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獣人国
閑話 〈ユニコーン戦〉
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「ちょ、この黒い穴を解除すれば切断をするとか出来ないんですか!?」
「いや、いつもなら弾き返したりするんですけど……」
「言い争っている場合ですか!?どうするのですかこれ!?」
『ヒヒィンッ!!』
話している間にもユニコーンは黒渦を潜り抜けようと無理やり首を動かし、今度は両前脚を出現させる。通常ならば黒渦を遮断すれば間に挟まっていた物体は弾き返されるのだが、何故かユニコーンはには通用しない。
――実はナオも知らない事だが、空間魔法は「闇属性」の魔力で構成されている。闇の魔力で異空間への出入口を生み出して物体の移動を行う魔法なのだが、この空間魔法に対抗手段が存在した。それは闇属性とは相反する「聖属性」の物体ならば空間魔法の力を跳ね返す事が出来る。
ユニコーンは聖属性の魔力を宿す神聖な生物のため、闇属性の魔力で構成された黒渦に対抗して全身に聖属性の魔力を纏わせる。そうすることで闇属性の魔力を跳ね返して黒渦の遮断を阻み、それどころか徐々に出入口を広げて侵入しようとしてきた。
「不味いですってこれ!!どうにかしてくださいナオさん!!勇者でしょ?」
「そういわれても……ああ、もう!!」
黒渦の中からユニコーンが抜け出す前にナオは両手に木の実を握り締め、ユニコーンの肉体に向けて木の実を弾く。暗殺者の「指弾」の戦技で撃ち込まれた木の実がマシンガンのようにユニコーンの肉体に衝突するが、何故か肉体に触れる前に空中で弾け散る。
『ヒヒンッ!!』
「嘘!?効かない!?」
「バリアっぽい物で塞がれてません!?」
「そ、そんな……それではどうしようもないじゃないですか!!」
ユニコーンの全身を覆いこむ聖属性の魔力はナオの指弾さえも弾き返すらしく、この状態ではリーリスの薬瓶を投げ込んでも効果はなく、防がれてしまうだろう。このままでは危険だと判断したナオは退避するために千里眼の能力を発動させ、二人を避難させるために新たな黒渦を作り出す。
「二人とも!!合図したらこの穴の中に飛び込んでください!!」
「え、大丈夫なんですか!?」
「いいから早く!!」
「は、はい!!」
『ブルルルッ……!!』
言い争いをしている暇なく、ナオは二人を自分の傍に呼びつけるとユニコーンが黒渦を抜け出す好機を待つ。空間魔法を利用した移動方法は黒渦が二つの状態でしか発動出来ず、ユニコーンを抑えつける黒渦が消えるまでは新しい黒渦を作り出しても移動は行えない。
タイミングを間違えるとユニコーンに襲われる事は確実のため、ナオはユニコーンが黒渦を抜け出すまで待つ。その間、リーリスとジャンヌは新たに形成した黒渦に飛び込む準備を行うと、ここでジャンヌはある事に気付く。
「待ってくださいリーリス……貴方、例の薬を持っているのでは?」
「え?ああ、そういえば!!でもこれ使うと下手したら殺しちゃうかもしれませんし……」
「大丈夫ではないでしょうか?あのユニコーンならば死ぬことはないと思いますが……」
「あの、何の話ですか?」
ジャンヌの指摘を受けてリーリスは自分のカバンから「赤色」の液体が満ちた小瓶を取り出す。液体の内部には赤色に輝く石のような物が浮かんでおり、リーリスは躊躇しながらも小瓶を握り締め、駄目もとで胴体部分まで出現したユニコーンに投擲した。
「仕方ありません、全員伏せてください!!」
「え、何を……」
「勇者様!!」
リーリスの行動にナオは呆気に取られるが、そんな彼をジャンヌが抱き着いて身体を地面に伏せさせる。その直後、小瓶がユニコーンの足元へ落下して地面に落ちてしまう。それを見たリーリスは慌ててナオに指示を出す。
「ナオさん!!あの小瓶を破壊してください!!あ、火花が生まれる程度の勢いで攻撃してください!!」
「え、ええっ!?」
「勇者様、早く!!」
『ヒヒィンッ!!』
騒いでる間にもユニコーンは最後の両足を引き抜こうとしており、二人の思惑が分からないがナオは考えている暇もなく、木の実を握り締めて両手で弾く。複数の木の実が弾丸のように回転しながら小瓶に衝突した瞬間、中身の液体と赤色の小石が飛び出す。
そして瓶を破壊した際に火花が発生し、液体に触れた瞬間にまるでガソリンのように発火すると赤色の小石が炎に飲み込まれた瞬間、赤色の閃光を放つ。
「うわぁっ!?」
『ヒィンッ――!?』
閃光でナオとユニコーンの視界が奪われた瞬間、爆発音が響いて周囲に衝撃波が広がる。危うく地面に伏せていなければ爆発の衝撃でナオ達は吹き飛ばされただろうが、爆発の中心に立っていたユニコーンは無事では済まず、悲鳴をあげる暇もなく身体を吹き飛ばされた。
『ッ……!?』
何が起きたのか理解できないように地面に倒れたユニコーンは首を上げるが、やがて意識を失ったのか倒れ込む。その様子を呆然とした表情でナオとジャンヌは見つめ、リーリスは勿体なさそうに爆発が起きた場所に視線を向けて呟く。
「あ~あ……特別製の火竜の経験石の爆弾瓶だったんですけど、やっぱり威力の調整をミスりましたかね」
「り、リーリス……貴方という人は……!!」
「危うく死ぬところだったよ!!」
リーリスの言葉にナオとジャンヌは文句を告げるが、結果的には彼女の開発した爆発瓶によってユニコーンを戦闘不能に追い込む事に成功し、気絶している今の内に目的物の回収を行う。
「いや、いつもなら弾き返したりするんですけど……」
「言い争っている場合ですか!?どうするのですかこれ!?」
『ヒヒィンッ!!』
話している間にもユニコーンは黒渦を潜り抜けようと無理やり首を動かし、今度は両前脚を出現させる。通常ならば黒渦を遮断すれば間に挟まっていた物体は弾き返されるのだが、何故かユニコーンはには通用しない。
――実はナオも知らない事だが、空間魔法は「闇属性」の魔力で構成されている。闇の魔力で異空間への出入口を生み出して物体の移動を行う魔法なのだが、この空間魔法に対抗手段が存在した。それは闇属性とは相反する「聖属性」の物体ならば空間魔法の力を跳ね返す事が出来る。
ユニコーンは聖属性の魔力を宿す神聖な生物のため、闇属性の魔力で構成された黒渦に対抗して全身に聖属性の魔力を纏わせる。そうすることで闇属性の魔力を跳ね返して黒渦の遮断を阻み、それどころか徐々に出入口を広げて侵入しようとしてきた。
「不味いですってこれ!!どうにかしてくださいナオさん!!勇者でしょ?」
「そういわれても……ああ、もう!!」
黒渦の中からユニコーンが抜け出す前にナオは両手に木の実を握り締め、ユニコーンの肉体に向けて木の実を弾く。暗殺者の「指弾」の戦技で撃ち込まれた木の実がマシンガンのようにユニコーンの肉体に衝突するが、何故か肉体に触れる前に空中で弾け散る。
『ヒヒンッ!!』
「嘘!?効かない!?」
「バリアっぽい物で塞がれてません!?」
「そ、そんな……それではどうしようもないじゃないですか!!」
ユニコーンの全身を覆いこむ聖属性の魔力はナオの指弾さえも弾き返すらしく、この状態ではリーリスの薬瓶を投げ込んでも効果はなく、防がれてしまうだろう。このままでは危険だと判断したナオは退避するために千里眼の能力を発動させ、二人を避難させるために新たな黒渦を作り出す。
「二人とも!!合図したらこの穴の中に飛び込んでください!!」
「え、大丈夫なんですか!?」
「いいから早く!!」
「は、はい!!」
『ブルルルッ……!!』
言い争いをしている暇なく、ナオは二人を自分の傍に呼びつけるとユニコーンが黒渦を抜け出す好機を待つ。空間魔法を利用した移動方法は黒渦が二つの状態でしか発動出来ず、ユニコーンを抑えつける黒渦が消えるまでは新しい黒渦を作り出しても移動は行えない。
タイミングを間違えるとユニコーンに襲われる事は確実のため、ナオはユニコーンが黒渦を抜け出すまで待つ。その間、リーリスとジャンヌは新たに形成した黒渦に飛び込む準備を行うと、ここでジャンヌはある事に気付く。
「待ってくださいリーリス……貴方、例の薬を持っているのでは?」
「え?ああ、そういえば!!でもこれ使うと下手したら殺しちゃうかもしれませんし……」
「大丈夫ではないでしょうか?あのユニコーンならば死ぬことはないと思いますが……」
「あの、何の話ですか?」
ジャンヌの指摘を受けてリーリスは自分のカバンから「赤色」の液体が満ちた小瓶を取り出す。液体の内部には赤色に輝く石のような物が浮かんでおり、リーリスは躊躇しながらも小瓶を握り締め、駄目もとで胴体部分まで出現したユニコーンに投擲した。
「仕方ありません、全員伏せてください!!」
「え、何を……」
「勇者様!!」
リーリスの行動にナオは呆気に取られるが、そんな彼をジャンヌが抱き着いて身体を地面に伏せさせる。その直後、小瓶がユニコーンの足元へ落下して地面に落ちてしまう。それを見たリーリスは慌ててナオに指示を出す。
「ナオさん!!あの小瓶を破壊してください!!あ、火花が生まれる程度の勢いで攻撃してください!!」
「え、ええっ!?」
「勇者様、早く!!」
『ヒヒィンッ!!』
騒いでる間にもユニコーンは最後の両足を引き抜こうとしており、二人の思惑が分からないがナオは考えている暇もなく、木の実を握り締めて両手で弾く。複数の木の実が弾丸のように回転しながら小瓶に衝突した瞬間、中身の液体と赤色の小石が飛び出す。
そして瓶を破壊した際に火花が発生し、液体に触れた瞬間にまるでガソリンのように発火すると赤色の小石が炎に飲み込まれた瞬間、赤色の閃光を放つ。
「うわぁっ!?」
『ヒィンッ――!?』
閃光でナオとユニコーンの視界が奪われた瞬間、爆発音が響いて周囲に衝撃波が広がる。危うく地面に伏せていなければ爆発の衝撃でナオ達は吹き飛ばされただろうが、爆発の中心に立っていたユニコーンは無事では済まず、悲鳴をあげる暇もなく身体を吹き飛ばされた。
『ッ……!?』
何が起きたのか理解できないように地面に倒れたユニコーンは首を上げるが、やがて意識を失ったのか倒れ込む。その様子を呆然とした表情でナオとジャンヌは見つめ、リーリスは勿体なさそうに爆発が起きた場所に視線を向けて呟く。
「あ~あ……特別製の火竜の経験石の爆弾瓶だったんですけど、やっぱり威力の調整をミスりましたかね」
「り、リーリス……貴方という人は……!!」
「危うく死ぬところだったよ!!」
リーリスの言葉にナオとジャンヌは文句を告げるが、結果的には彼女の開発した爆発瓶によってユニコーンを戦闘不能に追い込む事に成功し、気絶している今の内に目的物の回収を行う。
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