最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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獣人国

閑話 〈その頃のリーリス達は…… その1〉

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――紆余曲折を経て日の国から帝国北部に出現したという「ユニコーン」の存在を確かめるため、リーリスはジャンヌと共にナオの「千里眼」と「空間魔法」の能力を応用して帝国北部へと向かう。馬で移動すれば数か月はかかる距離だが、3人は1時間も経過しない内に移動を果たす。

千里眼の能力で500キロ先の風景を視界で捉え、空間魔法の応用で二つの黒渦を繋げて移動を行う方法で3人は遂に帝国の北部に広がる山岳地帯へと辿り着く。だが、流石にナオの疲労も大きく、ひとまずは野営を行う。


「ううっ……頭が痛い、リンの膝枕が恋しい……」
「勇者様はうなされているようですが……大丈夫なのでしょうか?」
「流石にちょっと無理をさせ過ぎましたね。でも、明日からもっと無理な事をしてもらうので今はゆっくり休ませましょう」
「そ、そうですか……」


焚火で暖を取りながらリーリスは調合器具を取り出し、ジャンヌはうなされているナオの面倒を見ながら周囲の様子を伺う。現在、3人は人里に訪れずに森の中で野営を行い、人目に付かないように気を付けていた。

どうして人里でゆっくりと休まないかというと、街に赴く際に兵士の検査を受ける必要があり、リーリスとジャンヌの場合は兵士に顔を知られている可能性が高い。王都に引きこもっているジャンヌは顔を知られていない可能性はあるが、リーリスの場合は何度か帝国北部に赴いているので兵士の中には彼女の顔を覚えているに人間もいる可能性があったので結局は野宿する事になる。

ジャンヌは初めて城の外でしかも外の世界で一晩明かす事に若干緊張しており、寝付けないのか毛布を体に纏わせながら忙しなく周囲の様子を伺う。


「大丈夫ですよ王女様、魔物が近づかないように罠は張っていますし、虫除けのお香を焚いているので森の中でも虫にたかられる事はないですから安心して休んでください」
「そ、そうですか……何だか逆に不安になりましたが、休ませてもらいます」


馬車の中で一夜を過ごすよりも焚火を絶やさずに燃やし続けて暖を取る方が良いため、3人は焚火が消えないように見張りながら外で身体を休める。しかし、やはり慣れない環境に寝付けないのかジャンヌはリーリスに話しかけた。


「あの……リーリスは何をしているのですか?」
「ちょっとした薬品の調合を行っています。今後の事を考えれば私も戦う機会が訪れるかもしれませんので……」
「薬品という事はもしかして傷を癒す回復薬の事ですか?」
「いえ、どちらかというと真逆な物を作ってます。あ、詳細は聞かない方が良いですよ」
「……そ、そうします」


明らかに色合いがおかしい植物を大量に並べながら擂り鉢で潰し、謎の液体が入った鍋の中に投入するリーリスの姿にジャンヌは不安を覚えながらも横になった――



※リーリス「ふふふっ……これを使えばどんな敵もいちころですね」
 ジャンヌ「(;´・ω・)ガクガクブルブル」
 ナオ「う~ん……( 一ω一)ZZZ」
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