最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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獣人国

消火作業

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――最初の2秒の時点でルノは川に到着すると、両手を構えて氷塊の魔法を発動させる。今回生み出したのは巨大な「桶」であり、十数メートルの巨大な氷の桶を作り出す。この間に掛かった時間は3秒にも満たない。


「てりゃっ」


掛け声と共に氷桶を川の中に投入し、限界まで水を中に溜めると今度は毀れない様に氷の蓋を作り出す。その状態でルノは氷桶を下から持ち上げた状態で飛翔術を発動させ、街に戻る。この間に掛かった時間は10秒程度であり、予告通りにルノは氷桶を抱えた状態で火災中の駐屯所に到着した。


「せぇのっ!!」


上空から氷桶を抱えたルノは蓋を開くと、燃え盛る炎に向けて水を流し込む。その結果、大量の水を浴びた建物の炎は消え去り、氷桶の水が無くなる頃には建物の炎は消えていた。消火作業を終えたルノは氷桶を解除すると、今度は両手を建物に構えて事前に倉庫内の物資を詰めていた全ての氷箱を浮上させる。


「うん、一つも溶けてないな。良かった良かった」


ルノが生み出した氷箱は只の炎では溶かす事も出来ず、中身に関しても特に影響はなかった。建物は崩壊してしまったが、それでも住民から奪われた薬品や食料品は無事のため、後はこの物資を返して軍隊に逆らったワン子の両親や他の村の人間を救い出せば当初の目的は達成する。


「じゃあ、まずはあの将軍の説得と……この状況を街の人達にどうやって説明するのか考えないといけないな」


氷箱を地面に山積みしながらルノは周囲を振り返ると、駐屯所の異変を嗅ぎつけてきた大勢の街の住民に見られている事に気付き、緊急事態だったので正体を晒して魔法を使ってしまった。


「お、おい!!あそこを見ろ!!人間が浮いているぞ!!」
「本当だわ!!それに他にも何か浮いているわ!?」
「一体何が起きたんだ!?兵士の奴等はどうなった!?」
「こんな時にガインさんは何処に行ったんだ!!あの人の指示がないと俺達は……」


今更誤魔化す事も出来ず、仕方ないのでルノは彼等に何が起きたのかを全て説明するためにリディアたちの元へ戻る事を決めた――





――それから数十分後、駐屯所の敷地内には縄で締め付けられたガオンとガインが正座で地面に座り、その周囲には大勢の住民が待ち受けていた。各々が困惑、怒り、悲しみの表情を浮かべており、事態を完全に把握出来ていない者も多い。そんな彼等に見つめられるガオンは表面上は冷静に過ごし、彼の周囲には脱出に成功した側近の兵士も縛り付けられていた。


「おい、お前のせいで俺達がどれほど迷惑を掛けられたと思ってるんだ!!何か言う事はないのか!?」
「金を返せ!!いや、俺の家族に手を出した事を謝れ!!」
「俺達が何をしたって言うんだ!!何もかも奪い取りやがって!!」
『…………』


住民達の罵声を浴びながらもガオンは黙り込み、他の兵士達も顔色を青くさせながらも何も言わない。そんな彼の隣でガインも顔色を悪くする。


「というか、なんでガインさんも縛られているんだ?」
「そうだな。何かおかしくないか?」
「ガインさん!!何か言ってくださいよ!!」
「お、俺は……」


ガインは疑問を抱いた住民達の言葉に表情を青くさせ、本心を言えばここで彼等に助けを求めたい所だったが、それは許されない。彼は縛り付けられる前にルノとのやり取りを思い出す――




――少し前、氷箱から解放されたガインに対してルノは飴玉程度の大きさの氷塊を作り出す。規模は小さいがそれでもルノの魔法で生み出した氷は非常に頑丈のため、簡単な事では壊れない。


『これを見てください。小さいですけど、使い道によってはこんな事も出来ます』
『ひいっ!?』


陶器製のコップの中に飴玉程の大きさの氷塊を入れたルノは指先を動かした瞬間、内側から氷が飛び出して陶器製の容器を容易く貫通してしまう。その様子を見たガインは悲鳴を上げ、その隙を逃さずにリディアがガーゴイルを動かして彼の口を開く。


『ほら、お仕置きの時間よ。飲みなさい!!』
『や、やふぇろぉっ!?』
『シャアアッ!!』


ガーゴイルに頬を掴まれた状態でルノが作り出した氷を口にしたガインは必死に吐き出そうとするが、抵抗もむなしく結局は飲み込んでしまう。自分の中に氷が入る感覚にガインは顔色を青くすると、必死に吐き出そうと咳き込むがどうしようも出来なかった。


『げほ、げほぉっ!!くそっ……何でこんな事をしやがる!?』
『口の利き方がなってないわね。こいつがその気になれば今すぐにあんたの腹を貫通して氷を取り出す事も出来るのよ?いくら回復薬でも内臓をやられたら治療出来ないでしょう?』
『そ、そんなっ!?』


リディアの慈悲のない言葉にガインは顔色を更に真っ青になり、リディアの脅しに若干引き気味にながらもルノはガインに要求する。


『これから貴方と将軍を住民の人達に謝罪させます。その事に余計なことを言ったり、嘘を吐けば……どうなるかは分かりますね?』
『あ、ああっ……』


ガインは自分がもう逃げられないと悟り、どうしてここまで追い詰められなければならないのかと頭を抱えるが、自分だけ助かろうとルノ達を見捨てた時点で彼の運命は決まっていた――



※今回の投稿10秒前

スラミン「ぷるぷるっ(出番ないから暇)ぷるんっ?(ん?なんだろうこのボタン)」('ω')ノ公開ボタン
カタナヅキ「あ、スラミン!!それを押しちゃダメ!?」(; ゚Д゚)
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