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獣人国
部隊の動揺
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――各地に派遣されていたガオンの直属部隊の兵士達は大量の物資を運び込みながら13番街に辿り着き、街の様子がおかしい事に気づく。普通ならば自分達の姿が見えた段階で出迎えの兵士が訪れるはずだが、何故か防壁を守護しているのは街に元々配備されていた警備兵と武装した一般人の集団が待機していた。
「おい、あれを見ろよ。あいつら兵士じゃないのか?」
「というより、何で俺達を警戒しているんだ?どうして扉を開かない?」
「何か様子がおかしいな……俺が確認に向かう。お前たちはここで待機しろ!!」
先頭を移動していた部隊の隊長が防壁の異変に気付き、馬を走らせて先に向かう。そして閉ざされた扉の前に到着すると防壁の上に待機している兵士に声を掛ける。
「開門しろ!!我々はガオン様の直属の兵士だぞ!!任務を遂行し、戻ってきた!!」
『…………』
「貴様等……何を考えている!?」
ガオンの名前を口にしても反応しない防壁の兵士達の様子を見て隊長は嫌な予感を覚え、馬をゆっくりと下がらせる。その様子を見た警備兵の隊長を任されている初老の男性が前に出ると、隊長に向けて大声で言い放つ。
「申し訳ないが、この門を開くわけにはいかん!!悪いがこのまま立ち去ってくれ!!」
「何だと!?話を聞いていなかったのか!!我々は……」
「お主達の主人であるガオンは既に我々が捕縛した!!」
「……何、だと!?ふ、ふざけたことを言うな!!」
警備隊長の言葉に防壁の前の部隊長は呆気に取られ、即座に怒りを滲ませて怒鳴り返す。彼が使えるガオンは獣人国の中でも武力に秀でた将軍であり、ただの民間人や警備兵如きに捕まるはずがない。しかし、防壁の上に立つ警備隊長は街で起きた出来事を告げる。
「既にガオンと配下の傭兵達は我々が拘束している!!民衆に手を出したお前達はもう国を守る兵士ではない、ただの賊軍だ!!」
「貴様……言わせておけば調子に乗り追って!!将軍が貴様等如きに捕まるはずがないだろう!!」
「お前が信じようと信じまいと将軍は我らの手中にある!!口の利き方には気を付けろ!!」
「ぬうっ……」
ガオンの直属の配下である部隊長は警備隊長の言葉に口ごもり、有りえない事だとは思うが仮にガオンが彼等に捕まっていた場合は人質に取られた事になる。しかし、長年の間ガオンの傍で使えていた人間にとって彼が一般人や街の警備兵程度の相手に捕まるとは思えず、証拠を見せるように促す。
「ならば将軍を人質にしたという証拠を見せろ!!お前達がガオンを将軍を捕まえたというのならこの場に連れ出せるはずだろう!?」
「それならばガオン将軍をこの場まで連れ出せば信じてくれるのか!?」
「ああ、いいだろう。本当にガオン将軍を捕縛したというのならば我々もお前達の要求を呑もうではないか!!」
捕縛されたガオンの姿を見るまで信じないとばかりに部隊長は扉の前に留まり、防壁に集まった人間達は慌てて話し合いを始める。予想していたとはいえ、やはりガオンを捕まえた姿を見せなければ帰還してきた部隊は信じず、彼を呼び寄せる必要があった。
「警備隊長、敵は思った以上に大群です。恐らくは8000は存在するでしょう……しかも荷物の移送のために駆り出された一般人の姿もあります」
「うむ……なんと酷いことを」
13番街から派遣された兵士だけではなく、物資を運び出すために村や街から強制的に一般人も連れ出されたらしく、荷車を運ぶ若い男達の姿もちらほらと見えた。彼等は何日も重い荷物を運び続けているのか顔色が悪く、中には体調を崩したのか荷台の上に横たわっている人間の姿も見えた。
「奴らめ、罪もない人々まで巻き込みおったな……しかし、思った以上に帰還の日程が早い。これだけの人数に一度に襲われたらどうしようもないぞ」
「隊長、我々は500にも満たしません。一方で敵は8000です。このままだと我々の方が……」
兵力差は10倍以上も存在し、更にガオンの配下は戦慣れをしているので獣人国の兵士の中でも選りすぐりの精鋭が揃えられている。もしも交渉が決裂して戦闘に陥った場合、警備兵達には勝ち目はない。
「どうした!?ガオン将軍を早く見せろ!!この腰抜け共が!!」
何時まで経ってもガオンを連れてこない警備兵達に部隊長は煽るように言葉を掛け、警備隊長は険しい表情を浮かべて街の様子を見る。
「ぬうっ……将軍はまだか!?」
「ここから刑務所まで距離がありますので連れ出すには時間が掛かるかと……」
「一体何時まで待たせる気だ!!いいか、あと5分以内に連れてこなければ貴様等は反逆者と見做して我々は攻撃を開始するぞ!!」
思った以上にガオンを連れ出すのに時間が掛かり、一向に警備兵がガオンの姿を見せない事に部隊長は彼等の言葉が虚偽だと確信し、攻撃を行う準備を整えさせた。
「おい、あれを見ろよ。あいつら兵士じゃないのか?」
「というより、何で俺達を警戒しているんだ?どうして扉を開かない?」
「何か様子がおかしいな……俺が確認に向かう。お前たちはここで待機しろ!!」
先頭を移動していた部隊の隊長が防壁の異変に気付き、馬を走らせて先に向かう。そして閉ざされた扉の前に到着すると防壁の上に待機している兵士に声を掛ける。
「開門しろ!!我々はガオン様の直属の兵士だぞ!!任務を遂行し、戻ってきた!!」
『…………』
「貴様等……何を考えている!?」
ガオンの名前を口にしても反応しない防壁の兵士達の様子を見て隊長は嫌な予感を覚え、馬をゆっくりと下がらせる。その様子を見た警備兵の隊長を任されている初老の男性が前に出ると、隊長に向けて大声で言い放つ。
「申し訳ないが、この門を開くわけにはいかん!!悪いがこのまま立ち去ってくれ!!」
「何だと!?話を聞いていなかったのか!!我々は……」
「お主達の主人であるガオンは既に我々が捕縛した!!」
「……何、だと!?ふ、ふざけたことを言うな!!」
警備隊長の言葉に防壁の前の部隊長は呆気に取られ、即座に怒りを滲ませて怒鳴り返す。彼が使えるガオンは獣人国の中でも武力に秀でた将軍であり、ただの民間人や警備兵如きに捕まるはずがない。しかし、防壁の上に立つ警備隊長は街で起きた出来事を告げる。
「既にガオンと配下の傭兵達は我々が拘束している!!民衆に手を出したお前達はもう国を守る兵士ではない、ただの賊軍だ!!」
「貴様……言わせておけば調子に乗り追って!!将軍が貴様等如きに捕まるはずがないだろう!!」
「お前が信じようと信じまいと将軍は我らの手中にある!!口の利き方には気を付けろ!!」
「ぬうっ……」
ガオンの直属の配下である部隊長は警備隊長の言葉に口ごもり、有りえない事だとは思うが仮にガオンが彼等に捕まっていた場合は人質に取られた事になる。しかし、長年の間ガオンの傍で使えていた人間にとって彼が一般人や街の警備兵程度の相手に捕まるとは思えず、証拠を見せるように促す。
「ならば将軍を人質にしたという証拠を見せろ!!お前達がガオンを将軍を捕まえたというのならこの場に連れ出せるはずだろう!?」
「それならばガオン将軍をこの場まで連れ出せば信じてくれるのか!?」
「ああ、いいだろう。本当にガオン将軍を捕縛したというのならば我々もお前達の要求を呑もうではないか!!」
捕縛されたガオンの姿を見るまで信じないとばかりに部隊長は扉の前に留まり、防壁に集まった人間達は慌てて話し合いを始める。予想していたとはいえ、やはりガオンを捕まえた姿を見せなければ帰還してきた部隊は信じず、彼を呼び寄せる必要があった。
「警備隊長、敵は思った以上に大群です。恐らくは8000は存在するでしょう……しかも荷物の移送のために駆り出された一般人の姿もあります」
「うむ……なんと酷いことを」
13番街から派遣された兵士だけではなく、物資を運び出すために村や街から強制的に一般人も連れ出されたらしく、荷車を運ぶ若い男達の姿もちらほらと見えた。彼等は何日も重い荷物を運び続けているのか顔色が悪く、中には体調を崩したのか荷台の上に横たわっている人間の姿も見えた。
「奴らめ、罪もない人々まで巻き込みおったな……しかし、思った以上に帰還の日程が早い。これだけの人数に一度に襲われたらどうしようもないぞ」
「隊長、我々は500にも満たしません。一方で敵は8000です。このままだと我々の方が……」
兵力差は10倍以上も存在し、更にガオンの配下は戦慣れをしているので獣人国の兵士の中でも選りすぐりの精鋭が揃えられている。もしも交渉が決裂して戦闘に陥った場合、警備兵達には勝ち目はない。
「どうした!?ガオン将軍を早く見せろ!!この腰抜け共が!!」
何時まで経ってもガオンを連れてこない警備兵達に部隊長は煽るように言葉を掛け、警備隊長は険しい表情を浮かべて街の様子を見る。
「ぬうっ……将軍はまだか!?」
「ここから刑務所まで距離がありますので連れ出すには時間が掛かるかと……」
「一体何時まで待たせる気だ!!いいか、あと5分以内に連れてこなければ貴様等は反逆者と見做して我々は攻撃を開始するぞ!!」
思った以上にガオンを連れ出すのに時間が掛かり、一向に警備兵がガオンの姿を見せない事に部隊長は彼等の言葉が虚偽だと確信し、攻撃を行う準備を整えさせた。
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