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獣人国
阿鼻叫喚
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「もう一度だけ言うぞ!!開門して降伏しろ!!そうすれば命は奪わん!!」
「ふざけるな!!お前たちのいう事なんて信じられるか!!」
「そうだそうだ!!」
ガオンを連れ出さない事に不信を抱いた部隊長は防壁の兵士達に警告を行うが、これまで兵士達に不当な扱いを受けていた警備兵と民衆は断固として要求を受け入れない。彼等が城門を開ける様子はない事に気づいた部隊長は最後の警告を行う。
「いまから10分後に攻撃を始める!!それまでに城門を開かなければ貴様等は皆殺しだ!!」
「ま、待て!!ガオン将軍がどうなってもいいのか!?」
「ふんっ!!」
民兵の言葉を嘘だと判断した部隊長は仲間達の元に戻り、残された防壁の警備兵と民衆は頭を抱える。ここにガオンを呼び寄せれば部隊との交渉も出来るが、あと10分以内にガオンが到着するとは限らず、このままでは街に数千の兵士達が攻め寄せてくる。しかも先日の荒くれ物の傭兵とは異なり、彼等はガオンに従う正規の軍隊なので忠誠心も厚く、先日の盗賊のように戦況が不利になったとしても逃げだす者はいないだろう。
「ど、どうする?我々だけではあの数の相手になんて出来ないぞ……」
「だ、大丈夫だ!!脅しに決まっているさ!!」
「馬鹿を言え!!あれを見ろ、馬車が後ろの方に移動して兵士達が前に集まっているだろう!!奴が10分といったのは攻撃態勢を整えるためだ!!」
部隊長が指示を出して物資を搭載した馬車や荷車を後方に配置し、歩兵が先頭に集まり、続いて騎馬兵も後に続く。防壁からの攻撃に備えて歩兵は全員盾を装備しており、攻撃を仕掛ける準備を整えていた。
「ああっ……このままだと不味い、この街は魔物が侵入しないようにしか対策はされていないんだ!!人間が攻め込むなんて考えて作られたわけじゃない!!堀もなければ武器もまともに揃っていない!!お終いだぁっ……」
「諦めるな!!時間を稼げばどうにか……待て、あれはなんだ?」
絶望的な状況に大半の人間が打ちひしがれる中、視覚が優れている獣人の一人が帰還部隊の後方から激しい砂煙が舞い上がっている事に気づき、不思議に思った彼は他の人間にも異変を伝える。
「おい、あれってまさか……」
「嘘だろおい……」
「あ、あれは……牙竜だぁあああっ!!」
防壁内にて砂煙の正体を見抜いた人間の絶叫が響き渡り、その声は攻撃準備中の部隊の兵士達の耳にも届き、何事かと彼等は後方を確認するとそこには牙竜が派手に土煙を巻き上げながら街に向けて突進していた。
――ガアアアアアッ!!
咆哮が荒野に響き渡り、牙竜の姿を確認した瞬間に誰もが悲鳴を上げた。百戦錬磨のガオン直属の配下の兵士達でさえも牙竜の姿を見た瞬間に激しく混乱を引き起こし、隊列が乱れてしまう。
「ば、馬鹿な!!どうしてここに牙竜が……!?」
「不味いです隊長!!あいつは我々の物資を狙っています!!」
「いかん!!何としても追い払えっ!!」
牙竜は鼻を引くつかせながら大量の物資が搭載された馬車と荷車が放置されている場所に向かい、慌てて部隊長は物資を守るために兵士に命令を下すが、相手が竜種という時点で兵士の士気は乱れ、即座に動けない。
「ウガァアアアッ!!」
「ひいいっ!?」
「怯えるな馬鹿者!!竜種とはいえ、相手は1体だ!!これだけの数の兵士がいれば……何だあれは!?」
自分達に向けて接近する牙竜に対し、部隊長は多少の被害を覚悟の上で兵士達を向かわせようとしたとき、不意に牙竜の肉体に大きな影が差し、上空から巨大な物体が接近してきた。
『こらっ!!勝手に行っちゃ駄目でしょっ!!』
「アガァッ!?」
『ええええええっ!?』
――空の上から全身が青色の「火竜」が出現すると牙竜の背中の上に乗り込み、地面に抑えつける。その光景を見た兵士達は2体目の竜種が現れた事に驚き、さらに人語まで話した事に頭の理解が追い付かない。
「な、な、な、何だあれは!?」
「か、火竜です!!しかも普通の奴よりとんでもなく大きいです!!」
「馬鹿な!?火竜の生息地域は帝国地方だぞ!!どうして獣人国に……い、いや、それよりも何故人間の言葉を話している!?」
「いえ、あれを見てください!!火竜の頭に誰かが乗っています!!どうやら少年と女性のようですが……」
牙竜を抑えつける火竜の頭部には人間の少年と年若い女性が存在し、何故か女性の方は身体が薄汚れて所々に怪我を負い、怒ったように牙竜に怒鳴りつけていた。
「ちょっとあんた!!食べ物の匂いに釣られて主人を落とした事に気づかないなんて馬鹿なの!?あんたのせいでこっちは死にかけたわよ!!」
「ガウッ……」
「もう、勝手に暴走しちゃ駄目だよ。ほら、退いてあげるから大人しくしてね」
移動の最中に牙竜から振り落とされたリディアは苛立ちを隠せずに何度も牙竜の腹に蹴りを入れ、ルノは牙竜を抑えつけるために生み出した氷竜を退かせると、優しく牙竜に注意する。二人に怒られた牙竜は反省したように身体を伏せるが、その光景を見た兵士達は唖然とする。
※カタナヅキ「あともう少しで皆さんに嬉しい報告が出来そうです(*´ω`*)」
ルノ「何?また新作でも書くの?」
リーリス「遂に私の外伝小説ですか!!」
カタナヅキ「それはない(`・ω・´)キリッ」
リーリス「Oh……(#^ω^)ピキピキ」
「ふざけるな!!お前たちのいう事なんて信じられるか!!」
「そうだそうだ!!」
ガオンを連れ出さない事に不信を抱いた部隊長は防壁の兵士達に警告を行うが、これまで兵士達に不当な扱いを受けていた警備兵と民衆は断固として要求を受け入れない。彼等が城門を開ける様子はない事に気づいた部隊長は最後の警告を行う。
「いまから10分後に攻撃を始める!!それまでに城門を開かなければ貴様等は皆殺しだ!!」
「ま、待て!!ガオン将軍がどうなってもいいのか!?」
「ふんっ!!」
民兵の言葉を嘘だと判断した部隊長は仲間達の元に戻り、残された防壁の警備兵と民衆は頭を抱える。ここにガオンを呼び寄せれば部隊との交渉も出来るが、あと10分以内にガオンが到着するとは限らず、このままでは街に数千の兵士達が攻め寄せてくる。しかも先日の荒くれ物の傭兵とは異なり、彼等はガオンに従う正規の軍隊なので忠誠心も厚く、先日の盗賊のように戦況が不利になったとしても逃げだす者はいないだろう。
「ど、どうする?我々だけではあの数の相手になんて出来ないぞ……」
「だ、大丈夫だ!!脅しに決まっているさ!!」
「馬鹿を言え!!あれを見ろ、馬車が後ろの方に移動して兵士達が前に集まっているだろう!!奴が10分といったのは攻撃態勢を整えるためだ!!」
部隊長が指示を出して物資を搭載した馬車や荷車を後方に配置し、歩兵が先頭に集まり、続いて騎馬兵も後に続く。防壁からの攻撃に備えて歩兵は全員盾を装備しており、攻撃を仕掛ける準備を整えていた。
「ああっ……このままだと不味い、この街は魔物が侵入しないようにしか対策はされていないんだ!!人間が攻め込むなんて考えて作られたわけじゃない!!堀もなければ武器もまともに揃っていない!!お終いだぁっ……」
「諦めるな!!時間を稼げばどうにか……待て、あれはなんだ?」
絶望的な状況に大半の人間が打ちひしがれる中、視覚が優れている獣人の一人が帰還部隊の後方から激しい砂煙が舞い上がっている事に気づき、不思議に思った彼は他の人間にも異変を伝える。
「おい、あれってまさか……」
「嘘だろおい……」
「あ、あれは……牙竜だぁあああっ!!」
防壁内にて砂煙の正体を見抜いた人間の絶叫が響き渡り、その声は攻撃準備中の部隊の兵士達の耳にも届き、何事かと彼等は後方を確認するとそこには牙竜が派手に土煙を巻き上げながら街に向けて突進していた。
――ガアアアアアッ!!
咆哮が荒野に響き渡り、牙竜の姿を確認した瞬間に誰もが悲鳴を上げた。百戦錬磨のガオン直属の配下の兵士達でさえも牙竜の姿を見た瞬間に激しく混乱を引き起こし、隊列が乱れてしまう。
「ば、馬鹿な!!どうしてここに牙竜が……!?」
「不味いです隊長!!あいつは我々の物資を狙っています!!」
「いかん!!何としても追い払えっ!!」
牙竜は鼻を引くつかせながら大量の物資が搭載された馬車と荷車が放置されている場所に向かい、慌てて部隊長は物資を守るために兵士に命令を下すが、相手が竜種という時点で兵士の士気は乱れ、即座に動けない。
「ウガァアアアッ!!」
「ひいいっ!?」
「怯えるな馬鹿者!!竜種とはいえ、相手は1体だ!!これだけの数の兵士がいれば……何だあれは!?」
自分達に向けて接近する牙竜に対し、部隊長は多少の被害を覚悟の上で兵士達を向かわせようとしたとき、不意に牙竜の肉体に大きな影が差し、上空から巨大な物体が接近してきた。
『こらっ!!勝手に行っちゃ駄目でしょっ!!』
「アガァッ!?」
『ええええええっ!?』
――空の上から全身が青色の「火竜」が出現すると牙竜の背中の上に乗り込み、地面に抑えつける。その光景を見た兵士達は2体目の竜種が現れた事に驚き、さらに人語まで話した事に頭の理解が追い付かない。
「な、な、な、何だあれは!?」
「か、火竜です!!しかも普通の奴よりとんでもなく大きいです!!」
「馬鹿な!?火竜の生息地域は帝国地方だぞ!!どうして獣人国に……い、いや、それよりも何故人間の言葉を話している!?」
「いえ、あれを見てください!!火竜の頭に誰かが乗っています!!どうやら少年と女性のようですが……」
牙竜を抑えつける火竜の頭部には人間の少年と年若い女性が存在し、何故か女性の方は身体が薄汚れて所々に怪我を負い、怒ったように牙竜に怒鳴りつけていた。
「ちょっとあんた!!食べ物の匂いに釣られて主人を落とした事に気づかないなんて馬鹿なの!?あんたのせいでこっちは死にかけたわよ!!」
「ガウッ……」
「もう、勝手に暴走しちゃ駄目だよ。ほら、退いてあげるから大人しくしてね」
移動の最中に牙竜から振り落とされたリディアは苛立ちを隠せずに何度も牙竜の腹に蹴りを入れ、ルノは牙竜を抑えつけるために生み出した氷竜を退かせると、優しく牙竜に注意する。二人に怒られた牙竜は反省したように身体を伏せるが、その光景を見た兵士達は唖然とする。
※カタナヅキ「あともう少しで皆さんに嬉しい報告が出来そうです(*´ω`*)」
ルノ「何?また新作でも書くの?」
リーリス「遂に私の外伝小説ですか!!」
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