378 / 657
獣人国
飛べ、ルノ!!(&ガオン)
しおりを挟む
「縄を持ってきました!!こちらでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます。えっと……うん、大丈夫です」
「おい、そんな物で何をする気だ?」
兵士が縄を用意するとルノは強度を確かめて問題ない事を確認し、それを見たガオンは嫌な予感を覚えるが、そんな彼の不安をよそにルノはリディアに縄を渡す。
「リディア、ちょっと縄を持っててくれる?」
「え?どうするのよこんな物……」
「ガオンさんは俺の後ろ向いてください」
「後ろ……?」
ルノの言われるがままにリディアは縄を受け取り、ガオンが背中を向けると、ワン子が率直にルノが何をしようとしているのかを尋ねる。
「ルノのお兄さんは何をする気なんですか?」
「それはね……こうやってガオンさんを拘束するんだよ」
「拘束!?」
「ああ……そういう事ね」
背中を向けた状態のガオンにルノは背中を押し付けると、ようやく意図を察したリディアは納得したように頷き、即座に背中同士を合わせたルノとガオンを縄で拘束する。身長と体格に差があるのでルノの胸元の部分とガオンの胴体の部分に縄を巻きつき、簡単な事では引き剥がされないようにしっかりと縄を結ぶ。
「お、おい!!これは何の真似だ!?」
「いいから大人しくしてなさいよ。ほら、あんた達もこの馬鹿将軍を抑えなさい!!」
「ええっ!?」
「し、しかし……」
「将軍に対してそんな無礼な真似は……」
「今は説明している暇もないんです!!急いでください!!」
『はい!!』
「お、お前達ぃっ!?」
ルノの言葉を聞いた兵士達は即座にリディアの手伝いを行い、縄で二人の肉体を固定する。数秒後には縄で完璧に二人の身体を固定化され、十分だと判断したルノは兵士とリディアを離れさせる。
「うん、もういいかな……じゃあ、ちょっと王子を捕まえに行ってくるね」
「待て!!お前、まさか……!?」
「行ってきます!!」
「きゃあっ!?」
出発する直前にて自分が何をされるのか理解したガオンは顔色を青くして静止の言葉を掛けるが、ガオンを背中で抱えた状態からルノは「飛翔術」を発動させ、勢いよく空へ向けて跳躍を行う。
「全速力で行きますよ!!舌を噛まないように気を付けてください!!」
「おおおおおおっ……!?」
頑丈な縄でガオンを固定した状態でルノは13番街に接近する軍隊が存在する方向へ向けて直進すると、正面から襲い掛かる風圧によってガオンは大口を開いた状態で悲鳴をあげる。口を塞ごうにも風圧が強すぎて閉じる事も出来ず、しかも時間が経過するごとに速度が加速するため、身体に襲い掛かる風圧が増す。
「よし、見えてきた!!大丈夫ですかガオンさん!?」
「おごぉっ!?」
遂に軍隊の姿を捉えるとルノは速度を減速し、気づかれないように高度を上昇する。やっと風圧から解放されたガオンは口から呻き声を漏らしながらもルノの言葉を耳にして地上の様子を伺う。
「うぷっ……ま、また酔ってきた。吐きそうだ……」
「頑張ってください!!ほら、それよりも王子の姿は見えますか?」
「ああっ……?」
口元を抑えながらもガオンは地上を移動する軍隊の様子を伺い、朦朧とする意識の中で王子らしき人物を探す。だが、距離が開きすぎている事と5万の軍勢の中から王子を探し出す事は難しく、頭を抑えながらルノにもう少し近づけないのかを尋ねる。
「ここからだとよく見えんな……もう少し近づけないのか?」
「そうしたい所なんですけど、もしも近づいて気づかれた場合、きっと相手も魔法で攻撃を仕掛けてくるはずです。そうなるとガオンさんを背負った状態だと上手く戦えないので下手をしたら撃ち落される可能性も……」
「よし、分かった!!何とか探すぞ!!」
接近する事の危険性を聞かされたガオンは必死な表情で軍勢の様子を観察し、第一王子らしき人物を探す。だが、いくら探しても王子らしき人物は見当たらず、不思議に思ったガオンは王子に関するある情報を思い出した。
「あっ……そういえば王子は馬に乗れないと聞いたことがある。なんでも子供の頃に落馬して以来、馬に近づくことも避けるようになったと聞いているが……」
「え?じゃあ、遠出するときはどうしているんですか?」
「基本的には馬車に乗って移動しているらしい。それに奴の性格を考えればきっと貧相な馬車に乗り込む事はないはずだ」
「馬車……もしかしてあれの事ですか?」
ガオンの言葉を聞いてルノは軍勢の中から異様なまでに目立つ存在に気づく。軍勢の中心部に存在する全体が白塗りの大きな馬車が存在し、車を引く馬は白馬で統一され、極めつけには馬車の天井部分には獣人国の紋章が刻まれていた。場違いな程に豪華な馬車を見て、ルノはガオンが見やすいように方向転換を行い、馬車を見せつけると、ガオンは大声をあげる。
「むっ……あれか、確かに目立つな」
「……普通、あんな目立つ乗り物にわざわざ乗るんですか?」
「確かに普通ならば有り得ん事だ。だが、あの王子ならば乗っていてもおかしくはない」
敵から見れば非常に目立つ外見の馬車など分かりやすい標的なのだが、ガオンの知る限りの王子の性格から考えたら馬車が罠である可能性は低く、本当に乗り込んでいる可能性が高いという。
※今回の投稿の5秒前ぐらい
カタナヅキ「まだだ!!まだ足りない!!」(´・ω・)つ公開ボタン
ルノ「一体何が目的なんだ?」
リーリス「待ってください、現在公開されている文字数を確認すると……」
「ありがとうございます。えっと……うん、大丈夫です」
「おい、そんな物で何をする気だ?」
兵士が縄を用意するとルノは強度を確かめて問題ない事を確認し、それを見たガオンは嫌な予感を覚えるが、そんな彼の不安をよそにルノはリディアに縄を渡す。
「リディア、ちょっと縄を持っててくれる?」
「え?どうするのよこんな物……」
「ガオンさんは俺の後ろ向いてください」
「後ろ……?」
ルノの言われるがままにリディアは縄を受け取り、ガオンが背中を向けると、ワン子が率直にルノが何をしようとしているのかを尋ねる。
「ルノのお兄さんは何をする気なんですか?」
「それはね……こうやってガオンさんを拘束するんだよ」
「拘束!?」
「ああ……そういう事ね」
背中を向けた状態のガオンにルノは背中を押し付けると、ようやく意図を察したリディアは納得したように頷き、即座に背中同士を合わせたルノとガオンを縄で拘束する。身長と体格に差があるのでルノの胸元の部分とガオンの胴体の部分に縄を巻きつき、簡単な事では引き剥がされないようにしっかりと縄を結ぶ。
「お、おい!!これは何の真似だ!?」
「いいから大人しくしてなさいよ。ほら、あんた達もこの馬鹿将軍を抑えなさい!!」
「ええっ!?」
「し、しかし……」
「将軍に対してそんな無礼な真似は……」
「今は説明している暇もないんです!!急いでください!!」
『はい!!』
「お、お前達ぃっ!?」
ルノの言葉を聞いた兵士達は即座にリディアの手伝いを行い、縄で二人の肉体を固定する。数秒後には縄で完璧に二人の身体を固定化され、十分だと判断したルノは兵士とリディアを離れさせる。
「うん、もういいかな……じゃあ、ちょっと王子を捕まえに行ってくるね」
「待て!!お前、まさか……!?」
「行ってきます!!」
「きゃあっ!?」
出発する直前にて自分が何をされるのか理解したガオンは顔色を青くして静止の言葉を掛けるが、ガオンを背中で抱えた状態からルノは「飛翔術」を発動させ、勢いよく空へ向けて跳躍を行う。
「全速力で行きますよ!!舌を噛まないように気を付けてください!!」
「おおおおおおっ……!?」
頑丈な縄でガオンを固定した状態でルノは13番街に接近する軍隊が存在する方向へ向けて直進すると、正面から襲い掛かる風圧によってガオンは大口を開いた状態で悲鳴をあげる。口を塞ごうにも風圧が強すぎて閉じる事も出来ず、しかも時間が経過するごとに速度が加速するため、身体に襲い掛かる風圧が増す。
「よし、見えてきた!!大丈夫ですかガオンさん!?」
「おごぉっ!?」
遂に軍隊の姿を捉えるとルノは速度を減速し、気づかれないように高度を上昇する。やっと風圧から解放されたガオンは口から呻き声を漏らしながらもルノの言葉を耳にして地上の様子を伺う。
「うぷっ……ま、また酔ってきた。吐きそうだ……」
「頑張ってください!!ほら、それよりも王子の姿は見えますか?」
「ああっ……?」
口元を抑えながらもガオンは地上を移動する軍隊の様子を伺い、朦朧とする意識の中で王子らしき人物を探す。だが、距離が開きすぎている事と5万の軍勢の中から王子を探し出す事は難しく、頭を抑えながらルノにもう少し近づけないのかを尋ねる。
「ここからだとよく見えんな……もう少し近づけないのか?」
「そうしたい所なんですけど、もしも近づいて気づかれた場合、きっと相手も魔法で攻撃を仕掛けてくるはずです。そうなるとガオンさんを背負った状態だと上手く戦えないので下手をしたら撃ち落される可能性も……」
「よし、分かった!!何とか探すぞ!!」
接近する事の危険性を聞かされたガオンは必死な表情で軍勢の様子を観察し、第一王子らしき人物を探す。だが、いくら探しても王子らしき人物は見当たらず、不思議に思ったガオンは王子に関するある情報を思い出した。
「あっ……そういえば王子は馬に乗れないと聞いたことがある。なんでも子供の頃に落馬して以来、馬に近づくことも避けるようになったと聞いているが……」
「え?じゃあ、遠出するときはどうしているんですか?」
「基本的には馬車に乗って移動しているらしい。それに奴の性格を考えればきっと貧相な馬車に乗り込む事はないはずだ」
「馬車……もしかしてあれの事ですか?」
ガオンの言葉を聞いてルノは軍勢の中から異様なまでに目立つ存在に気づく。軍勢の中心部に存在する全体が白塗りの大きな馬車が存在し、車を引く馬は白馬で統一され、極めつけには馬車の天井部分には獣人国の紋章が刻まれていた。場違いな程に豪華な馬車を見て、ルノはガオンが見やすいように方向転換を行い、馬車を見せつけると、ガオンは大声をあげる。
「むっ……あれか、確かに目立つな」
「……普通、あんな目立つ乗り物にわざわざ乗るんですか?」
「確かに普通ならば有り得ん事だ。だが、あの王子ならば乗っていてもおかしくはない」
敵から見れば非常に目立つ外見の馬車など分かりやすい標的なのだが、ガオンの知る限りの王子の性格から考えたら馬車が罠である可能性は低く、本当に乗り込んでいる可能性が高いという。
※今回の投稿の5秒前ぐらい
カタナヅキ「まだだ!!まだ足りない!!」(´・ω・)つ公開ボタン
ルノ「一体何が目的なんだ?」
リーリス「待ってください、現在公開されている文字数を確認すると……」
2
お気に入りに追加
11,310
あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。


友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。