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エルフ王国 決戦編
さあ、北方領地へ
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「じゃあ、キバ君はしばらくは起きないの?」
「強い衝撃を与えない限りは平気よ。万が一に起きても人間は襲わないように命じているから何処かへ消えるわよ……多分、恐らく……だといいな」
「ちょっと待ってください、最後になんて言いました!?」
不穏な言葉を残すリディアにドリアは突っかかり、リディアを同行させる事にルノは思い悩む。出来ればここで帝国軍やエルフ王国の避難民の警護のために彼女は残ってほしいのだが、そもそもリディアは罪人なのであまり良い印象は持たれていない。
そもそもリディアを抑えられる戦力はこの場には帝国四天王ぐらいしか存在せず、彼女の目を離せば逃げてしまう可能性もある。一応はもう悪人ではないと思うが、やはりもうしばらくの間は自分の目の届く範囲に置いておくべきかと考えたルノはリディアの提案を受け入れた。
「分かったよしょうがないな……なら、ガー君も一緒に行くよ」
「やった!!」
「シャアアッ……」
「むうっ……この人、あんまり好きじゃない」
コトネは過去にリディアに襲われた経験があるので警戒するようにルノの服の袖を引くが、ここまでの道中でリディアは根っからの悪人ではない事を知っているルノは何とか彼女を宥め、皇帝に見つかる前に帝都へ出発する事にした。
「じゃあ、俺達はもう行きます。後の事はお願いします」
「うむ、任された」
「お気をつけて……」
「さあ、行くわよ!!ユニコーン捕獲に!!」
「シャアアッ!!」
「……お~」
リディアの号令にガーゴイルとコトネが手を上げ、ルノは乗り物を作り出す。出来る限り急いで移動を行う必要があるため、氷塊の飛行機を生み出す。
「よし、皆乗ったね。一応は点呼するよ、コトネ」
「ういっ」
「リディア」
「居るわよ」
「ガー君」
「シャウッ」
「デブリ君」
「はい!!」
「いや、誰よあんた!?」
ルノの点呼に何故かエルフ王国の王子であるデブリが反応し、リディアは驚いた表情を浮かべる。彼女はデブリと過去に何度も顔を合わせているが、減量に成功するだけでなく筋肉ムキムキになった彼を見て驚いた声を上げた。以前の面影は殆ど残っておらず、知り合いであるリディアでさえもデブリだと気づく事は出来なかった。デブリがどうして氷飛行機に乗り込んでいるのかはルノも疑問を抱き、一体何時の間に乗り込んだのかと尋ねる。
「つい名前を呼んじゃったけど……どうしてデブリ王子が乗ってるんですか?」
「ルノよ、いやルノさん!!敬語は不要ですぞ!!貴方は父上の恩人、いや、王国の恩人!!私如きに敬語を使う必要はありません!!」
「ち、父上?誰よこいつ……人間顔のオーガ?」
「リディア、テイムする」
「要らないわよこんなの!?」
デブリの声を聞いてもリディアは彼の正体に気付けず、謎のポージングを行いながらデブリは氷飛行機に乗り込んだ理由を話す。
「お願いですルノさん、僕も連れて行ってください!!だいたいの話は盗み聞きしていました!!どうか僕にも王女様の救助を手伝わせてほしい!!」
「ど、どうして?」
「僕は散々自分の国や王国の人々に迷惑を掛けてきた……だから何でもいいから罪滅ぼしがしたい!!そのためにこの身体を鍛えあげました!!」
「何で魔法が得意な森人族が肉体を鍛えているのよ!?普通、そこは魔法を鍛えなさいよ!?」
「はっ……!?も、盲点だった……」
リディアのツッコミにデブリは衝撃を受けた表情を浮かべ、ダイエットに成功した時にこの際に身体を極限まで鍛え上げようと考えたデブリには魔法を磨くという発想は思いつかなかった。しかし、本気で人の役に立ちたいという思いは嘘ではなく、デブリは土下座を行う。
「だけど、僕には魔法がなくとも筋肉がある!!どうかこの力を役立たせたい!!お願いです、連れて行って下さい!!」
「う、う~ん……連れて行くのはいいけど、そんな事をしたらエルフ王国の人達が困るんじゃ……」
「あ、それは大丈夫です。抜け出す前にちゃんと話は通しておきましたから」
家族に話はつけてきたらしく、デブリは既に旅支度を整えていたのか大きなリュックをぶら下げていた。そして思い出したように彼はリュックの底から大きな小袋を取り出し、ルノに差し出す。
「あ、そうだ。旅をするならきっとこれも役立つでしょう。どうかお使い下さい」
「これは?」
「僕のお小遣いです。コツコツと溜めていたので結構な額になると思いますけど……これを旅費として利用してください」
「いや、そんなの悪いですよ。お金には困ってないし……あっ」
ルノはこれまでに貯蓄したお金が全てアイリスに回収された事を思い出す。帝都に戻れば冒険者ギルドに預けたお金や帝国の人間からお金を借りれるかもしれないが、どちらも時間が掛かるだろう。それにデブリの想いは本当らしく、彼は何としても付いて行こうと頼み込む。
「強い衝撃を与えない限りは平気よ。万が一に起きても人間は襲わないように命じているから何処かへ消えるわよ……多分、恐らく……だといいな」
「ちょっと待ってください、最後になんて言いました!?」
不穏な言葉を残すリディアにドリアは突っかかり、リディアを同行させる事にルノは思い悩む。出来ればここで帝国軍やエルフ王国の避難民の警護のために彼女は残ってほしいのだが、そもそもリディアは罪人なのであまり良い印象は持たれていない。
そもそもリディアを抑えられる戦力はこの場には帝国四天王ぐらいしか存在せず、彼女の目を離せば逃げてしまう可能性もある。一応はもう悪人ではないと思うが、やはりもうしばらくの間は自分の目の届く範囲に置いておくべきかと考えたルノはリディアの提案を受け入れた。
「分かったよしょうがないな……なら、ガー君も一緒に行くよ」
「やった!!」
「シャアアッ……」
「むうっ……この人、あんまり好きじゃない」
コトネは過去にリディアに襲われた経験があるので警戒するようにルノの服の袖を引くが、ここまでの道中でリディアは根っからの悪人ではない事を知っているルノは何とか彼女を宥め、皇帝に見つかる前に帝都へ出発する事にした。
「じゃあ、俺達はもう行きます。後の事はお願いします」
「うむ、任された」
「お気をつけて……」
「さあ、行くわよ!!ユニコーン捕獲に!!」
「シャアアッ!!」
「……お~」
リディアの号令にガーゴイルとコトネが手を上げ、ルノは乗り物を作り出す。出来る限り急いで移動を行う必要があるため、氷塊の飛行機を生み出す。
「よし、皆乗ったね。一応は点呼するよ、コトネ」
「ういっ」
「リディア」
「居るわよ」
「ガー君」
「シャウッ」
「デブリ君」
「はい!!」
「いや、誰よあんた!?」
ルノの点呼に何故かエルフ王国の王子であるデブリが反応し、リディアは驚いた表情を浮かべる。彼女はデブリと過去に何度も顔を合わせているが、減量に成功するだけでなく筋肉ムキムキになった彼を見て驚いた声を上げた。以前の面影は殆ど残っておらず、知り合いであるリディアでさえもデブリだと気づく事は出来なかった。デブリがどうして氷飛行機に乗り込んでいるのかはルノも疑問を抱き、一体何時の間に乗り込んだのかと尋ねる。
「つい名前を呼んじゃったけど……どうしてデブリ王子が乗ってるんですか?」
「ルノよ、いやルノさん!!敬語は不要ですぞ!!貴方は父上の恩人、いや、王国の恩人!!私如きに敬語を使う必要はありません!!」
「ち、父上?誰よこいつ……人間顔のオーガ?」
「リディア、テイムする」
「要らないわよこんなの!?」
デブリの声を聞いてもリディアは彼の正体に気付けず、謎のポージングを行いながらデブリは氷飛行機に乗り込んだ理由を話す。
「お願いですルノさん、僕も連れて行ってください!!だいたいの話は盗み聞きしていました!!どうか僕にも王女様の救助を手伝わせてほしい!!」
「ど、どうして?」
「僕は散々自分の国や王国の人々に迷惑を掛けてきた……だから何でもいいから罪滅ぼしがしたい!!そのためにこの身体を鍛えあげました!!」
「何で魔法が得意な森人族が肉体を鍛えているのよ!?普通、そこは魔法を鍛えなさいよ!?」
「はっ……!?も、盲点だった……」
リディアのツッコミにデブリは衝撃を受けた表情を浮かべ、ダイエットに成功した時にこの際に身体を極限まで鍛え上げようと考えたデブリには魔法を磨くという発想は思いつかなかった。しかし、本気で人の役に立ちたいという思いは嘘ではなく、デブリは土下座を行う。
「だけど、僕には魔法がなくとも筋肉がある!!どうかこの力を役立たせたい!!お願いです、連れて行って下さい!!」
「う、う~ん……連れて行くのはいいけど、そんな事をしたらエルフ王国の人達が困るんじゃ……」
「あ、それは大丈夫です。抜け出す前にちゃんと話は通しておきましたから」
家族に話はつけてきたらしく、デブリは既に旅支度を整えていたのか大きなリュックをぶら下げていた。そして思い出したように彼はリュックの底から大きな小袋を取り出し、ルノに差し出す。
「あ、そうだ。旅をするならきっとこれも役立つでしょう。どうかお使い下さい」
「これは?」
「僕のお小遣いです。コツコツと溜めていたので結構な額になると思いますけど……これを旅費として利用してください」
「いや、そんなの悪いですよ。お金には困ってないし……あっ」
ルノはこれまでに貯蓄したお金が全てアイリスに回収された事を思い出す。帝都に戻れば冒険者ギルドに預けたお金や帝国の人間からお金を借りれるかもしれないが、どちらも時間が掛かるだろう。それにデブリの想いは本当らしく、彼は何としても付いて行こうと頼み込む。
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