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獣人国
ガーゴイルの危機
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「……これで荷物は全部か?お前達が最後で間違いないな?」
「はい!!我々が最後の移送部隊です!!」
「そうか、ご苦労」
馬車の前に現れたウォンは兵士達に確認すると、踵を返して船上に戻ろうとした。しかし、途中で何かに気付いたように鼻を鳴らし、馬車へと振り返る。
「おい、この馬車の荷物の中に魔物の死体以外に積んでいる物はあるのか?」
「え?いえ、そのような物はありませんが……」
「そうか……おい、こっちに来い」
ウォンは馬車を操っていた兵士の二人を呼び寄せ、困惑した表情を浮かべた兵士達の鼻をウォンは掴む。そんな彼の行動に周囲に存在した他の兵士達は戸惑うが、鼻頭を抑えられた二人の兵士は動揺を隠せない。
「あ、あの……」
「いっふぁいなにを……」
「貴様等の鼻は……只の飾りか!!」
『あがぁっ!?』
二人の兵士の鼻を恐ろしい握力で握りつぶし、地面に血が滴り落ちる。ウォンが両手を話すと鼻血を噴き出した二人の兵士が地面に跪き、慌てて鼻を抑えるが止まる様子はない。危うく鼻を引き千切られそうになった兵士の二人組を見て他の人間は戸惑うが、ウォンは激怒の表情を浮かべて馬車を指差す。
「貴様等!!この馬車の中に隠している!?」
「ひいっ!?」
「ま、まっへくらさい!!なんのはなひかわかひまへん!?」
「馬鹿共が!!」
怒鳴りつけられた二人の兵士は戸惑うが、そんな彼等に対してウォンは頭部に拳骨を食らわせ、地面へ叩きつける。彼は明らかに魔物の死臭とは異なる臭い車体から感じ取り、両手の鉤爪を構えて馬車へ駆け出す。
「牙斬!!」
『シャアッ!?』
馬車の車輪に向けてウォンは鉤爪を振り抜いた瞬間、車体を支える四つの車輪が破壊された事でガーゴイルの頭上から車体が衝突し、地面に押し潰す。無論、その程度の事でガーゴイルが死ぬことはないが、問題なのはウォンと他の兵士達に気付かれた事である。
「な、何の声だ!!」
「ウォン大将軍!!何事ですか?」
「……魔物だ」
『シャオオッ!!』
騒動を聞きつけて港内の兵士達が駆けつけ、馬車を破壊したウォンに注目すると、馬車の破片を押しのけてガーゴイルが姿を現してしまう。湾内に魔物が現れた事に兵士達は混乱し、慌てて戦闘態勢に入った。
「が、ガーゴイルだっ!?どうしてこんな所に……」
「山岳地帯にガーゴイルが現れるなんて有り得るのか!?」
「大将軍!!我々はどうすればいいのでしょうか!?」
「騒ぐな!!持ち場を離れるんじゃない!!」
混乱を引き起こした兵士達にウォンは一括すると、ガーゴイルと向き合う。兵士に囲まれてしまったガーゴイルは鋭い爪と牙を剥けるが、リディアは危険を察して逃走するように指示を出す。
(馬鹿、早く逃げなさい!!あんたは岩人形と同じで水が苦手でしょうがっ!!)
ガーゴイルの肉体は非常に高度が高い岩石で構成されているが、水を浴びてしまうと泥のように変化して硬度が落ちてしまうため、水場が存在する場所で戦闘に入るのは得策ではない。リディアの命令を受けてガーゴイルは翼を広げて上空へ逃げようとしたが、ウォンが先に攻撃を仕掛けた。
「逃さん!!狼牙斬!!」
『ギャアッ!?』
『おおっ!!』
先程の「牙斬」の発展形である戦技を発動させ、ウォンは狼のように素早い動作でガーゴイルの肉体を切りつける。頑丈なはずのガーゴイルの肉体の表面が削り取られ、何度も同じ攻撃を受けたら不味いと判断したガーゴイルは空へ逃げようと跳躍する。しかし、それを予期していたかのようにウォンはガーゴイルの背中へとびつく。
「逃がさんと言っただろう!!刺突!!」
『ガアアッ!?』
ガーゴイルの翼に鉤爪が突き刺さり、体勢を崩したガーゴイルはウォンを背中に乗せたまま地面へ墜落してしまう。ウォンは鉤爪を引き抜くとガーゴイルの頭部を踏みつけ、周囲の兵士に命令を下す。
「何を見ている!!貴様等もこいつを抑えんか!!砲撃兵を連れてこい!!」
「は、はい!!」
「おい、早く抑えろ!!」
『シャアアッ……!!』
必死に逃げ出そうとガーゴイルはもがくが、複数人の兵士に抑えつけられて身動きも出来ず、更にウォンはガーゴイルの頭を踏みつける。普通の人間よりも身体能力が高く、将軍に就ける程の高レベルの獣人族の脚力で踏みつけられたガーゴイルは苦悶の表情を浮かべるが、ウォンは容赦せずにガーゴイルに鉤爪を構える。
「……野生のガーゴイルではないな。誰かに命令を受けている節がある。生け捕りにしろ!!」
「殺さないのですか!?」
「この近くでこいつを何処かで誰かが操っているはず。もしも良心がある魔物使いの仕業ならばむざむざと殺される自分の配下を見殺しには出来ないだろう」
『シャアアッ……!!』
「ほう、どうやら人語を理解できるようだな?という事はやはり人間に飼われているな……鎖で拘束して船内へ運び込め!!」
自分を人質に利用してリディアを呼び出そうとしたウォンの言葉にガーゴイルは鳴き声を上げるが、それが仇となって人語を理解できる程の知能を持っている事が見抜かれてしまい、鎖で拘束されてしまう。
「はい!!我々が最後の移送部隊です!!」
「そうか、ご苦労」
馬車の前に現れたウォンは兵士達に確認すると、踵を返して船上に戻ろうとした。しかし、途中で何かに気付いたように鼻を鳴らし、馬車へと振り返る。
「おい、この馬車の荷物の中に魔物の死体以外に積んでいる物はあるのか?」
「え?いえ、そのような物はありませんが……」
「そうか……おい、こっちに来い」
ウォンは馬車を操っていた兵士の二人を呼び寄せ、困惑した表情を浮かべた兵士達の鼻をウォンは掴む。そんな彼の行動に周囲に存在した他の兵士達は戸惑うが、鼻頭を抑えられた二人の兵士は動揺を隠せない。
「あ、あの……」
「いっふぁいなにを……」
「貴様等の鼻は……只の飾りか!!」
『あがぁっ!?』
二人の兵士の鼻を恐ろしい握力で握りつぶし、地面に血が滴り落ちる。ウォンが両手を話すと鼻血を噴き出した二人の兵士が地面に跪き、慌てて鼻を抑えるが止まる様子はない。危うく鼻を引き千切られそうになった兵士の二人組を見て他の人間は戸惑うが、ウォンは激怒の表情を浮かべて馬車を指差す。
「貴様等!!この馬車の中に隠している!?」
「ひいっ!?」
「ま、まっへくらさい!!なんのはなひかわかひまへん!?」
「馬鹿共が!!」
怒鳴りつけられた二人の兵士は戸惑うが、そんな彼等に対してウォンは頭部に拳骨を食らわせ、地面へ叩きつける。彼は明らかに魔物の死臭とは異なる臭い車体から感じ取り、両手の鉤爪を構えて馬車へ駆け出す。
「牙斬!!」
『シャアッ!?』
馬車の車輪に向けてウォンは鉤爪を振り抜いた瞬間、車体を支える四つの車輪が破壊された事でガーゴイルの頭上から車体が衝突し、地面に押し潰す。無論、その程度の事でガーゴイルが死ぬことはないが、問題なのはウォンと他の兵士達に気付かれた事である。
「な、何の声だ!!」
「ウォン大将軍!!何事ですか?」
「……魔物だ」
『シャオオッ!!』
騒動を聞きつけて港内の兵士達が駆けつけ、馬車を破壊したウォンに注目すると、馬車の破片を押しのけてガーゴイルが姿を現してしまう。湾内に魔物が現れた事に兵士達は混乱し、慌てて戦闘態勢に入った。
「が、ガーゴイルだっ!?どうしてこんな所に……」
「山岳地帯にガーゴイルが現れるなんて有り得るのか!?」
「大将軍!!我々はどうすればいいのでしょうか!?」
「騒ぐな!!持ち場を離れるんじゃない!!」
混乱を引き起こした兵士達にウォンは一括すると、ガーゴイルと向き合う。兵士に囲まれてしまったガーゴイルは鋭い爪と牙を剥けるが、リディアは危険を察して逃走するように指示を出す。
(馬鹿、早く逃げなさい!!あんたは岩人形と同じで水が苦手でしょうがっ!!)
ガーゴイルの肉体は非常に高度が高い岩石で構成されているが、水を浴びてしまうと泥のように変化して硬度が落ちてしまうため、水場が存在する場所で戦闘に入るのは得策ではない。リディアの命令を受けてガーゴイルは翼を広げて上空へ逃げようとしたが、ウォンが先に攻撃を仕掛けた。
「逃さん!!狼牙斬!!」
『ギャアッ!?』
『おおっ!!』
先程の「牙斬」の発展形である戦技を発動させ、ウォンは狼のように素早い動作でガーゴイルの肉体を切りつける。頑丈なはずのガーゴイルの肉体の表面が削り取られ、何度も同じ攻撃を受けたら不味いと判断したガーゴイルは空へ逃げようと跳躍する。しかし、それを予期していたかのようにウォンはガーゴイルの背中へとびつく。
「逃がさんと言っただろう!!刺突!!」
『ガアアッ!?』
ガーゴイルの翼に鉤爪が突き刺さり、体勢を崩したガーゴイルはウォンを背中に乗せたまま地面へ墜落してしまう。ウォンは鉤爪を引き抜くとガーゴイルの頭部を踏みつけ、周囲の兵士に命令を下す。
「何を見ている!!貴様等もこいつを抑えんか!!砲撃兵を連れてこい!!」
「は、はい!!」
「おい、早く抑えろ!!」
『シャアアッ……!!』
必死に逃げ出そうとガーゴイルはもがくが、複数人の兵士に抑えつけられて身動きも出来ず、更にウォンはガーゴイルの頭を踏みつける。普通の人間よりも身体能力が高く、将軍に就ける程の高レベルの獣人族の脚力で踏みつけられたガーゴイルは苦悶の表情を浮かべるが、ウォンは容赦せずにガーゴイルに鉤爪を構える。
「……野生のガーゴイルではないな。誰かに命令を受けている節がある。生け捕りにしろ!!」
「殺さないのですか!?」
「この近くでこいつを何処かで誰かが操っているはず。もしも良心がある魔物使いの仕業ならばむざむざと殺される自分の配下を見殺しには出来ないだろう」
『シャアアッ……!!』
「ほう、どうやら人語を理解できるようだな?という事はやはり人間に飼われているな……鎖で拘束して船内へ運び込め!!」
自分を人質に利用してリディアを呼び出そうとしたウォンの言葉にガーゴイルは鳴き声を上げるが、それが仇となって人語を理解できる程の知能を持っている事が見抜かれてしまい、鎖で拘束されてしまう。
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