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巨人国 侵攻編
国王への直談判
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「うむ、確かに辻褄は合う話じゃが、それにしてもあのクズノが我等を裏切るとは……」
「俺はこいつらの言う事を信じますよリキ将軍、あのクズノという野郎は前々から怪しいと思っていたんだ……絶対に許さねえ!!」
「だが、捕まえるにしても証拠がなければ意味はないぞ。仮にクズノが魔王軍と呼ばれる組織を率いていたとしてもそれを証明する術がなければ意味がない」
ギルスとパワードはクズノが巨人国を裏切っているという話を信じ、コウも信じ難い話ではあるが自分達の命を救ってくれた恩人の言葉を疑う事も出来ず、3人の四柱将は話し合う。
「コウ将軍、我々はどうするべきですか?やはり、一度王都に戻って国王様にお話しするべきでは……」
「いや、理由も無しに戻ってくれば国王様も納得しないだろう。ここは儂一人が戻り、事の真偽を確かめてこよう。そうすれば最悪の場合は責任を負うのは儂だけで済む」
「何を水臭い事を言っているんですかコウ将軍!!こうなったら俺達も一緒に王都に戻りますよ!!証拠があろうとなかろうとクズノの奴をとっちめればいいんだ!!」
「待て待て、まだクズノが本当に彼等の言う魔王軍の人物とは限らん。まずは証拠を掴まなければいかん。すまないが、何かクズノが魔王軍と繋がりがある証拠は残っていないのか?」
「証拠ですか……」
コウの言葉にルノ達は顔を見合わせ、必然的にクズノの配下であったリディアに視線が集中する。彼女がクズノが魔王軍である事を証明すればいいのではないかとルノは考えるが、その考えを見通したようにリディアは首を振る。
「言っておくけど私があいつの正体を明かしても何の証拠にもならないわよ。そもそもこの国には私は訪れた事もないし、第一にあいつの部下だと言い張ってもこの国の奴等が信じてくれると思うの?」
「確かにそれだけでは信じられないな……きっと、赤の他人を使って自分を嵌めようとしていると言い張るだろう」
元部下であるリディアが証言したとしてもこの国では彼女の存在を知る者はいないため、証言したとしても信じてくれる保証はない。信憑性があるとすればクズノの策略によって巨人国と半ば強制的に手を結んだノーズ公爵の発言ならば信憑性はあるかもしれないが、生憎と現在の公爵は氷結化された状態で異空間に保管されているので話す事は出来ない。
ちなみに同行させていた公爵の私兵もこの場に存在するが、公爵以外にクズノと接触した人間は存在しないので証言は出来ず、そもそもただの兵士の証言だけでは信用されないだろう。ならば他にクズノが魔王軍と繋がっている物的証拠がないのか考えると、不意にルノは有る事を思いつく。
「あのさ、そもそも証拠がなければいけないのかな?」
「……えっ?どういう意味よ?」
「つまりさ、クズノの悪事を明かせばいいんでしょ?なら、まずはそのクズノを先に捕まえて今まで関わってきた人たちを呼び寄せてクズノの悪事を証明させればいいんじゃないの?」
「あんた、またとんでもない事を言い出したわね」
「でも、その方法が一番手っ取り早い」
「賛成だ!!それなら俺の手で捕まえてやる!!」
「ま、待ってくれ!!他に方法はないのか!?」
力尽くで先にクズノを確保し、彼の悪事を暴こうとするルノ達に対してパワードは賛同するが、ギルスとコウが慌てて止める。
「確かにクズノの奴が其方たちの言う通りの男ならば問題はないだろうが、もしもクズノが其方たちの知る人物とは別人だった場合はどうするのだ?その場合は何の罪もない人間を痛めつける事になるのだぞ?」
「その通りだ!!第一にクズノを捕まえるにしてもそんな簡単は方法ではない、奴は常に国王様の傍に控えている。捕縛するにしても国王様になんと説明すればいいのか……」
「うむ……証拠がない状態で奴を捕まえたとしても国王様はお許しにならないだろう。下手をすれば我等は敵国の人間を招き寄せた大罪人として処罰を受けるかもしれん」
無理やりにクズノを捕まえようとしても彼を信頼している国王がそれを許すはずがなく、証拠がない時点ではクズノの捕縛は不可能だとギルスとコウは説得を行い、どうにか力尽くで捕まえる事を止めようとした。だが、これ以上に無駄に時間を掛け過ぎるとクズノが何を仕出かすのか分からず、あまり悠長に長居は出来ない。
「あの、気になる事があるんですけどクズノという人はこの国にずっと滞在しているんですか?」
「いや、奴はあまり人前に姿を見せない。我等の前に顔を出すときは必ず国王様の傍に控えている時だけだった。今回の侵攻作戦に関してもクズノが事前に国王様に内容を話し、その案を我々に伝えてきただけですぐに姿を消してしまった」
「……今更だが、確かに考えてみれば色々と謎の多い人物じゃな。どうしてあんな怪しい男が国王様に気に入られているのかが分からん」
クズノに関する情報を話している途中でコウは眉をしかめ、そもそもどのような経緯でクズノが巨人国の国王に仕える事になったのか分からず、違和感を抱く。
「俺はこいつらの言う事を信じますよリキ将軍、あのクズノという野郎は前々から怪しいと思っていたんだ……絶対に許さねえ!!」
「だが、捕まえるにしても証拠がなければ意味はないぞ。仮にクズノが魔王軍と呼ばれる組織を率いていたとしてもそれを証明する術がなければ意味がない」
ギルスとパワードはクズノが巨人国を裏切っているという話を信じ、コウも信じ難い話ではあるが自分達の命を救ってくれた恩人の言葉を疑う事も出来ず、3人の四柱将は話し合う。
「コウ将軍、我々はどうするべきですか?やはり、一度王都に戻って国王様にお話しするべきでは……」
「いや、理由も無しに戻ってくれば国王様も納得しないだろう。ここは儂一人が戻り、事の真偽を確かめてこよう。そうすれば最悪の場合は責任を負うのは儂だけで済む」
「何を水臭い事を言っているんですかコウ将軍!!こうなったら俺達も一緒に王都に戻りますよ!!証拠があろうとなかろうとクズノの奴をとっちめればいいんだ!!」
「待て待て、まだクズノが本当に彼等の言う魔王軍の人物とは限らん。まずは証拠を掴まなければいかん。すまないが、何かクズノが魔王軍と繋がりがある証拠は残っていないのか?」
「証拠ですか……」
コウの言葉にルノ達は顔を見合わせ、必然的にクズノの配下であったリディアに視線が集中する。彼女がクズノが魔王軍である事を証明すればいいのではないかとルノは考えるが、その考えを見通したようにリディアは首を振る。
「言っておくけど私があいつの正体を明かしても何の証拠にもならないわよ。そもそもこの国には私は訪れた事もないし、第一にあいつの部下だと言い張ってもこの国の奴等が信じてくれると思うの?」
「確かにそれだけでは信じられないな……きっと、赤の他人を使って自分を嵌めようとしていると言い張るだろう」
元部下であるリディアが証言したとしてもこの国では彼女の存在を知る者はいないため、証言したとしても信じてくれる保証はない。信憑性があるとすればクズノの策略によって巨人国と半ば強制的に手を結んだノーズ公爵の発言ならば信憑性はあるかもしれないが、生憎と現在の公爵は氷結化された状態で異空間に保管されているので話す事は出来ない。
ちなみに同行させていた公爵の私兵もこの場に存在するが、公爵以外にクズノと接触した人間は存在しないので証言は出来ず、そもそもただの兵士の証言だけでは信用されないだろう。ならば他にクズノが魔王軍と繋がっている物的証拠がないのか考えると、不意にルノは有る事を思いつく。
「あのさ、そもそも証拠がなければいけないのかな?」
「……えっ?どういう意味よ?」
「つまりさ、クズノの悪事を明かせばいいんでしょ?なら、まずはそのクズノを先に捕まえて今まで関わってきた人たちを呼び寄せてクズノの悪事を証明させればいいんじゃないの?」
「あんた、またとんでもない事を言い出したわね」
「でも、その方法が一番手っ取り早い」
「賛成だ!!それなら俺の手で捕まえてやる!!」
「ま、待ってくれ!!他に方法はないのか!?」
力尽くで先にクズノを確保し、彼の悪事を暴こうとするルノ達に対してパワードは賛同するが、ギルスとコウが慌てて止める。
「確かにクズノの奴が其方たちの言う通りの男ならば問題はないだろうが、もしもクズノが其方たちの知る人物とは別人だった場合はどうするのだ?その場合は何の罪もない人間を痛めつける事になるのだぞ?」
「その通りだ!!第一にクズノを捕まえるにしてもそんな簡単は方法ではない、奴は常に国王様の傍に控えている。捕縛するにしても国王様になんと説明すればいいのか……」
「うむ……証拠がない状態で奴を捕まえたとしても国王様はお許しにならないだろう。下手をすれば我等は敵国の人間を招き寄せた大罪人として処罰を受けるかもしれん」
無理やりにクズノを捕まえようとしても彼を信頼している国王がそれを許すはずがなく、証拠がない時点ではクズノの捕縛は不可能だとギルスとコウは説得を行い、どうにか力尽くで捕まえる事を止めようとした。だが、これ以上に無駄に時間を掛け過ぎるとクズノが何を仕出かすのか分からず、あまり悠長に長居は出来ない。
「あの、気になる事があるんですけどクズノという人はこの国にずっと滞在しているんですか?」
「いや、奴はあまり人前に姿を見せない。我等の前に顔を出すときは必ず国王様の傍に控えている時だけだった。今回の侵攻作戦に関してもクズノが事前に国王様に内容を話し、その案を我々に伝えてきただけですぐに姿を消してしまった」
「……今更だが、確かに考えてみれば色々と謎の多い人物じゃな。どうしてあんな怪しい男が国王様に気に入られているのかが分からん」
クズノに関する情報を話している途中でコウは眉をしかめ、そもそもどのような経緯でクズノが巨人国の国王に仕える事になったのか分からず、違和感を抱く。
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