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巨人国 侵攻編
巨人国の軍隊
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(何だあれ……巨人の、冒険者?)
鎧姿の巨人の集団が森の中を徘徊する光景にナオは疑問を抱き、視点を変更して集団の様子を伺うと、彼等の身に着けている装備が全く同じ形をしている事に気付く。どうやら冒険者の集団ではないらしく、恐らくは軍隊だと思われた。
(どうして帝国の領地に巨人族の軍隊が……それに何をしているんだ?)
ユニコーンを捜索するためにナオ達は帝国と巨人国の国境付近まで移動はしたが、この場所は帝国の領地内なので巨人族の軍隊が立ち寄る事は禁止されている。それにも関わらずに森の中には数十人の武装した巨人が存在し、木々を伐採していた。
巨人達は巨大な斧を使用して次々と樹木を切り落とし、何処へ運んでいた。ナオは更に視点を変えて彼等が伐採した樹木を何処へ運び出しているのか確かめると、森の外の方には数百名の巨人が存在した。彼等は草原で陣営を築き、運び出した樹木を荷車に乗せ、加工して大きな杭のような武器を作り出していた。恐らくは破城槌を作り出すために木々を伐採していたらしい。
(戦の準備をしている……!?どういう事だ、巨人国と帝国は不可侵条約を結んでいるはずじゃ……あれは!?)
帝国の領地内で戦争の準備を行う巨人族の軍隊にナオは焦りを隠せず、もう少しだけ調べようとした時、帝国兵の姿を発見した。帝国の鎧装備を身に着けていた兵士を引き連れた貴族らしき男性が軍隊の将軍らしい男と何かを話し合い、共に酒を飲む。
様子を伺う限り、どうやらこの地方の守護を任されている帝国貴族が巨人族の軍隊と手を組んで領地内に招き寄せたらしく、将軍に対して貴族は部下に運び込ませた金品と兵糧を渡していた。この光景から察するに帝国貴族が寝返り、巨人族の軍隊を呼び寄せて帝国領地内へ侵入の手助けをしているようにしか見えなかった。
(不味い……この人達、帝国へ責めるつもりなんだ!?一体どうすれば……くうっ、能力を使い過ぎたか)
千里眼の能力を維持する事も難しくなったナオは目を開くと、そこには自分を看病するリーリス達の姿が存在し、熱を帯びた身体を起きあげてナオは皆に危険を知らせた。
「リーリスさん……ジャンヌさん、不味いよ」
「えっ!?そ、そんな……まだ食べても居ないのに私の料理がそんなに不味かいというのですか!?」
「もう、また塩と砂糖を間違えて作ったんですか?」
「い、いや……そうじゃなくて」
丁度料理の最中をしていたのか料理を行っていたジャンヌが衝撃を受けた表情を浮かべるが、ナオは頭を抑えながら近くに巨人族の軍隊が存在する事を知らせる。
「こ、この森の奥に……巨人族の軍隊が居ます。しかも、帝国の貴族みたいな人も一緒です」
「巨人族の……軍隊?」
「そんな馬鹿な……巨人国は帝国と同盟関係を結んでいます。いくら同盟国とはいえ、無断で帝国領地内に軍隊が入り込むはずがありません」
「でも、本当なんです。それにこの森の木々を伐採して外の本隊へ運び込んでいます。多分、戦の準備をしているとしか……」
「……それが事実だとしたらとんでもないですね。不可侵条約を破って巨人国は帝国へ攻め込むつもりですかね」
「そ、そんな……!?」
巨人国の軍隊の行動にリーリスとジャンヌも動揺を隠せず、ナオはもう一度千里眼を発動して様子を伺おうとすると、洞窟の外から黒狼の子供達の声が聞こえてきた。
――ウォオオオンッ!!
怒りに満ちた狼の叫び声が響き渡り、それに気づいたリーリス達が洞窟の外に視線を向けると、すぐにミノとロプスが動き出して外へ向かう。狼の声の中にはルウの鳴き声も混じり、どうやら戦闘中なのか激しい咆哮が森中に広がる。
「な、何が起きたんでしょうか?」
「もしかして……ジャンヌさんはナオさんを頼みます!!何かあったらユニコーンを呼んで対処してください!!」
「あ、リーリス!?」
不安を抱いたリーリスは洞窟の外を抜け出して鳴き声の方角に向けて駆け出すと、森の中に流れる川の方でルウに対して鎖で拘束しようとする巨人族の集団が存在し、ルウを助け出すためにミノとロプスが巨人達に戦いを挑んでいた。
「グルルルッ……!!」
「くそ、何だこの森は……どうしてレベルの高い危険種がこれほど居る!?」
「ブモォオオッ!!」
「うわっ!?気を付けろ、普通にミノタウロスよりも手強いぞ!!」
「キュロロロッ!!」
「こ、こいつ等……別種族の癖に共生しているのか!!」
10名の巨人族が協力してルウに鎖を施して動きを抑えるが、その間にミノとロプスがルウを助け出そうと他の巨人を薙ぎ払う。だが、人間と違って筋力や体格に恵まれた巨人族の軍隊は手強く、しかも訓練されている兵士達は連携して3体を取り抑えようとする。その様子を見たリーリスは岩陰に隠れ、どうにかルウ達を助けだす方法を考える。
※申し訳ありませんが今日から1話投稿です。不遇職の方が最終章を迎えたのでそちらを優先します。付与魔術師も再開しました。
鎧姿の巨人の集団が森の中を徘徊する光景にナオは疑問を抱き、視点を変更して集団の様子を伺うと、彼等の身に着けている装備が全く同じ形をしている事に気付く。どうやら冒険者の集団ではないらしく、恐らくは軍隊だと思われた。
(どうして帝国の領地に巨人族の軍隊が……それに何をしているんだ?)
ユニコーンを捜索するためにナオ達は帝国と巨人国の国境付近まで移動はしたが、この場所は帝国の領地内なので巨人族の軍隊が立ち寄る事は禁止されている。それにも関わらずに森の中には数十人の武装した巨人が存在し、木々を伐採していた。
巨人達は巨大な斧を使用して次々と樹木を切り落とし、何処へ運んでいた。ナオは更に視点を変えて彼等が伐採した樹木を何処へ運び出しているのか確かめると、森の外の方には数百名の巨人が存在した。彼等は草原で陣営を築き、運び出した樹木を荷車に乗せ、加工して大きな杭のような武器を作り出していた。恐らくは破城槌を作り出すために木々を伐採していたらしい。
(戦の準備をしている……!?どういう事だ、巨人国と帝国は不可侵条約を結んでいるはずじゃ……あれは!?)
帝国の領地内で戦争の準備を行う巨人族の軍隊にナオは焦りを隠せず、もう少しだけ調べようとした時、帝国兵の姿を発見した。帝国の鎧装備を身に着けていた兵士を引き連れた貴族らしき男性が軍隊の将軍らしい男と何かを話し合い、共に酒を飲む。
様子を伺う限り、どうやらこの地方の守護を任されている帝国貴族が巨人族の軍隊と手を組んで領地内に招き寄せたらしく、将軍に対して貴族は部下に運び込ませた金品と兵糧を渡していた。この光景から察するに帝国貴族が寝返り、巨人族の軍隊を呼び寄せて帝国領地内へ侵入の手助けをしているようにしか見えなかった。
(不味い……この人達、帝国へ責めるつもりなんだ!?一体どうすれば……くうっ、能力を使い過ぎたか)
千里眼の能力を維持する事も難しくなったナオは目を開くと、そこには自分を看病するリーリス達の姿が存在し、熱を帯びた身体を起きあげてナオは皆に危険を知らせた。
「リーリスさん……ジャンヌさん、不味いよ」
「えっ!?そ、そんな……まだ食べても居ないのに私の料理がそんなに不味かいというのですか!?」
「もう、また塩と砂糖を間違えて作ったんですか?」
「い、いや……そうじゃなくて」
丁度料理の最中をしていたのか料理を行っていたジャンヌが衝撃を受けた表情を浮かべるが、ナオは頭を抑えながら近くに巨人族の軍隊が存在する事を知らせる。
「こ、この森の奥に……巨人族の軍隊が居ます。しかも、帝国の貴族みたいな人も一緒です」
「巨人族の……軍隊?」
「そんな馬鹿な……巨人国は帝国と同盟関係を結んでいます。いくら同盟国とはいえ、無断で帝国領地内に軍隊が入り込むはずがありません」
「でも、本当なんです。それにこの森の木々を伐採して外の本隊へ運び込んでいます。多分、戦の準備をしているとしか……」
「……それが事実だとしたらとんでもないですね。不可侵条約を破って巨人国は帝国へ攻め込むつもりですかね」
「そ、そんな……!?」
巨人国の軍隊の行動にリーリスとジャンヌも動揺を隠せず、ナオはもう一度千里眼を発動して様子を伺おうとすると、洞窟の外から黒狼の子供達の声が聞こえてきた。
――ウォオオオンッ!!
怒りに満ちた狼の叫び声が響き渡り、それに気づいたリーリス達が洞窟の外に視線を向けると、すぐにミノとロプスが動き出して外へ向かう。狼の声の中にはルウの鳴き声も混じり、どうやら戦闘中なのか激しい咆哮が森中に広がる。
「な、何が起きたんでしょうか?」
「もしかして……ジャンヌさんはナオさんを頼みます!!何かあったらユニコーンを呼んで対処してください!!」
「あ、リーリス!?」
不安を抱いたリーリスは洞窟の外を抜け出して鳴き声の方角に向けて駆け出すと、森の中に流れる川の方でルウに対して鎖で拘束しようとする巨人族の集団が存在し、ルウを助け出すためにミノとロプスが巨人達に戦いを挑んでいた。
「グルルルッ……!!」
「くそ、何だこの森は……どうしてレベルの高い危険種がこれほど居る!?」
「ブモォオオッ!!」
「うわっ!?気を付けろ、普通にミノタウロスよりも手強いぞ!!」
「キュロロロッ!!」
「こ、こいつ等……別種族の癖に共生しているのか!!」
10名の巨人族が協力してルウに鎖を施して動きを抑えるが、その間にミノとロプスがルウを助け出そうと他の巨人を薙ぎ払う。だが、人間と違って筋力や体格に恵まれた巨人族の軍隊は手強く、しかも訓練されている兵士達は連携して3体を取り抑えようとする。その様子を見たリーリスは岩陰に隠れ、どうにかルウ達を助けだす方法を考える。
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