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獣人国

兵士の不満

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「なあ……ここだけの話、お前等はガルファン将軍の事をどう思う?」
「くそ野郎だろ」
「正直、ウォン大将軍やガオン将軍の方と比べたらな……」
「だよな……」


ある兵士の言葉に他の兵士達は不満を隠さずに悪態を吐き、作業を中断して集まる。これまでガルファンの行動に従い続けたが、命令を受ける度に酷い目に遭わされているのは兵士達なのだ。


「それよりも将軍の食事について知っているか?食料が少ないのに自分だけは腹いっぱい食ってんだぜ、その癖に給仕係が味見をする場面を見かけただけでぶち切れて厳罰を与えたとか……」
「はあ!?マジかよその話……酷いな」
「しかも牙竜の奴に襲われた部隊の奴等の治療も最初は反対したそうだぜ。薬剤が勿体ないとか……それと逃げ帰った事も叱りつけたとか」
「おいおい、嘘だろ!?竜種に襲われたんだぞ!?生きて帰れただけで奇跡だっていうのに……」


ガルファンの行動は兵士達にも筒抜けになっており、その中でも特に問題行動は目立つ。厄介なのは全ての噂には証人が存在し、実際にガルファンの普段の行動を考えれば事実でもおかしくはない。


「……本当になんでこんな事になったんだろうな。そもそも俺達、第二王子を探していただけなのに……」
「ガルル王子も捕まったし、もう本当にこの国はどうなるんだ……」
「なあ、俺達だけもで逃げないか?もうこんな事……」
「無理だ。逃げるにしても何処へ逃げるんだ?牙竜が徘徊している荒野を移動するのか?」
「なら降伏するか?」
「それは……どうだろう?」


何気ない兵士の一人の言葉に他の人間達は考え込み、この状況下でガルファンに従い続ける理由メリットが存在するのかを真剣に考える。戦力的には街の軍隊よりもガルファンの従える獣人国軍が多いのだが、実際に追い詰められているのは獣人国軍だった。

貴重な物資の殆どは奪われ、さらに食料の調達も行えず、予備の武器や防具も少ない。しかも戦力となる魔術師部隊に関しても先のルノとの戦闘で100人の魔術師が1人の人間の魔術師にいいように弄ばれていた事を思い返し、このまま街に襲撃を仕掛けても確実に勝てる保証はない。


「……なあ、お前等もガルファン将軍に不満を抱いているんだろう?それなら、あいつを捕まえて降伏しないか?」
「お前、何を言い出すんだ!?」
「いいから聞けって!!どうせこのまま街に攻めた所で相手はガルル王子を人質にしているんだぞ?ガルル王子が殺されたら俺達は只の賊軍だ……それぐらいならいっその事、ガルファン将軍を捕まえて降伏すれば待遇良く受け入れるんじゃないか?」
「なるほど……確かに悪くないかもしれない」
「ほ、本気か?本当にそんな事が出来ると思うのか?」


兵士達は作業を中断して一か所に集まり、今後の事を考えればガルファンに付くよりもガルル王子を手中にしているガオン将軍に従うべきではないかと考え、これまでのガルファンの行動に不満を抱いていた者が一気に集まる。


「なあ、お前等!!本当にこのままでいいと思ってんのか!?ガオン将軍に降伏すればもうこんな目に遭わなくて済むんだぞ!!それにあの人に勝てるのはウォン大将軍だけだ!!あんな魔剣バカに従ってもガオン将軍に勝てるはずないだろうが!!」
「お前、口が過ぎるぞ!?」
「知った事か!!俺の親友はあいつの料理を運ぶときにつまみ食いをしたと疑われて鞭打ちの刑を喰らったんだぞ!?もう我慢できねえ……皆で力を合わせればあんな奴捕まえられるんだぞ!!」
『…………』


不満を爆発させた一人の兵士の言葉に他の者たちも顔を見合わせ、やがて彼等は武器を手にしてガルファンが待機しているはずの幕に向かう。これまで蓄積されていたガルファンの問題行動の不満が一気に爆発し、一部の兵士達は遂に反乱を引き起こしてしまう――




――ガルファンが異変に気付いたのは兵士達が反乱を起こしてから数分後の出来事であり、妙に幕の外が騒がしい事に気付いたガルファンは何事が起きたのか側近の兵士に声を掛ける。


「おい、何の騒ぎだ?お前、外を見てこい」
「はっ」
「全く、緊張感のない奴等だ。こんな時にバカ騒ぎしおって……」
「うぎゃあっ!?」
「何!?」


側近の兵士が幕の外に出た瞬間、悲鳴が響き渡ってガルファンは慌てて立ち上がる。何事かと背中の紅蓮を構えながら幕の出入口に視線を向けると、そこから複数の兵士が入り込む。全員が傷を負っているがその瞳は怒りを滲ませており、ガルファンを睨みつけた。


「貴様等!!許可も無しに入ってくるとは何事だ!!」
「うるさい!!お前さえ、お前さえいなければ……!!」
「た、大変ですガルファン将軍!!謀反です!!大勢の兵士がこちらに……ぐああっ!?」
「何だと!?」


先ほど外に出た側近の兵士が地面を這いずりながら幕の中のガルファンに警告を行うが、即座に幕に侵入してきた兵士の一人が側近の頭を蹴り飛ばして黙らせると、ガルファンに刃を向けた。



※今回の投降の5秒前

リーリス「出番がなくて暇ですね……ふんっ!!」(#・ω・)ノ公開ボタン
カタナヅキ「あ、こら!!勝手に押すな!!」( ゚Д゚)メッ
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