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エルフ王国 決戦編
新種の昆虫種
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「っ……東南の方角に敵影!!」
「なんだと!?」
「なんと……!?」
ヒカゲの言葉に全員が彼女の告げた方角に視線を向けると、草原を疾走する無数の物体を発見し、その正体が紫色の巨大な蜘蛛だと判明する。唐突に出現した蜘蛛は防護柵を破壊して陣内に入り込み、蟷螂型の昆虫種と交戦していた兵士達に襲い掛かった。
『ギキキキッ……!!』
「う、うわぁああっ!?」
「く、蜘蛛だと……ぎゃああっ!?」
「いかん!!全員下がれ!!」
あと少しで蟷螂を殲滅出来るという段階で新種の昆虫種が現れた事で兵士達は混乱の極致に陥り、将軍達が咄嗟に指示を出すが恐怖に飲み込まれた兵士達は動けず、最初に防護柵付近に存在した兵士達が餌食となった。
「ぎゃああっ!?」
「うわ、来るなっ……がああっ!?」
『ギチチッ……!!』
蜘蛛たちは巨体を生かして兵士の身体を抑えつけると、その鋭い牙で急所に噛みつく。さらに噛みついた箇所から毒を流し込んでいるのか噛まれた兵士達は身体が麻痺して動けず、そのまま食い散らされる。
「くそっ!!魔法で追い払えないのか!?」
「だ、駄目です……もう我等も魔力が……」
「ちいっ……まさかここで新手とは、油断したか」
昆虫種が蟷螂だと思い込んでいた将軍達も新手の蜘蛛型の昆虫種の登場に動揺を隠せず、必死に応戦するが既に蟷螂との戦闘で疲労も蓄積されていたので上手く対応できない。だが、蜘蛛の昆虫種は兵士だけを襲っているわけではなく、既に死に絶えた蟷螂の死骸や交戦中の蟷螂にも容赦なく喰らいついた。
『ギチギチッ!!』
『ギルルルッ!!』
「な、何だ……仲間割れか!?」
「いえ、これは……どうやら彼等は共闘関係ではないようです」
生きのこっていた蟷螂に蜘蛛の集団が襲い掛かり、牙を食い込ませて捕食を試みる。蟷螂の方も負けずに刃を振り回して噛みついてくる蜘蛛の頭を切り裂くが、多勢に無勢で次々と生きのこっていた蟷螂達も殺されていく。その光景を見ていた将軍達は敵同士が襲い合っている間に避難をするため、陣を放棄して逃げるように促す。
「このままでは全滅じゃ!!皆の者、撤退せよ!!」
「殿は俺らが勤めてやる!!早く行け!!」
「そ、そんな……それでは将軍達が!?」
「いいから早くいきなさい!!負傷兵を連れて近くの街まで撤退しなさい!!」
ダンテ、ギリョウ、ドリアはこの場を死に場所だと決めて3人は蟷螂と争う蜘蛛の大群と向かい合い、兵士の避難を指示する。将軍達の命令に兵士達は苦悶の表情を浮かべながらも従い、負傷した兵士を抱えて撤退を開始した。
「撤退だ!!将軍の命令だ!!」
「街まで引き返せ!!将軍達の命を無駄にするな!!」
「負傷者には手を貸せ!!」
兵士達はお互いに協力して撤退を行い、その間にも蜘蛛達は生き残っていた蟷螂を殺害して死骸へ食らいつく。やがて喰い飽きたのか、あるいは新鮮な獲物を求めたのか蜘蛛の大群は逃走を開始する兵士達に標的を変更させ、襲いかかろうとした。
『ギチギチギチッ……!!』
「ちっ……きやがれ化物が!!」
「あの世で会おう」
「帝国四天王の意地……見せてやりましょう!!」
迫りくる数百の蜘蛛の大群に対して3人の将軍は各々の武器を構えて迎え撃とうとした時、後方から車輪が移動する音が鳴り響き、最後の四天王であるヒカゲが部下を引き連れて大量の大砲を乗せた荷車を運び込む。彼女の行動に3人は驚愕の表情を浮かべるが、ヒカゲは両手でピースサインを作って3人に声を掛ける。
「全員、その場で伏せて……でないと凍り付く」
「おい、マジかよ!?」
「いかん……!!」
「ひ、ヒカゲさん!!待ってくださいそれは……」
「待てない、発射!!」
『はっ!!』
ヒカゲが合図を下した瞬間、彼女の部下達が大砲を構て蜘蛛達に向けて冷気の砲弾を発射した。先日のゴーレムとの大群との戦闘で利用したリーリス制作の「魔導大砲」であり、蜘蛛の大群を吹き飛ばす。
『ギキキキッ……!?』
砲弾をまともに受けた蜘蛛は身体が氷結化して氷像と化し、直撃を避けた個体も大量の冷気を浴びる事を嫌がるように離れる。どうやら昆虫種は冷気を苦手としているらしく、次々と発射される冷気の砲弾に怯えたように後退し、遂には大砲から距離を取る。
予想以上に魔導大砲が効果的だと判明し、その様子を身体を伏せて見ていた将軍達は蜘蛛の大群が蹴散らされる光景を見てこのまま行けば殲滅出来るのではないかと考えたとき、蜘蛛の大群が半数程凍り付いたところで大砲の砲撃が止む。どうしてこの状況で畳みかけないのかと3人は疑問を抱くと、荷車の上に乗っていたヒカゲが言いにくそうに答えた。
「……弾切れ、もう撃てない」
「嘘だろおい!?」
「そんな……」
「こ、ここまでか……」
大砲の砲弾を撃ち尽くしたらしく、蜘蛛の大群は砲撃が行われない事を察して疑問を抱いたように立ち止まり、将軍達の様子を伺う。だが、何時まで経っても次の砲撃が来ない事に気付くと再び攻撃を仕掛けてきた。
「なんだと!?」
「なんと……!?」
ヒカゲの言葉に全員が彼女の告げた方角に視線を向けると、草原を疾走する無数の物体を発見し、その正体が紫色の巨大な蜘蛛だと判明する。唐突に出現した蜘蛛は防護柵を破壊して陣内に入り込み、蟷螂型の昆虫種と交戦していた兵士達に襲い掛かった。
『ギキキキッ……!!』
「う、うわぁああっ!?」
「く、蜘蛛だと……ぎゃああっ!?」
「いかん!!全員下がれ!!」
あと少しで蟷螂を殲滅出来るという段階で新種の昆虫種が現れた事で兵士達は混乱の極致に陥り、将軍達が咄嗟に指示を出すが恐怖に飲み込まれた兵士達は動けず、最初に防護柵付近に存在した兵士達が餌食となった。
「ぎゃああっ!?」
「うわ、来るなっ……がああっ!?」
『ギチチッ……!!』
蜘蛛たちは巨体を生かして兵士の身体を抑えつけると、その鋭い牙で急所に噛みつく。さらに噛みついた箇所から毒を流し込んでいるのか噛まれた兵士達は身体が麻痺して動けず、そのまま食い散らされる。
「くそっ!!魔法で追い払えないのか!?」
「だ、駄目です……もう我等も魔力が……」
「ちいっ……まさかここで新手とは、油断したか」
昆虫種が蟷螂だと思い込んでいた将軍達も新手の蜘蛛型の昆虫種の登場に動揺を隠せず、必死に応戦するが既に蟷螂との戦闘で疲労も蓄積されていたので上手く対応できない。だが、蜘蛛の昆虫種は兵士だけを襲っているわけではなく、既に死に絶えた蟷螂の死骸や交戦中の蟷螂にも容赦なく喰らいついた。
『ギチギチッ!!』
『ギルルルッ!!』
「な、何だ……仲間割れか!?」
「いえ、これは……どうやら彼等は共闘関係ではないようです」
生きのこっていた蟷螂に蜘蛛の集団が襲い掛かり、牙を食い込ませて捕食を試みる。蟷螂の方も負けずに刃を振り回して噛みついてくる蜘蛛の頭を切り裂くが、多勢に無勢で次々と生きのこっていた蟷螂達も殺されていく。その光景を見ていた将軍達は敵同士が襲い合っている間に避難をするため、陣を放棄して逃げるように促す。
「このままでは全滅じゃ!!皆の者、撤退せよ!!」
「殿は俺らが勤めてやる!!早く行け!!」
「そ、そんな……それでは将軍達が!?」
「いいから早くいきなさい!!負傷兵を連れて近くの街まで撤退しなさい!!」
ダンテ、ギリョウ、ドリアはこの場を死に場所だと決めて3人は蟷螂と争う蜘蛛の大群と向かい合い、兵士の避難を指示する。将軍達の命令に兵士達は苦悶の表情を浮かべながらも従い、負傷した兵士を抱えて撤退を開始した。
「撤退だ!!将軍の命令だ!!」
「街まで引き返せ!!将軍達の命を無駄にするな!!」
「負傷者には手を貸せ!!」
兵士達はお互いに協力して撤退を行い、その間にも蜘蛛達は生き残っていた蟷螂を殺害して死骸へ食らいつく。やがて喰い飽きたのか、あるいは新鮮な獲物を求めたのか蜘蛛の大群は逃走を開始する兵士達に標的を変更させ、襲いかかろうとした。
『ギチギチギチッ……!!』
「ちっ……きやがれ化物が!!」
「あの世で会おう」
「帝国四天王の意地……見せてやりましょう!!」
迫りくる数百の蜘蛛の大群に対して3人の将軍は各々の武器を構えて迎え撃とうとした時、後方から車輪が移動する音が鳴り響き、最後の四天王であるヒカゲが部下を引き連れて大量の大砲を乗せた荷車を運び込む。彼女の行動に3人は驚愕の表情を浮かべるが、ヒカゲは両手でピースサインを作って3人に声を掛ける。
「全員、その場で伏せて……でないと凍り付く」
「おい、マジかよ!?」
「いかん……!!」
「ひ、ヒカゲさん!!待ってくださいそれは……」
「待てない、発射!!」
『はっ!!』
ヒカゲが合図を下した瞬間、彼女の部下達が大砲を構て蜘蛛達に向けて冷気の砲弾を発射した。先日のゴーレムとの大群との戦闘で利用したリーリス制作の「魔導大砲」であり、蜘蛛の大群を吹き飛ばす。
『ギキキキッ……!?』
砲弾をまともに受けた蜘蛛は身体が氷結化して氷像と化し、直撃を避けた個体も大量の冷気を浴びる事を嫌がるように離れる。どうやら昆虫種は冷気を苦手としているらしく、次々と発射される冷気の砲弾に怯えたように後退し、遂には大砲から距離を取る。
予想以上に魔導大砲が効果的だと判明し、その様子を身体を伏せて見ていた将軍達は蜘蛛の大群が蹴散らされる光景を見てこのまま行けば殲滅出来るのではないかと考えたとき、蜘蛛の大群が半数程凍り付いたところで大砲の砲撃が止む。どうしてこの状況で畳みかけないのかと3人は疑問を抱くと、荷車の上に乗っていたヒカゲが言いにくそうに答えた。
「……弾切れ、もう撃てない」
「嘘だろおい!?」
「そんな……」
「こ、ここまでか……」
大砲の砲弾を撃ち尽くしたらしく、蜘蛛の大群は砲撃が行われない事を察して疑問を抱いたように立ち止まり、将軍達の様子を伺う。だが、何時まで経っても次の砲撃が来ない事に気付くと再び攻撃を仕掛けてきた。
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