最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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エルフ王国 決戦編

合流、そして説明

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「ルノ様、ご無事で何よりです。ですが、今まで何処に……」
「えっと、その前に皆に紹介したい人がいるんですけど……お~い!!こっちに来てよ!!」
「ガウッ!!」


ルノの言葉に蜘蛛の死骸に食らいついていた牙竜が反応し、食事を中断してルノの元へ向かう。遂に竜種までルノが飼いならしたのかと将軍達は驚くが、その牙竜の背中に乗り込んでいた人物を見て更に驚く。


「あははっ……ど、どうも?」
「お主は……!?」
「魔王軍の幹部の……!?」
「……イデア?」
「リディアよ!!」


リディアの登場に将軍達は警戒心を強めるが、慌ててレナは双方の間に割って入り、現在の彼女が改心して自分達の味方である事を説明する。


「待って待って!!リディアはもう敵じゃないんです!!色々とあって、今は味方してくれているんです!!」
「魔王軍の幹部が味方?」
「おい、坊主。一体どういうことだ?」


過去に自分達の命を狙われた事があるギリョウやドリアは警戒を緩めぬまま武器を構えるが、ルノの言葉を聞いて彼女から直接的な被害を受けていないダンテは冷静に尋ねる。ヒカゲもルノが連れて来たという理由で彼女への警戒を止め、説明を求めるように視線を向けた。


「えっと、まず俺が帝国を離れた時の事から話しますね。実は――」



――ルノはこれまでの自分の経緯を話す。魔王を宇宙の果てに吹き飛ばした事、宇宙から着地した場所が謎の漂流船だった事、海獄島と呼ばれる監獄に辿り着いた事、その後に魔王軍の襲撃を受けて島を脱出した等などを話し、結果的にリディアが魔王軍から命を狙われているという理由で連れて来たことを説明する。


「という理由で今のリディアは俺達の味方なんです。そうだよねリディア?」
「ま、まあ……そういう事になるわね」
『…………』


ルノの言葉に半信半疑という表情で将軍達はリディアを見つめるが、彼女は居心地の悪さを感じて牙竜から降りると、両手を広げて彼等の元へ近づく。


「まあ、疑う気持ちも分かるけど私は本当にあんた等と戦う気はないわよ。というより、こんな化物みたいな強さを持つ奴に逆らう方がおかしいでしょ」
「化物って……酷いな」
「……ルノ様がそこまで言うのなら一応は信じましょう。しかし、忘れないでください。彼女は犯罪者です、彼女の行いで大勢の人間の命が危険に晒されたんですよ?」
「うむ、いくら改心したいっても罪は償わんとな」


以前に王国会談でリディアが引き起こした騒動に関わっていたドリアとギリョウは警戒心を露わにして警告を行い、その一方でダンテとヒカゲは彼女が引き従えた牙竜を見て感心した声を上げる。


「だけどよ、この牙竜は心強いぜ?こいつがいれば昆虫種との戦闘でも楽が出来そうだな」
「……前に従えてた牙竜よりも大きくて強そう」
「ガウッ」
「そ、そうよ?こいつは私が従えているんだから、私を連れて行けばこいつも一緒に戦ってくれるのよ?そう考えれば悪くないでしょう」


牙竜の戦闘能力を間近で見ていた将軍達はリディアの言葉に悩み、確かに昆虫種との戦闘では竜種の力は心強い。それにルノが連れて来た以上は信用できる相手なのかと考えるが、それでも不安は拭えない。

リディアの同行に難色を示す将軍達の反応にルノは困り、どうすれば彼等がリディアの事を認めてくれるのかと考えたとき、大きな馬車がルノ達の元へ駆けつけてきた。馬車はルノ達の前に立ち止まると、中から慌てた様子で皇帝が姿を現した。


「そ、そこにいるのはルノ殿か!?」
「あれ!?皇帝さん?どうしてここに……」
「おおっ……無事だったのか!!ルノ殿、どうかジャンヌを……ジャンヌを助けてくれ!!」
「え、え?」


皇帝はルノの存在に気づくと彼の元へ近寄り、その場に跪いてルノに懇願する。彼の反応にルノは戸惑い、一体何が起きているのかを尋ねようとすると、代わりにドリアが説明を行う。


「ルノ様、実は貴方のいない間に帝国にエルフ王国からの救援の使者が訪れました。その使者の名前は――」



――ルノが不在の間、帝国ではエルフ王国が昆虫種の大群によって滅亡の危機に陥ったという報告が届き、その報告を行ったのがルノの従弟であるナオと呼ばれる異世界から召喚された勇者である事、そして帝国の北方にて王女の病を治すユニコーンが発見された事、その王女が誘拐されてエルフ王国に軍隊を差し向ける指示が記された手紙が残っていた事を話す。

ナオがこの世界に存在した事は日の国でルノも知っていたが、まさかエルフ王国が滅亡の危機に陥り、しかも王女であるジャンヌが誘拐されたという話に動揺を隠せない。このような時に頼りになるリーリスもエルフ王国から訪れたナオも姿を消したという話を聞いて更に戸惑い、帝国が予想以上に追い詰められた状況である事を知る。
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