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巨人国 侵攻編
逃走中
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――拘束した魔術師から事情を聞きだしたリーリスは魔獣達を連れて洞窟へ引き返し、この場所が危険であることを他の二人に話す。残念ながら今のナオは空間魔法を発動させる程の力はなく、彼はロプスが抱き上げてリーリスはミノに乗り込み、ジャンヌはユニコーンを呼び出して背中に乗る。魔術師に関してはルウの背中に乗せてリーリス達は避難を開始した。
「大丈夫ですかナオさん?きつくなったら言ってくださいね」
「今のところは大丈夫……苦労を掛けるねぇ、ロプス君」
「キュロロッ」
ロプスに背負って貰ったナオは落ちないようにしっかりと身体に縄を巻きつけて固定し、出来る限り肉体に負担を与えないようにゆっくりとした速度でリーリス達は移動を行う。偵察はイチ達が行い、何かを発見したらすぐに知らせるように伝えている。
幸いな事に先ほど撃退した巨人族の部隊はまだ本体とは合流しておらず、十分に逃げられる時間は稼げた。だが、問題なのは森の外に出た後に何処へ避難するかであり、魔獣達を引き連れた状態で人里に下りるのは危険過ぎた。
ナオの症状は身体を休ませれば1日程度で治るため、今日を乗り越えればナオも復活し、空間移動で何処にでも避難できるだろう。それまでは彼を守る必要があり、どうにか巨人族の軍隊を振り切る必要がある。
「リーリス、これからどうするのですか?何処か宛はありますか?」
「ヒヒンッ」
「ありませんね、この人を人里に送りつけたら私達は何処か人目に付かない場所に移動するしかありませんよ」
「な、なあ……あんたら、何者なんだ?どうしてこんな危険な魔獣達を従えているんだ?」
魔術師の男は怯えた表情でルウにしがみつき、どうして子供にしか見えない3人が危険種指定されている魔獣達を従えているのか問いただす。その質問に対してリーリスは面倒なので適当に答えた。
「それは私達が正義の味方だからです。以上」
「いや、言っている意味が分からねえよ!?何だ、正義の味方なら魔獣も従えられる能力が芽生えるのか!?その理論だと魔物使いは全員が正義の味方になるけど!?」
「リーリス、ちゃんと説明した方が良いのでは……」
「私、さっきまでこの人に襲われてたんですよ?そう簡単に人を信用しちゃいけませんし、そもそもジャンヌ様は身分を明かしたら不味い立場だと分かってますか?」
「あうっ……」
リーリスの正論にジャンヌは何も言い返せず、まさか自分が帝国の王女である事を話すわけにはいかない。魔術師の男は疑問を抱きながらも彼等に深くかかわりすぎると危険だと判断し、敢えて何も言わない。
「ああ、そういえば名前を聞いてませんでしたね。貴方の名前は何ですか?」
「俺か?俺の名前は……」
「ウォンッ!!」
今更ながらに魔術師の名前を聞いていなかった事を思い出したリーリスは尋ねようとした時、前方から偵察に出していたイチ達が現れ、危険を知らせるように鳴き声を上げる。
「ウォオンッ!!オンッ!!」
「な、なんですって!?それは本当ですか!?」
「え?リーリスさんはイチが何を言っているか分かるの?」
「いえ、全然なに言っているか分かりませんね!!誰か通訳を呼んでください!!」
黒狼種の子供達が必死に何かを伝えるように鳴き声を上げるが、狼の言葉は分からないリーリスは仕方なくナオに振り返る。あまり無理は出来ないがナオはイチ達が警告を発した事からこの周囲に危険な存在があるのかを千里眼で確かめた。
「ちょっと待ってて……少し調べるから」
「すいませんね、全くイチ達が日本語を覚えたらこんな苦労を掛けさせないのに……」
「に、にほんご……?」
「クゥ~ンッ……」
「ガウガウッ!!」
リーリスの言葉に狼達は落ち込み、そんな彼等を庇う様にルウが鳴き声を上げて抗議する。その間にナオは千里眼の能力で周囲の状況を確認すると、イチ達が発見した驚異を確認した。
「あっ……この先に進むと巨人族の兵士が待ち構えてます。でも、俺達を捕まえるために隠れているようじゃないけど……」
「ん?どうしてそんな事が分かるんですか?」
「兵士の他にオークが森の中を歩いている。多分、食用のために捕まえようとしているんじゃないのかな……」
「な、何を言っているんだ?どうしてそんな事が分かるんだよ?」
唐突に目を閉じて見えないはずの遠方の光景を確認するように語り始めたナオに魔術師は戸惑うが、ナオの話を聞いて野生の魔物を捕獲しようとしている辺り、巨人国の軍隊は十分な食料を本国から送り込まれていないのかとリーリスは考える。
この帝国領地に巨人国の軍隊を招き込んだのがノーズ公爵だとした場合、そもそも彼はどのような手段で軍隊を国境から呼び寄せたのか問題になる。国境には数多くの兵士が配備され、さらに数人の将軍が守備を行っている。国境という重要な警備を任せられるのは忠誠心の厚い将軍だけなのでノーズ公爵が彼等を取引を行って国境の警備を解かせて帝国領地内に招き込んだ可能性は低い。
「大丈夫ですかナオさん?きつくなったら言ってくださいね」
「今のところは大丈夫……苦労を掛けるねぇ、ロプス君」
「キュロロッ」
ロプスに背負って貰ったナオは落ちないようにしっかりと身体に縄を巻きつけて固定し、出来る限り肉体に負担を与えないようにゆっくりとした速度でリーリス達は移動を行う。偵察はイチ達が行い、何かを発見したらすぐに知らせるように伝えている。
幸いな事に先ほど撃退した巨人族の部隊はまだ本体とは合流しておらず、十分に逃げられる時間は稼げた。だが、問題なのは森の外に出た後に何処へ避難するかであり、魔獣達を引き連れた状態で人里に下りるのは危険過ぎた。
ナオの症状は身体を休ませれば1日程度で治るため、今日を乗り越えればナオも復活し、空間移動で何処にでも避難できるだろう。それまでは彼を守る必要があり、どうにか巨人族の軍隊を振り切る必要がある。
「リーリス、これからどうするのですか?何処か宛はありますか?」
「ヒヒンッ」
「ありませんね、この人を人里に送りつけたら私達は何処か人目に付かない場所に移動するしかありませんよ」
「な、なあ……あんたら、何者なんだ?どうしてこんな危険な魔獣達を従えているんだ?」
魔術師の男は怯えた表情でルウにしがみつき、どうして子供にしか見えない3人が危険種指定されている魔獣達を従えているのか問いただす。その質問に対してリーリスは面倒なので適当に答えた。
「それは私達が正義の味方だからです。以上」
「いや、言っている意味が分からねえよ!?何だ、正義の味方なら魔獣も従えられる能力が芽生えるのか!?その理論だと魔物使いは全員が正義の味方になるけど!?」
「リーリス、ちゃんと説明した方が良いのでは……」
「私、さっきまでこの人に襲われてたんですよ?そう簡単に人を信用しちゃいけませんし、そもそもジャンヌ様は身分を明かしたら不味い立場だと分かってますか?」
「あうっ……」
リーリスの正論にジャンヌは何も言い返せず、まさか自分が帝国の王女である事を話すわけにはいかない。魔術師の男は疑問を抱きながらも彼等に深くかかわりすぎると危険だと判断し、敢えて何も言わない。
「ああ、そういえば名前を聞いてませんでしたね。貴方の名前は何ですか?」
「俺か?俺の名前は……」
「ウォンッ!!」
今更ながらに魔術師の名前を聞いていなかった事を思い出したリーリスは尋ねようとした時、前方から偵察に出していたイチ達が現れ、危険を知らせるように鳴き声を上げる。
「ウォオンッ!!オンッ!!」
「な、なんですって!?それは本当ですか!?」
「え?リーリスさんはイチが何を言っているか分かるの?」
「いえ、全然なに言っているか分かりませんね!!誰か通訳を呼んでください!!」
黒狼種の子供達が必死に何かを伝えるように鳴き声を上げるが、狼の言葉は分からないリーリスは仕方なくナオに振り返る。あまり無理は出来ないがナオはイチ達が警告を発した事からこの周囲に危険な存在があるのかを千里眼で確かめた。
「ちょっと待ってて……少し調べるから」
「すいませんね、全くイチ達が日本語を覚えたらこんな苦労を掛けさせないのに……」
「に、にほんご……?」
「クゥ~ンッ……」
「ガウガウッ!!」
リーリスの言葉に狼達は落ち込み、そんな彼等を庇う様にルウが鳴き声を上げて抗議する。その間にナオは千里眼の能力で周囲の状況を確認すると、イチ達が発見した驚異を確認した。
「あっ……この先に進むと巨人族の兵士が待ち構えてます。でも、俺達を捕まえるために隠れているようじゃないけど……」
「ん?どうしてそんな事が分かるんですか?」
「兵士の他にオークが森の中を歩いている。多分、食用のために捕まえようとしているんじゃないのかな……」
「な、何を言っているんだ?どうしてそんな事が分かるんだよ?」
唐突に目を閉じて見えないはずの遠方の光景を確認するように語り始めたナオに魔術師は戸惑うが、ナオの話を聞いて野生の魔物を捕獲しようとしている辺り、巨人国の軍隊は十分な食料を本国から送り込まれていないのかとリーリスは考える。
この帝国領地に巨人国の軍隊を招き込んだのがノーズ公爵だとした場合、そもそも彼はどのような手段で軍隊を国境から呼び寄せたのか問題になる。国境には数多くの兵士が配備され、さらに数人の将軍が守備を行っている。国境という重要な警備を任せられるのは忠誠心の厚い将軍だけなのでノーズ公爵が彼等を取引を行って国境の警備を解かせて帝国領地内に招き込んだ可能性は低い。
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