417 / 657
獣人国
そして物語は繋がる……
しおりを挟む
「ぐっ……すまない、取り乱した。だが、ガオン将軍……妹の事を頼む」
「お任せください、何があろうと王女をお救いしましょう」
家族を失う事の絶望感はガオンもよく知っており、妹の事を想うガウの気持ちはよく分かる。すぐにガオンは軍の出立の準備を行おうとした時、ルノがガオンを呼び止めた。
「あの……俺とリディアならすぐに日の国へ向かう事が出来ると思うので先に言っていいですか?」
「何?いや、それは……」
「別にいいんじゃないの?私達ならあの馬鹿一人なんてどうにでも対応出来るわよ?」
ガオンが軍隊を率いて日の国へ向かったとしても時間が掛かるため、それぐらいならばルノがリディアを連れて日の国へ向かう方が遥かに速く辿り着く。既に国内の兵士の殆どはガウ王子の元に集結し、この状況からガルルの最後の戦力も日の国へ向かった以上は彼等には何も出来ない。
食糧問題に関してもルノが連日に果物や野菜を生み出し、キバが仕留めた大型魔獣が大量に存在するため問題はない。ここらが去り際だと判断したルノは帝国へ戻る前に日の国へ向かう事を決めた。
「日の国の王女様は俺達が守ります。何か伝言があれば伝えますけど……」
「ま、待ってくれ!!それならすぐに書状を用意する……だが、本当に大丈夫なのですか?」
「当り前よ。あんた、森の中での出来事を忘れたの?私とこいつに勝てる存在なんていないわよ」
リディアの言葉にガウは森での出来事を思い出し、確かに竜種を操る魔物使いと帝国最強の魔術師が手を組めば1万の軍勢など止める事も出来るかもしれない。現状では他に手はなく、ガウは決心したように書状を書き記してルノに手渡す。
「どうか妹の事を頼みます」
「はい。必ず渡します」
「くぅ~ん……お兄さんとお姉さん、行っちゃうんですね?寂しいです……」
「犬っ娘、あんたも元気でね……ぐすっ」
「おい、お前泣いてるのか?」
「な、泣いてないわよ!!」
ワン子が最後の別れの抱擁をルノとリディアに行い、街の事はガオンに任せてルノとリディアは日の国へ向かう準備を行う。リディアはキバを呼び寄せて乗り込み、ガーゴイルも彼女の後ろに乗るが、マダラバイソンに関してはこの街に置いていくことにした。
「……そうだわ、ワン子。あんたにこいつを預けるわ。私が戻ってくるまで可愛がってあげて」
「ウモォッ?」
「わぅっ!?いいんですか?」
「面倒な世話はそこの猫のおっさんに任せればいいから安心しなさい」
「誰が猫だ!!」
「細かい事はどうでもいいでしょ……私が戻ってくるまで面倒をみなさい」
別れ際にリディアはマダラバイソンをワン子に与えると、暗に自分が戻ってくることを伝えてワン子を抱きかかえる。そのまま彼女をマダラバイソンの背中に乗せ、最後にマダラバイソンに囁く。
「この子を必ず守りなさい……でないと焼肉にするわよ」
「ウモッ!?」
「じゅるっ……お肉は好きです」
「ウモォッ!?」
「こらこら」
リディアの言葉を聞いたワン子が涎を垂らしてマダラバイソンを見つめ、悲しげな表情を浮かべて助けを求めるようにマダラバイソンはルノに視線を向ける。ルノは二人を叱りつけると自分の足元に氷板を作り出して浮上させ、出発の準備を行う。
「よし、じゃあ行こうかリディア。なるだけ急いでね」
「牙竜の移動速度と私の運転テクニックを舐めるんじゃないわよ……でも、事前に注意しておくけどまた餌を見つけて私を落としたら許さないわよ」
「ガウッ……」
リディアの牙竜と並行するようにルノは氷板を移動させると、最後に見送りに来てくれた者達に頭を下げて別れの挨拶をする。
「皆さん、色々とお世話になりました。ワン子ちゃん、元気でね」
「わぅんっ!!お兄さんもまた遊びに来てください!!」
「うん、分かった。ガオンさんはなんか色々とあったけど、後の事は任せます」
「正直、お前達には手を焼かされたが……だが、こちらの方こそ本当に世話になった。礼を言うぞ……ありがとう」
「ワン子さんのお父さんもお元気で」
「はい。ルノ様もどうかお気をつけて……」
「あっ……えっと、王子様もご達者で」
「う、うむ。妹の事をどうか頼みます」
全員に別れの挨拶を告げるとルノはリディアに頷き、二人は日の国へ向けて全速力で移動を開始した。
「じゃあ、皆さんお元気で!!」
「また来るわよ!!」
「お兄さん、お姉さん、絶対にまた遊びに来てくださいね!!」
出発する寸前に最後の別れの言葉を告げると、ワン子が両手を振って見送り、他の者達も手を振る。その様子を見ながらルノとリディアは懐かしの日の国へ向けて出発した――
―――――――――――――――
ルノ「俺達の闘いはこれからだ!!」( ・`д・´)
カタナヅキ「いや、最終回じゃねえよっ!!」(;´・ω・)もうちっとだけ続くんじゃよ
※閑話をあと数話挟みます
「お任せください、何があろうと王女をお救いしましょう」
家族を失う事の絶望感はガオンもよく知っており、妹の事を想うガウの気持ちはよく分かる。すぐにガオンは軍の出立の準備を行おうとした時、ルノがガオンを呼び止めた。
「あの……俺とリディアならすぐに日の国へ向かう事が出来ると思うので先に言っていいですか?」
「何?いや、それは……」
「別にいいんじゃないの?私達ならあの馬鹿一人なんてどうにでも対応出来るわよ?」
ガオンが軍隊を率いて日の国へ向かったとしても時間が掛かるため、それぐらいならばルノがリディアを連れて日の国へ向かう方が遥かに速く辿り着く。既に国内の兵士の殆どはガウ王子の元に集結し、この状況からガルルの最後の戦力も日の国へ向かった以上は彼等には何も出来ない。
食糧問題に関してもルノが連日に果物や野菜を生み出し、キバが仕留めた大型魔獣が大量に存在するため問題はない。ここらが去り際だと判断したルノは帝国へ戻る前に日の国へ向かう事を決めた。
「日の国の王女様は俺達が守ります。何か伝言があれば伝えますけど……」
「ま、待ってくれ!!それならすぐに書状を用意する……だが、本当に大丈夫なのですか?」
「当り前よ。あんた、森の中での出来事を忘れたの?私とこいつに勝てる存在なんていないわよ」
リディアの言葉にガウは森での出来事を思い出し、確かに竜種を操る魔物使いと帝国最強の魔術師が手を組めば1万の軍勢など止める事も出来るかもしれない。現状では他に手はなく、ガウは決心したように書状を書き記してルノに手渡す。
「どうか妹の事を頼みます」
「はい。必ず渡します」
「くぅ~ん……お兄さんとお姉さん、行っちゃうんですね?寂しいです……」
「犬っ娘、あんたも元気でね……ぐすっ」
「おい、お前泣いてるのか?」
「な、泣いてないわよ!!」
ワン子が最後の別れの抱擁をルノとリディアに行い、街の事はガオンに任せてルノとリディアは日の国へ向かう準備を行う。リディアはキバを呼び寄せて乗り込み、ガーゴイルも彼女の後ろに乗るが、マダラバイソンに関してはこの街に置いていくことにした。
「……そうだわ、ワン子。あんたにこいつを預けるわ。私が戻ってくるまで可愛がってあげて」
「ウモォッ?」
「わぅっ!?いいんですか?」
「面倒な世話はそこの猫のおっさんに任せればいいから安心しなさい」
「誰が猫だ!!」
「細かい事はどうでもいいでしょ……私が戻ってくるまで面倒をみなさい」
別れ際にリディアはマダラバイソンをワン子に与えると、暗に自分が戻ってくることを伝えてワン子を抱きかかえる。そのまま彼女をマダラバイソンの背中に乗せ、最後にマダラバイソンに囁く。
「この子を必ず守りなさい……でないと焼肉にするわよ」
「ウモッ!?」
「じゅるっ……お肉は好きです」
「ウモォッ!?」
「こらこら」
リディアの言葉を聞いたワン子が涎を垂らしてマダラバイソンを見つめ、悲しげな表情を浮かべて助けを求めるようにマダラバイソンはルノに視線を向ける。ルノは二人を叱りつけると自分の足元に氷板を作り出して浮上させ、出発の準備を行う。
「よし、じゃあ行こうかリディア。なるだけ急いでね」
「牙竜の移動速度と私の運転テクニックを舐めるんじゃないわよ……でも、事前に注意しておくけどまた餌を見つけて私を落としたら許さないわよ」
「ガウッ……」
リディアの牙竜と並行するようにルノは氷板を移動させると、最後に見送りに来てくれた者達に頭を下げて別れの挨拶をする。
「皆さん、色々とお世話になりました。ワン子ちゃん、元気でね」
「わぅんっ!!お兄さんもまた遊びに来てください!!」
「うん、分かった。ガオンさんはなんか色々とあったけど、後の事は任せます」
「正直、お前達には手を焼かされたが……だが、こちらの方こそ本当に世話になった。礼を言うぞ……ありがとう」
「ワン子さんのお父さんもお元気で」
「はい。ルノ様もどうかお気をつけて……」
「あっ……えっと、王子様もご達者で」
「う、うむ。妹の事をどうか頼みます」
全員に別れの挨拶を告げるとルノはリディアに頷き、二人は日の国へ向けて全速力で移動を開始した。
「じゃあ、皆さんお元気で!!」
「また来るわよ!!」
「お兄さん、お姉さん、絶対にまた遊びに来てくださいね!!」
出発する寸前に最後の別れの言葉を告げると、ワン子が両手を振って見送り、他の者達も手を振る。その様子を見ながらルノとリディアは懐かしの日の国へ向けて出発した――
―――――――――――――――
ルノ「俺達の闘いはこれからだ!!」( ・`д・´)
カタナヅキ「いや、最終回じゃねえよっ!!」(;´・ω・)もうちっとだけ続くんじゃよ
※閑話をあと数話挟みます
0
お気に入りに追加
11,319
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。