455 / 657
エルフ王国 決戦編
壊滅寸前
しおりを挟む
「あの、どうして皆さんがここにいるんですか?まさか、ここまで避難してきたんですか?あれ、でも昨日ここを通った時は誰も見かけなかったのに……」
「ああ、それは事情を説明すると長くなるんだが……実はな」
「ルノ様、貴方にお願いします!!」
「リン!?」
ルノの質問にデブリが答えようとした時、リンが先に前に出てルノの前に跪くと、彼女の行動に周囲の者達が驚愕する。ルノもいきなり自分に縋りついてきたリンに動揺するが、彼女の言葉を聞いて更に驚愕した。
「国王様が……国王様が世界樹と共に心中するつもりです!!どうかあの方をお救い下さい!!」
「何だって!?それはどういう事だリン!?父上が何と言った!?」
「国王様……え、父上?」
リンの言葉にも驚きだが、デブリの父上という言葉にルノは疑問を抱き、よくよく彼の顔つきを確認してデブリの面影がある事を知ると彼がデブリであると気づく。あまりにも以前と出会った時と体型が違い過ぎたために気付くことが出来ず、ルノは混乱してしまう。
「も、もしかしてデブリ王子!?一体何があったらそんなボディビルダーみたいな肉体に……」
「いや、ちょっと色々とあってな……そんな事よりもリン!!父上が心中とはどういう事だ!?」
「じ、実は……」
この場所に送り込まれたデブリと他の子供達は世界樹内に昆虫種が襲撃を受けたという報告は受けておらず、先に避難するように国王から言い渡されていたらしく、国王が世界樹と共に魔王軍の仕掛けた爆発物を利用して昆虫種を道連れに心中しようとした事実を知って3人の子供達は嘆く。
「そ、そんな……父上、どうして!?」
「嘘だ……そんな馬鹿な!!」
「いや……お父様、こんなの酷すぎますわ……!!」
「申し訳ありません……我等の力が及ばず、国王様にこのような判断をさせてしまうなんて……!!」
「…………」
話を聞き終えた3人の子供は膝を崩し、彼等の前でリンは土下座を行う。その様子を見ていた兵士と他の民衆も悲痛の表情を浮かべ、どれほど国王が慕われていた事を思い知らされたルノは拳を握り締める。そんな彼に大勢の兵士が駆けつけ、恥も外聞も捨てて国王の救助を願う。
「帝国の英雄、いえルノ様!!どうか我等の王をお救い下さい!!どうか、何卒……!!」
「お願いします!!」
「どうかお救い下さい……どうか!!」
兵士達に懇願されたルノは彼等の顔を見て黙り込み、だ飲み込んだ者達も流石に自分達が無茶な願い事をしている理解していた。この場所からエルフ王国の王都まで移動するには時間が掛かりすぎるため、いくらルノが氷の船を利用して移動したとしても到着までに時間が掛かりすぎる。
転移した森人族の話を聞く限りでは既に世界樹内には大量の昆虫種が侵入し、最早追い返すことは出来ない状況に陥っていた。それでも未だに一人でも多くの森人族を救うために国王は転移結晶を利用しているらしく、次々と森人族が送り込まれていた。
「……ルノ、いやルノさん……どうか、貴方の力で父上を救ってくれないか!?」
「で、デブリ……お前、何を!?」
「デブリ王子?」
デブリはルノの前に跪き、ゆっくりと両手を地面につけて土下座を行う。一国の王子が他国の人間にそのような行為をするなど誇り高い森人族にとっては恥だが、今のデブリは父親を救うために手段を択ばず、懇願する。
「どうか、頼む……父上を救ってください!!」
「……変わりましたね、デブリ王子」
最初に会った時はどうしようもなく甘えん坊で自分勝手なデブリだったが、今の彼は父親の事を真剣に心配する立派な心優しい青年と化した姿にルノは心を打たれ、ゆっくりと氷の船を要塞内部へ向けて着地させる。そして乗船していた帝国軍の兵士達に声を掛けた。
「すいません、その物資はここの人達に分けてください!!責任は俺が取ります!!」
「えっ!?」
「る、ルノ殿!?これはどういう事じゃ!?」
氷の船には皇帝も乗船しており、ルノの言葉に驚きを隠せないが、今は理由を説明する暇はないのでルノは皇帝へ告げる。
「エルフ王国の救援は俺が向かいます!!なので皇帝さんはここの人達を頼みます!!」
「いや、しかし……」
「お願いします!!」
「う、うむ……分かった」
ルノの強い言葉に皇帝は何も言えず、船の下に集まったエルフ王国の住民達の姿を見て仕方なく帝国軍の補給物資を彼等に分け与える事を誓う。それを確認したルノは上空を見上げ、流れ星のようにこちらへ向けて降り立つ森人族の住民達を見てエルフ王国が存在する方角を確認した。
「エルフ王国はあっちですね?」
「え、ええ……あの、何をする気ですか?」
「勿論、助けに行くんですよ……絶対に国王様を連れ帰ります。それまで待っててください」
「おおっ……頼む、ルノさん!!」
「ルノでいいですよ」
デブリはルノの言葉に号泣し、これ以上に心強い彼の言葉を聞いて自然と他の森人族達も緊張が解けたように膝を崩して涙を流す。そんな彼等の期待に応えるため、ルノは転移される人間が送り込まれてくる方角に視線を向け、飛翔術を発動させた。
「ああ、それは事情を説明すると長くなるんだが……実はな」
「ルノ様、貴方にお願いします!!」
「リン!?」
ルノの質問にデブリが答えようとした時、リンが先に前に出てルノの前に跪くと、彼女の行動に周囲の者達が驚愕する。ルノもいきなり自分に縋りついてきたリンに動揺するが、彼女の言葉を聞いて更に驚愕した。
「国王様が……国王様が世界樹と共に心中するつもりです!!どうかあの方をお救い下さい!!」
「何だって!?それはどういう事だリン!?父上が何と言った!?」
「国王様……え、父上?」
リンの言葉にも驚きだが、デブリの父上という言葉にルノは疑問を抱き、よくよく彼の顔つきを確認してデブリの面影がある事を知ると彼がデブリであると気づく。あまりにも以前と出会った時と体型が違い過ぎたために気付くことが出来ず、ルノは混乱してしまう。
「も、もしかしてデブリ王子!?一体何があったらそんなボディビルダーみたいな肉体に……」
「いや、ちょっと色々とあってな……そんな事よりもリン!!父上が心中とはどういう事だ!?」
「じ、実は……」
この場所に送り込まれたデブリと他の子供達は世界樹内に昆虫種が襲撃を受けたという報告は受けておらず、先に避難するように国王から言い渡されていたらしく、国王が世界樹と共に魔王軍の仕掛けた爆発物を利用して昆虫種を道連れに心中しようとした事実を知って3人の子供達は嘆く。
「そ、そんな……父上、どうして!?」
「嘘だ……そんな馬鹿な!!」
「いや……お父様、こんなの酷すぎますわ……!!」
「申し訳ありません……我等の力が及ばず、国王様にこのような判断をさせてしまうなんて……!!」
「…………」
話を聞き終えた3人の子供は膝を崩し、彼等の前でリンは土下座を行う。その様子を見ていた兵士と他の民衆も悲痛の表情を浮かべ、どれほど国王が慕われていた事を思い知らされたルノは拳を握り締める。そんな彼に大勢の兵士が駆けつけ、恥も外聞も捨てて国王の救助を願う。
「帝国の英雄、いえルノ様!!どうか我等の王をお救い下さい!!どうか、何卒……!!」
「お願いします!!」
「どうかお救い下さい……どうか!!」
兵士達に懇願されたルノは彼等の顔を見て黙り込み、だ飲み込んだ者達も流石に自分達が無茶な願い事をしている理解していた。この場所からエルフ王国の王都まで移動するには時間が掛かりすぎるため、いくらルノが氷の船を利用して移動したとしても到着までに時間が掛かりすぎる。
転移した森人族の話を聞く限りでは既に世界樹内には大量の昆虫種が侵入し、最早追い返すことは出来ない状況に陥っていた。それでも未だに一人でも多くの森人族を救うために国王は転移結晶を利用しているらしく、次々と森人族が送り込まれていた。
「……ルノ、いやルノさん……どうか、貴方の力で父上を救ってくれないか!?」
「で、デブリ……お前、何を!?」
「デブリ王子?」
デブリはルノの前に跪き、ゆっくりと両手を地面につけて土下座を行う。一国の王子が他国の人間にそのような行為をするなど誇り高い森人族にとっては恥だが、今のデブリは父親を救うために手段を択ばず、懇願する。
「どうか、頼む……父上を救ってください!!」
「……変わりましたね、デブリ王子」
最初に会った時はどうしようもなく甘えん坊で自分勝手なデブリだったが、今の彼は父親の事を真剣に心配する立派な心優しい青年と化した姿にルノは心を打たれ、ゆっくりと氷の船を要塞内部へ向けて着地させる。そして乗船していた帝国軍の兵士達に声を掛けた。
「すいません、その物資はここの人達に分けてください!!責任は俺が取ります!!」
「えっ!?」
「る、ルノ殿!?これはどういう事じゃ!?」
氷の船には皇帝も乗船しており、ルノの言葉に驚きを隠せないが、今は理由を説明する暇はないのでルノは皇帝へ告げる。
「エルフ王国の救援は俺が向かいます!!なので皇帝さんはここの人達を頼みます!!」
「いや、しかし……」
「お願いします!!」
「う、うむ……分かった」
ルノの強い言葉に皇帝は何も言えず、船の下に集まったエルフ王国の住民達の姿を見て仕方なく帝国軍の補給物資を彼等に分け与える事を誓う。それを確認したルノは上空を見上げ、流れ星のようにこちらへ向けて降り立つ森人族の住民達を見てエルフ王国が存在する方角を確認した。
「エルフ王国はあっちですね?」
「え、ええ……あの、何をする気ですか?」
「勿論、助けに行くんですよ……絶対に国王様を連れ帰ります。それまで待っててください」
「おおっ……頼む、ルノさん!!」
「ルノでいいですよ」
デブリはルノの言葉に号泣し、これ以上に心強い彼の言葉を聞いて自然と他の森人族達も緊張が解けたように膝を崩して涙を流す。そんな彼等の期待に応えるため、ルノは転移される人間が送り込まれてくる方角に視線を向け、飛翔術を発動させた。
0
お気に入りに追加
11,319
あなたにおすすめの小説
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。