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巨人国 侵攻編
あくまでも時間稼ぎ
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「ですがリーリス、これからどうするのですか?このまま巨人国の動向を見張り続けるのですか?」
「そうしたいところですが、私達の目的はあくまでもエルフ王国の救援に向かう所ですからね。流石にこれ以上に時間をかけると王国の方も気になりますからね」
「……でも、巨人軍を放置したらこの周辺地方の街の人たちが危険な目に遭うんですよね」
ナオとしては一刻も早くエルフ王国へ戻りたい気持ちはあるが、このまま巨人軍を放置すれば帝国領地の民衆が危険に晒されるという事実にこのまま王国へ戻る事に後ろ髪を引かれる。しかし、現状の戦力ではナオ達にはどうしようも出来ず、巨人軍を打ち破る策はない。
リーリスの考えた作戦はあくまでも時間稼ぎに過ぎず、巨人軍をノーズ公爵の元へ送り込んだのも彼等がノーズ公爵と合流するまで無暗に他の村や街を襲わないように考慮したからに過ぎない。現時点では他に作戦の立てようがなく、せいぜい出来る事は国境の兵士や周辺地方の村や街に連絡を取って巨人軍の存在を知らせる程度しか出来ない。
「可哀そうですけど、今の状態では私達にはこれ以上の事は出来ません。ナオさんの空間移動で他の村や街に危険を知らせた後は帝都へ引き返しましょう」
「そんな……」
「まあ、落ち着いて下さい。もしも帝都へルノさんが帰還していたらきっと今頃はエルフ王国の救援へ向かっているはずです。ルノさんと合流出来れば対処法はいくらでもありますから」
「ルノ君が居ればか……くそ、どうして俺は勇者なのにルノ君のように強くなれないんだ」
ルノと同じく異世界人であるナオも特殊な能力を所持しているが、ルノのように高い戦闘力を持ち合わせているわけではない。それでもルノが決して真似する事が出来ない空間魔法や千里眼の能力を持っている事を考えれば彼がルノに劣っているわけではない。
「焦っちゃ駄目ですよ。ルノさんとナオさんじゃそもそも職業が違うんです。あまり深く考えない方がいいですよ」
「でも……」
「それにナオさんの能力が無かったらお姫様は助けられなかったんです。こんな広大な場所でユニコーンを見つけ出すなんてルノさんにも出来ない事なんですよ?」
「そうです。ナオ様の能力は本当に素晴らしいと思います。貴方のお陰で私は命を救われました……だから落ち込まないでください」
「二人とも……ありがとう」
ナオはジャンヌとリーリスの言葉に感謝し、気を取り直して自分の出来る事に集中する事にした。体調が万全に戻った以上、今は一刻も早くエルフ王国へ引き返し、全員の救出に向かおうと考えたとき、不意にナオは異様な魔力を感じ取った。
「こ、これは!?」
「え?どうかしたんですか?」
「凄い魔力がこっちに近付いている!!しかも……この反応は覚えがある!!」
「魔力……?」
暗殺者の職業であるナオは「魔力感知」と呼ばれる技能も習得しており、この能力は魔力を放つ物体を感じ取る能力を持つ。そして過去最大級の魔力を放つ存在がこちらへ接近している事に気付き、ナオは上空を指差す。
「あ、あっちの方向から近づいてきます!!凄い魔力だ!!」
「どれどれ……ちょ、あれってもしかして!?」
「な、何ですかあれは!?」
3人の上空から飛行機の形をした氷塊の物体が出現し、そのまま3人の頭上を通り過ぎる。その光景を見た3人は唖然とした表情を浮かべ、すぐに飛行機の正体がルノの「氷塊」の魔法で作り出した氷飛行機である事に気付く。
「あれってもしかしてルノ君の魔法!?」
「間違いありませんよ!!あんな規格外の事が出来る魔術師なんてルノさんだけです!!」
「ご無事だったのですね!!ですが、何処へ向かっているのでしょうか……?」
「あっちの方角は不味い!?確かノーズ公爵が収めている街がありますよ!!きっとそこへ向かってるんです!!」
「ええっ!?」
リーリスの言葉に全員が慌てふためき、どうしてルノがノーズ公爵の元へ向かっているのか分からず、慌ててリーリスはナオにルノと連絡を取るように指示を出した。
「ナオさん!!空間移動で追いつきますか!?」
「ええっと……だ、駄目だ!!あんなに速く移動する物体の中に千里眼じゃ捉えきれない!?」
「そんな!?」
千里眼の能力を以てしても高速移動する氷塊の飛行機は捉える事が出来ず、飛行機の内部に視点を移してもすぐに移動するので空間魔法を発動させる余裕もない。どうにか飛行機が止まれば捉えられると思われるが、千里眼で確認すると間もなく氷飛行機の方向先に存在する街へ到着してしまう。
「不味いですよ!!きっとルノさんがノーズ公爵の元へ訪れようとしているのは私達の行方を探すためです!!しかも氷飛行機で移動しているという事はきっと他の人間も同行しているんです!!」
「で、でもルノ君が居るなら大丈夫じゃないんですか?」
「何言ってんですか!!あのお人好しのルノさんですよ!?もしも同行している人間が人質に捕らえられたら逆らえません!!きっと大変な事になりますよ!!」
「ええっ!?」
「急いで追いかけますよ!!ナオさん、病み上がりで申し訳ありませんが頑張ってください!!」
「わ、分かりました!!」
慌てて3人はルノを追いかけるために準備を行い、魔獣達を連れてノーズ公爵が管理する街へ向かう――
※地面に埋められた将軍と兵士達→「置いてくな~(ノД`)・゜・。」
「そうしたいところですが、私達の目的はあくまでもエルフ王国の救援に向かう所ですからね。流石にこれ以上に時間をかけると王国の方も気になりますからね」
「……でも、巨人軍を放置したらこの周辺地方の街の人たちが危険な目に遭うんですよね」
ナオとしては一刻も早くエルフ王国へ戻りたい気持ちはあるが、このまま巨人軍を放置すれば帝国領地の民衆が危険に晒されるという事実にこのまま王国へ戻る事に後ろ髪を引かれる。しかし、現状の戦力ではナオ達にはどうしようも出来ず、巨人軍を打ち破る策はない。
リーリスの考えた作戦はあくまでも時間稼ぎに過ぎず、巨人軍をノーズ公爵の元へ送り込んだのも彼等がノーズ公爵と合流するまで無暗に他の村や街を襲わないように考慮したからに過ぎない。現時点では他に作戦の立てようがなく、せいぜい出来る事は国境の兵士や周辺地方の村や街に連絡を取って巨人軍の存在を知らせる程度しか出来ない。
「可哀そうですけど、今の状態では私達にはこれ以上の事は出来ません。ナオさんの空間移動で他の村や街に危険を知らせた後は帝都へ引き返しましょう」
「そんな……」
「まあ、落ち着いて下さい。もしも帝都へルノさんが帰還していたらきっと今頃はエルフ王国の救援へ向かっているはずです。ルノさんと合流出来れば対処法はいくらでもありますから」
「ルノ君が居ればか……くそ、どうして俺は勇者なのにルノ君のように強くなれないんだ」
ルノと同じく異世界人であるナオも特殊な能力を所持しているが、ルノのように高い戦闘力を持ち合わせているわけではない。それでもルノが決して真似する事が出来ない空間魔法や千里眼の能力を持っている事を考えれば彼がルノに劣っているわけではない。
「焦っちゃ駄目ですよ。ルノさんとナオさんじゃそもそも職業が違うんです。あまり深く考えない方がいいですよ」
「でも……」
「それにナオさんの能力が無かったらお姫様は助けられなかったんです。こんな広大な場所でユニコーンを見つけ出すなんてルノさんにも出来ない事なんですよ?」
「そうです。ナオ様の能力は本当に素晴らしいと思います。貴方のお陰で私は命を救われました……だから落ち込まないでください」
「二人とも……ありがとう」
ナオはジャンヌとリーリスの言葉に感謝し、気を取り直して自分の出来る事に集中する事にした。体調が万全に戻った以上、今は一刻も早くエルフ王国へ引き返し、全員の救出に向かおうと考えたとき、不意にナオは異様な魔力を感じ取った。
「こ、これは!?」
「え?どうかしたんですか?」
「凄い魔力がこっちに近付いている!!しかも……この反応は覚えがある!!」
「魔力……?」
暗殺者の職業であるナオは「魔力感知」と呼ばれる技能も習得しており、この能力は魔力を放つ物体を感じ取る能力を持つ。そして過去最大級の魔力を放つ存在がこちらへ接近している事に気付き、ナオは上空を指差す。
「あ、あっちの方向から近づいてきます!!凄い魔力だ!!」
「どれどれ……ちょ、あれってもしかして!?」
「な、何ですかあれは!?」
3人の上空から飛行機の形をした氷塊の物体が出現し、そのまま3人の頭上を通り過ぎる。その光景を見た3人は唖然とした表情を浮かべ、すぐに飛行機の正体がルノの「氷塊」の魔法で作り出した氷飛行機である事に気付く。
「あれってもしかしてルノ君の魔法!?」
「間違いありませんよ!!あんな規格外の事が出来る魔術師なんてルノさんだけです!!」
「ご無事だったのですね!!ですが、何処へ向かっているのでしょうか……?」
「あっちの方角は不味い!?確かノーズ公爵が収めている街がありますよ!!きっとそこへ向かってるんです!!」
「ええっ!?」
リーリスの言葉に全員が慌てふためき、どうしてルノがノーズ公爵の元へ向かっているのか分からず、慌ててリーリスはナオにルノと連絡を取るように指示を出した。
「ナオさん!!空間移動で追いつきますか!?」
「ええっと……だ、駄目だ!!あんなに速く移動する物体の中に千里眼じゃ捉えきれない!?」
「そんな!?」
千里眼の能力を以てしても高速移動する氷塊の飛行機は捉える事が出来ず、飛行機の内部に視点を移してもすぐに移動するので空間魔法を発動させる余裕もない。どうにか飛行機が止まれば捉えられると思われるが、千里眼で確認すると間もなく氷飛行機の方向先に存在する街へ到着してしまう。
「不味いですよ!!きっとルノさんがノーズ公爵の元へ訪れようとしているのは私達の行方を探すためです!!しかも氷飛行機で移動しているという事はきっと他の人間も同行しているんです!!」
「で、でもルノ君が居るなら大丈夫じゃないんですか?」
「何言ってんですか!!あのお人好しのルノさんですよ!?もしも同行している人間が人質に捕らえられたら逆らえません!!きっと大変な事になりますよ!!」
「ええっ!?」
「急いで追いかけますよ!!ナオさん、病み上がりで申し訳ありませんが頑張ってください!!」
「わ、分かりました!!」
慌てて3人はルノを追いかけるために準備を行い、魔獣達を連れてノーズ公爵が管理する街へ向かう――
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