最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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1巻

1-1

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 1



 霧崎きりさきルノは、目の前の光景に唖然あぜんとしていた。
 先ほどまで教室にいたはずである。それにもかかわらず彼は、見たことのない異様な場所に立っている。
 ルノの側には四人のクラスメイトがおり、彼等もまた同様に戸惑っていた。
 ルノ達を囲うように、黒いローブに身を包んだ不気味な集団がたたずんでいる。手に杖を携えたその集団は、ルノ達にどこか不審ふしんげな視線を向けつつ話し合う。

「おおっ、まさか成功するとは……」
「信じられぬ。異世界の住民を呼び寄せたというのか」
「しかし、全員子供ではないか。本当に戦えるのか?」

 しばらくして一人の老人がルノ達に近づいてくる。
 その老人の格好は特別に豪華であり、歴史の教科書に出てくる中世の王族のようだった。ルノのクラスメイト達が次々と声を上げる。

「だ、誰ですか、貴方達は!?」
「さ、さとし君……」
「な、何だよ、てめえらっ!!」
「お、落ち着きなさいよ……」

 おびえるルノのクラスメイトに対し、老人は人懐ひとなつっこい笑みを浮かべると、突如としてひざまずいた。そして仰々ぎょうぎょうしく告げる。

「よくぞ参られた、勇者殿。どうか我等をお救いくだされ」
「え?」

 状況が掴めず、クラスメイトの一人が声を上げる。動揺するクラスメイトをよそに、一人冷静なルノが初めて声を発した。

「……勇者?」

 ルノは、老人が口にした「勇者」という言葉に引っかかりを感じた。またそれに加えて彼は、このシチュエーションに覚えがあった。
 ルノが思いだしたのは、子供の頃に遊んでいたゲームである。
 彼は、異世界を訪れた勇者が世界征服をたくらむ悪と戦う、というストーリーのゲームをよくやっていたのだ。今の状況はまさにそういったゲームの展開そのままだった。
 ルノはまさかと思いながらも、自分がゲームの世界を訪れてしまったのではないかと考える。
 そして、どうして自分がこのような状況に至ったのか、記憶をゆっくりと掘り起こしていった。


 × × ×


 霧崎ルノは、白鐘しろがね学園高等学校に通う高校一年生である。
 その日彼は、帰宅中に忘れ物をしたことを思いだし、教室に戻った。教室には、四人の生徒が残っていた。彼等はクラスでも目立っている男女四人組で、全員が幼馴染おさななじみ同士である。
 一年生にして野球部のレギュラーに選ばれた、佐藤さとう聡。
 クラスの女子の中でも一番人気がある、花山陽菜はなやまはるな
 委員長としてクラスをまとめる、鈴木すずき麻帆まほ
 不良生徒として、ある意味で一番悪目立ちしている加藤雷太かとうらいた
 仲良さそうに話し込む四人とは対照的に、ルノは彼等の顔くらいは知っているものの、ほとんど交流したことがなかった。
 実際に彼等のほうも、ルノが教室に入ってきたことに反応を示さなかった。
 ルノが四人の横を通り過ぎた時、不良の加藤がルノの存在にようやく気づいたように声をかける。

「霧崎じゃねえか。どうしたんだ、こんな時間に?」
「ちょっと忘れ物をして……そっちはまだ残ってたんだ」

 ルノはそう口にしつつ自分の机へ行き、置き忘れていた教科書を取りだす。そして返答も聞かずに、そのまま去ろうとする。

「あ、いけない!! もうこんな時間じゃない!? すっかり話し込んでいたわね」

 クラス委員長の鈴木の言葉を背に受けつつ、ルノが教室を出た直後――異変が生じた。

「な、何だ!?」
「ま、まぶしいよっ!?」
「これは……!?」
「あ、足が動かないわ!?」

 四人の足元に魔法陣のような紋様が浮かび上がっている。すでに教室の外にいたルノもその光を浴びてしまう。

「えっ……」

 突然、魔法陣からすさまじい閃光せんこうが放たれ、教室全体が光に包まれた。
 そして全員が意識を取り戻すと、先ほどの状況におちいっていた。


 × × ×


 呆然とするルノ達の前に、さっきとは別の初老の男が近寄ってくる。その初老の男は、ルノ達に声をかけた老人に話しかける。

「皇帝陛下、どうやら勇者様は混乱しているようです。ここは私が説明いたしましょう」
「おお、そうか。頼むぞ、大臣」

 どうやら最初の老人は皇帝で、今やってきた初老の男は大臣らしい。

「まずは自己紹介から始めましょうか。私の名前はデキンと申します。そしてこちらの御方が、バルトロス帝国の皇帝、バルトロス十三世様でございます」

 デキンと名乗った男はそう言うと、優しげな笑みを浮かべた。

「バルトロス?」
「帝国って……何言ってんだよ」
「そんな国の名前、聞いたこともない」

 ルノに続いて、不良の加藤、委員長の鈴木が声を上げる。すると、デキンは意味深な笑みを浮かべる。

「当然ですな。何しろ、ここは勇者様が住んでいた世界ではないのですから」
「はあ? 何言ってんだおっさん……頭おかしいのか?」

 加藤はそう言うと、睨みつけるようにデキンに顔を近づける。するとすぐさま、デキンの周囲にいた男達が怒りだす。

「大臣に何て言葉を!!」
「ば、馬鹿っ!!」

 鈴木が慌てて間に入って加藤を引き離す。混乱するクラスメイト達をよそに、ルノは相変わらず冷静なままデキンに向かって質問する。

「すみません。結局、ここはどこなんですか? まさか、異世界だったり……」
「はあ? 何言ってんだよ、霧崎」

 急に奇妙なことを言いだしたルノに、加藤が馬鹿にするように声を上げた。デキンは目を見開き、ルノのほうへ顔を向ける。

「おおっ!! そちらの勇者様は理解が早いですな。先ほど申し上げた通り、ここは勇者様の住んでいる世界ではありませぬ。我々は勇者様の世界を『テラ』と呼び、我々の世界のことは『マルテア』と呼んでいます」
「テラ……マルテア……?」

 ルノはよく分からないまま、デキンの言った単語を復唱する。
 野球部レギュラーの佐藤がデキンに尋ねる。

「そ、そんなことよりも、僕達を呼びだしたと言っていましたが、どうしてこの場所に呼び寄せたんですか?」
「勇者様の疑問はもっともですね。なぜ呼びだしたのか……端的に言えば、貴方達に我々を救ってほしいからです。今現在この帝国は、魔王軍と呼ばれる軍勢に追い詰められ、窮地きゅうちに立たされています」

 デキンの発言に、その場は静まり返る。

「ま、魔王だと? 馬鹿じゃねえのかこいつ」
「加藤!! お前は静かにするんだ!!」

 挑発的な態度を取る加藤に周囲の視線が集まったので、佐藤が加藤を止めに入った。ルノはデキンに質問する。

「魔王軍……というのは何なんですか?」
「人類と敵対し、自分達の欲望に忠実な悪のことですな。奴等は帝国の領地内で暴れ、民衆を恐怖におとしいれています」
「それで、どうして俺達を……そのテラの世界から呼び寄せたんですか?」
「もちろん、勇者様方に魔王軍の討伐をお願いするためです。奴等は非常に手強てごわく、我々の力だけではどうしようもありません。ですが、この帝国にはいにしえから伝わる魔法が存在するのです! それこそが、勇者という強大な力を秘めた存在を異界から呼び寄せる召喚魔法陣! 貴方達は選ばれた人間なのです!!」

 感極まったように、デキンは言い放った。
 加藤と花山が呆れて声を漏らす。

「何言ってるか、全然分からねえ」
「私も……」

 ルノも唖然としてしまったが、気を取り直して尋ねる。

「あの……俺達は元の世界に戻れないんですか?」
「ご安心くだされ。魔王軍を討伐することができれば、皆さんを帰してあげましょう」
「帰してあげるって……」

 ルノはデキンの物言いが引っかかり、表情を強張こわばらせた。デキンはそんなルノの反応を気に留めることなく続ける。

「さあ、つまらない話はここまでにしましょう。これから皆様のステータスを確認するための儀式を行います。こちらへどうぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください!! いったい何を言って……」

 デキンはルノの言葉を無視すると、振り返って部下達に指示する。

「お前達、早く勇者様を儀式の間へ案内しろ!!」
「「はっ!!」」

 すると、無数のローブ姿の男達がルノ達五人を取り囲んだ。ルノ達は逆らうことができず、強制的に移動させられていく。
 ルノ等は嫌な予感を覚えつつも、ただ従うしかなかった。


 × × ×


 数分後、ルノと他の四人は、黒いローブ姿の集団に囲まれて廊下を歩いていた。
 先ほどまで彼等がいた場所は、玉座ぎょくざと呼ばれる広間だったらしい。またルノ達は、自分達が今、大きな城の中にいると知らされる。
 廊下では、甲冑かっちゅう姿の兵士やメイド服姿の女性と何度もすれ違った。それでも五人は、これまでいた世界とは別の世界を訪れていると信じ切れていなかった。
 しかし、彼等は現実と直面させられる。
 ふと気配を感じ、全員が窓の外に視線を向けた瞬間――明らかに鳥ではない巨大生物が空を飛んでいたのが目に入ったのである。
 それは、ファンタジー世界で最も有名な存在、ドラゴンだった。


「オォオオオオオオオオオオオッ……!!」


 全身白いうろこに覆われた巨大な竜が、翼を羽ばたかせて空を飛んでいる。
 受け入れがたい光景に五人は圧倒され、言葉を失っていた。
 呆然とするルノ達を見て、同行していた黒いローブ姿の男達が誇らしげに言う。

「はっはっはっ!! 勇者殿は白銀竜はくぎんりゅうを見るのは初めてですかな? あれはこの地方にだけ姿を見せる竜種ですぞ!!」
「それにしても、勇者殿が召喚された今日という日に白銀竜が姿を現すとは……これは吉兆きっちょうですな」

 加藤、鈴木、佐藤、花山、ルノがそれぞれ口にする。

「は、白銀竜……?」
「嘘……信じられない」
「まさか……本当に僕達は……」
「うわぁ~、綺麗きれいな生物だったね」
「え、あ、うん」

 元いた世界では絶対に存在しえない架空の生物である。そのような生物を自分達の目で見た以上、ここが自分達の住んでいる世界ではないと認めるしかなかった。
 歩を進めながら、ルノは黒いローブの男に尋ねる。

「あの……さっき聞いて気になっていたんですけど、この世界には魔法が存在するんですか?」
「はあっ……? おっしゃっている意味が分かりませんが……」

 そこへ、デキンが割って入ってくる。ルノの会話を聞いていたらしい。

「ああ、そういえば、伝承では勇者様の世界では魔法が存在しないと聞いておりましたが……本当ですか?」

 デキンがわざとらしく大きな声を出したため、他の四人にも聞こえたようだ。四人は「魔法」と聞いて目を見開いた。
 加藤がデキンに尋ねる。

「じゃ、じゃあ、俺達も魔法を使えるようになるのかよ!?」
「当たり前ですな。まさか魔法を覚えないで、魔王軍を討伐する気だったのですか?」
「マジかよ。信じられねえっ!!」
「はっはっはっ!! どうやら勇者殿は、魔法に強い興味があるようですな」

 デキンは、嬉しそうな顔をする四人を見て薄ら笑いを浮かべる。そうして一行はそのまま歩いていった。


 移動を開始してから、数十分ほど経過した。
 五人が到着したのは、床に魔法陣が刻まれた広間だった。
 広間の周囲には七つの柱が立ち並び、それぞれの柱の上には水晶玉すいしょうだまがあった。緑、赤、青、黄、茶、白、黒の七色である。
 広間の中心には台座があり、その上では無色の水晶玉が宙に浮かんでいる。
 デキンが物々しく告げる。

「ここは、儀式の間と呼ばれている広間です。魔術師だけしか立ち入ることができません。今から勇者様方の適性を検査し、ステータスの魔法を覚える儀式を行います」
「ぎ、儀式?」

 ルノが疑問の声を上げると、デキンは不気味な笑みを浮かべて答える。

「怖がる必要はありません。中央に存在する台座の水晶玉に手のひらをかざすだけでいいのです。それで皆様は天使の加護かごを授かるでしょう」
「天使の……加護?」

 聞き覚えのない言葉を聞き、ルノは首をかしげる。他の四人も戸惑っていると、デキンは説明しだす。

「この世界では成人すると、ステータスの儀式を受けます。これによって、自分に適した職業、現時点の能力を確かめることができます。そしてそれと同時に、スキルと呼ばれる技能も身に付けられるのです。さらには、天使の加護を得ることができ、魔法を扱えるようになるのです」
「ステータスとかスキルとか……何だかゲームみたいな話になってきたな」

 加藤が感想を言うと、デキンは笑みを深めてさらに告げる。

「そのゲームというのは何か分かりませんが、今の勇者様は何の力も持っていません。伝承によれば、儀式によって隠された能力が目覚めるはずです」

 普段は冷静な鈴木が、はしゃぐように尋ねる。

「じゃ、じゃあ、私達も本当に魔法が使えるんですか?」
「はぁ……それは今言ったはずですが」

 デキンは呆れたように、ため息を吐いた。
 デキンの態度が段々悪くなってきたことに、ルノ達は違和感を覚えだす。
 ともかくデキンの言葉が事実ならば、儀式を受ければ魔法を扱えるようになるらしい。ルノは意を決して、最初にやってみることにした。

「……ここに手のひらをかざせばいいんですよね?」
「その通りです。さあ、何も恐れる必要はありません」

 ルノが空中に浮揚している水晶玉に近づくと、加藤と花山が心配そうに声をかける。

「お、おい!! 本当にやる気かよ?」
「危ないんじゃ……」

 ルノは覚悟を決めて、手のひらを水晶玉の上にやる。
 その瞬間、周囲の柱の上の七色の水晶玉が光った。ルノの身体が光に覆われ、周囲の人々が騒ぎだす。

「こ、これは!?」
「すべての水晶石が反応している!?」
「まさか、全属性を扱えるというのか!?」

 ルノは、どうして人々が驚いているのか理解できなかったが、自分の肉体に起きている異変を感じて戸惑う。
 熱い液体が注ぎ込まれていくような感覚が全身を襲ったのだ。それと同時に、ルノの左手の甲に奇妙な紋様が浮かび上がる。それは、周囲のローブをまとった男達が所持している杖のようなデザインだった。


 しばらくして、ルノの視界にパソコン画面のような半透明のディスプレイが出現する。

「うわっ!?」

 ルノが声を上げると、加藤と花山が心配してくる。

「ど、どうした!?」
「大丈夫なの?」
「いや……これ、見えないの?」

 どうやらルノの視界に現れた画面は、他の人間には見えないらしかった。
 ルノは、ひとまず表示されている内容を確認する。
 それはゲーム等ではよく見かけるものだった。「ステータス」と表示された画面は、次のようになっていた。


 霧崎ルノ

「職業」初級魔術師(固定)

「状態」普通
「SP」1
「レベル」1


「技能スキル」

 ・翻訳――あらゆる種族の言語、文字を理解できる。


「戦技」

 ・風圧――風属性の初級魔法(熟練度:1)。
 ・火球――火属性の初級魔法(熟練度:1)。
 ・氷塊――水属性の初級魔法(熟練度:1)。
 ・電撃――雷属性の初級魔法(熟練度:1)。
 ・土塊――地属性の初級魔法(熟練度:1)。
 ・闇夜――闇属性の初級魔法(熟練度:1)。
 ・光球――聖属性の初級魔法(熟練度:1)。


「固有スキル」

 ・なし


「異能」

 ・成長――経験値を通常よりも高く獲得できる。


 ステータスには、ゲームで定番のHPやMPといった項目はなかった。あるのは、現時点のレベルや能力だけである。
 ルノが気になったのは、職業欄の「初級魔術師」だ。それは、ゲーム等でも見たことのない職業だった。
 ルノはステータスを見ながらデキンに言う。

「あの、画面が表示されたんですけど……」
「それで成功ですな。何が書かれているか読み上げてくれますか? 我々には他人のステータス画面を確認できないのです。どうか詳細に教えてくだされ」
「私が筆記します」

 羊皮紙を手にした男がいつの間にか、ルノの近くにやってきていた。
 ルノがステータスの内容を報告している間に、他のクラスメイト達も彼と同様に儀式を行った。
 クラスメイト達が、ステータスを見て驚きの声を上げる。

「おおっ!? す、すげぇっ」
「信じられない」
「まさか本当に」
「えっと……大魔導士?」

 デキンがクラスメイト達に告げる。

「皆様も表示された内容をお教えください。修得した職業によっては訓練の内容も変えますので」
「訓練?」

 デキンが呟いた言葉に、ルノは反応する。
 そこへ、ルノのステータスを書き終えた男がデキンのもとにやってきて、慌てたように羊皮紙を見せる。

「デ、デキン様!! この者のステータスが……」
「どうした急に……こ、これはっ!?」

 デキンは羊皮紙を見て、目を見開いた。そして、羊皮紙とルノの顔を交互に見比べ、ルノのもとに近づく。

「キリサキ殿!! 表示された画面は、この内容で間違いがないと!?」
「は、はい?」

 デキンはルノに羊皮紙を見せながら尋ね、天をあおぐように言う。

「……そんな馬鹿な。どうして天使の加護ではないのだ。伝承では確かに勇者は……」
「デキン様!! 他の方は確かに天使の加護を受けています!!」

 そこへ、別の男がデキンに報告してきた。すでにクラスメイトのステータスは調べ終えていたらしい。加藤と鈴木が首をひねる。

「え? 何の話だよ」
「どういうことですか?」

 デキンはぶつぶつと呟きながら羊皮紙をぐしゃりと握りしめる。そして何か気づいたように、ルノのほうを振り返った。

「キリサキ殿、貴方が召喚された時の状況を教えてくれませんか!?」
「え?」
「もしかしたらキリサキ殿は……他の方に巻き込まれて召喚されたのでは?」

 クラスメイト達が声を上げる。

「はあっ!?」
「ど、どういうことですか? 霧崎君が巻き込まれたって」

 ルノは、この世界に召喚された時の状況を思いだしてみた。
 魔法陣が出現した際、ルノはクラスメイトの近くにいた。みんなの足元には魔法陣があったが、自分にはなかった。それから魔法陣の発する強い光に呑み込まれ、気づくとこちらの世界に降り立っていた。
 ルノはなぜか気まずそうな顔をして口を開く。

「まさか……」
「その表情は……どうやら心当たりがあるようですな。ふんっ! ならば話は別だ! 勇者を召喚したはずが、ただの一般人を呼び寄せてしまうとはな」

 デキンの口調の変化に、クラスメイト達が驚いて後ずさる。

「な、何だよ、急に……」
「いったい何がどうしたんですかっ!?」

 デキンは周囲からの視線に気づくと、慌てて態度を改める。

「おっと……これは失礼。私としたことが冷静さを失ってしまいました。ともかくです。キリサキ殿は、我々が呼びだした勇者ではないようですな」

 デキンがそう言うと、周囲の視線がルノに向けられる。
 デキンは不愉快そうな表情のままさらに続ける。

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