457 / 657
エルフ王国 決戦編
世界樹へ突入
しおりを挟む
『ギギギギッ……!!』
「駄目だ、数が多すぎる!?」
回転氷刃で蟷螂の大群に攻撃を仕掛けるが、あまりにも数が多すぎて侵攻を食い止める事は出来ず、ルノは地上に接近して合成魔術を発動した。
「白雷!!」
『ギギィッ!?』
『ギィアッ!?』
広範囲に白色の電撃を浴びせて数十体の蟷螂を感電させる事に成功するが、恐らくは数千を超える大群の前では焼け石に水程度の効果しかなく、かといって世界樹の傍では「黒炎」や「黒炎槍」などの魔法は使用できない。強化スキルを解除してルノは氷塊の魔法で周囲一帯を凍り付かせようかとも考えたが、それでは世界樹にも悪影響を与えてしまう。
世界樹内に侵入を果たした蟷螂も放置できず、だからといって地上から信仰する蟷螂を防がなければ被害は増す。どうするべきかとルノは考えている間、更に蟷螂とは別の昆虫種が出現した。
『キィイイイッ!!』
「白蟻!?」
今度は世界樹の樹皮から大量の白蟻が出現し、地上に降りてきた。蟷螂よりも小柄な蟻の大群はルノに目掛けて接近すると、鋭い顎を突き出す。
『キイイッ!!』
「うわ、近寄るな……このっ!!」
迫りくる顎に向けてルノは掌を構て氷盾を生み出すと、攻撃を防ぎながら白蟻の様子を確認する。唐突に自分達の前に現れた白蟻の大群に蟷螂の群れは威嚇し、何体かはルノを放置して食らいつく。
『ギギィッ!!』
『キイイッ!?』
『キキイッ!!』
仲間に鎌を振り下ろした蟷螂に対して白蟻の群れは連携して襲い掛かると、逆に蟷螂を捕食する。こちらの世界の昆虫種は全て雑食らしく、容赦なく蟻の大群は蟷螂の大群と交戦を始めた。その様子を見てルノは戦闘に巻き込まれないように注意しながら駆け抜ける。
(凄い光景だな……自分が小さくなった気分だ)
世界樹の巨大さ、自分よりも体躯を遥かに上回る昆虫種の群れにルノは自分が小人になったような気分に陥るが、ここは現実である事を思い出して世界樹の根の上を駆け抜けて蟷螂が食い破った穴を目指す。あそこから中に入れると判断し、小回りが利く氷板を足元に生み出してルノは目指す。
移動の途中、何体かの昆虫種に狙われたが世界樹を傷づけないようにルノは風圧の魔法で吹き飛ばし、最も大きな穴の中に入り込む。その後を追うように昆虫種の大群がなだれ込もうとしたが、ルノは出入口で立ち止まると両手を構て魔法を発動させた。
「ここから先は立ち入り禁止だよ!!」
『ギキィイイイッ!?』
掌を前に突き出すと、巨大な氷塊の壁を生み出して出入口を塞ぎ、昆虫種の大群が壁に突っ込んで悲鳴をあげる。蟷螂は鎌を振り下ろし、白蟻は顎の牙を壁に食い込ませようとするが、その程度の攻撃はルノの氷の壁を破壊する事は出来ない。
「ふうっ……これで少しは時間を稼げるかな。でも、ここから先は派手な魔法は使えない」
出入口を塞いだことでしばらくの間は外部からの侵入を防ぐ事は出来るだろうが、それでも相当数の昆虫種が中に入り込んでいる事は間違いなく、ルノは警戒心を強めて氷鎧で全身を覆いこむ。そして昆虫種に対抗するため、氷塊の剣と盾を装備して向かう。
『上へ行けばいいのかな……よし、行くぞ!!』
世界樹の内部を氷鎧を装着したルノが駆け抜け、頂上付近に存在するはずの転移結晶が設置されている広間まで向かう。その途中、先に侵入した昆虫種に殺されたと思われる大量の森人族の兵士の姿を確認し、ルノは歯を食いしばる。
(皆喰い殺されている……あいつらにとって人間は餌なのか)
倒れている兵士達は昆虫種によって装備していた鎧や兜ごと食い千切られた後が存在し、まともな死体は一つも残っていない。その光景を確認しながらもルノは速足で坂道を駆け抜け、頂上に向かう。
『ギイイッ!!』
『ギギィッ!?』
『邪魔だ、退けっ!!』
行く手を阻む昆虫種に対してルノは氷塊の剣に「超振動」を引き起こし、邪魔をする昆虫種の身体を切り刻む。中にはルノに反撃を繰り出す個体も存在したが、氷鎧を破壊するどころか掠り傷さえも負わせられずに吹き飛ばされる。
『うおおおっ!!』
『ギギィイイイッ!!』
それでも狭い通路内を移動する以上、昆虫種の群れとの戦闘は避けられず、1体1体を相手にしながらルノは頂上へ向かうしかなかった。戦う度に時間を取られてしまうが、あまりに強すぎる魔法を使うと世界樹を傷つけてしまうため、出来る限りエルフ王国の居場所ともいえる世界樹を傷つけないようにルノは進む。
『退けぇえええっ!!』
『ギィアアアアッ!?』
いい加減に面倒になったルノは人間砲弾のように空を飛んで昆虫種の群れを吹き飛ばして先に進む。やがて世界樹の中腹部分まで辿り着くと、ルノの耳元に戦闘音が聞こえてきた。
「はあっ……くそっ、こいつら何匹居るんだ!?」
「弱音を吐くな!!腕を動かせ!!」
「畜生、ここは俺達の世界樹だ!!」
森人族の兵士らしき声が聞こえ、ルノは昆虫種を薙ぎ払いながら声の方角へ向かうと、そこには昆虫種と交戦を行う傷だらけの兵士の姿が存在した。
「駄目だ、数が多すぎる!?」
回転氷刃で蟷螂の大群に攻撃を仕掛けるが、あまりにも数が多すぎて侵攻を食い止める事は出来ず、ルノは地上に接近して合成魔術を発動した。
「白雷!!」
『ギギィッ!?』
『ギィアッ!?』
広範囲に白色の電撃を浴びせて数十体の蟷螂を感電させる事に成功するが、恐らくは数千を超える大群の前では焼け石に水程度の効果しかなく、かといって世界樹の傍では「黒炎」や「黒炎槍」などの魔法は使用できない。強化スキルを解除してルノは氷塊の魔法で周囲一帯を凍り付かせようかとも考えたが、それでは世界樹にも悪影響を与えてしまう。
世界樹内に侵入を果たした蟷螂も放置できず、だからといって地上から信仰する蟷螂を防がなければ被害は増す。どうするべきかとルノは考えている間、更に蟷螂とは別の昆虫種が出現した。
『キィイイイッ!!』
「白蟻!?」
今度は世界樹の樹皮から大量の白蟻が出現し、地上に降りてきた。蟷螂よりも小柄な蟻の大群はルノに目掛けて接近すると、鋭い顎を突き出す。
『キイイッ!!』
「うわ、近寄るな……このっ!!」
迫りくる顎に向けてルノは掌を構て氷盾を生み出すと、攻撃を防ぎながら白蟻の様子を確認する。唐突に自分達の前に現れた白蟻の大群に蟷螂の群れは威嚇し、何体かはルノを放置して食らいつく。
『ギギィッ!!』
『キイイッ!?』
『キキイッ!!』
仲間に鎌を振り下ろした蟷螂に対して白蟻の群れは連携して襲い掛かると、逆に蟷螂を捕食する。こちらの世界の昆虫種は全て雑食らしく、容赦なく蟻の大群は蟷螂の大群と交戦を始めた。その様子を見てルノは戦闘に巻き込まれないように注意しながら駆け抜ける。
(凄い光景だな……自分が小さくなった気分だ)
世界樹の巨大さ、自分よりも体躯を遥かに上回る昆虫種の群れにルノは自分が小人になったような気分に陥るが、ここは現実である事を思い出して世界樹の根の上を駆け抜けて蟷螂が食い破った穴を目指す。あそこから中に入れると判断し、小回りが利く氷板を足元に生み出してルノは目指す。
移動の途中、何体かの昆虫種に狙われたが世界樹を傷づけないようにルノは風圧の魔法で吹き飛ばし、最も大きな穴の中に入り込む。その後を追うように昆虫種の大群がなだれ込もうとしたが、ルノは出入口で立ち止まると両手を構て魔法を発動させた。
「ここから先は立ち入り禁止だよ!!」
『ギキィイイイッ!?』
掌を前に突き出すと、巨大な氷塊の壁を生み出して出入口を塞ぎ、昆虫種の大群が壁に突っ込んで悲鳴をあげる。蟷螂は鎌を振り下ろし、白蟻は顎の牙を壁に食い込ませようとするが、その程度の攻撃はルノの氷の壁を破壊する事は出来ない。
「ふうっ……これで少しは時間を稼げるかな。でも、ここから先は派手な魔法は使えない」
出入口を塞いだことでしばらくの間は外部からの侵入を防ぐ事は出来るだろうが、それでも相当数の昆虫種が中に入り込んでいる事は間違いなく、ルノは警戒心を強めて氷鎧で全身を覆いこむ。そして昆虫種に対抗するため、氷塊の剣と盾を装備して向かう。
『上へ行けばいいのかな……よし、行くぞ!!』
世界樹の内部を氷鎧を装着したルノが駆け抜け、頂上付近に存在するはずの転移結晶が設置されている広間まで向かう。その途中、先に侵入した昆虫種に殺されたと思われる大量の森人族の兵士の姿を確認し、ルノは歯を食いしばる。
(皆喰い殺されている……あいつらにとって人間は餌なのか)
倒れている兵士達は昆虫種によって装備していた鎧や兜ごと食い千切られた後が存在し、まともな死体は一つも残っていない。その光景を確認しながらもルノは速足で坂道を駆け抜け、頂上に向かう。
『ギイイッ!!』
『ギギィッ!?』
『邪魔だ、退けっ!!』
行く手を阻む昆虫種に対してルノは氷塊の剣に「超振動」を引き起こし、邪魔をする昆虫種の身体を切り刻む。中にはルノに反撃を繰り出す個体も存在したが、氷鎧を破壊するどころか掠り傷さえも負わせられずに吹き飛ばされる。
『うおおおっ!!』
『ギギィイイイッ!!』
それでも狭い通路内を移動する以上、昆虫種の群れとの戦闘は避けられず、1体1体を相手にしながらルノは頂上へ向かうしかなかった。戦う度に時間を取られてしまうが、あまりに強すぎる魔法を使うと世界樹を傷つけてしまうため、出来る限りエルフ王国の居場所ともいえる世界樹を傷つけないようにルノは進む。
『退けぇえええっ!!』
『ギィアアアアッ!?』
いい加減に面倒になったルノは人間砲弾のように空を飛んで昆虫種の群れを吹き飛ばして先に進む。やがて世界樹の中腹部分まで辿り着くと、ルノの耳元に戦闘音が聞こえてきた。
「はあっ……くそっ、こいつら何匹居るんだ!?」
「弱音を吐くな!!腕を動かせ!!」
「畜生、ここは俺達の世界樹だ!!」
森人族の兵士らしき声が聞こえ、ルノは昆虫種を薙ぎ払いながら声の方角へ向かうと、そこには昆虫種と交戦を行う傷だらけの兵士の姿が存在した。
0
お気に入りに追加
11,307
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。


俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。