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獣人国
最後の兵隊
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「ど、どうしたというのだガルファン……?余は何か変な事を言ったか?」
「王子……某の聞き間違いですかな。ウォン大将軍の言葉正しかったと言いましたか?」
「えっ……」
ガルルはガルファンが何故怒っているのか理由が分からず、自分が変な事を言ったのかと考えるが、これまでの敗戦はウォンを同行させなかった事が原因だとガルルは思っていた。
「当然だ。よくよく考えればウォンの言う事は全て間違ってはいなかった……そもそも奴の言葉をもっと真面目に聞いていればこんな事態にならなかったのではないか?」
「王子……ここまで貴方の世話をしたのはこの私ですぞ!?」
苛立ちを抑えながらガルファンは恩着せがましくガルルに怒鳴りつけるが、彼の言葉に対してガルルは心底何を言われたのか理解できない表情を浮かべ、最も言ってはならない言葉を継げてしまう。
「……何を言っているんだ?余の面倒だと?お前がこれまでに何をしたというんだ?」
「この……!!」
生まれてからずっと他人の世話になり続けていたガルルにとっては自分の配下が面倒を見るのは当たり前の事であり、この数日の間にガルファンが世話をした事に対して何も恩義は感じなかった。むしろ王子である自分にここまで苦労を掛けている彼には内心不満を抱いていた。
それでもガルルがガルファンに不満を口にしなかったのはこの状況下では彼以外に頼る人間しかおらず、渋々と街に戻るまで我慢していただけである。生まれてから何不自由のない生活を送っていたガルルは他の人間が自分の世話をするのは当たり前の事っだと思い込んでいたが、この状況で吐露したのは不味かった。
(この王子……ここまで俺が献身的に仕えていたというのに何もしていないだと!!)
ガルファンは我慢の限界を迎えようとしたが、それでも相手が王子である事を考えて手を出さない。しかし、そんな彼の怒りの表情を見てもガルルは自分が何故怒られているのか理解できず、不思議そうに問いかける。
「ガルファンよ。一体お前は何を怒っている?余がお前に何をしたというのだ?」
「ぐううっ……!!」
無意識にガルファンを煽るような言葉を掛けてしまったガルルに対してガルファンは拳を握り締め、今すぐに恩知らずのガルルを殴りつけたいと考えたが、必死に耐える。ここでガルルを殺してしまえば本当に再起は出来なくなり、反逆者として一生追われる生活を送ってしまう。
ガルファンは黙って馬を動かして港町に向かい、そんな様子のガルファンを見てガルルは疑問を抱くが、あまり気にせずに街に戻った後の事を考える。まずはウォンに謝罪を行う前に満足な食事と休憩を行い、その後に王都へ帰還しようと計画を立てる。もうこの状況では弟のガウになど構っていられず、王都で平和に過ごす事を考えた。
「ああ、もう少しで街に戻れるな……ウォンに謝らなければ……」
「ちっ……」
ウォンに謝罪する事ばかりを呟くガルルに対してガルファンは不満を隠さずに舌打ちするが、既に意識が飛びかけているガルルの耳には届かず、二人は街に向かう。だが、その途中でガルファンは街の様子がおかしい事に気付き、街の周辺に大勢の兵士が待機している事を知る。
「何だあれは……まさか!?」
「どうしたガルファン……何かあったのか?」
「お喜びください王子……!!遂に王都からの援軍が到着したようですぞ!!」
ガルファンは嬉々とした表情で馬を走らせ、街の外で待機している1万近くの兵士の元へ向かう。旗印から獣人国軍である事は間違いなく、物資の移送のために救援を要した王都の守備兵である事を確信してガルファンは彼等の元へ駆け出す。
「おい、こっちだ!!獣人国の将軍ガルファンと第一王子のガルル王子様が戻って来たぞ!!」
「おおっ……!!」
ガルファンの大声を耳にした兵士達は驚いた表情を浮かべ、二人の顔を見ると慌てて騎乗していた兵士達が二人の元へ駆け寄る。そして両者のみすぼらしい姿を見て動揺を隠せず、王都の守備兵を連れて来た将軍の一人が話しかける。
「が、ガルファン将軍!?その恰好は一体……」
「説明は後だ!!まずは飯を用意してくれ……おい、王子を中へ連れていけ!!」
「は、はい!!王子様、こちらへ……」
「助かる……」
兵士達は即座に二人を街の中へ移動させ、半病人である王子はすぐに治療が施され、ガルファンには食事の用意をさせる――
――港街に帰還する事に成功したガルファンは飯を喰らいながら救援部隊に何が起きたのかを説明する。まずは投獄されているウォンはガウに逆らった事で捕まった事、次に自分が臨時の大将軍に選ばれて反旗を翻したガオンの討伐に向かった事、その途中でガルルが捕まって自分達の軍隊が敗れた事を説明する。
大筋の話は間違ってはいないが、ガルファンは軍隊が敗北した理由をあくまでも王子が人質に取られた事が原因だと説明し、兵士達が反乱を起こした事や自分が一騎打ちで魔術師に敗れた事を伏せる。また、ここまでの道中で自分が居たから王子は生き残る事を出来た事を強く主張した。
「王子……某の聞き間違いですかな。ウォン大将軍の言葉正しかったと言いましたか?」
「えっ……」
ガルルはガルファンが何故怒っているのか理由が分からず、自分が変な事を言ったのかと考えるが、これまでの敗戦はウォンを同行させなかった事が原因だとガルルは思っていた。
「当然だ。よくよく考えればウォンの言う事は全て間違ってはいなかった……そもそも奴の言葉をもっと真面目に聞いていればこんな事態にならなかったのではないか?」
「王子……ここまで貴方の世話をしたのはこの私ですぞ!?」
苛立ちを抑えながらガルファンは恩着せがましくガルルに怒鳴りつけるが、彼の言葉に対してガルルは心底何を言われたのか理解できない表情を浮かべ、最も言ってはならない言葉を継げてしまう。
「……何を言っているんだ?余の面倒だと?お前がこれまでに何をしたというんだ?」
「この……!!」
生まれてからずっと他人の世話になり続けていたガルルにとっては自分の配下が面倒を見るのは当たり前の事であり、この数日の間にガルファンが世話をした事に対して何も恩義は感じなかった。むしろ王子である自分にここまで苦労を掛けている彼には内心不満を抱いていた。
それでもガルルがガルファンに不満を口にしなかったのはこの状況下では彼以外に頼る人間しかおらず、渋々と街に戻るまで我慢していただけである。生まれてから何不自由のない生活を送っていたガルルは他の人間が自分の世話をするのは当たり前の事っだと思い込んでいたが、この状況で吐露したのは不味かった。
(この王子……ここまで俺が献身的に仕えていたというのに何もしていないだと!!)
ガルファンは我慢の限界を迎えようとしたが、それでも相手が王子である事を考えて手を出さない。しかし、そんな彼の怒りの表情を見てもガルルは自分が何故怒られているのか理解できず、不思議そうに問いかける。
「ガルファンよ。一体お前は何を怒っている?余がお前に何をしたというのだ?」
「ぐううっ……!!」
無意識にガルファンを煽るような言葉を掛けてしまったガルルに対してガルファンは拳を握り締め、今すぐに恩知らずのガルルを殴りつけたいと考えたが、必死に耐える。ここでガルルを殺してしまえば本当に再起は出来なくなり、反逆者として一生追われる生活を送ってしまう。
ガルファンは黙って馬を動かして港町に向かい、そんな様子のガルファンを見てガルルは疑問を抱くが、あまり気にせずに街に戻った後の事を考える。まずはウォンに謝罪を行う前に満足な食事と休憩を行い、その後に王都へ帰還しようと計画を立てる。もうこの状況では弟のガウになど構っていられず、王都で平和に過ごす事を考えた。
「ああ、もう少しで街に戻れるな……ウォンに謝らなければ……」
「ちっ……」
ウォンに謝罪する事ばかりを呟くガルルに対してガルファンは不満を隠さずに舌打ちするが、既に意識が飛びかけているガルルの耳には届かず、二人は街に向かう。だが、その途中でガルファンは街の様子がおかしい事に気付き、街の周辺に大勢の兵士が待機している事を知る。
「何だあれは……まさか!?」
「どうしたガルファン……何かあったのか?」
「お喜びください王子……!!遂に王都からの援軍が到着したようですぞ!!」
ガルファンは嬉々とした表情で馬を走らせ、街の外で待機している1万近くの兵士の元へ向かう。旗印から獣人国軍である事は間違いなく、物資の移送のために救援を要した王都の守備兵である事を確信してガルファンは彼等の元へ駆け出す。
「おい、こっちだ!!獣人国の将軍ガルファンと第一王子のガルル王子様が戻って来たぞ!!」
「おおっ……!!」
ガルファンの大声を耳にした兵士達は驚いた表情を浮かべ、二人の顔を見ると慌てて騎乗していた兵士達が二人の元へ駆け寄る。そして両者のみすぼらしい姿を見て動揺を隠せず、王都の守備兵を連れて来た将軍の一人が話しかける。
「が、ガルファン将軍!?その恰好は一体……」
「説明は後だ!!まずは飯を用意してくれ……おい、王子を中へ連れていけ!!」
「は、はい!!王子様、こちらへ……」
「助かる……」
兵士達は即座に二人を街の中へ移動させ、半病人である王子はすぐに治療が施され、ガルファンには食事の用意をさせる――
――港街に帰還する事に成功したガルファンは飯を喰らいながら救援部隊に何が起きたのかを説明する。まずは投獄されているウォンはガウに逆らった事で捕まった事、次に自分が臨時の大将軍に選ばれて反旗を翻したガオンの討伐に向かった事、その途中でガルルが捕まって自分達の軍隊が敗れた事を説明する。
大筋の話は間違ってはいないが、ガルファンは軍隊が敗北した理由をあくまでも王子が人質に取られた事が原因だと説明し、兵士達が反乱を起こした事や自分が一騎打ちで魔術師に敗れた事を伏せる。また、ここまでの道中で自分が居たから王子は生き残る事を出来た事を強く主張した。
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