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獣人国
上陸
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――水竜を倒したルノ達は港から離れた場所から上陸し、遂に大陸へと帰還する。氷潜水艦を浮上させれば移動も出来るが、氷塊の魔法で生み出した乗物だと目立つと言う理由でリディアは陸上を移動する事を提案した。だが、徒歩で移動するとなると帝国へ帰還するまで時間が掛かり過ぎるので別の乗物を用意する事になった。
「ほら、あれを見なさい。マダラバイソンよ、見た事ないでしょう?」
「まだらっていうか……乳牛じゃん」
草原を移動中、ルノ達は野草を食す大型の魔物と遭遇する。外見は乳牛と酷似しているが、頭にはバッファローのような特徴的な角が生えており、尻尾も妙に長い。リディアによれば獣人国領にしか生息しない種らしく、名前はマダラバイソンと呼ばれている魔物らしい。
「あいつらの乳は栄養満点で美味しいんだけど、見た目と裏腹で狂暴な奴だから迂闊に近づかないでよ。単純な力ならトロール並に存在するんだから」
「なんか詳しいね」
「私を誰だと思っているのよ。職業上、魔物の知識を調べないといけなかったのよ」
「なるほど……あいつを捕まえて契約獣にするつもり?」
「そうよ。ほら、捕まえるのはあんたの役目なんだから」
リディアに急かされ、ルノは仕方なく乗物を調達するためにマダラバイソンに接近する。別に乗物を使わずともルノ単独ならば飛翔術を利用して帝国領に即座に帰還できるのだが、ここまで同行させた以上はリディアを放置出来ず、彼女の指示通りに魔物を捕獲する事にした。
「は、ハロー……」
「ウモォッ?」
何故か英語で挨拶をしたルノにマダラバイソンは気付くと、不思議そうに野草を口の中で噛みしめながら見つめ返す。しかし、すぐに敵だと判断したのか目つきを鋭くさせ、大きな角を構える。
「ウモォオッ!!」
「うわ、危ないっ」
「ブフゥッ!?」
しかし、突き立てようとした両角をルノは人差し指と親指だけで掴み取り、突進を仕掛けたマダラバイソンを抑えつける。必死にマダラバイソンが力を込めてもルノは後退すらせず、むしろ珍しそうに角を眺める。
「へえ、何気に動物の角なんて初めて触ったかも。あ、魔物か」
「ブモォオオッ……!?」
「ナイスよ!!そのまま捕まえてなさい!!」
『シャアアッ』
マダラバイソンの捕獲に成功したと知るとリディアとガーゴイルが駆けつけ、早速マダラバイソンに契約の印である魔獣印(契約紋)を刻む。
「よし、これでこいつは私の僕よ。手を離しても問題ないわ」
「ウモォッ……!!」
「何よその反抗的な目は……調教し甲斐がありそうね」
『ガアアッ!!』
契約したばかりなので完全には従えられないのかマダラバイソンは反抗的な態度を取るが、ガーゴイルが叱りつける様に牙を向けると大人しくなる。そんなマダラバイソンの頭を撫でながらルノはリディアに振り返る。
「それでこれからはこいつに乗って移動するの?そんなに早く移動できそうには見えないけど……」
「見た目に騙されるんじゃないわよ。こいつの足は普通の馬よりも早いし、持久力だってあるんだから。それに力も強いから大抵の魔物は姿を見ただけで逃げ出すのよ」
「モオオッ……」
仕方がないとばかりにマダラバイソンは背中を押し付け、二人に乗り込むように指示を出す。ガーゴイルは空を飛べるので乗り込む必要はないらしく、リディアが先に乗り込んでルノが後ろに乗り込む。
「さあ、これで準備万端よ。しっかり私に付いてないと振り落とすわよ!!」
「分かった」
「ちょ、ちょっと!!変なところを触らないでよ!?腰じゃなくて肩を掴みなさい!!」
「わがままだな……こう?」
「ウモオオオッ!!」
二人が乗り込むとマダラバイソンは草原を走り出し、まずは道に沿って移動を開始する。リディアの言う通りに草原に生息する魔物達は走行するマダラバイソンを見ただけで慌てて逃げ去り、移動速度に関しても普通の馬よりも早かった。
「おおっ……本当に早いな。この調子ならすぐに人里に辿り着けそう」
「言っておくけど村や街を見つけたらこいつは解放するわよ。こんなでかいのを連れて来たら無駄に警戒されるから次の村か街を出る時は新しいのを捕まえなさいよ」
「ええっ……こっそり連れて行くとか出来ないの?」
「契約を施した魔獣と離れすぎると私の支配する能力が上手く効かないのよ」
魔物使いの能力も決して万能とは言えず、契約紋を施した魔物と一定の距離を離れるとリディアの命令は受け付けなく可能性があり、残念ながら今回捕縛したマダラバイソンは次の村か街を発見したら解放しなければならない。こんな面倒事を毎度行うのならば氷飛行機などの乗物で一気に移動したいとルノは考えるが、よくよく考えれば自分が初めて日の国以外の国へ訪れた事を思い出す。
「リディアは獣人国の事は詳しいの?」
「何よ急に……まあ、何度か訪れた事はあるわよ」
「どんな国なの?治安とかは大丈夫?」
「……どうかしらね」
ルノの質問にリディアは意味深な表情を浮かべ、彼女の反応に不思議に思いながらもルノは質問を続けようとした時、上空を移動していたガーゴイルが鳴き声を上げた。
「ほら、あれを見なさい。マダラバイソンよ、見た事ないでしょう?」
「まだらっていうか……乳牛じゃん」
草原を移動中、ルノ達は野草を食す大型の魔物と遭遇する。外見は乳牛と酷似しているが、頭にはバッファローのような特徴的な角が生えており、尻尾も妙に長い。リディアによれば獣人国領にしか生息しない種らしく、名前はマダラバイソンと呼ばれている魔物らしい。
「あいつらの乳は栄養満点で美味しいんだけど、見た目と裏腹で狂暴な奴だから迂闊に近づかないでよ。単純な力ならトロール並に存在するんだから」
「なんか詳しいね」
「私を誰だと思っているのよ。職業上、魔物の知識を調べないといけなかったのよ」
「なるほど……あいつを捕まえて契約獣にするつもり?」
「そうよ。ほら、捕まえるのはあんたの役目なんだから」
リディアに急かされ、ルノは仕方なく乗物を調達するためにマダラバイソンに接近する。別に乗物を使わずともルノ単独ならば飛翔術を利用して帝国領に即座に帰還できるのだが、ここまで同行させた以上はリディアを放置出来ず、彼女の指示通りに魔物を捕獲する事にした。
「は、ハロー……」
「ウモォッ?」
何故か英語で挨拶をしたルノにマダラバイソンは気付くと、不思議そうに野草を口の中で噛みしめながら見つめ返す。しかし、すぐに敵だと判断したのか目つきを鋭くさせ、大きな角を構える。
「ウモォオッ!!」
「うわ、危ないっ」
「ブフゥッ!?」
しかし、突き立てようとした両角をルノは人差し指と親指だけで掴み取り、突進を仕掛けたマダラバイソンを抑えつける。必死にマダラバイソンが力を込めてもルノは後退すらせず、むしろ珍しそうに角を眺める。
「へえ、何気に動物の角なんて初めて触ったかも。あ、魔物か」
「ブモォオオッ……!?」
「ナイスよ!!そのまま捕まえてなさい!!」
『シャアアッ』
マダラバイソンの捕獲に成功したと知るとリディアとガーゴイルが駆けつけ、早速マダラバイソンに契約の印である魔獣印(契約紋)を刻む。
「よし、これでこいつは私の僕よ。手を離しても問題ないわ」
「ウモォッ……!!」
「何よその反抗的な目は……調教し甲斐がありそうね」
『ガアアッ!!』
契約したばかりなので完全には従えられないのかマダラバイソンは反抗的な態度を取るが、ガーゴイルが叱りつける様に牙を向けると大人しくなる。そんなマダラバイソンの頭を撫でながらルノはリディアに振り返る。
「それでこれからはこいつに乗って移動するの?そんなに早く移動できそうには見えないけど……」
「見た目に騙されるんじゃないわよ。こいつの足は普通の馬よりも早いし、持久力だってあるんだから。それに力も強いから大抵の魔物は姿を見ただけで逃げ出すのよ」
「モオオッ……」
仕方がないとばかりにマダラバイソンは背中を押し付け、二人に乗り込むように指示を出す。ガーゴイルは空を飛べるので乗り込む必要はないらしく、リディアが先に乗り込んでルノが後ろに乗り込む。
「さあ、これで準備万端よ。しっかり私に付いてないと振り落とすわよ!!」
「分かった」
「ちょ、ちょっと!!変なところを触らないでよ!?腰じゃなくて肩を掴みなさい!!」
「わがままだな……こう?」
「ウモオオオッ!!」
二人が乗り込むとマダラバイソンは草原を走り出し、まずは道に沿って移動を開始する。リディアの言う通りに草原に生息する魔物達は走行するマダラバイソンを見ただけで慌てて逃げ去り、移動速度に関しても普通の馬よりも早かった。
「おおっ……本当に早いな。この調子ならすぐに人里に辿り着けそう」
「言っておくけど村や街を見つけたらこいつは解放するわよ。こんなでかいのを連れて来たら無駄に警戒されるから次の村か街を出る時は新しいのを捕まえなさいよ」
「ええっ……こっそり連れて行くとか出来ないの?」
「契約を施した魔獣と離れすぎると私の支配する能力が上手く効かないのよ」
魔物使いの能力も決して万能とは言えず、契約紋を施した魔物と一定の距離を離れるとリディアの命令は受け付けなく可能性があり、残念ながら今回捕縛したマダラバイソンは次の村か街を発見したら解放しなければならない。こんな面倒事を毎度行うのならば氷飛行機などの乗物で一気に移動したいとルノは考えるが、よくよく考えれば自分が初めて日の国以外の国へ訪れた事を思い出す。
「リディアは獣人国の事は詳しいの?」
「何よ急に……まあ、何度か訪れた事はあるわよ」
「どんな国なの?治安とかは大丈夫?」
「……どうかしらね」
ルノの質問にリディアは意味深な表情を浮かべ、彼女の反応に不思議に思いながらもルノは質問を続けようとした時、上空を移動していたガーゴイルが鳴き声を上げた。
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