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巨人国 侵攻編
金属生物の弱点
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「喰らえっ!!黒炎槍!!」
『防御……!?』
ルノは両手を突き出した瞬間、黒色の炎が放たれ、最早「槍」というよりは熱線のように変化して魔王ニ式の巨体を飲み込む。あまりの威力に魔王ニ式は壁際まで追い詰められ、遂には壁を破壊して外部へと飛び出す。
「ぬおおおっ!?」
「な、何だってんだい!?」
「熱いっ!?あっつい!!」
「……サムカガード」
「ちょっと!?あたしを盾にするんじゃないよ!!寒いのはともかく、熱いのはあたしも駄目なんだよ!?」
黒炎槍の熱波が室内に広がった事でリディア達にも影響を受けたが、今は彼女達に気付かう余裕はないのでルノは真っ先に壁に出来た大穴に向けて飛び込み、城の中庭に飛び出した魔王ニ式を発見する。幸いな事に周囲の兵士や使用人の姿は見えず、クズノが事前に大量の兵士を洗脳してルノ達の元へ向かわせていた事が結果的に功を奏したのかもしれない。
『損傷……高熱反応』
「まだまだ!!」
全身から煙と熱気を放ちながら起き上がろうとした魔王ニ式に対し、更にルノは攻撃を仕掛けるために両手を合わせ、今度は空の上から無数の白色の雷を放つ。
「白雷!!」
『電撃……!?』
上空から複数の白雷が魔王ニ式を狙い撃ち、咄嗟に魔王ニ式は大太刀を上空に構えるがその程度では全ての電撃を防御出来るはずがなく、熱した身体に更に電流を受けてしまう。それでも鎧自体には傷一つなく、高熱を帯びた事で足元の雑草が燃え始める。
(熱で溶かすのは難しいか……だけど、やっぱりこいつは魔法で反撃する事は出来ないんだ!!)
前回の魔王ならば魔法を受けた時点で反撃を行っているはずだが、魔王ニ式は吸収した魔法の力を攻撃に利用する様子はなく、それどころか明らかに攻撃の影響を受けていた。どうやら大太刀以外の部分の金属は魔法を吸収する能力さえも存在しないのか、高熱を帯びた状態のまま元に戻る様子も見せない。
(一気に畳みかけろ!!)
相手が魔法を反撃に利用できないのであれば躊躇する必要はなく、ルノは足元に氷板を生み出して空中に滞空すると、魔王ニ式の周囲を飛び回るように移動を行う。巨体であるが故に魔王ニ式の速度はそれほど早いとは言えず、油断しなければ攻撃を受ける心配はない。
「氷塊!!」
ルノは移動の最中に氷塊の鎖を生み出し、再び魔王ニ式を拘束するために放つ。だが、今回は魔王ニ式も大太刀を構えると反撃に転じた。
『回転!!』
「うわっ……ベーゴマみたいな技だな」
大太刀を構えた状態で魔王ニ式はその場を回転し、迫りくる鎖を全て振り払う。回転する度にどうやら威力が増すらしく、魔王ニ式はコマのように回転しながら身体の熱を振りはらい、更にルノに接近する。
『追跡!!』
「おっと……その技、足元が弱点じゃないの?」
移動の最中にルノは地面に向けて掌を伸ばし、土塊の魔法を発動させて魔王ニ式の足元の土砂を盛り上がらせると、体勢を崩した魔王ニ式は背中から転んでしまう。
『転倒……!?』
「だああっ!!」
転倒した瞬間に魔王ニ式に向けてルノは上空に無数の「火球」を生み出し、次々と放つ。1発1発の威力は弱くとも連続で撃ち続ければ火力は増し、折角冷えた魔王ニ式の肉体に高熱が再び帯びる。
『高温反応……脱出』
「まだまだ!!」
魔王ニ式は逃れようとしたがルノは逃がすはずもなく、今度は両手を上げて特大の火球を生み出すと魔王ニ式に放つ。中庭に火柱が立ち上がり、魔王ニ式の巨体が炎に飲み込まれた。
『高熱……反撃、不可……!?』
「ここだっ!!」
ルノは魔王ニ式の肉体が十分に加熱した事を悟ると、今度こそ氷塊の魔法で生み出した氷鎖で魔王ニ式の全身を拘束し、更に地面へ固定させる。完全に逃げ場を失った魔王ニ式に対してルノは両腕を構え、上空へと移動して最後の攻撃を行う。
「喰らえっ……とっておきだぁっ!!」
『っ……!?』
両腕を合わせた状態でルノは風圧の魔法と水属性の魔力を組み合わせたオリジナルの魔法を発動させ、強化スキル「暴風」と「絶対零度」の効果によって最大限にまで威力を強化された「冷気の竜巻」を放つ。竜種の吐息を想像させる程の出力で放たれた竜巻が地面に拘束された魔王ニ式に放たれ、全身に冷気が流し込まれる。
『冷気、暴風……肉体、崩壊……ああっ!?』
「壊れろぉおおっ!!」
初めて感情らしき言葉を発した魔王ニ式の肉体に亀裂が生じ、あれほどルノの氷塊の魔法攻撃を受けても傷一つ受けなかった金属の身体だが、超高熱を帯びた状態で急激に覚まされた事による急激な温度変化には耐え切れずに全身に罅割れが生じてしまう。そして硬い物ほど砕けやすい物はなく、ルノは止めの一撃を刺すために上空で特大の「拳骨」の形状をした氷塊を生み出す。
「砕けろぉおおおっ!!」
『防御、回避……不可ぁああああっ!?』
拳の形をした巨大な氷塊が魔王ニ式に叩き込まれ、中庭内に金属が砕ける轟音が鳴り響いた――
『防御……!?』
ルノは両手を突き出した瞬間、黒色の炎が放たれ、最早「槍」というよりは熱線のように変化して魔王ニ式の巨体を飲み込む。あまりの威力に魔王ニ式は壁際まで追い詰められ、遂には壁を破壊して外部へと飛び出す。
「ぬおおおっ!?」
「な、何だってんだい!?」
「熱いっ!?あっつい!!」
「……サムカガード」
「ちょっと!?あたしを盾にするんじゃないよ!!寒いのはともかく、熱いのはあたしも駄目なんだよ!?」
黒炎槍の熱波が室内に広がった事でリディア達にも影響を受けたが、今は彼女達に気付かう余裕はないのでルノは真っ先に壁に出来た大穴に向けて飛び込み、城の中庭に飛び出した魔王ニ式を発見する。幸いな事に周囲の兵士や使用人の姿は見えず、クズノが事前に大量の兵士を洗脳してルノ達の元へ向かわせていた事が結果的に功を奏したのかもしれない。
『損傷……高熱反応』
「まだまだ!!」
全身から煙と熱気を放ちながら起き上がろうとした魔王ニ式に対し、更にルノは攻撃を仕掛けるために両手を合わせ、今度は空の上から無数の白色の雷を放つ。
「白雷!!」
『電撃……!?』
上空から複数の白雷が魔王ニ式を狙い撃ち、咄嗟に魔王ニ式は大太刀を上空に構えるがその程度では全ての電撃を防御出来るはずがなく、熱した身体に更に電流を受けてしまう。それでも鎧自体には傷一つなく、高熱を帯びた事で足元の雑草が燃え始める。
(熱で溶かすのは難しいか……だけど、やっぱりこいつは魔法で反撃する事は出来ないんだ!!)
前回の魔王ならば魔法を受けた時点で反撃を行っているはずだが、魔王ニ式は吸収した魔法の力を攻撃に利用する様子はなく、それどころか明らかに攻撃の影響を受けていた。どうやら大太刀以外の部分の金属は魔法を吸収する能力さえも存在しないのか、高熱を帯びた状態のまま元に戻る様子も見せない。
(一気に畳みかけろ!!)
相手が魔法を反撃に利用できないのであれば躊躇する必要はなく、ルノは足元に氷板を生み出して空中に滞空すると、魔王ニ式の周囲を飛び回るように移動を行う。巨体であるが故に魔王ニ式の速度はそれほど早いとは言えず、油断しなければ攻撃を受ける心配はない。
「氷塊!!」
ルノは移動の最中に氷塊の鎖を生み出し、再び魔王ニ式を拘束するために放つ。だが、今回は魔王ニ式も大太刀を構えると反撃に転じた。
『回転!!』
「うわっ……ベーゴマみたいな技だな」
大太刀を構えた状態で魔王ニ式はその場を回転し、迫りくる鎖を全て振り払う。回転する度にどうやら威力が増すらしく、魔王ニ式はコマのように回転しながら身体の熱を振りはらい、更にルノに接近する。
『追跡!!』
「おっと……その技、足元が弱点じゃないの?」
移動の最中にルノは地面に向けて掌を伸ばし、土塊の魔法を発動させて魔王ニ式の足元の土砂を盛り上がらせると、体勢を崩した魔王ニ式は背中から転んでしまう。
『転倒……!?』
「だああっ!!」
転倒した瞬間に魔王ニ式に向けてルノは上空に無数の「火球」を生み出し、次々と放つ。1発1発の威力は弱くとも連続で撃ち続ければ火力は増し、折角冷えた魔王ニ式の肉体に高熱が再び帯びる。
『高温反応……脱出』
「まだまだ!!」
魔王ニ式は逃れようとしたがルノは逃がすはずもなく、今度は両手を上げて特大の火球を生み出すと魔王ニ式に放つ。中庭に火柱が立ち上がり、魔王ニ式の巨体が炎に飲み込まれた。
『高熱……反撃、不可……!?』
「ここだっ!!」
ルノは魔王ニ式の肉体が十分に加熱した事を悟ると、今度こそ氷塊の魔法で生み出した氷鎖で魔王ニ式の全身を拘束し、更に地面へ固定させる。完全に逃げ場を失った魔王ニ式に対してルノは両腕を構え、上空へと移動して最後の攻撃を行う。
「喰らえっ……とっておきだぁっ!!」
『っ……!?』
両腕を合わせた状態でルノは風圧の魔法と水属性の魔力を組み合わせたオリジナルの魔法を発動させ、強化スキル「暴風」と「絶対零度」の効果によって最大限にまで威力を強化された「冷気の竜巻」を放つ。竜種の吐息を想像させる程の出力で放たれた竜巻が地面に拘束された魔王ニ式に放たれ、全身に冷気が流し込まれる。
『冷気、暴風……肉体、崩壊……ああっ!?』
「壊れろぉおおっ!!」
初めて感情らしき言葉を発した魔王ニ式の肉体に亀裂が生じ、あれほどルノの氷塊の魔法攻撃を受けても傷一つ受けなかった金属の身体だが、超高熱を帯びた状態で急激に覚まされた事による急激な温度変化には耐え切れずに全身に罅割れが生じてしまう。そして硬い物ほど砕けやすい物はなく、ルノは止めの一撃を刺すために上空で特大の「拳骨」の形状をした氷塊を生み出す。
「砕けろぉおおおっ!!」
『防御、回避……不可ぁああああっ!?』
拳の形をした巨大な氷塊が魔王ニ式に叩き込まれ、中庭内に金属が砕ける轟音が鳴り響いた――
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