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エルフ王国 決戦編
閑話 〈もしもルノが砲撃魔法を使えたら……その2〉
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「……というわけで本当に大変な目に遭ったんだよ」
「え、この話続くんですか!?」
先日にドリアから渡された魔術書を使用して砲撃魔法を発動させる事に成功したルノだが、威力を謝って鉱山を半壊させてしまい、大勢の人間に迷惑を掛けた事をリーリスに相談する。
「いや、まあ……しょうがないと思いますよ。砲撃魔法は完全に攻撃特化の魔法ですからね。今のルノさんのレベルで発動させれば波〇砲ぐらいの威力がありますから」
「でも、強化スキルを発動させないであの威力だよ?どうにかならないかな……」
「それはもう波〇砲どころじゃないですね……今更ながらにルノさんの能力の高さにびっくりです」
流石に現在は使用されていない鉱山とはいえ、山一つを吹き飛ばした事に関しては帝国側も黙ってはいられず、今後はルノが魔術書を扱う事を禁止されてしまう。ルノも迷惑を掛けた事は自覚しているのでそれは仕方ない事だと思ってはいるが、それでも折角自分もドリアのように格好いい魔法を覚えたのに残念な結果に終わった事が口惜しい。
「う~ん……もう少し威力を下げれたら皆に迷惑を掛けずに魔法を使えるかな。リーリスの怪しい道具で魔法の力を弱めるのないの?」
「怪しいという点は聞き捨てなりませんけど、まあ魔法の力を一時的に弱めるような薬ならありますよ。効果は1日ですけど」
「え、本当に!?」
「でも、この薬は元々は拷問用に開発したので味は不味いです。どれくらい不味いかというと、もう一度飲んだら一週間は寝込むぐらいの奴です」
「それ、どうやって効果を確かめたの?」
1日の間しか魔法の力を弱めることが出来ないのに一週間も意識を失うのでは何の意味もなく、他に良い道具がないのかをルノは尋ねる。
「何か他に良い道具はないの?」
「そういわれても基本的に私の道具は軍事目的のために開発してますからね。そんな都合よく魔法を弱める効果しかない薬なんてありませんよ……あ、でも勇者の残した神器の中にそれらしい効果を生み出す道具があったような」
「え、本当に?」
異世界から召喚された勇者の聖遺物ならばルノの能力を封じる道具も存在するかもしれず、リーリスは勇者の歴史を記した書物を取り出して確認すると「魔法の力」を弱める腕輪がある事を説明する。
「ああ、これです。この「神器リング」と呼ばれる腕輪が装着者の魔力を吸収する機能があるそうです。常人なら身に着けた瞬間に魔力を根こそぎ奪われるそうですが、ルノさんの魔力量ならきっと上手い具合に余分な魔力を吸収させて威力を弱める事が出来るかもしれません」
「そんな神器があるのか……!!それって何処にあるの?」
「大抵の神器は所在が不明なんですけど……あ、この神器は古代遺跡に封印されていますね。この帝国の遥か北に存在する「アラマ遺跡」という凶悪な人肉主義者の野蛮人達が住んでいる森の中の遺跡に封じられているそうです」
「ツッコミどころがいくらかあるんだけど」
遺跡に封じられているという部分はともかく、人肉を好む野蛮人が暮す森の中という点にルノは引っ掛かりを覚えるが、そこに言えば腕輪が手に入ると知ったルノは早速行動に移る。
「じゃあ、行ってくるよ。北に向かえばいいんだよね?」
「え!?今から!?いや、北と言っても正確な位置が記されていないので何処にあるかまでは……」
「大丈夫、適当に探してくるから……行ってきます!!」
「ちょっと!?」
ルノは飛翔術を利用して王城を飛び出し、北の方角へ向けて直進した――
――それから三日後、未だに戻ってこないルノに帝国の人間達が心配していた頃、上空から氷塊の飛行機が現れて王城の裏庭へ着地する。それを見たリーリス達は慌てて駆けつけると、何故か落ち込んだ様子のルノが飛行機から下りてきた。
「はあっ……ただいま皆」
「ルノさん!!無事だったんですね!?いや、心配しましたよ。何日も戻ってこなかったんで……あれ、腕輪は見つからなかったんですか?」
「ううん、腕輪は見つけたよ。遺跡に住んでいた人達が魔物に襲われていたから助けたら、お礼にくれたんだ」
「まさか、本当に神器を回収したんですか!?」
「でも、この腕輪なんだけど……装着した瞬間に粉々に砕けちゃった」
ルノは現地人を助けたお礼として受け取った神器を見せるが、まるで内側から爆発したように粉々に砕けた腕輪の破片を両手で抱え、それを見たリーリスは何が起きたのかを理解した。
「ああ……多分、ルノさんの魔力に耐え切れなくて崩壊したんですね。何百年も放置されて腕輪の耐久性が低下していたのか、それともルノさんの魔力量に耐え切れなかったのか……」
「もうがっかりだよ。でも、現地の人と仲良くなって色々と貰ってきたよ。特に肉がいっぱい余ってたらしいから多めに貰ってきたけど」
「うん、そのお肉は食べちゃ駄目な奴ですね。今すぐに火葬してください」
結局は神器は壊れてしまったが、現地人から沢山の土産を持ち帰ったルノは満足していた。最も食べ物関係のお土産に関してはリーリスによって全て埋葬……もとい処分されたが。
※今回の話は番外編です。本編とは一切関係ありません
「え、この話続くんですか!?」
先日にドリアから渡された魔術書を使用して砲撃魔法を発動させる事に成功したルノだが、威力を謝って鉱山を半壊させてしまい、大勢の人間に迷惑を掛けた事をリーリスに相談する。
「いや、まあ……しょうがないと思いますよ。砲撃魔法は完全に攻撃特化の魔法ですからね。今のルノさんのレベルで発動させれば波〇砲ぐらいの威力がありますから」
「でも、強化スキルを発動させないであの威力だよ?どうにかならないかな……」
「それはもう波〇砲どころじゃないですね……今更ながらにルノさんの能力の高さにびっくりです」
流石に現在は使用されていない鉱山とはいえ、山一つを吹き飛ばした事に関しては帝国側も黙ってはいられず、今後はルノが魔術書を扱う事を禁止されてしまう。ルノも迷惑を掛けた事は自覚しているのでそれは仕方ない事だと思ってはいるが、それでも折角自分もドリアのように格好いい魔法を覚えたのに残念な結果に終わった事が口惜しい。
「う~ん……もう少し威力を下げれたら皆に迷惑を掛けずに魔法を使えるかな。リーリスの怪しい道具で魔法の力を弱めるのないの?」
「怪しいという点は聞き捨てなりませんけど、まあ魔法の力を一時的に弱めるような薬ならありますよ。効果は1日ですけど」
「え、本当に!?」
「でも、この薬は元々は拷問用に開発したので味は不味いです。どれくらい不味いかというと、もう一度飲んだら一週間は寝込むぐらいの奴です」
「それ、どうやって効果を確かめたの?」
1日の間しか魔法の力を弱めることが出来ないのに一週間も意識を失うのでは何の意味もなく、他に良い道具がないのかをルノは尋ねる。
「何か他に良い道具はないの?」
「そういわれても基本的に私の道具は軍事目的のために開発してますからね。そんな都合よく魔法を弱める効果しかない薬なんてありませんよ……あ、でも勇者の残した神器の中にそれらしい効果を生み出す道具があったような」
「え、本当に?」
異世界から召喚された勇者の聖遺物ならばルノの能力を封じる道具も存在するかもしれず、リーリスは勇者の歴史を記した書物を取り出して確認すると「魔法の力」を弱める腕輪がある事を説明する。
「ああ、これです。この「神器リング」と呼ばれる腕輪が装着者の魔力を吸収する機能があるそうです。常人なら身に着けた瞬間に魔力を根こそぎ奪われるそうですが、ルノさんの魔力量ならきっと上手い具合に余分な魔力を吸収させて威力を弱める事が出来るかもしれません」
「そんな神器があるのか……!!それって何処にあるの?」
「大抵の神器は所在が不明なんですけど……あ、この神器は古代遺跡に封印されていますね。この帝国の遥か北に存在する「アラマ遺跡」という凶悪な人肉主義者の野蛮人達が住んでいる森の中の遺跡に封じられているそうです」
「ツッコミどころがいくらかあるんだけど」
遺跡に封じられているという部分はともかく、人肉を好む野蛮人が暮す森の中という点にルノは引っ掛かりを覚えるが、そこに言えば腕輪が手に入ると知ったルノは早速行動に移る。
「じゃあ、行ってくるよ。北に向かえばいいんだよね?」
「え!?今から!?いや、北と言っても正確な位置が記されていないので何処にあるかまでは……」
「大丈夫、適当に探してくるから……行ってきます!!」
「ちょっと!?」
ルノは飛翔術を利用して王城を飛び出し、北の方角へ向けて直進した――
――それから三日後、未だに戻ってこないルノに帝国の人間達が心配していた頃、上空から氷塊の飛行機が現れて王城の裏庭へ着地する。それを見たリーリス達は慌てて駆けつけると、何故か落ち込んだ様子のルノが飛行機から下りてきた。
「はあっ……ただいま皆」
「ルノさん!!無事だったんですね!?いや、心配しましたよ。何日も戻ってこなかったんで……あれ、腕輪は見つからなかったんですか?」
「ううん、腕輪は見つけたよ。遺跡に住んでいた人達が魔物に襲われていたから助けたら、お礼にくれたんだ」
「まさか、本当に神器を回収したんですか!?」
「でも、この腕輪なんだけど……装着した瞬間に粉々に砕けちゃった」
ルノは現地人を助けたお礼として受け取った神器を見せるが、まるで内側から爆発したように粉々に砕けた腕輪の破片を両手で抱え、それを見たリーリスは何が起きたのかを理解した。
「ああ……多分、ルノさんの魔力に耐え切れなくて崩壊したんですね。何百年も放置されて腕輪の耐久性が低下していたのか、それともルノさんの魔力量に耐え切れなかったのか……」
「もうがっかりだよ。でも、現地の人と仲良くなって色々と貰ってきたよ。特に肉がいっぱい余ってたらしいから多めに貰ってきたけど」
「うん、そのお肉は食べちゃ駄目な奴ですね。今すぐに火葬してください」
結局は神器は壊れてしまったが、現地人から沢山の土産を持ち帰ったルノは満足していた。最も食べ物関係のお土産に関してはリーリスによって全て埋葬……もとい処分されたが。
※今回の話は番外編です。本編とは一切関係ありません
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