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巨人国 侵攻編
支援魔法
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(思っていたよりも面倒な状況に陥ってますね。それにしてもあの兵士達、いくら巨人だからと言ってミノ達を相手によく戦えますね。余程高レベルの兵士を集めたのか……)
危険種指定されている黒狼種、サイクロプス、ミノタウロスを抑え込む巨人族の兵士達にリーリスは疑問を抱き、いくら巨人族が人間よりも体格や筋力に恵まれているからと言っても並大抵の巨人ではこの3体の相手が出来るはずがない。
リーリスは姿を見られないように岩影から周囲の様子を伺い、巨人族の兵士以外に魔術師らしき恰好を人間を発見した。彼は杖を握り締めながら震えており、そんな彼の元に巨人族の兵士が近づく。
「くそ、おい!!俺にも強化魔法を掛けろ!!さっさとしやがれ!!」
「は、はい!!……筋力強化!!」
「うおおっ……!?よし、これならいけるぞ!!」
巨人族の兵士の言葉に男は慌てて聖属性の魔石を装着した杖を構えると、肉体を強化する「支援魔法」を発動させる。リーリスの記憶によれば男が使った魔法は一時的に筋力を増大化させる魔法で間違いなく、元々人間よりも筋力に恵まれている巨人族に対して更に魔法の力で肉体能力を強化させる事で巨人族の兵士達はロプス達を抑え込むほどの力を手にしたらしい。
「このおおおっ!!」
「キュロロッ……!?」
「今だ、全員で抑えつけろ!!」
魔法の力で強化された兵士がロプスの背後に組み付き、後ろから羽交い締めを行うと他の兵士達も飛びついてロプスを地面に抑え込む。複数人の魔法の力で強化された巨人に押し倒されたロプスは助けを求めるように腕を伸ばすが、ルウもミノも他の黒狼種の子供達も兵士の相手をするのに手一杯だった。
「ギュロロロッ……!!」
「くそ、まだ暴れる気か……おい、早くこいつの一つ目を潰せ!!」
「手こずらせやがって……うぐぁっ!?」
「どうした!?」
ロプスを3人がかりで抑えつけながらもう1人の兵士が武器を持ち上げた瞬間、兵士の肉体の血管が浮き上がり、悲鳴をあげながら倒れ込む。それを見た魔術師の男は慌てて声を掛けた。
「ま、不味い!!魔法の効果が切れたんです!!すぐに治療しないと……!!」
「何だと!?くそ、さっさと何とかしろ!!」
「おい、誰か回復薬を……がああっ!?お、俺もか……!?」
「キュロロッ!!」
どうやら筋力強化の支援魔法にも副作用は存在したらしく、魔法の効果が切れた瞬間に肉体に大きな負荷が掛かり、次々と魔法の効果を失った巨人達が悲鳴をあげて地面に倒れ込む。それを見て魔術師は慌てふためき、抑え込まれていたミノたちも反撃に移る。
「ブモォッ!!」
「ぎゃああっ!?」
「ガアアッ!!」
「うわぁっ!?」
大盾を構えた兵士をミノタウロスは殴り飛ばし、盾を凹ませる程の一撃を与える。その一方で鎖で拘束されようとしていたルウは逆に鎖を引き寄せて自分を抑えようとしていた巨人を地面に転ばせる。その光景を見たリーリスは反撃の好機と判断し、岩陰から飛び出して魔術師らしき男の元へ向かう。
「必殺!!リーリス式ドロップキック!!」
「えっ……ぎゃああっ!?」
「な、何だ!?」
魔術師の男性の背後からリーリスはプロレスのドロップキックを食らわせると、そのまま川の中へ蹴り飛ばす。唐突に現れたリーリスに巨人族の兵士達は混乱し、その間にもリーリスは男が落とした杖を拾い上げてロプスを抑え込む男達の元へ向かう。
「あんまり攻撃魔法は得意じゃないんですが……ホーリーランス!!」
「うぎゃっ!?」
ロプスの背中に乗り込んでいた巨人族の兵士にリーリスは聖属性の砲撃魔法を撃ち込んで退かせると、自由になったロプスは起き上がり、興奮したように一つ目を血走らせて倒れ込んだ巨人族の兵士を持ち上げる。
「ギュロロロロッ!!」
「や、止め……ぎゃああっ!?」
「おおっ……カナディアンバックブリーカーとはやりますね」
背骨をへし折る勢いでロプスは兵士を持ち上げ、その光景を見たリーリスは冷や汗を流す。普段は温厚で優しく、屋敷の家事ばかりを行っているロプスではあるが、その正体はミノタウロスと同列に扱われる程の危険種のため、怒らせると非常に怖い。
十分に痛めつけた兵士を手放したロプスは今度は他の兵士に視線を向けると、その血走った瞳っで睨みつけられた巨人達は背筋が凍り、慌てて退却を行う。
「ひ、退けっ!!退くんだ!!」
「こんなの相手にしてられるか!!俺は逃げるぞ!!」
「ま、待ってくれ……置いて行かないでくれ!!」
「ブモォオオオッ!!」
恐れをなして逃走を開始した巨人族の兵士に対してミノタウロスは怒りの咆哮を放ち、まだ暴れ足りないとばかりに後を追いかける。それを見たリーリスは引き留めようかと考えたが、それよりも先に鎖で拘束されていたルウの元に向かう。
「ルウ、大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
「クゥ~ンッ……」
「キュロロッ!!」
ルウの元にロプスが駆け寄ると、鎖を掴んで力尽くで引きちぎる。子供の黒狼種達も心配するようにルウの元に駆け寄り、やがて追跡を諦めたのか戻って来たミノタウロスが川の中に落ちたはずの魔術師を拾い上げて戻って来た。
※1話投稿のはずでしたが、前回に予約投稿をミスったお詫びに今日までは2話投稿にしました。
危険種指定されている黒狼種、サイクロプス、ミノタウロスを抑え込む巨人族の兵士達にリーリスは疑問を抱き、いくら巨人族が人間よりも体格や筋力に恵まれているからと言っても並大抵の巨人ではこの3体の相手が出来るはずがない。
リーリスは姿を見られないように岩影から周囲の様子を伺い、巨人族の兵士以外に魔術師らしき恰好を人間を発見した。彼は杖を握り締めながら震えており、そんな彼の元に巨人族の兵士が近づく。
「くそ、おい!!俺にも強化魔法を掛けろ!!さっさとしやがれ!!」
「は、はい!!……筋力強化!!」
「うおおっ……!?よし、これならいけるぞ!!」
巨人族の兵士の言葉に男は慌てて聖属性の魔石を装着した杖を構えると、肉体を強化する「支援魔法」を発動させる。リーリスの記憶によれば男が使った魔法は一時的に筋力を増大化させる魔法で間違いなく、元々人間よりも筋力に恵まれている巨人族に対して更に魔法の力で肉体能力を強化させる事で巨人族の兵士達はロプス達を抑え込むほどの力を手にしたらしい。
「このおおおっ!!」
「キュロロッ……!?」
「今だ、全員で抑えつけろ!!」
魔法の力で強化された兵士がロプスの背後に組み付き、後ろから羽交い締めを行うと他の兵士達も飛びついてロプスを地面に抑え込む。複数人の魔法の力で強化された巨人に押し倒されたロプスは助けを求めるように腕を伸ばすが、ルウもミノも他の黒狼種の子供達も兵士の相手をするのに手一杯だった。
「ギュロロロッ……!!」
「くそ、まだ暴れる気か……おい、早くこいつの一つ目を潰せ!!」
「手こずらせやがって……うぐぁっ!?」
「どうした!?」
ロプスを3人がかりで抑えつけながらもう1人の兵士が武器を持ち上げた瞬間、兵士の肉体の血管が浮き上がり、悲鳴をあげながら倒れ込む。それを見た魔術師の男は慌てて声を掛けた。
「ま、不味い!!魔法の効果が切れたんです!!すぐに治療しないと……!!」
「何だと!?くそ、さっさと何とかしろ!!」
「おい、誰か回復薬を……がああっ!?お、俺もか……!?」
「キュロロッ!!」
どうやら筋力強化の支援魔法にも副作用は存在したらしく、魔法の効果が切れた瞬間に肉体に大きな負荷が掛かり、次々と魔法の効果を失った巨人達が悲鳴をあげて地面に倒れ込む。それを見て魔術師は慌てふためき、抑え込まれていたミノたちも反撃に移る。
「ブモォッ!!」
「ぎゃああっ!?」
「ガアアッ!!」
「うわぁっ!?」
大盾を構えた兵士をミノタウロスは殴り飛ばし、盾を凹ませる程の一撃を与える。その一方で鎖で拘束されようとしていたルウは逆に鎖を引き寄せて自分を抑えようとしていた巨人を地面に転ばせる。その光景を見たリーリスは反撃の好機と判断し、岩陰から飛び出して魔術師らしき男の元へ向かう。
「必殺!!リーリス式ドロップキック!!」
「えっ……ぎゃああっ!?」
「な、何だ!?」
魔術師の男性の背後からリーリスはプロレスのドロップキックを食らわせると、そのまま川の中へ蹴り飛ばす。唐突に現れたリーリスに巨人族の兵士達は混乱し、その間にもリーリスは男が落とした杖を拾い上げてロプスを抑え込む男達の元へ向かう。
「あんまり攻撃魔法は得意じゃないんですが……ホーリーランス!!」
「うぎゃっ!?」
ロプスの背中に乗り込んでいた巨人族の兵士にリーリスは聖属性の砲撃魔法を撃ち込んで退かせると、自由になったロプスは起き上がり、興奮したように一つ目を血走らせて倒れ込んだ巨人族の兵士を持ち上げる。
「ギュロロロロッ!!」
「や、止め……ぎゃああっ!?」
「おおっ……カナディアンバックブリーカーとはやりますね」
背骨をへし折る勢いでロプスは兵士を持ち上げ、その光景を見たリーリスは冷や汗を流す。普段は温厚で優しく、屋敷の家事ばかりを行っているロプスではあるが、その正体はミノタウロスと同列に扱われる程の危険種のため、怒らせると非常に怖い。
十分に痛めつけた兵士を手放したロプスは今度は他の兵士に視線を向けると、その血走った瞳っで睨みつけられた巨人達は背筋が凍り、慌てて退却を行う。
「ひ、退けっ!!退くんだ!!」
「こんなの相手にしてられるか!!俺は逃げるぞ!!」
「ま、待ってくれ……置いて行かないでくれ!!」
「ブモォオオオッ!!」
恐れをなして逃走を開始した巨人族の兵士に対してミノタウロスは怒りの咆哮を放ち、まだ暴れ足りないとばかりに後を追いかける。それを見たリーリスは引き留めようかと考えたが、それよりも先に鎖で拘束されていたルウの元に向かう。
「ルウ、大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
「クゥ~ンッ……」
「キュロロッ!!」
ルウの元にロプスが駆け寄ると、鎖を掴んで力尽くで引きちぎる。子供の黒狼種達も心配するようにルウの元に駆け寄り、やがて追跡を諦めたのか戻って来たミノタウロスが川の中に落ちたはずの魔術師を拾い上げて戻って来た。
※1話投稿のはずでしたが、前回に予約投稿をミスったお詫びに今日までは2話投稿にしました。
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