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獣人国
無謀過ぎる作戦
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「すぐに出立の準備を整えろ!!明朝までに日の国へ向けて出発するぞ!!」
「ど、どう言う事ですか将軍!?何故、同盟国である日の国へ……」
「ふん、同盟など既に破棄されたも同然ではないか!!現に奴等は我が国の王女を人質に取っている。違うか?」
「いや、それは……」
ガルファンの言葉に兵士達は戸惑いを隠せず、日の国がワン子(王女)を保護したのであって別に人質として彼女を捉えたわけではない。しかし、状況的に考えれば日の国が王女の方のワン子を保護したのは獣人国からの交渉材料として彼女を預かったとも言える。
獣人国は二人の王子で争っているが、もしもガウが国を制圧した場合は王女を保護している日の国への対応はこれまで以上に良好な関係を築こうとするだろう。それならばガルファンは日の国を攻め落とし、ガウの対抗策として王女を人質にすれば勝機はあると確信した。
(どうせこのままではウォンに軍の全権を渡さねばならん。それぐらいならば一か八かの賭けに乗るしかあるまい)
このままではガルルが目を覚ましたとき、ガルファンから大将軍の任を解いてウォンを再び大将軍の座に戻すだけなのは明白だった。ならばまだガルファンが大将軍の座に居る間に日の国を制圧すれば全ての状況が一変する。
王女を人質に取ればガウは何も出来ず、またガルルもウォンも用済みになるので始末すれば良い。王族が一人でも存在すれば兵士をまとめる事は難しくはなく、取り返した王女を新たに自分の傀儡として利用すればいいと考えたガルファンは兵士達に命じた。
「二度は言わん!!すぐに出撃の準備をしろ!!俺はガルル王子から大将軍の座を任されているのだぞ!!」
『…………』
ガルファンは大将軍の証である印を取り出して兵士達に見せつけると、彼等は困惑した表情を浮かべるが本物の印である事を確認する。この国では大将軍こそが軍の全権を握る人物であり、時と場合によっては主君の言葉を伺わずに軍隊を動かす権利も与えられている。だが、どうしても納得できない兵士の一人がガルファンに忠告を行う。
「将軍!!日の国にも軍隊は存在します!!我々だけで制圧するのは難しいのでは……」
「この臆病者め!!我等は世界最強の獣人国軍だぞ!?あのような蛮族どもに敗れると思うか!?」
「しかし、日の国に手を出せば同盟国であるバルトロス帝国も動くのでは……」
「ふん、あの国の皇帝は腰抜けだ。先代皇帝ならばともかく、無能な皇帝が動くはずがない」
「それでも……」
「貴様、この俺に逆らう気か?大将軍の座を与えられたこの俺に逆らうか!?」
「い、いえ!!そういうわけでは……」
兵士の忠告を頑なに拒否するガルファンは自分の剣に手を伸ばすと、異議を申し立ていた兵士は慌てて謝罪を行い、その姿を見たガルファンは不満そうに再度命じた。
「明朝までに準備を整えろ!!全ての物資を運び出せ、目標は日の国だ!!」
『はっ……』
全員がガルファンの言葉に疑問を抱きながらも従うしかなく、日の国へ向けての侵攻の準備を開始した――
――3日後、13番街の方にも斥候が届き、ガルファンとガルルが獣人国軍の守備兵と合流した事と日の国へ向けて軍隊を出発させたという報告が同時に届く。ガオンは急遽全員を集め、獣人国軍の対応をどうするべきか相談する。
「全く、あの愚か者め……よりにもよって日の国を敵に回す気か」
「ガオン将軍!!何としても奴等を止めねばならん!!このままでは日の国に預けた妹が……!!」
「ガウ様、落ち着いて下さい。日の国は小国ではありますがその戦力は馬鹿には出来ません。それにあの国には侍と忍者が存在します。そう簡単に敗れるはずがありません」
「そうだな。あの国は小さいが決して弱小国ではない。まともに戦えばガルファン程度では太刀打ち出来ないだろうが……」
「日の国か……そういえばリディアは日の国に立ち寄った事がある?」
「何度かね、クズノの命令で色々と仕入れていたわ」
日の国へ向けて出発した獣人国軍は日数的に考えても間もなく軍隊が日の国の領地へ到達するはずであり、こちらへ向けて侵攻してくると思い込んでいたガオンは当てが外れて顔をしかめる。内乱が収まらない間に隣国へ攻めようとするガルファンの浅知恵に頭を悩まされるが、敵の主力が日の国へ向かうならば今の内に国内を制圧する絶好の機会だった。
「よし、軍を3つに分けて行動するぞ。まず、日の国へ出発した獣人国軍の追撃に俺が2万の軍勢を率いて後を追う。コネコよ、お前にも2万の兵を預けるからその間に国内の制圧を任せるぞ。ガウ王子はこの街に留まり、1万の兵士と待機しておいてください」
「分かりました」
「将軍!!私も共に向かうぞ!!妹の一大事に大人しく待ってなど……!!」
「落ち着いて下さいよ王子様!!あんたはあたし達の総大将なんですよ?無暗に自分の身を危険に晒す様な真似はよしてくださいよ」
ガオンの言葉にコネコは従うが、ガウは妹の危機としってガオンの部隊に同行を申し出るがトラネコが冷静に注意する。
「ど、どう言う事ですか将軍!?何故、同盟国である日の国へ……」
「ふん、同盟など既に破棄されたも同然ではないか!!現に奴等は我が国の王女を人質に取っている。違うか?」
「いや、それは……」
ガルファンの言葉に兵士達は戸惑いを隠せず、日の国がワン子(王女)を保護したのであって別に人質として彼女を捉えたわけではない。しかし、状況的に考えれば日の国が王女の方のワン子を保護したのは獣人国からの交渉材料として彼女を預かったとも言える。
獣人国は二人の王子で争っているが、もしもガウが国を制圧した場合は王女を保護している日の国への対応はこれまで以上に良好な関係を築こうとするだろう。それならばガルファンは日の国を攻め落とし、ガウの対抗策として王女を人質にすれば勝機はあると確信した。
(どうせこのままではウォンに軍の全権を渡さねばならん。それぐらいならば一か八かの賭けに乗るしかあるまい)
このままではガルルが目を覚ましたとき、ガルファンから大将軍の任を解いてウォンを再び大将軍の座に戻すだけなのは明白だった。ならばまだガルファンが大将軍の座に居る間に日の国を制圧すれば全ての状況が一変する。
王女を人質に取ればガウは何も出来ず、またガルルもウォンも用済みになるので始末すれば良い。王族が一人でも存在すれば兵士をまとめる事は難しくはなく、取り返した王女を新たに自分の傀儡として利用すればいいと考えたガルファンは兵士達に命じた。
「二度は言わん!!すぐに出撃の準備をしろ!!俺はガルル王子から大将軍の座を任されているのだぞ!!」
『…………』
ガルファンは大将軍の証である印を取り出して兵士達に見せつけると、彼等は困惑した表情を浮かべるが本物の印である事を確認する。この国では大将軍こそが軍の全権を握る人物であり、時と場合によっては主君の言葉を伺わずに軍隊を動かす権利も与えられている。だが、どうしても納得できない兵士の一人がガルファンに忠告を行う。
「将軍!!日の国にも軍隊は存在します!!我々だけで制圧するのは難しいのでは……」
「この臆病者め!!我等は世界最強の獣人国軍だぞ!?あのような蛮族どもに敗れると思うか!?」
「しかし、日の国に手を出せば同盟国であるバルトロス帝国も動くのでは……」
「ふん、あの国の皇帝は腰抜けだ。先代皇帝ならばともかく、無能な皇帝が動くはずがない」
「それでも……」
「貴様、この俺に逆らう気か?大将軍の座を与えられたこの俺に逆らうか!?」
「い、いえ!!そういうわけでは……」
兵士の忠告を頑なに拒否するガルファンは自分の剣に手を伸ばすと、異議を申し立ていた兵士は慌てて謝罪を行い、その姿を見たガルファンは不満そうに再度命じた。
「明朝までに準備を整えろ!!全ての物資を運び出せ、目標は日の国だ!!」
『はっ……』
全員がガルファンの言葉に疑問を抱きながらも従うしかなく、日の国へ向けての侵攻の準備を開始した――
――3日後、13番街の方にも斥候が届き、ガルファンとガルルが獣人国軍の守備兵と合流した事と日の国へ向けて軍隊を出発させたという報告が同時に届く。ガオンは急遽全員を集め、獣人国軍の対応をどうするべきか相談する。
「全く、あの愚か者め……よりにもよって日の国を敵に回す気か」
「ガオン将軍!!何としても奴等を止めねばならん!!このままでは日の国に預けた妹が……!!」
「ガウ様、落ち着いて下さい。日の国は小国ではありますがその戦力は馬鹿には出来ません。それにあの国には侍と忍者が存在します。そう簡単に敗れるはずがありません」
「そうだな。あの国は小さいが決して弱小国ではない。まともに戦えばガルファン程度では太刀打ち出来ないだろうが……」
「日の国か……そういえばリディアは日の国に立ち寄った事がある?」
「何度かね、クズノの命令で色々と仕入れていたわ」
日の国へ向けて出発した獣人国軍は日数的に考えても間もなく軍隊が日の国の領地へ到達するはずであり、こちらへ向けて侵攻してくると思い込んでいたガオンは当てが外れて顔をしかめる。内乱が収まらない間に隣国へ攻めようとするガルファンの浅知恵に頭を悩まされるが、敵の主力が日の国へ向かうならば今の内に国内を制圧する絶好の機会だった。
「よし、軍を3つに分けて行動するぞ。まず、日の国へ出発した獣人国軍の追撃に俺が2万の軍勢を率いて後を追う。コネコよ、お前にも2万の兵を預けるからその間に国内の制圧を任せるぞ。ガウ王子はこの街に留まり、1万の兵士と待機しておいてください」
「分かりました」
「将軍!!私も共に向かうぞ!!妹の一大事に大人しく待ってなど……!!」
「落ち着いて下さいよ王子様!!あんたはあたし達の総大将なんですよ?無暗に自分の身を危険に晒す様な真似はよしてくださいよ」
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