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獣人国
資金調達
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「で、どうするんだい?金が支払えないというのならあたしは帰らせてもらうよ」
「帰るって……何処によ?噂ではあんたが住んでいた教会は潰れたんでしょう?」
「今はこの街に住んでいるんだよ。北側の方にある住宅街さ、まあ、一応はあんたにも教えてやるよ」
ミルは詳しい住所をリディアに話すと、金が用意出来なければ薬は作れない事を告げて立ち去る。残されたリディアとルノは顔を見合わせ、これからどうするのかを話し合う。
「それでどうするのよ?金貨10枚なんて今の私たちには大金よ。集められるの?」
「う~ん……そうだ、ここはガー君とモー君に大道芸をしてもらってお金を稼ごうか」
「あら、中々いい考えじゃない」
『シャアッ!?』
「ウモォッ!?」
唐突に自分達に大道芸を仕込もうと言い出したルノにガーゴイルとマダラバイソンは動揺するが、短期間で大金を稼ぐと考えた場合はやはり非効率的であり、他の方法も考える。
「やっぱり魔物を倒して経験石や素材を売るのはどうかな?」
「言ったでしょう?この国では冒険者ギルドは殆ど存在しないの。冒険者が少ないから誰も経験石なんて購入しないし、取り扱っている店も少ないの。帝国とは違うのよ」
「でも、魔物の素材なら買い取ってくれるんじゃ……」
「この街を見なさいよ。軍隊のせいで金目の物は殆ど奪われているのよ?私たちが回収できたのは金品以外の物品だけで肝心の金庫はガインの馬鹿が盗み出した以外のお金は火事で台無しよ」
「そっか、素材があっても買い取ってくれる人がいなければしょうがないか……」
これまでの方法では金貨を稼ぐことは難しいと分かったルノは考え込み、今後の行動を考えるとある程度の資金は必要になる。しかし、資金を稼ごうにも魔物を倒して素材を売り払う以外の方法に限られるとなると良晏はすぐには思いつかない。
「う~ん……参ったな、まさかお金に困る事になるなんて思わなかった」
「その台詞だけであんたがどれだけ優遇されているのかよく分かるわね……」
帝国に住んでいた頃はルノは魔物を倒したときの莫大な資産と帝国の援助金を受けており、並の貴族よりも大金を所有していた。それだけに今回のような金銭に困ることなど最初にこちらの世界に召喚されていた頃以来であり、しかも魔物を倒す方法以外で資金を稼ぐ方法を考えなければならない。
「本当に参ったな……あ、そうだ。俺たちの果物を格安で売るのはどうかな?この街でも食糧が不足しているんでしょ?」
「まあ、そうね……軍隊の奴等が保有していた食料だけだときついみたいね」
駐屯所に保管されていた食料は全て住民に渡したが、軍隊が管理していた頃から食料はかなり消費していたらしく、圧倒的に住民全員に渡る程の量はなかった。だが、ルノは海獄島から抜け出すときに大量の果物を異空間に所持しており、こちらを売却すれば資金が集まるのではないかと考えるがここで問題があった。
「でも、商売するにしてもあんたに経験なんてあるの?どうやって果物を売り込むのよ」
「そこが問題なんだよな……ドルトンさんに商売のコツでも教えてもらっておけばよかった」
商売を始めるといっても簡単な事ではなく、果物を手渡しで渡すわけにはいかず、持ち帰るための籠のような物も用意しなければならない。しかもお釣りを支払うためには相応の小銭も必要となり、そもそも商売を行うには元々街で商売を生業としている商人からも許可を得なければならないだろう。
街長に頼み込めば商売の許可は下りるだろうが、二人だけで準備を行うには時間が掛かりすぎる。ならばいっそのこと何処かの商人と契約して果物を提供し、代わりに販売してもらう方が安全で確実に資金を稼げるかもしれない。しかし、生憎とルノとリディアには13番街の商人に知り合いはいない。
「どうしよう……リディアはこの国で育ったんなら商人の知り合いはいないの?」
「そんな都合よくいないわよ。やっぱり、ここは街長を脅して金を手に入れたらどうなの?」
「そんな非道な事出来ないよ!?人として間違っているよ!!」
「いや、昨日のあんたの行動も結構やらかしていると思うけどね……」
「あの~……ちょっといいですか?」
良案が思いつかずに話し合う二人の元に一人の男性が話しかけ、不思議に思ったルノはリディアの顔を見るが彼女が首を振ったので知り合いではないらしく、話しかけてきた男性は二人の疑問を察したように自分の後ろにいる少女を見せる。
「あ、申し遅れました。私はこのワン子の父親のケンと申します」
「わぅんっ!!二人とも急にいなくなったので心配しました!!」
「ワンちゃん?」
「あんた……まだここに居たの?」
二人に話しかけてきた男性はどうやら先ほどワン子と感動の再会を果たした彼女の父親らしく、ケンは二人に深々とお辞儀を行う。
※リーリス「ルノさん、実は昨夜の夢でアイリスさんからこんなボタンを貰いました」(´ω`)つ公開ボタン
ルノ「え?これは……公開ボタン!?」( ゚Д゚)!?
リーリス「という事で今日は唐突ながらに5話投稿です!!1時間ごとに公開しますのでご注意くださいっ!!」
「帰るって……何処によ?噂ではあんたが住んでいた教会は潰れたんでしょう?」
「今はこの街に住んでいるんだよ。北側の方にある住宅街さ、まあ、一応はあんたにも教えてやるよ」
ミルは詳しい住所をリディアに話すと、金が用意出来なければ薬は作れない事を告げて立ち去る。残されたリディアとルノは顔を見合わせ、これからどうするのかを話し合う。
「それでどうするのよ?金貨10枚なんて今の私たちには大金よ。集められるの?」
「う~ん……そうだ、ここはガー君とモー君に大道芸をしてもらってお金を稼ごうか」
「あら、中々いい考えじゃない」
『シャアッ!?』
「ウモォッ!?」
唐突に自分達に大道芸を仕込もうと言い出したルノにガーゴイルとマダラバイソンは動揺するが、短期間で大金を稼ぐと考えた場合はやはり非効率的であり、他の方法も考える。
「やっぱり魔物を倒して経験石や素材を売るのはどうかな?」
「言ったでしょう?この国では冒険者ギルドは殆ど存在しないの。冒険者が少ないから誰も経験石なんて購入しないし、取り扱っている店も少ないの。帝国とは違うのよ」
「でも、魔物の素材なら買い取ってくれるんじゃ……」
「この街を見なさいよ。軍隊のせいで金目の物は殆ど奪われているのよ?私たちが回収できたのは金品以外の物品だけで肝心の金庫はガインの馬鹿が盗み出した以外のお金は火事で台無しよ」
「そっか、素材があっても買い取ってくれる人がいなければしょうがないか……」
これまでの方法では金貨を稼ぐことは難しいと分かったルノは考え込み、今後の行動を考えるとある程度の資金は必要になる。しかし、資金を稼ごうにも魔物を倒して素材を売り払う以外の方法に限られるとなると良晏はすぐには思いつかない。
「う~ん……参ったな、まさかお金に困る事になるなんて思わなかった」
「その台詞だけであんたがどれだけ優遇されているのかよく分かるわね……」
帝国に住んでいた頃はルノは魔物を倒したときの莫大な資産と帝国の援助金を受けており、並の貴族よりも大金を所有していた。それだけに今回のような金銭に困ることなど最初にこちらの世界に召喚されていた頃以来であり、しかも魔物を倒す方法以外で資金を稼ぐ方法を考えなければならない。
「本当に参ったな……あ、そうだ。俺たちの果物を格安で売るのはどうかな?この街でも食糧が不足しているんでしょ?」
「まあ、そうね……軍隊の奴等が保有していた食料だけだときついみたいね」
駐屯所に保管されていた食料は全て住民に渡したが、軍隊が管理していた頃から食料はかなり消費していたらしく、圧倒的に住民全員に渡る程の量はなかった。だが、ルノは海獄島から抜け出すときに大量の果物を異空間に所持しており、こちらを売却すれば資金が集まるのではないかと考えるがここで問題があった。
「でも、商売するにしてもあんたに経験なんてあるの?どうやって果物を売り込むのよ」
「そこが問題なんだよな……ドルトンさんに商売のコツでも教えてもらっておけばよかった」
商売を始めるといっても簡単な事ではなく、果物を手渡しで渡すわけにはいかず、持ち帰るための籠のような物も用意しなければならない。しかもお釣りを支払うためには相応の小銭も必要となり、そもそも商売を行うには元々街で商売を生業としている商人からも許可を得なければならないだろう。
街長に頼み込めば商売の許可は下りるだろうが、二人だけで準備を行うには時間が掛かりすぎる。ならばいっそのこと何処かの商人と契約して果物を提供し、代わりに販売してもらう方が安全で確実に資金を稼げるかもしれない。しかし、生憎とルノとリディアには13番街の商人に知り合いはいない。
「どうしよう……リディアはこの国で育ったんなら商人の知り合いはいないの?」
「そんな都合よくいないわよ。やっぱり、ここは街長を脅して金を手に入れたらどうなの?」
「そんな非道な事出来ないよ!?人として間違っているよ!!」
「いや、昨日のあんたの行動も結構やらかしていると思うけどね……」
「あの~……ちょっといいですか?」
良案が思いつかずに話し合う二人の元に一人の男性が話しかけ、不思議に思ったルノはリディアの顔を見るが彼女が首を振ったので知り合いではないらしく、話しかけてきた男性は二人の疑問を察したように自分の後ろにいる少女を見せる。
「あ、申し遅れました。私はこのワン子の父親のケンと申します」
「わぅんっ!!二人とも急にいなくなったので心配しました!!」
「ワンちゃん?」
「あんた……まだここに居たの?」
二人に話しかけてきた男性はどうやら先ほどワン子と感動の再会を果たした彼女の父親らしく、ケンは二人に深々とお辞儀を行う。
※リーリス「ルノさん、実は昨夜の夢でアイリスさんからこんなボタンを貰いました」(´ω`)つ公開ボタン
ルノ「え?これは……公開ボタン!?」( ゚Д゚)!?
リーリス「という事で今日は唐突ながらに5話投稿です!!1時間ごとに公開しますのでご注意くださいっ!!」
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