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獣人国
閑話 〈ユニコーン捕獲作戦〉
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「リーリス、これは何ですか?」
「私が作り出した特性の眠り薬です。効果は保証しますよ」
「あの、物凄い毒々しい色合い何ですけど……というか、これ毒薬じゃ」
「眠り薬です。数種類の植物を組み合わせたただの眠り薬です」
机の上に置かれた紫色の液体が入った小瓶にナオとジャンヌは冷や汗を流し、どう見ても外見は危ない毒薬にしか見えない。しかも瓶の蓋にはドクロマークまで施されているので余計に危ない薬にしか見えなかった。
「まあ、外見はちょっとおどろおどろしいですが本当にただ相手を眠らせるだけです」
「眠らせるって……一生?」
「んなわけないでしょ。人間が相手だとせいぜい3日ぐらいです」
「それでも相当に危険な薬なのでは……」
3日も相手を昏睡状態に陥らせるという時点で普通の眠り薬ではない事は確定したが、重要なのはこの眠り薬でユニコーンを眠らせ、その間にユニコーンの角を削り取る事である。
「精霊薬の調合にはほんの少しでいいのでユニコーンの角が必要になります。なので眠らせている間に削り取り、後は逃げればいいだけです」
「怒ったユニコーンが追いかけてきたりしないんですか?それとユニコーンが寝ている間に他の魔物に襲われたら……」
「寝ている間に何をされようと何にも分かりませんよ。それに人間相手には強力な眠り薬ですが、魔物が相手だと長時間は効果は発揮できません。パッと眠らせてパッと帰りましょう」
リーリスの言葉に不安を覚えながらもナオは眠り薬を取り上げ、そのおどろおどろしい雰囲気に冷や汗を流しながらも使用方法を尋ねる。
「この薬の使い方は?」
「その瓶は敢えて強度の低い水晶材で作り出しています。だからユニコーンに思いきりぶち当てれば勝手に割れて中身が散布します。あ、使うときは十分に距離を離れてくださいね。強い衝撃を与えると液体は煙と化して拡散するので」
「本当に大丈夫なのでしょうか……森の中に置いてきたロプス君たちにも協力して貰った方がいいのでは?」
「それも考えましたが、ここはやはり私達だけでどうにかしましょう。ルウとロプスもミノも意外と血の気が多いのでユニコーンと戦闘になると暴走してしまうかもしれません」
「あんなに大人しい子達が?」
「ルノさんの調教、いえ教育で最近は大人しくなりましたがルウ達も魔獣である事に変わりありません。他の魔獣に刺激される可能性があるので一緒には連れていけません」
3人は薬を持ち上げると、下手に割らないように気を付けながら作戦の準備を行う。傍目から見たらヤバイ薬を持った3人組がひそひそと話し合う光景のため、酒場の人間達は警戒心を露わにして彼等の様子を訝し気に観察する――
――危うく酒場の店員に警備兵を呼ばれそうになったが、どうにか無事に街の外へ抜け出したナオ達は戦闘準備を行う。千里眼で定期的にユニコーンの様子を伺い、隙を見せた瞬間に襲い掛かるため、ナオは右手に薬瓶を握り締めたまま左手にグリドンの実を用意した。
「様子はどうですか?」
「まだ湖にいますけど、今は身体を冷やしているのか浅瀬で立ち尽くしています」
「なら今が攻撃の好機ですね。浅瀬とはいえ水中に存在するのなら動きが鈍るはずですから」
「リーリス、これでよろしいのですか?」
ナオの報告を受けたリーリスは薬瓶を握り締めると、ジャンヌはボーガンを持ち上げる。装填された矢の先端部には薬瓶が取り付けられていた。ジャンヌからボーガンを受け取るとリーリスはナオに合図を送る。
「さあ、準備は整いましたね。ナオさん、気づかれないように空間魔法でユニコーンの背後に黒渦を作り出して下さい」
「分かった……気を付けてください」
「大丈夫です、こう見えても狩猟は得意です。地元では熊殺しのリーちゃんという異名で通っていました」
「そ、そんな渾名を付けられていたのですか……」
基本的には非戦闘員のリーリスだが、ボーガンの腕に関してはそれなりに自信があるため、ナオの生み出した黒渦に身を乗り出してユニコーンから10メートルほど離れた位置に移動する。黒渦から上半身だけを出した状態のリーリスはボーガンを構え、狙いを定めた。
どうして10メートルの距離を取ったのかというと、これ以上に接近すればユニコーンに気付かれる恐れがあり、何時でも逃げ出せるように下半身はジャンヌに掴んでもらいながらリーリスはボーガンを撃つ。
(行け!!)
ボーガンから矢が打ち出され、ユニコーンの胴体部分に接近するが、直前に矢の存在に気付いたのかユニコーンは身体を浅瀬に沈ませて矢を回避する。
『ッ……!?』
「不味い、気づかれました!?」
「リーリス!!」
リーリスの言葉に反応してジャンヌは彼女の身体を引き上げると、ユニコーンは敵の存在を認識して怒りの表情を浮かべ、黒渦に向けて走り出す。
『ヒヒィンッ!!』
「不味い!?」
ナオは咄嗟に黒渦を遮断しようとしたが、ユニコーンの額の角が黒渦の中に入り込み、ナオ達の存在する空間に突き出される。一瞬でもジャンヌがリーリスの身体を引くのが遅れて居たら串刺しにされていたのは間違いなく、目の前に迫ったユニコーンの角に二人は冷や汗を流す。
『ヒィンッ!!』
「不味い!?空間魔法を押し上げてくる!?」
「ええっ!?」
しかもユニコーンはそれだけに収まらず、無理やりに黒渦の中に身体を突っ込ませ、ナオ達が存在する場所に入り込もうとする。慌ててナオは黒渦を遮断しようとしたが何故か制御出来ず、その間にユニコーンは頭部まで露出してきた。
「私が作り出した特性の眠り薬です。効果は保証しますよ」
「あの、物凄い毒々しい色合い何ですけど……というか、これ毒薬じゃ」
「眠り薬です。数種類の植物を組み合わせたただの眠り薬です」
机の上に置かれた紫色の液体が入った小瓶にナオとジャンヌは冷や汗を流し、どう見ても外見は危ない毒薬にしか見えない。しかも瓶の蓋にはドクロマークまで施されているので余計に危ない薬にしか見えなかった。
「まあ、外見はちょっとおどろおどろしいですが本当にただ相手を眠らせるだけです」
「眠らせるって……一生?」
「んなわけないでしょ。人間が相手だとせいぜい3日ぐらいです」
「それでも相当に危険な薬なのでは……」
3日も相手を昏睡状態に陥らせるという時点で普通の眠り薬ではない事は確定したが、重要なのはこの眠り薬でユニコーンを眠らせ、その間にユニコーンの角を削り取る事である。
「精霊薬の調合にはほんの少しでいいのでユニコーンの角が必要になります。なので眠らせている間に削り取り、後は逃げればいいだけです」
「怒ったユニコーンが追いかけてきたりしないんですか?それとユニコーンが寝ている間に他の魔物に襲われたら……」
「寝ている間に何をされようと何にも分かりませんよ。それに人間相手には強力な眠り薬ですが、魔物が相手だと長時間は効果は発揮できません。パッと眠らせてパッと帰りましょう」
リーリスの言葉に不安を覚えながらもナオは眠り薬を取り上げ、そのおどろおどろしい雰囲気に冷や汗を流しながらも使用方法を尋ねる。
「この薬の使い方は?」
「その瓶は敢えて強度の低い水晶材で作り出しています。だからユニコーンに思いきりぶち当てれば勝手に割れて中身が散布します。あ、使うときは十分に距離を離れてくださいね。強い衝撃を与えると液体は煙と化して拡散するので」
「本当に大丈夫なのでしょうか……森の中に置いてきたロプス君たちにも協力して貰った方がいいのでは?」
「それも考えましたが、ここはやはり私達だけでどうにかしましょう。ルウとロプスもミノも意外と血の気が多いのでユニコーンと戦闘になると暴走してしまうかもしれません」
「あんなに大人しい子達が?」
「ルノさんの調教、いえ教育で最近は大人しくなりましたがルウ達も魔獣である事に変わりありません。他の魔獣に刺激される可能性があるので一緒には連れていけません」
3人は薬を持ち上げると、下手に割らないように気を付けながら作戦の準備を行う。傍目から見たらヤバイ薬を持った3人組がひそひそと話し合う光景のため、酒場の人間達は警戒心を露わにして彼等の様子を訝し気に観察する――
――危うく酒場の店員に警備兵を呼ばれそうになったが、どうにか無事に街の外へ抜け出したナオ達は戦闘準備を行う。千里眼で定期的にユニコーンの様子を伺い、隙を見せた瞬間に襲い掛かるため、ナオは右手に薬瓶を握り締めたまま左手にグリドンの実を用意した。
「様子はどうですか?」
「まだ湖にいますけど、今は身体を冷やしているのか浅瀬で立ち尽くしています」
「なら今が攻撃の好機ですね。浅瀬とはいえ水中に存在するのなら動きが鈍るはずですから」
「リーリス、これでよろしいのですか?」
ナオの報告を受けたリーリスは薬瓶を握り締めると、ジャンヌはボーガンを持ち上げる。装填された矢の先端部には薬瓶が取り付けられていた。ジャンヌからボーガンを受け取るとリーリスはナオに合図を送る。
「さあ、準備は整いましたね。ナオさん、気づかれないように空間魔法でユニコーンの背後に黒渦を作り出して下さい」
「分かった……気を付けてください」
「大丈夫です、こう見えても狩猟は得意です。地元では熊殺しのリーちゃんという異名で通っていました」
「そ、そんな渾名を付けられていたのですか……」
基本的には非戦闘員のリーリスだが、ボーガンの腕に関してはそれなりに自信があるため、ナオの生み出した黒渦に身を乗り出してユニコーンから10メートルほど離れた位置に移動する。黒渦から上半身だけを出した状態のリーリスはボーガンを構え、狙いを定めた。
どうして10メートルの距離を取ったのかというと、これ以上に接近すればユニコーンに気付かれる恐れがあり、何時でも逃げ出せるように下半身はジャンヌに掴んでもらいながらリーリスはボーガンを撃つ。
(行け!!)
ボーガンから矢が打ち出され、ユニコーンの胴体部分に接近するが、直前に矢の存在に気付いたのかユニコーンは身体を浅瀬に沈ませて矢を回避する。
『ッ……!?』
「不味い、気づかれました!?」
「リーリス!!」
リーリスの言葉に反応してジャンヌは彼女の身体を引き上げると、ユニコーンは敵の存在を認識して怒りの表情を浮かべ、黒渦に向けて走り出す。
『ヒヒィンッ!!』
「不味い!?」
ナオは咄嗟に黒渦を遮断しようとしたが、ユニコーンの額の角が黒渦の中に入り込み、ナオ達の存在する空間に突き出される。一瞬でもジャンヌがリーリスの身体を引くのが遅れて居たら串刺しにされていたのは間違いなく、目の前に迫ったユニコーンの角に二人は冷や汗を流す。
『ヒィンッ!!』
「不味い!?空間魔法を押し上げてくる!?」
「ええっ!?」
しかもユニコーンはそれだけに収まらず、無理やりに黒渦の中に身体を突っ込ませ、ナオ達が存在する場所に入り込もうとする。慌ててナオは黒渦を遮断しようとしたが何故か制御出来ず、その間にユニコーンは頭部まで露出してきた。
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