最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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獣人国

飛べ、ルノ!!(&ガオン)

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「縄を持ってきました!!こちらでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます。えっと……うん、大丈夫です」
「おい、そんな物で何をする気だ?」


兵士が縄を用意するとルノは強度を確かめて問題ない事を確認し、それを見たガオンは嫌な予感を覚えるが、そんな彼の不安をよそにルノはリディアに縄を渡す。


「リディア、ちょっと縄を持っててくれる?」
「え?どうするのよこんな物……」
「ガオンさんは俺の後ろ向いてください」
「後ろ……?」


ルノの言われるがままにリディアは縄を受け取り、ガオンが背中を向けると、ワン子が率直にルノが何をしようとしているのかを尋ねる。


「ルノのお兄さんは何をする気なんですか?」
「それはね……こうやってガオンさんを拘束するんだよ」
「拘束!?」
「ああ……そういう事ね」


背中を向けた状態のガオンにルノは背中を押し付けると、ようやく意図を察したリディアは納得したように頷き、即座に背中同士を合わせたルノとガオンを縄で拘束する。身長と体格に差があるのでルノの胸元の部分とガオンの胴体の部分に縄を巻きつき、簡単な事では引き剥がされないようにしっかりと縄を結ぶ。


「お、おい!!これは何の真似だ!?」
「いいから大人しくしてなさいよ。ほら、あんた達もこの馬鹿将軍を抑えなさい!!」
「ええっ!?」
「し、しかし……」
「将軍に対してそんな無礼な真似は……」
「今は説明している暇もないんです!!急いでください!!」
『はい!!』
「お、お前達ぃっ!?」


ルノの言葉を聞いた兵士達は即座にリディアの手伝いを行い、縄で二人の肉体を固定する。数秒後には縄で完璧に二人の身体を固定化され、十分だと判断したルノは兵士とリディアを離れさせる。


「うん、もういいかな……じゃあ、ちょっと王子を捕まえに行ってくるね」
「待て!!お前、まさか……!?」
「行ってきます!!」
「きゃあっ!?」


出発する直前にて自分が何をされるのか理解したガオンは顔色を青くして静止の言葉を掛けるが、ガオンを背中で抱えた状態からルノは「飛翔術」を発動させ、勢いよく空へ向けて跳躍を行う。


「全速力で行きますよ!!舌を噛まないように気を付けてください!!」
「おおおおおおっ……!?」


頑丈な縄でガオンを固定した状態でルノは13番街に接近する軍隊が存在する方向へ向けて直進すると、正面から襲い掛かる風圧によってガオンは大口を開いた状態で悲鳴をあげる。口を塞ごうにも風圧が強すぎて閉じる事も出来ず、しかも時間が経過するごとに速度が加速するため、身体に襲い掛かる風圧が増す。


「よし、見えてきた!!大丈夫ですかガオンさん!?」
「おごぉっ!?」


遂に軍隊の姿を捉えるとルノは速度を減速し、気づかれないように高度を上昇する。やっと風圧から解放されたガオンは口から呻き声を漏らしながらもルノの言葉を耳にして地上の様子を伺う。


「うぷっ……ま、また酔ってきた。吐きそうだ……」
「頑張ってください!!ほら、それよりも王子の姿は見えますか?」
「ああっ……?」


口元を抑えながらもガオンは地上を移動する軍隊の様子を伺い、朦朧とする意識の中で王子らしき人物を探す。だが、距離が開きすぎている事と5万の軍勢の中から王子を探し出す事は難しく、頭を抑えながらルノにもう少し近づけないのかを尋ねる。


「ここからだとよく見えんな……もう少し近づけないのか?」
「そうしたい所なんですけど、もしも近づいて気づかれた場合、きっと相手も魔法で攻撃を仕掛けてくるはずです。そうなるとガオンさんを背負った状態だと上手く戦えないので下手をしたら撃ち落される可能性も……」
「よし、分かった!!何とか探すぞ!!」


接近する事の危険性を聞かされたガオンは必死な表情で軍勢の様子を観察し、第一王子らしき人物を探す。だが、いくら探しても王子らしき人物は見当たらず、不思議に思ったガオンは王子に関するある情報を思い出した。


「あっ……そういえば王子は馬に乗れないと聞いたことがある。なんでも子供の頃に落馬して以来、馬に近づくことも避けるようになったと聞いているが……」
「え?じゃあ、遠出するときはどうしているんですか?」
「基本的には馬車に乗って移動しているらしい。それに奴の性格を考えればきっと貧相な馬車に乗り込む事はないはずだ」
「馬車……もしかしてあれの事ですか?」


ガオンの言葉を聞いてルノは軍勢の中から異様なまでに目立つ存在に気づく。軍勢の中心部に存在する全体が白塗りの大きな馬車が存在し、車を引く馬は白馬で統一され、極めつけには馬車の天井部分には獣人国の紋章が刻まれていた。場違いな程に豪華な馬車を見て、ルノはガオンが見やすいように方向転換を行い、馬車を見せつけると、ガオンは大声をあげる。


「むっ……あれか、確かに目立つな」
「……普通、あんな目立つ乗り物にわざわざ乗るんですか?」
「確かに普通ならば有り得ん事だ。だが、あの王子ならば乗っていてもおかしくはない」


敵から見れば非常に目立つ外見の馬車など分かりやすい標的なのだが、ガオンの知る限りの王子の性格から考えたら馬車が罠である可能性は低く、本当に乗り込んでいる可能性が高いという。



※今回の投稿の5秒前ぐらい

カタナヅキ「まだだ!!まだ足りない!!」(´・ω・)つ公開ボタン
ルノ「一体何が目的なんだ?」
リーリス「待ってください、現在公開されている文字数を確認すると……」
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