442 / 657
エルフ王国 決戦編
帝国軍の善戦
しおりを挟む
「おらああっ!!」
『ギルゥッ!?』
「抜刀」
『ギアッ!?』
空中から降下してきた2体の蟷螂に対してダンテは両手の盾で挟み込むと地面に叩きつけ、ギリョウは目にも見えない速度で鞘から剣を引き抜いて首筋を切り裂く。地面に倒した昆虫種に対してダンテは盾を振り下ろすと頭を潰し、ギリョウは既に兵士に襲い掛かろうとしていた蟷螂の背中を切り裂く。
「ふんっ!!中々に硬いな……油断するな!!」
「分かってるよ!!おら、退け!!」
「将軍達に続け!!」
「魔術師部隊!!迎撃せよ!!」
地上に降下した蟷螂に対して兵士達が応対し、空中に滞空する蟷螂に対しては魔術師が砲撃魔法で迎撃する。無数の光線が夜空に放たれ、やがて冒険者達も動き出す。
「二重魔法!!フレイムランスですわ!!」
『ギィイイイッ……!?』
S級冒険者のドリスの周囲に二つの魔法陣が誕生すると、彼女の掛け声と共に熱線が放出されて次々と蟷螂を撃ち落とす。魔術師の中でも高レベルの人間にしか扱えない上級魔法を駆使する彼女に対し、ルノが訪れる前は帝国一と呼ばれていたドリアも負けずに魔法を発動させる。
「広域魔法……ブリザード!!」
『ギィッ――!?』
ドリアの杖先から吹雪を想像させる氷の魔力が放たれ、散らばっていた蟷螂達を一気に氷結化させて絶命させる。昆虫種の弱点は冷気である事を見抜いたドリアは魔力回復薬が入った小瓶を飲み込んで次の魔法を放つ。その間に陣内に黒い影の集団が疾走し、地上へ降りてきた蟷螂達を次々と暗闇から奇襲を仕掛ける。
「辻切り」
『ギルゥッ!?』
「闇討ち」
『ギィッ!?』
「不意打ち」
『ギィアッ!?』
ヒカゲが率いる日影の集団が次々と蟷螂の首筋や頭部に攻撃を仕掛け、確実に敵の急所を切り裂きながら陣内を疾走する。助けられた兵士達の目には唐突に蟷螂が倒れたようにしか見えない程の速度と隠密性の高さを見せつけながら彼女達は陣内に侵入した昆虫種を仕留めた。
他の兵士達や冒険者も負けておられず、空から舞い降りてくる蟷螂を数の利を利用して襲い掛かって確実に仕留める。ここに集まったのは帝都の中でも精鋭の兵士と冒険者達であり、彼等の中にはルノやドリスには及ばずとも腕利きの冒険者は多い。
「おらっ!!虫如きに負けるかよ!!」
「回転!!」
「兜割り!!」
「正拳突き!!」
『ギルルッ……!?』
連携して自分達に対抗してくる軍隊に対して昆虫種は苦戦を強いられるが、どれほど追い詰めようと逃げる事はない。それどころか仲間がやられても躊躇なく襲い掛かり、鍛え上げられた業物のような刃を振りかざして襲い掛かる。
『ギルゥッ!!』
「ぎゃああっ!?」
「ぐあっ!?」
「や、止め……うわぁっ!?」
「くそっ!!こいつら全然怯まねえ……うわあっ!?」
遂に昆虫種によって犠牲者も現れ始め、徐々に帝国軍は劣勢に追い込まれていく。数は圧倒的に帝国軍の方が有利だが、蟷螂達は自由自在に空を飛んで奇襲を仕掛け、魔術兵達も徐々に魔法の連続使用で魔力が枯渇し、戦闘不能に陥る人間も続出した。
「くそっ!!こいつら、オークやゴブリンなんぞとは比べ物にならねえぞ!!」
「当り前じゃ。一時期は人類を滅ぼす魔物として恐れられた魔物じゃぞ」
「く、このままでは……!!」
「駄目ですわドリアさん!!それ以上の薬品の使用は……!!」
ダンテとギリョウは蟷螂の集団に囲まれ、ドリアは魔力回復薬を何本も飲み込んだせいで顔色が悪くなり、ドリスに止められる。通常の回復薬と違い、魔力回復薬は速効性は存在せず、あくまでも魔力を回復する能力を強化する程度の効果しない。なので失った魔力を即座に取り戻す事までは出来ない。
昆虫種の数は半数近くは仕留める事には成功したが、反面に帝国軍の方は倍以上の被害も出ており、大国の中でも最強と謳われたエルフ王国の軍隊を壊滅させたという昆虫種の戦闘能力の凄まじさを思い知らされる。それでも数は減ってきている事は事実のため、軍隊は必死に反撃を試みる。
「おらあああっ!!帝国の強者はあの坊主だけじゃねえ!!俺達だっているんだぞ!!」
「老体には答えるのう……だが、ここで退くわけにはいかん」
「魔法が使えずとも……僕にはこの杖がある!!」
「ちょっと疲れてきた……でも、頑張る!!」
「将軍達に続け!!あと少しだ!!」
『うおおおおっ!!』
奮戦する帝国四天王の勇姿を見て兵士達の士気も高まり、まだ残っている蟷螂へ襲い掛かる。既に数は1000を切っており、あと少しで殲滅出来る状態に陥った。
「あと少しだ!!全員、踏ん張りやがれ!!」
「喋っている暇があれば戦わんか……ぬんっ!!」
「うおおおおっ!!」
「ちょ、ドリアさん!?杖だけで挑むのは無謀では……」
魔法が使えずとも杖で殴りつけるドリアを慌ててドリスが止めようとすると、陣内を走り回っていたヒカゲが立ち止まり、何かに気づいたように彼女らしからぬ大声で叫び声をあげた。
『ギルゥッ!?』
「抜刀」
『ギアッ!?』
空中から降下してきた2体の蟷螂に対してダンテは両手の盾で挟み込むと地面に叩きつけ、ギリョウは目にも見えない速度で鞘から剣を引き抜いて首筋を切り裂く。地面に倒した昆虫種に対してダンテは盾を振り下ろすと頭を潰し、ギリョウは既に兵士に襲い掛かろうとしていた蟷螂の背中を切り裂く。
「ふんっ!!中々に硬いな……油断するな!!」
「分かってるよ!!おら、退け!!」
「将軍達に続け!!」
「魔術師部隊!!迎撃せよ!!」
地上に降下した蟷螂に対して兵士達が応対し、空中に滞空する蟷螂に対しては魔術師が砲撃魔法で迎撃する。無数の光線が夜空に放たれ、やがて冒険者達も動き出す。
「二重魔法!!フレイムランスですわ!!」
『ギィイイイッ……!?』
S級冒険者のドリスの周囲に二つの魔法陣が誕生すると、彼女の掛け声と共に熱線が放出されて次々と蟷螂を撃ち落とす。魔術師の中でも高レベルの人間にしか扱えない上級魔法を駆使する彼女に対し、ルノが訪れる前は帝国一と呼ばれていたドリアも負けずに魔法を発動させる。
「広域魔法……ブリザード!!」
『ギィッ――!?』
ドリアの杖先から吹雪を想像させる氷の魔力が放たれ、散らばっていた蟷螂達を一気に氷結化させて絶命させる。昆虫種の弱点は冷気である事を見抜いたドリアは魔力回復薬が入った小瓶を飲み込んで次の魔法を放つ。その間に陣内に黒い影の集団が疾走し、地上へ降りてきた蟷螂達を次々と暗闇から奇襲を仕掛ける。
「辻切り」
『ギルゥッ!?』
「闇討ち」
『ギィッ!?』
「不意打ち」
『ギィアッ!?』
ヒカゲが率いる日影の集団が次々と蟷螂の首筋や頭部に攻撃を仕掛け、確実に敵の急所を切り裂きながら陣内を疾走する。助けられた兵士達の目には唐突に蟷螂が倒れたようにしか見えない程の速度と隠密性の高さを見せつけながら彼女達は陣内に侵入した昆虫種を仕留めた。
他の兵士達や冒険者も負けておられず、空から舞い降りてくる蟷螂を数の利を利用して襲い掛かって確実に仕留める。ここに集まったのは帝都の中でも精鋭の兵士と冒険者達であり、彼等の中にはルノやドリスには及ばずとも腕利きの冒険者は多い。
「おらっ!!虫如きに負けるかよ!!」
「回転!!」
「兜割り!!」
「正拳突き!!」
『ギルルッ……!?』
連携して自分達に対抗してくる軍隊に対して昆虫種は苦戦を強いられるが、どれほど追い詰めようと逃げる事はない。それどころか仲間がやられても躊躇なく襲い掛かり、鍛え上げられた業物のような刃を振りかざして襲い掛かる。
『ギルゥッ!!』
「ぎゃああっ!?」
「ぐあっ!?」
「や、止め……うわぁっ!?」
「くそっ!!こいつら全然怯まねえ……うわあっ!?」
遂に昆虫種によって犠牲者も現れ始め、徐々に帝国軍は劣勢に追い込まれていく。数は圧倒的に帝国軍の方が有利だが、蟷螂達は自由自在に空を飛んで奇襲を仕掛け、魔術兵達も徐々に魔法の連続使用で魔力が枯渇し、戦闘不能に陥る人間も続出した。
「くそっ!!こいつら、オークやゴブリンなんぞとは比べ物にならねえぞ!!」
「当り前じゃ。一時期は人類を滅ぼす魔物として恐れられた魔物じゃぞ」
「く、このままでは……!!」
「駄目ですわドリアさん!!それ以上の薬品の使用は……!!」
ダンテとギリョウは蟷螂の集団に囲まれ、ドリアは魔力回復薬を何本も飲み込んだせいで顔色が悪くなり、ドリスに止められる。通常の回復薬と違い、魔力回復薬は速効性は存在せず、あくまでも魔力を回復する能力を強化する程度の効果しない。なので失った魔力を即座に取り戻す事までは出来ない。
昆虫種の数は半数近くは仕留める事には成功したが、反面に帝国軍の方は倍以上の被害も出ており、大国の中でも最強と謳われたエルフ王国の軍隊を壊滅させたという昆虫種の戦闘能力の凄まじさを思い知らされる。それでも数は減ってきている事は事実のため、軍隊は必死に反撃を試みる。
「おらあああっ!!帝国の強者はあの坊主だけじゃねえ!!俺達だっているんだぞ!!」
「老体には答えるのう……だが、ここで退くわけにはいかん」
「魔法が使えずとも……僕にはこの杖がある!!」
「ちょっと疲れてきた……でも、頑張る!!」
「将軍達に続け!!あと少しだ!!」
『うおおおおっ!!』
奮戦する帝国四天王の勇姿を見て兵士達の士気も高まり、まだ残っている蟷螂へ襲い掛かる。既に数は1000を切っており、あと少しで殲滅出来る状態に陥った。
「あと少しだ!!全員、踏ん張りやがれ!!」
「喋っている暇があれば戦わんか……ぬんっ!!」
「うおおおおっ!!」
「ちょ、ドリアさん!?杖だけで挑むのは無謀では……」
魔法が使えずとも杖で殴りつけるドリアを慌ててドリスが止めようとすると、陣内を走り回っていたヒカゲが立ち止まり、何かに気づいたように彼女らしからぬ大声で叫び声をあげた。
0
お気に入りに追加
11,323
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。