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巨人国 侵攻編
不死病の治療方法
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「リーリス、その子の治療法は見つかった?」
「ちょっと待ってください。確かこの辺に不死病に関しての資料が記されているはずですけど……ああ、ありました。流石は伝説の薬師が残した調合本ですね」
「治療法があるのですか!?」
「あううっ……!?」
皆が話し合っている間、リーリスは調合本を調べて「不死病」に関しての情報を記された項目を発見し、その内容を見て頷く。
「ふむふむ……どうもこの資料によると不死病は病ではなく、体内に入り込んだ寄生虫が肉体を狂わせているようですね」
「えっ!?寄生虫!?」
「そんな生物まで居るのこの世界!?」
「きせいちゅう……?」
寄生虫という言葉にルノとナオは驚いたが、こちらの世界の人間には聞き慣れない単語らしく、仕方なくリーリスは分かりやすく説明を行う。
「他の生物に寄生する事で生きる生物みたいな物です。その子の身体の原因はどうやら体の中に悪い生物が入っているという事ですね」
「うあっ……!?」
「リーリス、この子が怯えています!!言葉を選んでください!!」
自分の体の中に得体の知れない生き物が住み着いているという事実を知ったミリアは怯えるが、そんな彼女に大してリーリスは声を伏せて他の者に伝える。
「落ち着いて下さい。その寄生虫というのは別に体に害を与えるばかりの悪い生物じゃないんです。定期的に血を補給し、肌を腐敗化させますが代わりに他の病気に対する免疫力や肉体の身体能力を限界まで向上させる能力を持っています」
「そうなの?」
「ですがこのまま放置するわけにはいきません。このままの状態でも定期的に血液を補給すれば生きられますが、寄生虫が成長するといずれ体外に脱出しようとします。そんな事になれば……」
「……この子の命が危ない?」
「そういう事です。しかも寄生虫が育ち切るのは1年前後……まだ猶予はありますが、寄生虫が完全に育ち切るまでに駆除する必要があります」
「そんな……」
病気の類ならばともかく、体内に潜む寄生虫を始末するとなると非常に厄介な問題となり、調合本によると完全に成長する前に手術で寄生虫を摘出するしかないと記されていた。
「寄生虫を殺すには手術で体外に引き剥がさなければなりません。でも、残念ながらここにはその器具がありません。帝都の私の研究室なら機材はありますが……」
「なら、帝都へ戻れば治せるの?」
「いえ、問題は他にもあります。この寄生虫が体内の何処に隠れているのか正確に見抜いて手術しなければなりません。もしも違う箇所を切り開いたら間者に悪影響を与えます」
「でも、そんな事をどうやって調べるの?」
「そこまでは調合本にも記されてないんですよ。どうやら伝説の薬師でも絶対安全に治せる類の病ではなかったから今の時代でも不治の病として知れ渡っているようです」
頼みの綱の調合本ですらも寄生虫を完全に除去する方法は記されておらず、子供の身体に手術を行う事自体が大きな負担になるため、治療を行う際には慎重に動かなければならない。どうにか寄生虫が存在する位置を確認出来ればリーリスでも治せるらしいが、その方法が現状ではない。
巨人国軍の動きも気になるが、ミリアの治療に関しても優先しなければならず、色々と考えた末にルノはナオに頼んでリーリスとジャンヌとミリアを送り届けるように依頼した。
「ナオ君、悪いけど帝都へ3人を連れて行ってくれる?軍隊と公爵の方は俺が何とかするから」
「えっ!?でも、いくらルノ君でも軍隊を相手にするのは……」
「いや、問題ないでしょ。火竜さえもぶっ殺す奴ならたかが1万程度の巨人なんて一瞬で蹴散らせるわよ」
「……確かに」
「師匠は凄いからな!!」
「君達ね……」
流石にルノ達を置いて行く事にナオは抵抗感を覚えたが、ルノとしても皇帝が戻る前にジャンヌを帝都へ戻さなければならず、それにナオも白原に存在するエルフ王国の皆の事も心配だろうと考え、ナオに戻るように促す。
「ナオ君もエルフ王国の人達も心配でしょ?俺達に気にせずに戻りなよ。あ、それとルウたちの事も頼めるかな?俺の屋敷に先に帰して欲しいんだけど」
「でも……」
「大丈夫だって、何かあったらマッハで帝都へ引き返すから」
「ルノさんの場合は言葉の比喩ではなく、本気でマッハを超えて移動出来そうですね……」
心配するナオを安心させるようにルノは力こぶを作ると、こういう時のルノは引き下がらない事を知っているナオはため息を吐き出し、すぐに戻る事を約束して3人を送り届ける事を決めた。
「分かった。でも、用事が終わったらすぐに戻ってくるからね」
「ごめんね、面倒を掛けて……リーリスも王女様もミリアちゃんも気を付けね」
「ルノ様……ご無事で戻ってくる事を祈ります」
「まあ、ちゃちゃっとこの子の病気を治して戻りますよ」
「あうっ……」
ジャンヌはルノの手を握り締め、リーリスはハイタッチを行い、ミリアは頭を撫でられるとナオは3人と魔獣達を連れて空間移動を発動させ、一先ず先に帝都へ向かう。
「ちょっと待ってください。確かこの辺に不死病に関しての資料が記されているはずですけど……ああ、ありました。流石は伝説の薬師が残した調合本ですね」
「治療法があるのですか!?」
「あううっ……!?」
皆が話し合っている間、リーリスは調合本を調べて「不死病」に関しての情報を記された項目を発見し、その内容を見て頷く。
「ふむふむ……どうもこの資料によると不死病は病ではなく、体内に入り込んだ寄生虫が肉体を狂わせているようですね」
「えっ!?寄生虫!?」
「そんな生物まで居るのこの世界!?」
「きせいちゅう……?」
寄生虫という言葉にルノとナオは驚いたが、こちらの世界の人間には聞き慣れない単語らしく、仕方なくリーリスは分かりやすく説明を行う。
「他の生物に寄生する事で生きる生物みたいな物です。その子の身体の原因はどうやら体の中に悪い生物が入っているという事ですね」
「うあっ……!?」
「リーリス、この子が怯えています!!言葉を選んでください!!」
自分の体の中に得体の知れない生き物が住み着いているという事実を知ったミリアは怯えるが、そんな彼女に大してリーリスは声を伏せて他の者に伝える。
「落ち着いて下さい。その寄生虫というのは別に体に害を与えるばかりの悪い生物じゃないんです。定期的に血を補給し、肌を腐敗化させますが代わりに他の病気に対する免疫力や肉体の身体能力を限界まで向上させる能力を持っています」
「そうなの?」
「ですがこのまま放置するわけにはいきません。このままの状態でも定期的に血液を補給すれば生きられますが、寄生虫が成長するといずれ体外に脱出しようとします。そんな事になれば……」
「……この子の命が危ない?」
「そういう事です。しかも寄生虫が育ち切るのは1年前後……まだ猶予はありますが、寄生虫が完全に育ち切るまでに駆除する必要があります」
「そんな……」
病気の類ならばともかく、体内に潜む寄生虫を始末するとなると非常に厄介な問題となり、調合本によると完全に成長する前に手術で寄生虫を摘出するしかないと記されていた。
「寄生虫を殺すには手術で体外に引き剥がさなければなりません。でも、残念ながらここにはその器具がありません。帝都の私の研究室なら機材はありますが……」
「なら、帝都へ戻れば治せるの?」
「いえ、問題は他にもあります。この寄生虫が体内の何処に隠れているのか正確に見抜いて手術しなければなりません。もしも違う箇所を切り開いたら間者に悪影響を与えます」
「でも、そんな事をどうやって調べるの?」
「そこまでは調合本にも記されてないんですよ。どうやら伝説の薬師でも絶対安全に治せる類の病ではなかったから今の時代でも不治の病として知れ渡っているようです」
頼みの綱の調合本ですらも寄生虫を完全に除去する方法は記されておらず、子供の身体に手術を行う事自体が大きな負担になるため、治療を行う際には慎重に動かなければならない。どうにか寄生虫が存在する位置を確認出来ればリーリスでも治せるらしいが、その方法が現状ではない。
巨人国軍の動きも気になるが、ミリアの治療に関しても優先しなければならず、色々と考えた末にルノはナオに頼んでリーリスとジャンヌとミリアを送り届けるように依頼した。
「ナオ君、悪いけど帝都へ3人を連れて行ってくれる?軍隊と公爵の方は俺が何とかするから」
「えっ!?でも、いくらルノ君でも軍隊を相手にするのは……」
「いや、問題ないでしょ。火竜さえもぶっ殺す奴ならたかが1万程度の巨人なんて一瞬で蹴散らせるわよ」
「……確かに」
「師匠は凄いからな!!」
「君達ね……」
流石にルノ達を置いて行く事にナオは抵抗感を覚えたが、ルノとしても皇帝が戻る前にジャンヌを帝都へ戻さなければならず、それにナオも白原に存在するエルフ王国の皆の事も心配だろうと考え、ナオに戻るように促す。
「ナオ君もエルフ王国の人達も心配でしょ?俺達に気にせずに戻りなよ。あ、それとルウたちの事も頼めるかな?俺の屋敷に先に帰して欲しいんだけど」
「でも……」
「大丈夫だって、何かあったらマッハで帝都へ引き返すから」
「ルノさんの場合は言葉の比喩ではなく、本気でマッハを超えて移動出来そうですね……」
心配するナオを安心させるようにルノは力こぶを作ると、こういう時のルノは引き下がらない事を知っているナオはため息を吐き出し、すぐに戻る事を約束して3人を送り届ける事を決めた。
「分かった。でも、用事が終わったらすぐに戻ってくるからね」
「ごめんね、面倒を掛けて……リーリスも王女様もミリアちゃんも気を付けね」
「ルノ様……ご無事で戻ってくる事を祈ります」
「まあ、ちゃちゃっとこの子の病気を治して戻りますよ」
「あうっ……」
ジャンヌはルノの手を握り締め、リーリスはハイタッチを行い、ミリアは頭を撫でられるとナオは3人と魔獣達を連れて空間移動を発動させ、一先ず先に帝都へ向かう。
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