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エルフ王国 決戦編
いざ、帝国へ
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「さてと……この二人の事はこいつらに任せましょう。とっとと帝国へ戻りましょう」
「そうだね。じゃあ、後はお願いします」
「は?それはどういう……うおっ!?」
ルノはガルルとガルファンをタダカツに託すと氷塊の魔法で「飛行船」を作り出し、全長が30メートルを超える巨大な氷塊の乗り物を生み出す。突如として現れた氷の塊に誰もが驚くが、ルノはリディアの魔獣達に乗り込むように促す。
「さあ、これに乗って。滑らないように気を付けてね」
「ガウッ」
「シャアッ」
「ううっ……またこれに乗らないといけないのね」
「ちょ、ちょっとお待ちください!!御二方にはまだ聞きたいことが……」
「ごめんなさい、少し急いでるんです」
今回の戦の主犯格を捕らえた二人をタダカツは引き留めようとしたが、海獄島からここまで戻るのに予想以上の日数が経過してしまい、急いで帝国へ帰還するためにルノは他の皆を飛行船に移動させて自分は飛翔術を利用して浮き上がる。
ルノが浮上した光景を目撃した日の国と獣人国軍の兵士達に動揺が走る。そんな彼等の反応に気付かずに風圧の魔法を駆使して浮き上がったルノは氷塊の飛行船を自分の後方に配置させた。
「俺が風避けになるから皆はしっかりしがみついててね!!」
「で、出来る限り安全運転しなさいよ!?」
「お、お待ちください!!まだ話は……おわぁっ!?」
タダカツが呼び止めようとするが、急いでいるルノは衝撃波が発生する程の速度で移動を開始する。その後を追うように飛行船も動き出し、戦場を離れて二つの飛行物体は帝国の方角へ向かう。その様子を兵士達は唖然とした表情で見つめ、取り残されたタダカツは裸のまま地中に埋まったガルファンと拘束されたガルルに視線を向け、どのように対処するべきか悩む。
「……とりあえず、こいつらは捕虜として連れていけ」
「あ~……分かりました」
「は、ははっ……何なんだあれは、あんな得体のしれない者に余は挑んだのか……」
「……仕事、辞めよう」
呆然とした表情でガルルとガルファンは今更ながらに自分達が相手をしていたのが得体の知れぬ存在だと気づかされ、最初の頃の国を支配しようとしていた頃の勢いはどうしたのか、どちらも廃人のような顔つきでぶつぶつと呟く――
――場所は代わり、帝国の方でも異変が生じていた。王女の誘拐によって討伐軍を出さざるを得なかった帝都には先帝が只一人だけ残り、王城にて政務を行っていた。討伐軍を率いているのは帝国四天王と皇帝で動いているため、彼一人だけが帝都に滞在していた。
本来ならば先帝が討伐軍の指揮官として賛同するつもりだったが、現皇帝が自ら娘を救うために討伐軍に同行する事になったため、代わりに先帝が帝都に残る事が決まる。現在の帝都には最低限の兵士しか存在せず、王城の警備も弱まっているので先帝は冒険者ギルドの協力を願う。
「すまんなアイラ、お主にはいつも苦労をかける」
「いえ、気にしないでください。僕の冒険者が国のために役立つのなら協力は惜しみません」
王城の食堂にて先帝は冒険者ギルドのギルドマスターのアイラと向かい合い、今回の無茶な要求を受け入れてくれた彼女に感謝して食事を共にする。席にはAランクの冒険者も集まり、その中には遠方から訪れた冒険者の姿もあった。
「む、これは中々の名酒ですな……」
「おお、確かにこれはいけるな!!おかわりをくれ!!」
前者は日の国の出身である侍の「ガイン」後者は冒険者ではあるが腕利きの鍛冶師としても有名な「ガジ」も食事を共にしていた。本来の予定では彼等も討伐軍に参加するはずだったが、帝都の警備を考えて二人には残ってもらう。
「お主達にも感謝するぞ。わざわざこのような面倒な役目を引き受けてくれて助かった」
「気にしないでくだされ。某はルノ殿に命を救ってもらった恩があります。彼が不在の間、この帝都の安全を守って見せます」
「まあ、俺達よりもドリスの嬢ちゃんの方が昆虫種に対抗できると思うしな……それにここに居る間は衣食住の面倒を見てくれるなら不満はないぜ!!がはははっ!!」
「こ、こらっ……口に気を付けたまえっ!!」
先帝の言葉にガインは頭を下げ、ガジは上機嫌にワインを飲み込みながら皿の上の肉を手掴みで口にする。先帝を相手にしながら態度も正さずに接してくるガジにアイラは慌てて叱りつけるが、先帝は気にした様子も見せずに朗らかに笑う。
「まあ、よいではないかアイラ。儂は気にしておらん……それよりもルノ殿に関する調査の進展はどうなっておる?」
「申し訳ありません……正直に言えば手掛かり一つも掴めていません。現在、暗殺者の職業の冒険者を総動員させて捜索させているのですが……」
「うむ、こちらもヒカゲの部隊を動かして捜査しているが何も情報が掴めない。まあ、ルノ殿なら平気だとは思うが……」
「そうですね。ルノ君なら無事だとは思いますが……」
ルノが行方不明になってから相当な日数が経過しているが、誰もルノが敵に敗れて殺されたとは考えておらず、何処かで生きている事を信じていた。
「そうだね。じゃあ、後はお願いします」
「は?それはどういう……うおっ!?」
ルノはガルルとガルファンをタダカツに託すと氷塊の魔法で「飛行船」を作り出し、全長が30メートルを超える巨大な氷塊の乗り物を生み出す。突如として現れた氷の塊に誰もが驚くが、ルノはリディアの魔獣達に乗り込むように促す。
「さあ、これに乗って。滑らないように気を付けてね」
「ガウッ」
「シャアッ」
「ううっ……またこれに乗らないといけないのね」
「ちょ、ちょっとお待ちください!!御二方にはまだ聞きたいことが……」
「ごめんなさい、少し急いでるんです」
今回の戦の主犯格を捕らえた二人をタダカツは引き留めようとしたが、海獄島からここまで戻るのに予想以上の日数が経過してしまい、急いで帝国へ帰還するためにルノは他の皆を飛行船に移動させて自分は飛翔術を利用して浮き上がる。
ルノが浮上した光景を目撃した日の国と獣人国軍の兵士達に動揺が走る。そんな彼等の反応に気付かずに風圧の魔法を駆使して浮き上がったルノは氷塊の飛行船を自分の後方に配置させた。
「俺が風避けになるから皆はしっかりしがみついててね!!」
「で、出来る限り安全運転しなさいよ!?」
「お、お待ちください!!まだ話は……おわぁっ!?」
タダカツが呼び止めようとするが、急いでいるルノは衝撃波が発生する程の速度で移動を開始する。その後を追うように飛行船も動き出し、戦場を離れて二つの飛行物体は帝国の方角へ向かう。その様子を兵士達は唖然とした表情で見つめ、取り残されたタダカツは裸のまま地中に埋まったガルファンと拘束されたガルルに視線を向け、どのように対処するべきか悩む。
「……とりあえず、こいつらは捕虜として連れていけ」
「あ~……分かりました」
「は、ははっ……何なんだあれは、あんな得体のしれない者に余は挑んだのか……」
「……仕事、辞めよう」
呆然とした表情でガルルとガルファンは今更ながらに自分達が相手をしていたのが得体の知れぬ存在だと気づかされ、最初の頃の国を支配しようとしていた頃の勢いはどうしたのか、どちらも廃人のような顔つきでぶつぶつと呟く――
――場所は代わり、帝国の方でも異変が生じていた。王女の誘拐によって討伐軍を出さざるを得なかった帝都には先帝が只一人だけ残り、王城にて政務を行っていた。討伐軍を率いているのは帝国四天王と皇帝で動いているため、彼一人だけが帝都に滞在していた。
本来ならば先帝が討伐軍の指揮官として賛同するつもりだったが、現皇帝が自ら娘を救うために討伐軍に同行する事になったため、代わりに先帝が帝都に残る事が決まる。現在の帝都には最低限の兵士しか存在せず、王城の警備も弱まっているので先帝は冒険者ギルドの協力を願う。
「すまんなアイラ、お主にはいつも苦労をかける」
「いえ、気にしないでください。僕の冒険者が国のために役立つのなら協力は惜しみません」
王城の食堂にて先帝は冒険者ギルドのギルドマスターのアイラと向かい合い、今回の無茶な要求を受け入れてくれた彼女に感謝して食事を共にする。席にはAランクの冒険者も集まり、その中には遠方から訪れた冒険者の姿もあった。
「む、これは中々の名酒ですな……」
「おお、確かにこれはいけるな!!おかわりをくれ!!」
前者は日の国の出身である侍の「ガイン」後者は冒険者ではあるが腕利きの鍛冶師としても有名な「ガジ」も食事を共にしていた。本来の予定では彼等も討伐軍に参加するはずだったが、帝都の警備を考えて二人には残ってもらう。
「お主達にも感謝するぞ。わざわざこのような面倒な役目を引き受けてくれて助かった」
「気にしないでくだされ。某はルノ殿に命を救ってもらった恩があります。彼が不在の間、この帝都の安全を守って見せます」
「まあ、俺達よりもドリスの嬢ちゃんの方が昆虫種に対抗できると思うしな……それにここに居る間は衣食住の面倒を見てくれるなら不満はないぜ!!がはははっ!!」
「こ、こらっ……口に気を付けたまえっ!!」
先帝の言葉にガインは頭を下げ、ガジは上機嫌にワインを飲み込みながら皿の上の肉を手掴みで口にする。先帝を相手にしながら態度も正さずに接してくるガジにアイラは慌てて叱りつけるが、先帝は気にした様子も見せずに朗らかに笑う。
「まあ、よいではないかアイラ。儂は気にしておらん……それよりもルノ殿に関する調査の進展はどうなっておる?」
「申し訳ありません……正直に言えば手掛かり一つも掴めていません。現在、暗殺者の職業の冒険者を総動員させて捜索させているのですが……」
「うむ、こちらもヒカゲの部隊を動かして捜査しているが何も情報が掴めない。まあ、ルノ殿なら平気だとは思うが……」
「そうですね。ルノ君なら無事だとは思いますが……」
ルノが行方不明になってから相当な日数が経過しているが、誰もルノが敵に敗れて殺されたとは考えておらず、何処かで生きている事を信じていた。
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