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獣人国
ガウの決意
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「まさか父上に隠し子が居たとは……ワン子と言ったね、君には色々と苦労を掛けたようだ」
「わう?」
「こうしてみると確かに妹と似ているな……お手」
「わぅんっ!!」
ガウが右手を差し出すとワン子は嬉々とした表情で左手を差し出し、その様子を見てガウは和んでしまうが、周囲からの視線に気づいて慌てて気を引き締める。
「おっと、こんな子をしている場合じゃなかった。ワン子さん、君とは後でゆっくりと話そう。ガオン将軍、それでそちらの二人は?」
「この二人は異国から訪れたワン子殿の友人だ。どちらも一騎当千の強者だぞ」
「どうも……バルトロス帝国から来たルノです」
「今の所はこいつの相棒をしているリディアよ。それとこの子は私が使役しているキバよ、挨拶しなさい」
「ガアアッ!!」
ガオンがルノとリディアを紹介を行い、相手が王子だからと言って舐められないようにリディアはキバを招き寄せると、ガウは驚いた表情を浮かべる。
「こ、こちらの牙竜は貴女が飼っているのですか?」
「そうよ。まあ、最近飼い始めたばかりだから言う事を聞かない事もあるけどね」
「それは大丈夫なのか!?」
「人間を襲わないようには注意してるわよ」
「……失礼ですが、王子に対してそのような口の利き方は無礼ではありませんか?」
驚愕の表情を浮かべるガウにリディアは自慢げに話すと、流石にガウの護衛を務めるコネコが口を挟むが、リディアは得に気にした風もなく言い返す。
「あんたが誰であろうと知った事じゃないわよ。そもそもこっちはあんた達の命を救ってやったのよ?こいつ赤毛熊を追い払わなければあんた達はここで全滅してたんじゃないの?」
「そういわれると言い返せないね。あはははは!!」
「トラネコ!!」
リディアの言葉にトラネコは笑い声をあげ、そんな彼女をコネコが注意するが、ガウは特に気にした風もなくリディアにお礼を告げる。
「確かに貴方の言う通りだ。まずは助けてくれた礼をこちらが言うべきだった……我々の命を救ってくれた事を感謝する」
「あら、意外と素直な王子ね。別にいいわよ御礼なんて……正直、報酬を貰う方が嬉しいわ。そうね、一人当たり銀貨1枚で良いわよ。王子様の場合は金貨10枚という所かしらね?」
「リディア……いい加減にしないと怒るよ」
「じょ、冗談よ」
流石にリディアの態度にルノが注意すると、彼女は焦ったように愛想笑いを浮かべ、そんな二人のやり取りを見たガウは不思議そうにルノに視線を向ける。
「そういえば貴方は帝国から訪れたと言っていたが、もしかして高名な魔術師ですか?」
「ふふん、聞いて驚かないでよ?こいつは帝国の英雄と呼ばれている初級魔術師のルノよ、名前ぐらいは聞いた事があるでしょ?」
「ルノ!?あの帝国の破壊魔導士と恐れられているあの……!?」
「竜殺しの英雄!?」
「え?ちょっと待ってください。この国では俺の存在ってどんな風に伝わってるんですか?」
聞き覚えのない渾名が外国に伝わっている事にルノは若干衝撃を受けるが、どうやら帝国でのルノの活躍も既に他国にも伝わっているらしく、ルノの正体を知ったガウは喜んだ表情を浮かべて握手を求めた。
「貴方の事はこの国でもよく耳にしています!!なんでも数体の竜種を屠り、日の国では魔剣使いを討ち取り、S級の冒険者達の信望を集めているとか……お会いできて光栄です!!」
「いや、間違ってはいないんですけどそんな事まで伝わってるんですか?」
「勿論です!!我が国でもルノ殿の名前は有名ですからね。亡き国王も一目会ってみたいとよく言ってました……」
国王という単語を口にした事でガウは興奮が収まり、自分の置かれている状況を思い出して溜息を吐く。だが、そんな王子の態度を見てガオンが安心させるように彼の肩を叩く。
「ガウ王子よ。いや、ガウ殿……これからは貴方達の事は我々が責任をもって守る事を誓う。共に王国の秩序を乱した者達を一掃しようではないか」
「おお、ガオン将軍……!!貴方が味方というだけで心強いです!!」
「だが、ガルル王子を止める前にどうしてもこちらの陣営に引き寄せなければならない人物がいる……その男がガルル王子に仕えている限り、我等に勝機はない」
「……ウォン大将軍の事ですね」
ガオンの言葉にガウとコネコは冷や汗を流し、獣人国の将軍を統括する「大将軍ウォン」の存在は誰もが脅威を抱かずにはいられない。現在のウォンはガルルに逆らった事で港町で幽閉されているはずだが、もしも脱走したガルルがウォンと合流した場合、状況は一変する。
幽閉されたとはいえ、ウォンが将軍の中で最も知友に長けた男である事は変わりなく、ガルファンの失態を知ったガルルならばウォンを解放して再び自分のために戦うように指示する可能性も高い。ウォンが捕まったのはガルル王子の命令に逆らったためだが、まだ彼がガルルに対する忠誠心が残っていた場合は面倒な事態に陥るだろう。
「わう?」
「こうしてみると確かに妹と似ているな……お手」
「わぅんっ!!」
ガウが右手を差し出すとワン子は嬉々とした表情で左手を差し出し、その様子を見てガウは和んでしまうが、周囲からの視線に気づいて慌てて気を引き締める。
「おっと、こんな子をしている場合じゃなかった。ワン子さん、君とは後でゆっくりと話そう。ガオン将軍、それでそちらの二人は?」
「この二人は異国から訪れたワン子殿の友人だ。どちらも一騎当千の強者だぞ」
「どうも……バルトロス帝国から来たルノです」
「今の所はこいつの相棒をしているリディアよ。それとこの子は私が使役しているキバよ、挨拶しなさい」
「ガアアッ!!」
ガオンがルノとリディアを紹介を行い、相手が王子だからと言って舐められないようにリディアはキバを招き寄せると、ガウは驚いた表情を浮かべる。
「こ、こちらの牙竜は貴女が飼っているのですか?」
「そうよ。まあ、最近飼い始めたばかりだから言う事を聞かない事もあるけどね」
「それは大丈夫なのか!?」
「人間を襲わないようには注意してるわよ」
「……失礼ですが、王子に対してそのような口の利き方は無礼ではありませんか?」
驚愕の表情を浮かべるガウにリディアは自慢げに話すと、流石にガウの護衛を務めるコネコが口を挟むが、リディアは得に気にした風もなく言い返す。
「あんたが誰であろうと知った事じゃないわよ。そもそもこっちはあんた達の命を救ってやったのよ?こいつ赤毛熊を追い払わなければあんた達はここで全滅してたんじゃないの?」
「そういわれると言い返せないね。あはははは!!」
「トラネコ!!」
リディアの言葉にトラネコは笑い声をあげ、そんな彼女をコネコが注意するが、ガウは特に気にした風もなくリディアにお礼を告げる。
「確かに貴方の言う通りだ。まずは助けてくれた礼をこちらが言うべきだった……我々の命を救ってくれた事を感謝する」
「あら、意外と素直な王子ね。別にいいわよ御礼なんて……正直、報酬を貰う方が嬉しいわ。そうね、一人当たり銀貨1枚で良いわよ。王子様の場合は金貨10枚という所かしらね?」
「リディア……いい加減にしないと怒るよ」
「じょ、冗談よ」
流石にリディアの態度にルノが注意すると、彼女は焦ったように愛想笑いを浮かべ、そんな二人のやり取りを見たガウは不思議そうにルノに視線を向ける。
「そういえば貴方は帝国から訪れたと言っていたが、もしかして高名な魔術師ですか?」
「ふふん、聞いて驚かないでよ?こいつは帝国の英雄と呼ばれている初級魔術師のルノよ、名前ぐらいは聞いた事があるでしょ?」
「ルノ!?あの帝国の破壊魔導士と恐れられているあの……!?」
「竜殺しの英雄!?」
「え?ちょっと待ってください。この国では俺の存在ってどんな風に伝わってるんですか?」
聞き覚えのない渾名が外国に伝わっている事にルノは若干衝撃を受けるが、どうやら帝国でのルノの活躍も既に他国にも伝わっているらしく、ルノの正体を知ったガウは喜んだ表情を浮かべて握手を求めた。
「貴方の事はこの国でもよく耳にしています!!なんでも数体の竜種を屠り、日の国では魔剣使いを討ち取り、S級の冒険者達の信望を集めているとか……お会いできて光栄です!!」
「いや、間違ってはいないんですけどそんな事まで伝わってるんですか?」
「勿論です!!我が国でもルノ殿の名前は有名ですからね。亡き国王も一目会ってみたいとよく言ってました……」
国王という単語を口にした事でガウは興奮が収まり、自分の置かれている状況を思い出して溜息を吐く。だが、そんな王子の態度を見てガオンが安心させるように彼の肩を叩く。
「ガウ王子よ。いや、ガウ殿……これからは貴方達の事は我々が責任をもって守る事を誓う。共に王国の秩序を乱した者達を一掃しようではないか」
「おお、ガオン将軍……!!貴方が味方というだけで心強いです!!」
「だが、ガルル王子を止める前にどうしてもこちらの陣営に引き寄せなければならない人物がいる……その男がガルル王子に仕えている限り、我等に勝機はない」
「……ウォン大将軍の事ですね」
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幽閉されたとはいえ、ウォンが将軍の中で最も知友に長けた男である事は変わりなく、ガルファンの失態を知ったガルルならばウォンを解放して再び自分のために戦うように指示する可能性も高い。ウォンが捕まったのはガルル王子の命令に逆らったためだが、まだ彼がガルルに対する忠誠心が残っていた場合は面倒な事態に陥るだろう。
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