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獣人国
ガオンの野望
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『獣人国は武力国家、つまり最強の武勇を誇る将軍こそが国王に相応しい御方なのです』
『ふむ……確かに貴様の言葉にも一理あるな』
最強と呼ばれたガオンは気分を良くするが、彼を褒め称えるクズノは一瞬だけ意味深な笑みを浮かべ、続けて彼に助言を行う。
『将軍がお望みとあらば私はどのような強力も惜しみません。その代わりと言っては何ですが、もしも将軍が国王の座に就いた時はどうか私を宰相として迎えて下さい』
『何?人間の貴様を宰相にだと?』
『それくらいの褒美がなければ私としても将軍の支援は難しいのです。宰相が無理だとしても、それ相応の地位を与えられるのならば強力は惜しみませんが……』
『ふむ……』
ガオンはクズノの顔を確認し、得体の知れない相手ではあるが自分の力を認め、更に大量の金塊を容易く引き渡したクズノに興味を抱く。だが、現実的に考えても人種差別が激しいクズノを宰相として迎え入れるのは難しい。
(この男は確かに使えるかも知れん……しかし、人間を宰相に迎えるなど出来るのか?いや、そもそも本当にこの俺が国王の座に就けるのか?)
黙り込んで考え込むガオンを見てクズノは彼の思考を読み取ったように不気味な笑みを浮かべ、ガオンの不安を取り除くように具体的な方法を話す。
『どうやら将軍はまだ私の事を信じ切れていないようですね。ならば将軍の信頼を得るために私が将軍が王座に就く方法を先にお教えしましょう』
『何っ!?貴様、本当に俺が王座に就ける方法を知っているのか?』
『それは将軍次第です。どうでしょうか?話を聞くだけならば損はしませんよ。どうせ私は只の人間、将軍が私の話を信じられないのならば兵士を呼び出せて牢屋に送り込めばいいだけです』
『お前……何を考えている!?』
自分が不利になる条件を申し付けてきたクズノにガオンは警戒心を抱き、あまりにも都合が良いのでクズノが裏で何か考えているのではないかと勘繰るが、ガオンの質問に対してクズノは動揺も見せずに答える。
『ふふふっ……私は確信しているのですよ。将軍が私の話を聞けば必ず王座に就く決意をします』
『その自信の根拠は何だっ!?』
『根拠?それは将軍が私と同じ野望を抱いた人間だからです』
『野望、だと?』
『そうです!!野望を持たぬ人間が大成を為す事など有り得ない!!歴史に名前を刻む英雄と呼ばれる人物は全員が自分の野望を果たした者なのです!!そして将軍も彼等と同じように大きな野望を抱く英雄なのです!!』
『英雄だと……!?』
仰々しくクズノは両手を広げながら演技臭い台詞を吐くが、自分が英雄と呼ばれたガオンは気分を良くして彼の話を聞くことにした。
『ふむ、いいだろう!!ならば貴様の考えを教えて貰おうか……どうやって俺を王座へと導く?』
『ふふふっ……では話しましょう』
口では話を聞くだけと言っておきながら既に王座への執着心を露わにしているガオンに対し、クズノは内心で笑いを抑えながら説明を始める。
『まず、将軍が行うべき事は軍勢を集めるのです。資金を惜しみなくりようし、私兵を増やすのです』
『ふむ、つまり戦力を増強しろというのだな?しかし、いくら金があってもそう簡単にはいかんぞ?私兵を集め過ぎれば当然他の人間に怪しまれるだろう』
『何を言うのですか?それならば自分を怪しむ人間も引き込めばよいのです。その点は私に任せて下されば解決しましょう』
『ほほう、大した自信だな!!良かろう、そこまでの言うならば貴様に任せてやる』
『……ありがとうございます』
クズノの言葉にガオンは深く頷き、そんな彼の言葉にクズノは一瞬だけ呆れた顔を浮かべたが、即座に表情を引き締めて話を続ける。
『続けて重要なのは現在の王族の排除ですが……噂によると今の国王は重い病にかかり、もう助かる見込みはないというのは本当ですか?』
『何!?どうしてその事を……もう市中でもそこまで噂が回っていたか』
『という事は例の噂は本当の話なのですか?』
『うむ。確かに国王はもう長くはないだろう。医者の見立てではあと一か月が限界らしいな』
『なるほど……』
あっさりと国王の病の進行具合を話すガオンにクズノは口元を抑え、笑い声を抑える。そんな彼の行動にガオンは不思議がるが、慌ててクズノは話を戻す。
『それでは国を引き継ぐのは第一王子と第二王子のどちらかは決まったのですか?』
『順当ならば第一王子だろうが、第二王子を推す声も多い。だが、恐らくは第一王子が王位を引き継ぐだろうな』
『その根拠は?』
『第一王子の背後には大将軍のウォンが就いている。奴は子供の頃から第一王子の世話役を任されていたからな……きっと第一王子を指示するだろう』
『なるほどなるほど……』
重要な情報を手に入れたクズノは笑みを浮かべ、口の中心を担う大将軍が就いている以上は王位を継承するのは第一王子の可能性が高い。しかし、第二王子を指示する家臣も多く、ガオンの予想では第一王子と第二王子の派閥同士で争いが起きると考えていた。実際にこの予想は正しく、後々に両王子は争い合う事になる。
『ふむ……確かに貴様の言葉にも一理あるな』
最強と呼ばれたガオンは気分を良くするが、彼を褒め称えるクズノは一瞬だけ意味深な笑みを浮かべ、続けて彼に助言を行う。
『将軍がお望みとあらば私はどのような強力も惜しみません。その代わりと言っては何ですが、もしも将軍が国王の座に就いた時はどうか私を宰相として迎えて下さい』
『何?人間の貴様を宰相にだと?』
『それくらいの褒美がなければ私としても将軍の支援は難しいのです。宰相が無理だとしても、それ相応の地位を与えられるのならば強力は惜しみませんが……』
『ふむ……』
ガオンはクズノの顔を確認し、得体の知れない相手ではあるが自分の力を認め、更に大量の金塊を容易く引き渡したクズノに興味を抱く。だが、現実的に考えても人種差別が激しいクズノを宰相として迎え入れるのは難しい。
(この男は確かに使えるかも知れん……しかし、人間を宰相に迎えるなど出来るのか?いや、そもそも本当にこの俺が国王の座に就けるのか?)
黙り込んで考え込むガオンを見てクズノは彼の思考を読み取ったように不気味な笑みを浮かべ、ガオンの不安を取り除くように具体的な方法を話す。
『どうやら将軍はまだ私の事を信じ切れていないようですね。ならば将軍の信頼を得るために私が将軍が王座に就く方法を先にお教えしましょう』
『何っ!?貴様、本当に俺が王座に就ける方法を知っているのか?』
『それは将軍次第です。どうでしょうか?話を聞くだけならば損はしませんよ。どうせ私は只の人間、将軍が私の話を信じられないのならば兵士を呼び出せて牢屋に送り込めばいいだけです』
『お前……何を考えている!?』
自分が不利になる条件を申し付けてきたクズノにガオンは警戒心を抱き、あまりにも都合が良いのでクズノが裏で何か考えているのではないかと勘繰るが、ガオンの質問に対してクズノは動揺も見せずに答える。
『ふふふっ……私は確信しているのですよ。将軍が私の話を聞けば必ず王座に就く決意をします』
『その自信の根拠は何だっ!?』
『根拠?それは将軍が私と同じ野望を抱いた人間だからです』
『野望、だと?』
『そうです!!野望を持たぬ人間が大成を為す事など有り得ない!!歴史に名前を刻む英雄と呼ばれる人物は全員が自分の野望を果たした者なのです!!そして将軍も彼等と同じように大きな野望を抱く英雄なのです!!』
『英雄だと……!?』
仰々しくクズノは両手を広げながら演技臭い台詞を吐くが、自分が英雄と呼ばれたガオンは気分を良くして彼の話を聞くことにした。
『ふむ、いいだろう!!ならば貴様の考えを教えて貰おうか……どうやって俺を王座へと導く?』
『ふふふっ……では話しましょう』
口では話を聞くだけと言っておきながら既に王座への執着心を露わにしているガオンに対し、クズノは内心で笑いを抑えながら説明を始める。
『まず、将軍が行うべき事は軍勢を集めるのです。資金を惜しみなくりようし、私兵を増やすのです』
『ふむ、つまり戦力を増強しろというのだな?しかし、いくら金があってもそう簡単にはいかんぞ?私兵を集め過ぎれば当然他の人間に怪しまれるだろう』
『何を言うのですか?それならば自分を怪しむ人間も引き込めばよいのです。その点は私に任せて下されば解決しましょう』
『ほほう、大した自信だな!!良かろう、そこまでの言うならば貴様に任せてやる』
『……ありがとうございます』
クズノの言葉にガオンは深く頷き、そんな彼の言葉にクズノは一瞬だけ呆れた顔を浮かべたが、即座に表情を引き締めて話を続ける。
『続けて重要なのは現在の王族の排除ですが……噂によると今の国王は重い病にかかり、もう助かる見込みはないというのは本当ですか?』
『何!?どうしてその事を……もう市中でもそこまで噂が回っていたか』
『という事は例の噂は本当の話なのですか?』
『うむ。確かに国王はもう長くはないだろう。医者の見立てではあと一か月が限界らしいな』
『なるほど……』
あっさりと国王の病の進行具合を話すガオンにクズノは口元を抑え、笑い声を抑える。そんな彼の行動にガオンは不思議がるが、慌ててクズノは話を戻す。
『それでは国を引き継ぐのは第一王子と第二王子のどちらかは決まったのですか?』
『順当ならば第一王子だろうが、第二王子を推す声も多い。だが、恐らくは第一王子が王位を引き継ぐだろうな』
『その根拠は?』
『第一王子の背後には大将軍のウォンが就いている。奴は子供の頃から第一王子の世話役を任されていたからな……きっと第一王子を指示するだろう』
『なるほどなるほど……』
重要な情報を手に入れたクズノは笑みを浮かべ、口の中心を担う大将軍が就いている以上は王位を継承するのは第一王子の可能性が高い。しかし、第二王子を指示する家臣も多く、ガオンの予想では第一王子と第二王子の派閥同士で争いが起きると考えていた。実際にこの予想は正しく、後々に両王子は争い合う事になる。
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