違いない。魔術師は魔法に対する耐性も高いが、竜種の吐息にも匹敵すると思われる威力の砲撃に耐えきれるはずがない。
『放電終了』
「こ、こいつ……なんて馬鹿げた威力の魔法を」
「信じられん……このような魔法が存在するのか?」
「ち、違います!!あんなのは魔法なんかじゃない、雷属性の魔力を放出したに過ぎません!!」
「ですけど原理は砲撃魔法と一緒です……恐らく、ドリアさんの魔法を吸収して攻撃範囲を狭める事で威力を上昇させたんです。分かりやすく言えば水鉄砲と同じ原理で収納した水を一か所に集中的に放出させたんですよ」
「分かりやすいのか分かりにくいのかよく分からねえ例えをありがとうよ!!それでどうすりゃいいんだ!?」
既に戦闘体勢に戻りつつある鎧武者を見て四天王達は戦慄し、ここまでの力の差を感じさせる相手などルノ以来である。しかもルノと違って相手は完全にリーリス達を殺す気で動いているため、一瞬も油断できない。
「う、うるせえっ……何だこいつの力!?」
『破壊』
「いかん!!逃げろダンテ!!」
地面に倒れたダンテに向かって鎧武者は跳躍し、そのまま押しつぶそうと両脚を突き出す。それを見たギリョウが注意すると、ダンテは咄嗟に反鏡盾を構えた。
「受け流し!!」
『っ……!?』
「おおっ!!」
ダンテの盾に鎧武者が触れた瞬間、別方向に力を受け流して押しつぶされる事には成功した。鎧武者はそのまま地面の中にめり込み、その隙にダンテは起き上がって痛む身体に耐えながら戦技を発動させる。
「喰らいやがれ!!突貫!!」
『防御体勢』
体当たりの要領で大盾を構えながら突っ込んできたダンテに対して鎧武者は腕の形状を変化させ、ダンテが所有する反鏡盾よりも大きな盾を生み出す。盾同士が接触して金属音が鳴り響くが、鎧武者はびくともせず逆にダンテの方が身体を痺れさせてしまう。
「か、硬い……!?」
「下がれダンテ!!その首、もらい受ける!!」
ダンテの背後からギリョウが駆け出し、松葉杖に仕込んでいた刃を引き抜くと、上空に跳躍して鎧武者の頭部を狙う。だが、それを予期していたかの様に鎧武者は顔を上げると、頭部の兜から「黒棘」を生み出し、ギリョウの腹部に向けて放つ。
『反撃』
「ぬうっ!?」
「させませんよ!!風圧!!」
咄嗟にリーリスは初級魔法を発動させて空中のギリョウを吹き飛ばし、黒棘からの攻撃を回避させた。ギリョウは軽い衝撃を受けたが無事に地面に着地する事に成功し、リーリスに礼を言う。
「ふうっ……助かったぞリーリス」
「お礼は後ですよ。今はこいつをどうにかしないと……!!」
「皆さん下がって下さい!!ダンテさんは盾で身を守ってください!!」
「お、おうっ!!」
ドリアが前に飛び出すと杖を構え、自分の最大級の攻撃魔法を発動させる準備を行う。杖の先端に魔法陣を展開させると、照準を鎧武者ではなく上空に構えて魔法を放つ。
「サンダーボルト!!」
『っ……!!』
「うおおっ!?」
上空に放たれた雷属性の魔法の雷撃が空中で軌道を変更し、本物の雷のように降り注ぐ。通常の砲撃魔法よりも更に上位に存在する「広域魔法」を発動させたドリアは全身から汗を流すが、攻撃を続けた。彼はルノを除けば帝国一の魔術師である事に変わりはなく、鎧武者の肉体に高圧電流が流れ込む。
「ど、どうですか……!?」
「……動きませんね」
「死んだのか?」
電撃を浴びて全身から煙を放つ鎧武者に全員が視線を向けると、しばらくの間は反応を見せずに全身から電流を迸らせる。中身に人間が存在した場合は無事では済まないはずだが、鎧武者がこの程度で死んだとは思えなかった。
『魔法吸収、蓄積完了』
「ちっ!!まだ生きてやがるか!!」
「だが、動作が鈍いぞ!!確実に魔法が効いておる!!」
「いや、これは……まさか!?」
ドリアの魔法を受けて鎧武者の動作は明らかに鈍り、ギリョウは相手が負傷したと考えたが、その様子を見たリーリスは嫌な予感を覚えてドリアに指示する。
「ドリアさん逃げてください!!こいつが何かを仕出かす前に!!」
「えっ!?」
『反撃開始……発射』
「何っ!?」
鎧武者の全身に迸っていた電流が左腕に集まり、腕の形を変形させて「大砲」を想像させる筒状に変化させると、ドリアに目掛けて電撃を放つ。咄嗟にドリアは杖を前にして防御しようとしたが、その前にリーリスが駆け出して彼の身体に抱き着いて地面に伏せた。
「危ない!!」
「うわぁっ!?」
「リーリス!!ドリア!!」
寸前でリーリスがドリアを庇った事で直撃は避けられたが、砲口から放出された光線が城壁を貫通し、遥か前方まで届く。その威力はドリアの先ほどの「サンダーボルト」の比ではなく、大理石製の壁を溶解させ、前方100メートルの物体を焼き尽くす。
そのあまりにも馬鹿げた威力にリーリス達は背筋を震わせ、もしもドリアが直撃していたら死亡していた事は間違いない。魔術師は魔法に対する耐性も高いが、竜種の吐息にも匹敵すると思われる威力の砲撃に耐えきれるはずがない。
『放電終了』
「こ、こいつ……なんて馬鹿げた威力の魔法を」
「信じられん……このような魔法が存在するのか?」
「ち、違います!!あんなのは魔法なんかじゃない、雷属性の魔力を放出したに過ぎません!!」
「ですけど原理は砲撃魔法と一緒です……恐らく、ドリアさんの魔法を吸収して攻撃範囲を狭める事で威力を上昇させたんです。分かりやすく言えば水鉄砲と同じ原理で収納した水を一か所に集中的に放出させたんですよ」
「分かりやすいのか分かりにくいのかよく分からねえ例えをありがとうよ!!それでどうすりゃいいんだ!?」
既に戦闘体勢に戻りつつある鎧武者を見て四天王達は戦慄し、ここまでの力の差を感じさせる相手などルノ以来である。しかもルノと違って相手は完全にリーリス達を殺す気で動いているため、一瞬も油断できない。
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