最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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巨人国 侵攻編

いざ、巨人国へ

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「あ、そうだ……すいませんけど実はノーズ公爵の私兵も捕らえているんですけど、その人達はここに置いてきていいですか?」
「公爵の?どうしてまた……ああ、そういえばさっきノーズ公爵が巨人国と繋がっていたとか言っていたね。別に構わないよ。人数はどのくらいだい?」
「えっと……」
「……1000人ぐらい」
「なら、問題ないね。いいよ、うちの兵士共に見張らせておこう」


ルノの言葉にサムカはあっさりと受け入れ、別の氷飛行機に隔離していた公爵の私兵は一時的にサムカの兵士達に預かってもらう事になった。丁度人手が足りなかったらしく、戻ってくるまでの間は雑用として彼等にも働いてもらう。


「じゃあ、お願いします。あ、それと回収しておいた物資も一緒に渡しておきますね」
「へえ、それは助かるね。うちも余裕があるわけじゃないから有難いよ。最近じゃ碌な物資も送り込まれないからね」


公爵の屋敷で回収しておいた余分な物資を渡すとサムカは素直に喜ぶ。このような環境下では生物も住みにくく、常にホクヘキ山脈では食料不足に苛まれていた。定期的に帝国領地から援助物資は送られてくるが、最近では何故かそれも減ってしまい、農作物も育ちにくい環境なので仕方なくサムカ達は狩猟を行って生活を過ごしていたという。


「……もしかしたらサムカの方に支援物資が送り込まれたかった理由もノーズ公爵が関わっているかもしれない。基本的に物資を送り込む役目は北方領地を治めるノーズ公爵に一任されているはず」
「何だって!?あの髭め……今度あったら自慢の髭を根こそぎ引き抜いてやる!!」
「それはちょっと……せめて頭を丸刈りにするぐらいで許してあげた方が……」
「いや、どっちもどっちよ」


ホクヘキ山脈を守護する守備兵に物資が送り込まれなかった理由もノーズ公爵が関与している事葉間違いなく、このと事から公爵は巨人国の軍隊を引き寄せるだけではなく、内側から帝国を崩壊させようとしていた事は間違いない。もしもノーズ公爵以外にも魔王軍と繋がっている貴族が存在した場合、厄介な事になる。

早急に巨人国の軍隊を送り込んだ後は帝都へ帰還して魔王軍の対策を話し合う必要があり、ルノは方角を確かめて巨人国へ向けて出発した。


「よし、全速力で行くよ!!Gに気を付けて!!」
「ちょ、またこのパターンなの!?」
「……(黙ってシートベルトを付ける)」
「ま、待ってくれ!!これ以上に速度を上げられたら我々の身体が持たなっ……!!」
「G?一体何の話……うわぁっ!?」


氷飛行機の速度が最大加速を迎えた瞬間、登場している者達に強烈なGが襲い掛かり、身体が押しつぶされるのではないかという程に強烈な圧力が襲い掛かる。一刻も早く帝都へ戻るためにルノは氷飛行機を巨人国の領地にまで移動させる――






――その一方、帝都の方では帰国したリーリス達が無事に白原から戻って来た国王達と再会し、無事に完治したジャンヌを見て皇帝は大粒の涙を流しながら彼女を抱きかかえる。


「おおっ……!!我がジャンヌよ、よくぞ生きていてくれた!!」
「ち、父上……お気持ちは嬉しいのですが、少し恥ずかしいです」


人目もはばからずに皇帝はジャンヌを抱きしめ、涙を流し続ける。その光景に王城に残っていた先帝は微笑ましい視線を向け、他の帝国四天王達も笑顔を浮かべる。彼等全員が無事に病を完治させたジャンヌを見て嬉しく思い、皇帝はジャンヌの病を治したリーリスに感謝した。


「リーリス、よくやったぞ!!お主こそが帝国一の……いや、世界一の薬師だ!!よくぞ娘の呪毒を治してくれた!!」
「いや、私は調合本を頼りに治療しただけなんですけどね……それにユニコーンを捕まえたのはこのナオさんのお陰ですよ」
「おお、そうなのか!!ナオ殿、貴殿にも感謝の印として褒美を与えよう。望む物ならばどんな物でも用意するぞ!!」
「えっ?」
「これこれ、弟よ。いくらジャンヌが治ったからと言って興奮しすぎではないか?」


皇帝の言葉にナオは驚き、そんな彼の発言に対して先帝が落ち着かせるように肩を掴む。いくら相手がジャンヌの命の恩人とはいえ、他国の人間に対して迂闊に望む褒美を与えると言い渡すのは問題がある。だが、ナオがいなければジャンヌを救い出す事は出来なかったのは事実のため、ジャンヌも皇帝に進言する。


「お父様、私が病が治ったのはここにいるリーリスとナオ様、そして現在は用事で出かけているルノ様のお陰です」
「おお、やはりルノ殿も関わっていたか!!うむ、ではこうしよう。3人が望む褒美を尋ね、その願いの叶えられる範囲の褒美を与えるのはどうだろうか?」
「ああ、それはいいですね。なら私は魔道具開発部門の予算を上げてください。3倍増しぐらいで」
「う、うむ……」
「リーリス……いや、まあ、その程度ならば構わんが」


あっさりと褒美の権利を行使して即座に自分の担当する開発部門の予算を上げるリーリスに対して全員が何とも言えない表情を抱くが、皇帝が宣言した以上は誰も文句は言えない。
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